新 胸部画像診断の勘ドコロ

  • ページ数 : 544頁
  • 書籍発行日 : 2014年3月
  • 電子版発売日 : 2020年10月21日
9,900
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商品情報

内容

「ますます増加する画像診断への需要を,限られた時間でこなしていくためには,必要なことが簡潔に記載された教科書が必須である」というコンセプトから生まれた「これだけおさえれば大丈夫」シリーズ(通称「勘ドコロ」シリーズ),待望の新版誕生。
初版を2006年に刊行し,日々の診断で必要な押さえるべき事項,なおかつ技術的なことがわかりやすく簡潔に解説されている点で稀有であり,多岐にわたり多くの先生方に好評を博した人気シリーズが,時代に即した技術的最新知見をふまえ,臨床では心臓,頭頸部,脊髄などを新たに加え,より実用的に充実した内容で刊行。

あわせて読む → 「画像診断の勘ドコロ」シリーズ

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序文

監修の序


ある教科書の内容が優れていることと,それが売れるということは,必ずしも共存しない現象である。一見わかりやすく,本屋で思わず買ってしまっても,あとでゆっくりと読んでみると浅薄な感じが否めない教科書は少なくはない。監修者として甚だ手前味噌ではあるが, 『勘ドコロ』 シリーズは,稀少にも,このふたつの要件を満たし得たものであったのではないかと自負している。事実,この8 年の間,継続して多くの書店の書架に陳列され,確実に多くのファンを得てきたという実感を持っている。

そして,この度,本シリーズの新版を上梓することになった。初版が発刊されてから,すでに8年の歳月が流れたが,画像医学の進歩において,この8年という時の流れはあまりに長く,近年,多くの読者から新版発行のご希望を頂戴するようになった。そこで,編集部の方々,編者の先生方と議論を重ね,リニューアル版の方向性を確認したあと,原稿依頼の作業に取りかかり,原稿をいただいてからの長い校正作業を経て,こうして発刊と相成ったわけである。

本シリーズの基本コンセプトは,旧版からそのまま受け継がれている。それは, 「増加する一方の画像診断への需要に限られた時間で対応していくため,必要なことが簡潔に記載された教科書」 というものである。具体的には, 「先輩が後輩に現場で伝授している診断のおさえどころ」 をイメージし,若手医師への効率のよい教育に貢献できるようにすることが最大の狙いである。そして,もちろん,本シリーズはベテランの先生方が自らの知識の復習とブラッシュアップのためにも十二分な機能を果たせることも視野に入れている。さらに,本シリーズは,旧版と同様に,診療放射線技師の方々が,本書により,様々な病態と関連する画像医学ならびに関連する技術学を学んでいただけるという特徴も継承している。

本シリーズの編集は,前回と同様に,頭部が前田正幸先生,腹部が兼松雅之先生,胸部は私が担当させていただき,骨軟部は新たに藤本肇先生にお願いすることとなった。また,頭部には新たに頭頸部領域を加えていただき,骨軟部には脊髄領域を加えていただくことになった。全体に大幅なボリュームアップとなってしまったが,それぞれの編者の先生方が,たいへん魅力的な構成を構築されており,旧版とは味わいの異なった全く新しい勘ドコロシリーズとなっている。このように,本シリーズは,編者の各先生の迸る情熱と中澤 恵さんたち編集部の方々の真摯で沈着な編集作業によってようやく完成に漕ぎ着けたものであるが,監修者として何より感謝の意を表したいのは,各巻に珠玉の文章と画像をご提供頂いた各執筆者の先生方である。いずれも,日常臨床,研究,教育,講演,執筆と非常に多忙な方ばかりであり,おそらく,本教科書の執筆に当たって,我々が想像する以上のご迷惑をおかけしたものと考えている。日本の放射線診療の向上のためという大義のため,そこは何とかご容赦いただきたくお願いする次第である。


2014年2月

髙橋雅士




編集の序


「勘ドコロ」 という言葉は,どうも音楽の用語であるらしい。辞典では,弦楽器を演奏するとき,弦の振動する長さを加減して音の高さを調節するために指で押さえる位置のこと,と書かれている。つまり,はずしてはいけない,肝要な点を意味する。

それでは,どうして本シリーズは, 「勘ドコロ」 なのか?

膨張していく一方の画像診断学の暗く広い海の中で,ひとつの灯台の役目を果たしたい,という願いから本書の企画は始まった。情報リテラシーの観点から言えば,医学情報の淘汰はevidence を精査することでそれは可能になるが,若い医師が実際の診療の現場において,その作業を限られた時間で行うことはまず不可能と考えなければならない。一方,医学知識の習得において,古典的な“伝承” という手法は,名前からして古臭くはあるが,若手の医師にとっての大きな教育方法であることは否定できない。


“この病気で大事なことは,要するに,A とB! あとは覚えなくていいよ!”


読影室において,先輩医師が後輩医師にこそっと伝える珠玉のダイアローグを教科書としてまとめてみたい,それが本シリーズのスタート時の基本コンセプトである。そして,放射線医学の技術的側面を支える今後の若い放射線科技師の皆様には,放射線医学の臨床の今と,関連する新しい技術学のエッセンスを,効率よく学んで頂きたい,というもうひとつの重要なコンセプトも当初から盛り込んでいた。最初に出版された本シリーズは,幸いなことに,我々のこのような意図を多くの読者から支持して頂いた。しかし,さすがに,この8年という期間は長すぎた感が否めず,長い準備期間を経て,ようやくここに 「新 胸部画像診断の勘ドコロ」 を出版することになった。

新版では,前回と比べ,大幅に著者の先生方の交替をさせて頂き,より若手のしかも十二分な実力を兼ね添えられた方々に原稿依頼をさせて頂いた。この8年の間には,肺癌とくに腺癌の病理分類の改訂,肺癌の病期分類の改訂,特発性間質性肺炎の新しい診療ガイドラインの登場,膠原病肺の様々な新しい概念の登場など,我々が知っておかねばならない情報が数多く出現したが,これらについても,各担当の先生方にわかりやすく,かつ熱くご説明頂いた。また,昨今の進歩が著しい心臓のCT, MRIについての項を大幅に加えた。結果として,ページ数は当初の予定を大幅に上回り,先輩からこっそり聞く伝承本としてはいささかいかめしいものになってしまった。この責任はひとえに編集者である私にあるが,情熱の迸る各著者の原稿を縮小割愛するということがいかに困難なことであるかをどうかご理解頂きたい。

極めて多忙ななか,本書の企画の意図を極めて適切に汲んで頂き,すばらしい原稿を送って頂いた各著者の先生方にここに熱くお礼申し上げたい。また,本出版は,終始,冷静な編集作業を続けていただいた編集部の中澤恵さんのお力なしではなし得なかったものであり,深くお礼の意を表したい。

本書が,胸部の画像診断に興味をもってくださる若い医師の方々を,また,胸部画像の撮像技術に興味を持ってくださる若い放射線技師の方々を少しでも増やすことができれば,編者としてこれに勝る喜びはない。


2014年2月
雪の琵琶湖畔にて

髙橋雅士

目次

Ⅰ 胸部単純X 線写真のminimum requirements

01 胸部単純X 線写真:誰もがわかる技術学 松尾 悟

02 胸部単純X 線写真:読影を楽しむために必要な基本的なこと 髙橋雅士

03 胸部単純X線写真:normal variantとmimickerたち 佐藤功,室田真希子

04 胸部単純X線写真:これだけは知っておきたい基本所見やサインとは 松迫正樹

05 無気肺を極めよう 栗原泰之

06 ポータブル写真の勘ドコロ 松本純一

Ⅱ 胸部CT のminimum requirements

01 胸部CT:誰でもわかる技術学 菊元力也

02 胸部CT:読影に必要な解剖学−マクロレベル 室田真希子,佐藤功,西山佳宏

03 胸部CT:読影に必要な解剖学−サブマクロレベル 髙橋雅士

Ⅲ 各種病態の画像診断

01 市中肺炎のABC 南部敦史

02 免疫不全患者における肺炎診断のABC 田中伸幸

03 結核と非結核性抗酸菌症における画像診断のABC 氏田万寿夫

04 小葉中心性病変(細気管支病変)のABC 岡田文人,佐藤晴佳,高田彰子,安藤ゆみ子,森宣

05 リンパ路病変のABC 中園貴彦

06 特発性間質性肺炎のABC-ATS/ERS特発性間質性肺炎の高分解能CT所見と病理組織所見 藤本公則,田中伴典,福岡順也

07 膠原病肺のABC 藤本公則,岡元昌樹

08 気管・気管支病変のABC 新田哲久

09 慢性閉塞性肺疾患(COPD)のABC 新田哲久

10 アレルギー性肺疾患のABC 岩澤多恵

11 職業性肺疾患のABC 加藤勝也

12 薬剤性肺障害,放射線肺障害のABC 遠藤正浩

13 知っておきたい比較的まれなびまん性肺疾患のABC 杉浦弘明

14 肺結節性病変のABC 負門克典

15 肺門部肺癌のABC 東野貴德

16 肺癌ステージングのABC 楠本昌彦

17 縦隔腫瘤診断のABC 佐藤行永,本多修,富山憲幸

18 胸膜・胸壁病変(石綿関連を除く)のABC 藪内英剛

19 先天性肺疾患のABC 伊藤雅人

20 血管性病変のABC 永谷幸裕

Ⅳ 心臓CTのminimum requirements

01 心臓CTの最新技術学-初めての冠動脈CT 検査,これだけおさえれば大丈夫!- 牛尾哲敏

02 心臓CTに親しむ 岡田宗正,中島好晃,松永尚文

Ⅴ 心臓MRI のminimum requirements

01 心臓MRI:最新の撮像法 髙瀬伸一

02 心臓MRIに親しむ 北川覚也

Ⅵ 胸部病変とPET

Ⅶ 画像診断に役立つ検査データ解釈の基本-ややこしい陰影を読む手助けとして-

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書籍情報

  • ISBN:9784758308960
  • ページ数:544頁
  • 書籍発行日:2014年3月
  • 電子版発売日:2020年10月21日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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