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- PT・OTビジュアルテキスト リハビリテーション管理学
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序文
1963年に日本における理学療法士(PT),作業療法士(OT)の最初の養成校が開学し,1966年に第1回国家試験が行われてから50数年が経ちました.高齢社会の進展とともに養成校数も有資格者数も飛躍的に増加しました.また職域も広がり,社会あるいは保健,医療,福祉,教育におけるPTOTの存在感と役割も増しています.1つの専門職集団がその社会のなかで占める数,役割が増えれば,その専門職集団が適切に機能していくために,管理・運営つまり管理学の視点が必要になります.
本書は,PTOTにとって今後ますます重要となる管理学について,初学者や学生でも理解しやすいように解説することを目的として作成されました.本書の特徴は,以下3点です.
①管理学の大本となる社会科学や組織と関連法規の大本となる法体系全体について記述したこと
②病院や施設だけでなく,卒前教育(養成校)や研究室,会社(起業)などにおける管理・運営についても記述したこと
③PTOTがともに使用できるように記述したこと
特に,3点目の「PT,OTがともに使用できる」ことは重要と考えます.過去50年間,PT,OTは,他の専門職集団の関係とは違う形で生まれ,成長してきました.弁護士と税理士の関係とは違い,整形外科医と形成外科医の関係とも違い,医師と看護師の関係とももちろん違います.PTとOTの関係は,それが1つの社会科学的研究対象になるのではないかと思わせるくらい特異な関係にあると思います.そのなかで,これからの50年は,個々に専門性を深め,それを互いにもっとよく知るように努めながら,両者の共通項や重複部分を整理する必要があるでしょう.そのためには,管理学の知識や技術が必要であり,その知識や技術はPTとOTに共通していることが望ましいと考えます.それが結果的に,疾病や障害をもち困っている人によりよい手助けを提供することにつながるはずです.以上が「PTOTがともに使用できる」管理学の教科書が必要と考える理由です.
本書がPTOT,そして学生にとってとっつきにくいであろう管理学をより効率的に,より深く理解するための一助になることを願っています.最後に,臨床や教育,研究でお忙しいなかご執筆いただいた執筆者の皆さま,丁寧に細かいところまでお世話くださった株式会社羊土社 原田 悠様,今城葉月様をはじめ編集部の皆さまに深謝いたします.
目次
第1章 管理学とは
1 社会科学からみた管理学【下田信明】
1 管理学とは何か
2 管理学小史
2 医療・看護における管理学【亀井智子】
1 医療・看護における管理
2 看護管理の内容
3 看護の質保証
4 医療・看護の質管理
3 リハビリテーションにおける管理学【下田信明】
1 リハビリテーションにおける管理および管理学とは
2 管理および管理学の重要性が増してきている理由
第2章 理学療法士・作業療法士が勤務する組織と関連法規【河野 眞】
【河野 眞】
1 組織と関連法規の鳥瞰図
1 法のしくみ
2 組織と関連法規の鳥瞰図
2 各組織と関連法規の基礎知識
1 医療福祉専門職の資格と法律
2 理学療法士および作業療法士の資格と法律
3 医療福祉に関連する組織や施設と法律
第3章 職業倫理【牧迫飛雄馬】
【牧迫飛雄馬】
1 倫理とは
1 倫理の定義
2 職業・専門職とは
3 職業倫理とは
2 理学療法士・作業療法士の倫理
1 理学療法士および作業療法士の倫理綱領
2 法的責任
3 守秘義務・個人情報保護
3 対象者の権利・尊厳
1 人権
2 患者の権利
3 インフォームド・コンセント
第4章 リスク管理
1 理学療法・作業療法で起こり得る有害事象
1)有害事象とは【下田信明】
1 定義
2 医療事故
[実例]① 医療事故防止を目的とした小規模医療施設におけるe ラーニングシステムの構築(鈴木順一)3 リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン
2)再発・合併症・疾患急変【鈴木 誠】
1 動脈硬化をきたす合併症
2 高血圧
3 脂質異常症
4 糖尿病
3)急変時の対応【平田恵介】
1 一次救命処置
2 蘇生におけるガイドライン
3 心肺蘇生法
4 外傷への対応
4)感染【岡部拓大】
1 PT・OTにとってリスクの高い感染とは
2 予防
5)転倒【鈴木 誠】
1 転倒とは
2 運動機能と転倒
3 認知機能と転倒
4 複合機能と転倒
5 転倒歴と転倒
6 環境と転倒
6)窒息【森下佑里】
1 概要と発生要因
2 予防
3 対応
2 対象者・家族からのクレーム【下井俊典】
1 対象者・家族からのクレームの要因
2 頻度の高いクレーム
[実例]② 理学療法に対するクレーム対応例(金子純一朗)
3 ハラスメント【下井俊典】
1 ハラスメントの定義と分類
2 ハラスメントか否かの境界線
3 保健医療福祉の現場の特徴と生じ得るハラスメント
4 教育現場で生じ得るハラスメント【大西秀明】
[実例]③ 学生への対応において配慮すべきこと(助川文子)
5 ハラスメントの予防
[実例]④ ハラスメント防止のための工夫例(鈴木康文)
4 職員のメンタルヘルス・マネジメント【下井俊典】
1 労働者のメンタルヘルスに関する近年の動向
2 具体的な対策
[実例]⑤ 職員のメンタルヘルス・マネジメントの工夫例(澁井 実)
第5章 病院における管理・運営【斎藤和夫,斎藤祐美子】
【斎藤和夫,斎藤祐美子】
1 人事・人材
1 採用計画・採用
[実例]⑥ PT・OT を必要数採用するための工夫(江口勝彦)
2 人事考課
3 労務管理
2 職員教育・卒後教育
1 OJT
2 院内研修
[実例]⑦ 職員教育の工夫(江口勝彦)
3 協会プログラムの利用
3 業務・情報
1 書類管理と記録
2 他職種との連携
[実例]⑧ 他職種との業務調整の工夫(岡部拓大)
3 カンファレンス
4 物品
1 機器の保守点検・安全管理
2 必要な物品購入
[実例]⑨ 必要な物品購入希望を経営陣に納得してもらうための工夫(吉川幸次郎)
5 収益
1 診療報酬制度の基礎知識
2 収益構造
[実例]⑩ 収益確保の工夫(小林聖美)
3 精神科作業療法の施設基準・診療報酬点数【趙 吉春】
6 臨床実習
1 年間受け入れ人数の設定
2 指導の実際
3 コミュニケーション
[実例]⑪ 臨床実習指導者の負担軽減のための工夫(小林聖美)
第6章 介護保険関連施設における管理・運営
1 人事・人材【西田裕介,齋藤義雄】
1 介護保険の概論
2 通所リハビリテーションにおける管理・運営
3 訪問リハビリテーションにおける管理・運営
2 職員教育・卒後教育【西田裕介,河野健一】
1 介護保険関連施設に従事する療法士に求められる能力
2 療法士への教育
3 業務・情報【西田裕介,加茂智彦】
1 診療記録と書類管理
2 他職種との連携
3 カンファレンス
4 物品【西田裕介,臼井晴信】
1 必要な物品
2 物品の保守点検
5 収益【西田裕介,鵜澤寛伸】
1 介護報酬の基礎知識
2 収益構造
6 臨床実習【西田裕介,竹内真太】
1 年間受け入れ人数の設定
2 指導の実際
3 実習生とのコミュニケーション
4 養成校とのコミュニケーション
第7章 卒前教育における管理・運営【大西秀明】
【大西秀明】
1 学科(専攻)の立ち上げ
1 大学の学部・学科の立ち上げに関する法律
[実例]⑫ 学科(専攻)の立ち上げ時に気をつけること(齋藤昭彦)
2 理念とポリシー
3 PT・OT学校養成施設に関する法律
[実例]⑬ 講義運営において気をつけること(芳野 純)
4 教員採用(学科立ち上げ時)
5 受験生確保と定員管理
[実例]⑭ 他職種との業務調整の工夫(吉川幸次郎)
6 実習施設確保
2 教員人事
1 教員の採用
2 業績評価
[実例]⑮ 教員人事について配慮すべきこと(齋藤昭彦)
3 臨床実習
1 実習の種類
2 1単位の時間数
3 実習施設
4 実習方法と単位認定
[実例]⑯ 臨床実習運営において気をつけること(村上幸士)
4 国家試験対策
1 受験資格
2 必要な書類
3 書類の受付期間と受験手数料
4 筆記試験
5 合格基準
6 各養成校における現状
[実例]⑰ 国家試験対策の工夫例(水島眞由美)
第8章 その他の管理・運営
1 研究室における管理・運営【桐本 光】
1 研究室とは
2 研究費
3 研究倫理
[実例]⑱ チームで研究を進め論文を出すために大事なこと(武田湖太郎)
2 会社における管理・運営【山口 剛】
1 起業の準備
2 事業計画書の作成
3 資金計画をつくる
4 起業計画の具体化
5 起業(会社設立・個人事業)
6 事業開始(起業1〜3カ月後)
[実例]⑲ 起業の心得(木村修介)
3 NPO法人における管理・運営【髙橋章郎】
1 NPO法人とは
2 PT・OTがNPO法人を運営する意味
3 NPO法人運営の実際
[実例]⑳ NPO 法人運営において大切なこと(野々垣睦美)
巻末付録 管理学を学ぶために【横塚美恵子】
1 大学院進学
2 日本理学療法士協会・日本作業療法士協会関連の研修会
3 学会
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書籍情報
- ISBN:9784758102490
- ページ数:239頁
- 書籍発行日:2020年11月
- 電子版発売日:2021年2月10日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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