医学のあゆみ265巻13号 自然免疫の最前線

  • ページ数 : 250頁
  • 書籍発行日 : 2018年6月
  • 電子版発売日 : 2021年2月12日
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内容

自然免疫の最前線
福井 竜太郎(東京大学医科学研究所感染遺伝学分野)
三宅 健介(東京大学医科学研究所感染遺伝学分野)

自然免疫は,すべての多細胞生物がもつ生体防御機構である.自然免疫系の受容体は獲得免疫系でみられるような遺伝子再構成が行われないため,認識パターンは有限であり,自己反応性の受容体も排除されない.そのため,脊椎動物では獲得免疫の陰に隠れがちではあるが,自然免疫系は分単位で迅速に応答し,生体防御の最前線として機能している.こうした病原性微生物の排除に加え,腸管などにおける微生物叢と免疫系との相互作用においても,自然免疫系の役割を無視することはできない.(序文より一部抜粋)

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序文

はじめに

自然免疫は,すべての多細胞生物がもつ生体防御機構である.自然免疫系の受容体は獲得免疫系でみられるような遺伝子再構成が行われないため,認識パターンは有限であり,自己反応性の受容体も排除されない.そのため,脊椎動物では獲得免疫の陰に隠れがちではあるが,自然免疫系は分単位で迅速に応答し,生体防御の最前線として機能している.こうした病原性微生物の排除に加え,腸管などにおける微生物叢と免疫系との相互作用においても,自然免疫系の役割を無視することはできない.

今日では,自然免疫は感染防御のみならず,さまざまな疾患の誘導と制御にかかわることが明らかとなっている.自然免疫系の受容体は,宿主由来の分子をも内因性リガンドとして認識して炎症を惹起する性質があるため,自己免疫疾患や生活習慣病などとの関係性が示唆されている.なお,内因性リガンドは定常時の代謝などによっても生成されることから,自然免疫系病原体センサーによる非感染性の慢性炎症を“自然炎症”としてとらえ,よりニュートラルな視点から炎症を考察する試みもなされている.

さらに近年,自然免疫を担うマクロファージや樹状細胞などのミエロイド系細胞や,抗原非特異的な応答をする自然リンパ球において,新しいサブセットや機能の発見があいついでいる.こうした知見が統合されることで,自然免疫系の研究は分子,細胞,生体,疾患,治療と一連の流れが形成されつつある.

自然免疫系の病原体センサーであるToll-like receptorの発見は,自然免疫の研究に大転換をもたらした.それから約20年が経ち,自然免疫系の研究は成熟段階に入っているといえるであろう.本特集では,自然免疫系の分子基盤に関する最新の知見を紹介すると同時に,自然免疫系の役割を感染制御と炎症性疾患の両面から俯瞰することをめざした.本特集を通し,自然免疫の多彩な機能について興味を喚起できれば幸いである.


福井竜太郎 三宅健介
東京大学医科学研究所感染遺伝学分野

目次

【自然免疫系受容体の機能と構造】

TLRの構造とリガンド認識機構……大戸梅治

自然免疫応答におけるC型レクチン受容体……渡邊美幸・山﨑晶

カスパーゼ11を介したポア形成細胞障害性分子ガスダーミンDの活性化――新しい細胞内でのLPS感知メカニズム……榧垣伸彦

細胞内核酸認識受容体の応答機構──細胞内の核酸認識センサー……押海裕之

【自然免疫応答のプラットホーム】

Toll様受容体(TLR) 7の応答と細胞内ロジスティクス……齋藤伸一郎

エンドリソソーム環境に依存した自然免疫応答偏向……反町典子・小林俊彦

ミトコンドリアを介した自然免疫応答……小柴琢己

Golgi体におけるSTING活性化分子機構──STINGのパルミトイル化が活性化に必要である……田口友彦・向井康治朗

RNA分解酵素による自然免疫応答のフィードバック制御……植畑拓也・竹内理

NLRを介した自然免疫応答……齊藤達哉

【感染防御にかかわる自然免疫系の機能】

粘膜バリアによる腸内細菌制御機構……奥村龍

インターフェロン誘導性GTPaseによる細胞内寄生性病原体に対する細胞自律的免疫系……山本雅裕

感染時の免疫応答における骨構成細胞の役割……寺島明日香・他

自然免疫応答を利用したワクチンアジュバント開発……小張真吾・石井健

3型自然リンパ球による腸管上皮細胞のフコシル化と感染防御……後藤義幸

ウイルス感染におけるインターフェロン応答の分子機構……髙岡晃教・橋爪芽衣

LILRファミリーを介した宿主病原体相互作用……平安恒幸・他

【内因性リガンドによる自然免疫系の活性化】

TLR7による自己核酸への応答とそのCD72による抑制……鍔田武志

TLR-MyD88経路と全身性エリテマトーデスにおける転写因子IRF5の制御と役割……藩龍馬・田村智彦

細胞障害関連分子(DAMPs)による自然免疫応答制御……柳井秀元・半谷匠

腸管バリア機構と自然免疫……藤本康介・植松智

B細胞リンパ腫を引き起こすMYD88変異……堀川啓介

【自然免疫系細胞による生体制御システム】

2型自然リンパ球による生体制御機構――疾患モデルにおけるILC2……鉄啓恵・茂呂和世

消化管における3型リンパ球の機能と役割……佐藤尚子

病気ごとの疾患特異的マクロファージの多様性……佐藤荘

組織マクロファージの分化と機能……岡部泰賢

pDCsによる自然免疫応答……佐藤克明

XCR1+樹状細胞による腸管免疫制御機構……小笹俊哉・改正恒康

M2マクロファージによるインスリン感受性の調節……戸邉一之・瀧川章子

【自然免疫系による疾患の誘導と制御】

好塩基球によるアレルギー炎症の誘導と抑制……山西吉典・烏山一

核酸認識TLRを標的とした抗体医薬による疾患制御……村上祐輔

がん転移と自然免疫……出口敦子・丸義朗

脂質代謝と老化にかかわる自然免疫シグナル……大石由美子・真鍋一郎

メタボリックシンドロームと自然免疫……田中都・菅波孝祥

RIG-I様受容体異常によるインターフェロノパシー(Type I interferonopathy)……大音泰介・他

脳梗塞における自然免疫系のかかわり……七田崇

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書籍情報

  • ISBN:9784006026513
  • ページ数:250頁
  • 書籍発行日:2018年6月
  • 電子版発売日:2021年2月12日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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