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医学のあゆみ275巻5号 がんゲノム医療――網羅的解析からの知見と臨床応用の展望

  • ページ数 : 240頁
  • 書籍発行日 : 2020年10月
  • 電子版発売日 : 2021年2月5日
6,490
(税込)
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商品情報

内容

がんゲノム医療――網羅的解析からの知見と臨床応用の展望 企画:小川誠司(京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学講座)

・がんはゲノムの異常に起因する疾患である.がんゲノムの異常を理解することは,がんの病態と治療戦略を考えるうえで不可欠であることは論を俟たない.
・次世代シーケンスのスループットは年々加速しており,これに伴うシーケンスコストの低下を背景として,がんゲノム異常の知見に基づいた医療はますます加速することは明らかである.
・本特集では,がんゲノム医療の展開を踏まえて,がんゲノム研究・がんゲノム医療の第一線で活躍されておられる専門家の方々に,近年のがんゲノム研究の最新の成果と,がんゲノム医療の現状について解説をいただく.

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序文

はじめに

小川 誠司

京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学講座


近年,シーケンス技術の革新を背景として,がんの治療戦略は大きく変貌を遂げつつある.Renard Dulbecco教授が,“A turning point in cancer research:Sequencing the human genome”1)と題してがん研究を展望した1986年当時にはほとんど夢物語としか思えなかったがんゲノムの全塩基配列の解読は,大量並列シーケンス技術による次世代シーケンサの開発によって,今世紀の初頭にはすでに実現され,米国のがんゲノム計画(The Cancer Genome Atlas:TCGA)あるいは国際協調研究(International Cancer Genome Consortium:ICGC)を通じて,大規模ながんゲノムシーケンス解析が行われた結果,今やほとんどの主要ながん種について,その発症に関わる主要な遺伝子・ゲノムの異常が明らかにされている.一方,こうした網羅的ながんゲノムシーケンスによって新たに同定された異常を標的とした分子標的薬の開発が進むとともに,臨床シーケンスを通じたゲノム異常の同定と,これに基づいた分子標的薬の使用,病系分類や予後予測技術も年々,普及しつつある.わが国においても,2019年6月1日をもって,がんのパネルシーケンスが保険収載されたことは記憶に新しい.

がんはゲノムの異常に起因する疾患である.がんゲノムの異常を理解することは,がんの病態と治療戦略を考えるうえで不可欠であることは論をまたない.次世代シーケンスのスループットは年々加速しており,これに伴うシーケンスコストの低下を背景として,がんゲノム異常の知見に基づいた医療はますます加速することは明らかである.

本特集では,こうしたがんゲノム医療の展開を踏まえて,がんゲノム研究・がんゲノム医療の第一線で活躍されておられる専門家の方々に,近年のがんゲノム研究の最新の成果と,がんゲノム医療の現状について解説をいただいた.本特集がわが国でがんの研究・医療に携わる方々のがんゲノム医療の最新の知見の理解の一助となれば幸いである.


文献

1)R Dulbecco. Science 1986;231:1055-6.

目次

総論

わが国におけるがんゲノム医療の展望 河野隆志

固形がんを対象にした改訂版遺伝子パネル検査に基づく診療ガイダンス 土原一哉

治療抵抗性腫瘍におけるがん遺伝子パネル検査に基づくがんゲノム医療 武藤学

NCCオンコパネルと海外の遺伝子パネル 加藤護

消化器癌における血液循環腫瘍DNA解析の展望 石井貴大・中村能章

がんと免疫

がん免疫研究とがん免疫療法の展望 河上裕

免疫チェックポイント阻害薬――がんに対するT細胞免疫応答の制御 岩井佳子

CAR-T細胞を用いたがん治療の現状と展望 保仙直毅

免疫代謝を考慮した免疫チェックポイント阻害がん治療の効果予測マーカー 白康晴・茶本健司

マイクロサテライト不安定性とがん免疫チェックポイント阻害薬 清水裕貴・片山量平

各論

固形腫瘍の網羅的なゲノム解析と分子標的

食道がんの網羅的ゲノム解析 澤田元太

胃がんのゲノム解析と治療標的 橋本至・石川俊平

大腸がんのゲノム異常と分子標的療法 三森功士・奥村祐太

膵臓がんのゲノム異常とそれに基づく治療戦略 谷内田真一

乳がんの遺伝子解析に基づく治療戦略 中川梨恵・他

肝がんのゲノム解析と分子標的医療 柴田龍弘

個別化医療のための肺がんの遺伝子スクリーニング――LC-SCRUM-Asia 香川洋輔・他

ALK陽性腫瘍 竹内賢吾

遺伝性乳がん・家族性乳がんとその診断 稲垣有希子

腎がんにおける網羅的なゲノム解析 佐藤悠佑

成人グリオーマの遺伝子分類 鈴木啓道

骨・軟部肉腫のゲノム異常と分子標的 竹内康英

造血器腫瘍

急性骨髄性白血病の分子分類と分子標的薬 南谷泰仁

慢性骨髄性白血病のゲノム異常と臨床的意義 越智陽太郎

AMLに対する新規分子標的薬 菊繁吉謙

成熟B細胞腫瘍のゲノム解析の進歩 槇島健一・坂田(柳元)麻実子

T/NK細胞リンパ腫における網羅的遺伝子解析とその臨床応用 伊藤勇太・片岡圭亮

家族性白血病と胚細胞性変異 牧島秀樹

小児腫瘍

小児腫瘍へのゲノム医療の展望 加藤元博

小児急性リンパ性白血病(ALL)の網羅的ゲノム解析からの知見と臨床的意義 上野浩生

小児急性骨髄性白血病におけるゲノム異常と臨床的意義 真田昌

小児がんにおける分子プロファイリングの新展開――小児固形腫瘍のゲノム・エピゲノム統合解析 滝田順子

トピックス

分子標的薬と治療抵抗性のメカニズム 矢野聖二

喫煙により気管支細胞に蓄積する体細胞性変異 吉田健一

食道がんとフィールドがん化 横山顕礼・他

がんゲノムにおけるスプライシング変異の検出 白石友一

がん研究と一細胞解析 油谷浩幸

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書籍情報

  • ISBN:9784006027505
  • ページ数:240頁
  • 書籍発行日:2020年10月
  • 電子版発売日:2021年2月5日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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