腫瘍崩壊症候群(TLS)診療ガイダンス 第2版

  • ページ数 : 84頁
  • 書籍発行日 : 2021年2月
  • 電子版発売日 : 2021年2月24日
2,200
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商品情報

内容

8年ぶりの大改訂! TLSの予防・治療に関する最新知見を徹底解説!

多数の新規分子標的治療薬の登場により、腫瘍崩壊症候群(TLS)は大きく変貌した。造血器腫瘍だけでなく、様々ながん腫においてTLS診療の重要性が高まっている。新規治療薬の導入毎にリスクを再検討する必要が生じたこと、また2015年に英国においてTLS panel consensusを踏まえた新たなガイドラインが公表されたこと、さらにTLSの治療薬であるラスブリカーゼの臨床導入によりTLSの病態が高尿酸型から高リン型へ質的に変化したことなどから、8年ぶりの大改訂が行われた。

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序文

第2版 序文

腫瘍崩壊症候群(TLS)診療ガイダンス初版(2013年8月)が刊行されてから早7年半が経過しました。この間、新たに60種類以上のがん分子標的治療薬が承認され、がんの治療成績は年々向上しています。固形腫瘍に対する有効な薬剤が増えたためか、以前は、TLSの高リスクは造血器腫瘍と考えられていましたが、最近では固形腫瘍においてTLS発症の症例報告が増加しています。このような背景から、進行がん診療、とりわけ、固形腫瘍のがん薬物療法に携わる腫瘍内科医にとって、TLSの診療の重要性が増しています。そこで、日本臨床腫瘍学会では、腫瘍崩壊症候群診療ガイダンス作成WG(湯坐有希WG長)を組織してこの度この診療ガイダンスを改訂する運びとなりました。

今回の主な改訂内容のひとつは、各種悪性腫瘍に対するTLSのリスク評価に関することで、(1)固形腫瘍のTLSリスク評価に関しては、固形がんのTLSの症例報告集を更新し、初版では1986~2012年まで論文から計103例が紹介されましたが、今回の改訂では、これらに加え2012~2019年までの論文から106例(合計209例)の報告が追加紹介されています。この短期間で固形腫瘍のTLSの症例報告が増加していることをうかがわせます。さらに、(2)多発性骨髄腫のTLSリスク評価を大幅に改訂したほか、(3)白血病の中で特に慢性白血病のTLSリスク評価を見直しました。今回のもうひとつの主な改訂内容は、Clinical Question(CQ)です。遺伝子組み換え型尿酸オキシダーゼ(ラスブリカーゼ)の普及により高尿酸血症の予防が浸透する中で、以前よりも高リン血症が問題になってきたことなどにより、CQ2、CQ4およびCQ5を大幅に見直しました。また、固形腫瘍におけるTLSもモニタリングや予防に関するCQを新たに追加し、前回よりCQを1つ増やしました。

このように、がんの薬物療法の進歩とともにTLSの発症に注意が必要な患者数は固形腫瘍を中心に以前よりも増えています。このガイダンスが日常診療で有効に活用され、多くの患者さんの診療に役立つことを希望します。


2021年2月

公益社団法人日本臨床腫瘍学会 理事長 石岡 千加史

目次

I 総論

II TLSの定義・病態

1.定義

2.病態

 1)高尿酸血症

 2)高カリウム血症

 3)高リン血症・低カルシウム血症

 4)高サイトカイン血症

III TLSリスク評価の流れ

1.TLSリスク評価の手順

 1)TLSリスク評価の実際

IV 各疾患におけるTLSリスク評価

1.固形腫瘍におけるTLSリスク評価

 1)TLSリスク分類

 2)固形腫瘍におけるTLSの現状

 3)固形腫瘍におけるTLSの予防と治療

2.多発性骨髄腫におけるTLSリスク評価

 1)はじめに

 2)多発性骨髄腫におけるTLSの発症頻度とリスクの考え方

 3)多発性骨髄腫におけるTLSリスク評価と予防

3.白血病におけるTLSリスク評価

 1)TLSリスク分類

4.悪性リンパ腫におけるTLSリスク評価

 1)TLSリスク分類

5.小児科領域におけるTLSリスク評価

 1)固形腫瘍におけるリスク分類

 2)白血病におけるリスク分類

 3)リンパ腫におけるリスク分類

 4)腎障害、腎浸潤によるリスク変更

 5)分子標的治療薬、免疫制御薬等の新規治療薬に伴うTLS

 6)小児におけるフェブキソスタットの使用について

 7)小児におけるラスブリカーゼ適正投与について

V TLSの予防と治療

1.TLSの治療法

 1)大量補液

 2)利尿剤

 3)尿のアルカリ化の是非

 4)高尿酸血症の治療

 5)高リン血症と低カルシウム血症の治療

 6)高カリウム血症の治療

 7)腎機能代行療法

2.TLS予防・治療の実際

 1)リスク別推奨TLS予防処置

 2)TLSの治療について

VI Clinical Question

CQ1 TLS予防のために尿のアルカリ化は必要か

CQ2 TLSの管理における血清リン値の評価は必要か

CQ3 TLS予防においてアロプリノールと比べラスブリカーゼは有効か

CQ4 TLS予防における尿酸生成阻害薬としてフェブキソスタットは推奨されるか

CQ5 TLS予防においてラスブリカーゼの適切な投与法はなにか

CQ6 ラスブリカーゼの使用歴のある症例に対して再投与は可能か

CQ7 Hyperleukocytosisに合併したTLSに対するLeukocytapheresis/Exchange transfusionは推奨されるか

CQ8 固形腫瘍においてTLSのモニタリングや予防は必要か

付録1 15歳以上の固形腫瘍におけるTLSの報告

付録2 15歳未満の固形腫瘍(良性腫瘍を含む)におけるTLSの報告

付録3 15歳未満の稀な造血器腫瘍におけるTLSの報告

付録4 分子標的治療薬等の新規治療薬に伴うTLSの報告

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書籍情報

  • ISBN:9784307204255
  • ページ数:84頁
  • 書籍発行日:2021年2月
  • 電子版発売日:2021年2月24日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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