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臨床に直結する 集中治療のエビデンス~ベッドサイドですぐに役立つリファレンスブック

  • ページ数 : 510頁
  • 書籍発行日 : 2013年2月
  • 電子版発売日 : 2021年2月3日
13,200
(税込)
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商品情報

内容

ICUや救急病棟でベッドサイドに張り付く臨床家の座右の書

第一線の集中治療の現場で奮闘する若手医師から発せられた臨床上のナマの疑問点を集めて目次に集約.これらの疑問点に基づいて,①その背景およびその分野における歴史や生理学的知識を整理して疑問点の所在を明らかにし,②主要な研究を一覧表にまとめ,③その中から重要な論文を採りあげて批判的吟味を行い,④現時点で最も妥当な考え方を提示する内容構成.明日からの,ICUや救急病棟の臨床を心強くサポートする1冊.

※本製品はPCでの閲覧も可能です。
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序文

医療は紛れもなく患者に対するサービス業である.医療者は,自分の知識や判断,それらに基づく処方や技術を患者に提供することで対価を得る.しかし,サービスの提供者である医療者と受給者である患者がもつ情報量には圧倒的な差があり,しかも人間は苦痛を忘れやすくできている.患者は,まるで家屋の修繕工事のように不調な部分が治ればとりあえず満足しがちで,医療サービスに対する価値判定は極めて原始的な判断基準で行われることが多い.ここに,医療者の動機,患者や家族の要求によってサービスの過大供給や過少供給が起こりやすい源があると言え,適正な医療サービスは相対的かつ不安定にならざるを得ない.さらに保険医療制度によって供給者も受給者もその対価を一層実感しにくい状況が生じている.

このような医療サービスの適正さとその対価のわかりにくさを補償するために,供給者にも受給者にもいろいろな法的制約が加えられているが,それでもなお,その適正な供給は,医療者の良心と科学を尊重する理性に大きく依存する.現代では,この医療者の良心と理性の具現化がEBM(evidence-based medicine)であると言ってよい.本書は,ICUや救急病棟のベッドサイドに張り付いて「良心と理性」に従い意思決定を行いたいと願う,真面目な医療者のためのガイドブックである.

このような主旨に則り,本書は,ICUや救急病棟で日夜臨床に励む医療者が実際に対峙するナマの疑問点を集め,①疑問の背景およびその分野における歴史や生理学的知識を整理して疑問点の所在を明らかにし,②疑問点に関する主要な研究を一覧表にまとめ,③その中から重要な論文を採りあげ批判的吟味を行い,④現時点で最も妥当な考え方を提示する構成になっている.良質なメタ解析や無作為化対照試験は必ずしも多くないので観察研究も採用したり,①から④のプロセスにうまく適合しない一部の疑問に対しては教科書的に知識の整理を心がけた.日夜,臨床の激務をこなしながら,この編集方針を汲み取って柔軟に対応して下さった筆者の皆様にはこの場を借りて感謝の意を表したい.

また編集にあたって,将来の日本の集中治療を担う8名の若者に,読者と同じ目線で知りたい内容,役に立つ内容を考案してもらい,取捨選択して著者に提案した.さらに執筆原稿に対するコメントも戴いた.自らの原稿を抱えながら「勉強になるから」と献身的にこのプロセスに取り組んでくれた前途有望な若者の労を多としたい.このような一連の執筆・編集プロセスを経て,ICUや救急病棟でベッドサイドに張り付く臨床家の座右の書が出来上がった.

最後に,前同僚の東京慈恵会医科大学集中治療部の内野滋彦先生に,本書の企画にあたり多大なる助言を戴いたことに触れておきたい.彼がJAMA誌にBEST Kidneyを発表したのは2005年のことであるが1),当時彼にお祝いの言葉を贈る人はほとんどいなかったらしい.しかし2013年1月,同じJAMA誌に,ボストンの長谷川耕平先生による院外心肺停止症例の気道確保に関する研究が掲載されたときには2),複数のメーリングリストにお祝いの言葉だけでなくその批評まで投稿されていた.奇しくも2005年に米国から帰国し奮闘してきた私にとって,この現象は同じ価値を共有する仲間が増えたことを意味する気がして単純に嬉しかった.同時に,我々の領域で,ようやく世界を追いかけるためのスタートラインに立てたとも感じている.


平成25年2月

讃井將満

目次

総 論

● 代表的スコアリングシステムの紹介

● ICUにおけるルーチンの胸部単純X 線写真は必要か?

神 経

● 脳卒中や頭部外傷など急性期脳神経疾患において抗けいれん薬の予防投与は必要か?

● 動脈瘤性くも膜下出血後の脳血管攣縮に対する治療・予防法に患者の予後を改善するものはあるか?

● 脳卒中後,頭部外傷後の血行動態管理目標をどのように設定するか?

● デクスメデトミジンはICUにおける理想の鎮静薬か?

● せん妄はICU患者の短期・長期予後に影響するか?

● せん妄は積極的に診断,発見,予防した方がよいのか?

● ICUにおける筋弛緩薬は毒かクスリか?

● 集中治療に鎮静薬は必要か(現代的な鎮痛薬ベースで少ない鎮静,無鎮静は安全,有用な方法であるか)?

呼 吸

● ARDSに対する高いPEEPは有効か? オープンラング戦略は有効か?

● 人工呼吸器離脱はどのように行うか? SBT,呼吸器離脱条件のエビデンス

● 重症ARDSに対するレスキュー療法のエビデンス.APRVは有効か?

● 重症ARDSに対するレスキュー療法のエビデンス.ECMOは有効か?

● 人工呼吸患者に早期リハビリテーションを行うメリットはあるか? また,どのようなリハビリテーションを行えばよいか?

● ICUにおける気管切開の方法は? ─外科的 vs 経皮的気管切開─

● COPD患者に対する酸素投与は毒か薬か?

循 環

● ショックに対する血管作動薬:いつから何をどのように使うべきか?

● 敗血症性心筋症の診断をどのように行い,どのように治療するか?

● 集中治療室における発作性心房細動予防,治療はどのような手段が有用か?

● 周術期心筋梗塞の発見をどのように行うか?

● 非心臓手術の周術期心血管イベントの予防として,β遮断薬を使用すべきか.使用するとしたら,いつ,何をどのように使うか?

● EGDTは有効か?

● 輸液/血管内液量の評価法.何を用いてどのように行うべきか?

腎・泌尿器,電解質,輸液

● CRRTの抗凝固薬は何がよいのか?

● CRRTの開始,中止,IHDへの移行タイミングは?

● 重症敗血症,敗血症性ショックに対してエンドトキシン吸着療法を施行すべきか?

● 急性腎傷害は尿量0.5mL/kg/hrを保つことで予防できるのか?

● ICUにおける膠質液の投与は有効か?

● 敗血症性ショックの大量輸液は善か悪か?

● AKIに対してhANPは有効か?

腹部,栄養

● SDD(selective digestive decontamination)は有用か?

● ω-3系脂肪酸添加栄養製剤投与は有用か?

● 重症急性膵炎に局所膵動注療法は有効か?

● 急性膵炎に対する予防的抗菌薬は有効か?

● プロバイオティクス:いつ,どのように用いるべきか?

● 消化管出血予防:何が有用か(PPI vs H2 blocker)?

● グルタミンは重症患者の予後を改善させるか?

● 早期経腸栄養の有効性:いつから,どの程度投与するべきか?

● 経静脈栄養の有用性:いつから何をどの程度投与すべきか?

● 腸管蠕動亢進薬の有効性を再度検証する

内分泌,代謝

● ICUにおけるステロイド(副腎皮質ステロイド)療法:どのような病態で使用すべきか? どの病態で使用すべきではないか?

● ICUの各種病態にスタチンは効果があるのか?

感 染

● ICUにおけるグラム陰性耐性菌の種類と同定法,治療法をどのように行うべきか?

● プロカルシトニンの有用性,信頼度は?

● 周術期の抗菌薬の予防投与は術後どれくらいの期間行えばよいのか?

● 人工呼吸器関連肺炎診断のコントラバーシー

● 中心静脈カテーテル:何をどこから挿入すればよいか?

● ICU 患者の抗菌療法において初期経験的治療の適切性は予後に影響するか?

● MRSA感染症の抗菌療法:何をどのように使い分けるべきか?

● 集中治療医に必要な免疫不全の基礎知識

血液・凝固

● ICU患者のDVT予防における理学的な方法の有効性は?

● 肺塞栓症の診断は何を使ってどのように行うべきか?

● 輸血に関連した最近の議論(1):赤血球輸血の基準値・保存期間,エリスロポエチンについて

● 輸血に関連した最近の議論(2):血小板輸血の基準値,遺伝子組み換え活性型第Ⅶ因子製剤(rF Ⅶ a)の適応外使用,トラネキサム酸について

外傷・熱傷

● hypotensive resuscitationの有効性と安全性

● 外傷急性期における至適な輸血療法は?

心肺蘇生

● 近年の蘇生のコントラバーシー

● 蘇生に対するPCPSのエビデンスはあるか?

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書籍情報

  • ISBN:9784830626272
  • ページ数:510頁
  • 書籍発行日:2013年2月
  • 電子版発売日:2021年2月3日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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