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jmedmook73 あなたも名医!真剣勝負!エコー侍の技の数々 運動器エコー 痛みの臨床

  • ページ数 : 169頁
  • 書籍発行日 : 2021年4月
  • 電子版発売日 : 2021年4月21日
3,850
(税込)
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商品情報

内容

今日取れなかった痛みが明日取れるようになる!

■ 運動器エコー道をストイックに探究する“エコー侍”たちが、日頃実践している痛み診療の技と工夫を存分に披露!
■ 肩・腰・膝を中心に部位別で取り上げ、豊富な解剖図・症例画像とともに診療のコツから実践で必要な知識まで丁寧に解説します。
■ 従来の整形外科の教科書には記載されていない、ベッドサイドで使える運動器エコーならではの新しい痛み診療を学ぶことができます。運動器の痛み患者に向き合うすべての医師に役立つ1冊です。

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序文

巻頭言


近年,運動器エコー診療の発展が目覚ましい。

運動器に特化したエコー機器の進化によって視認性が向上し,MRI以上の分解能で鮮明に描出される画像により,筋肉,神経,血管も想像を働かせることなく,目で見ればすぐに認識できるようになった。指の末梢神経まで描出し,ハイドロリリースを行うことで指先のしびれを取ることもできるようになった。機器の進歩に並行して,皆川洋至先生・高橋 周先生・朴 基彦先生を筆頭としたエコー黎明期を切り開いた先達の努力の結果,エコー道を歩む後輩たちがたくさん育ち,現在は多くの書籍やセミナーだけでなく,DVD,SNSを通じて学ぶ機会が増えたことで運動器エコー診療は進化を続けている。

今,研修医となる医師たちにとって運動器エコーのある医療現場は,生まれながらにしてスマートフォンがある世の中にいるようなものである。彼らはエコーで見える世界から得た新しいアイデアで,先人たちの積み上げた医学の歴史を踏み台として常識を覆し,次々と患者の痛みを取る方法を編み出す。

かくいう私も20年以上前の学生時代にエコーに魅せられた1人であった。内科研修医時代に「エコーは第二の聴診器である」と教わり,心エコー・腹部エコーを学んだ。ベッドサイドで病態にせまることのできるエコーにワクワクした。救命救急レジデントとして迅速超音波検査(focused assessment with sonography for trauma;FAST)を学び,胸腔内,腹腔内の出血をいち早く発見することを学んだ。以後,整形外科外傷医として多発外傷診療,骨盤手術にも従事し,その傍らリウマチ専門医として関節エコーを学んだ。10年前に開業してからは運動器エコー診療を毎日のように行い,昨日取れなかった痛みが今日は取れるようになっていく自分に今もワクワクしながら仕事ができている。

エコーが発達した現在でも難治性の痛みに悩む患者は後を絶たない。たとえば……

・ 整形外科やペインクリニックなどに受診し,X線・MRIで異常がないと言われ,ロキソニンで経過観察されても痛みが取れない患者

・ 腰痛と下肢痛を訴え,ヘルニアの診断のもと手術まで受けたが痛みが取れない患者

・ 体のあちこちの痛みを訴えたら線維筋痛症と診断され,様々な薬剤をかわるがわる投与されたが痛みが取れない患者 などである。

私自身,理学療法を理解し,解剖の知識を深め,触診技術を高め,運動器エコーを用いることで,それらの痛みが取れるようになってきた。

運動器エコーを痛み診療に用いる利点は,一言では言い切れない。目で見てすぐに病態がわかる,ドップラーを当てれば炎症があるのかないのかわかる,腫脹,水腫,腫瘍の鑑別ができる,血管が見える,血栓が見える,筋肉の動きが見える,動きの悪いところがわかる,圧痛点が視認できる,神経が見える,などそれらテクニックを複合的に用いながら,身体所見と照らし合わせて診断を進める。1人ひとりの患者が訴える痛みとの真剣勝負である。

運動器エコー道をストイックに探究する者たちはいつしか“エコー侍” と呼ばれるようになった。そして今,奇しくもコロナ流行の裏側で,エコー侍たちは毎夜毎夜オンライン上でエコーセミナーを企画し,お互いの知見を共有して切磋琢磨し合っている。 今回の企画では,現在私がともに刃を交えている“エコー侍” たちをフィーチャーして,プライマリケアの先生たちが出会うことの多い肩こり,膝,腰の痛みを中心に,運動器エコーを用いた痛み診療についてその技を披露して頂いた。

肩こりを含む頭頚部の痛みはスポーツ難治性疼痛外来でも活躍するペインクリニシャン寺田 哲先生に,肩関節の痛みはFacebookで「運動器エコー相談部屋」を主催し,株式会社encounterという会社を立ち上げセミナー教育事業も手掛ける肩専門医の岩本 航先生に,腰殿部の痛みはエコー解剖教育を早くから行い,オンラインコンテンツやセミナーを多数配信しているペインクリニシャン石田 岳先生に,膝の痛みは「運動器エコー相談部屋」に100を超えるエコー解剖コンテンツを投稿している元祖“エコー侍” 谷掛洋平先生に,上手な膝関節穿刺と肉離れについてはそれぞれの項目で英語論文を執筆されている和田 誠先生に執筆をお願いした。いずれも従来の整形外科の教科書には記載されていない,ベッドサイドで使える運動器エコーならではの新しい痛み診療が垣間見えるものと思われる。

この本を手に取られた先生が,1人でも多くの痛みに悩む患者を救ってくれることを願っています。

このたび執筆の機会を頂いた日本医事新報社の皆さん,分担執筆をご快諾頂いた“エコー侍”たちに深く感謝いたします。


2021年3月

さいとう整形外科リウマチ科院長
斉藤 究

目次

1章 総論

〈1〉 筋膜性疼痛症候群(MPS)とは/斉藤 究

1 痛みを取れるようになる喜び

2 ハイドロリリースとは

3 筋膜性疼痛症候群(MPS)とは

4 筋膜性疼痛症候群(MPS)の症状

5 筋硬結・トリガーポイントの形成要因

〈2〉 発痛源の探し方/斉藤 究

1 発痛源はどこに? 痛みの加害者と被害者の関係

2 痛みが局所から起こっている場合(加害者=被害者)

3 痛みが遠隔から起こっている場合(加害者≠被害者)

〈3〉 問診で痛みを深掘りする/斉藤 究

1 問診を楽しめ!

2 痛みの歴史をたどる

3 神経に関する痛みの鑑別

4 筋・筋膜に関する痛みの鑑別

〈4〉 疼痛誘発動作の確認とone finger test/斉藤 究

1 one finger test

2 疼痛誘発動作の再現

3 整形外科的テストの結果を鵜呑みにしない

〈5〉 レッドフラッグの除外─ 画像診断を含めて/斉藤 究

1 レッドフラッグの除外にあたって

2 画像診断の有用性

〈6〉 姿勢と動作の評価─ 軟部組織の影響を考える/斉藤 究

1 診察のポイント

2 構造的アプローチと機能的アプローチを行き来する

〈7〉 関節可動域のチェック─ 罹患筋を推測する/斉藤 究

1 関節可動域を知る

2 筋による可動域制限

3 神経による可動域制限

〈8〉 詳細に解剖を理解した触診─ sono-palpation/斉藤 究

1 触診のための解剖

2 触診のコツ

3 皮膚の触診

4 皮下組織の触診

5 筋の触診

〈9〉 エコーによる治療アプローチ,薬物療法と生活習慣改善/斉藤 究

1 エコーを用いた正確な治療アプローチ

2 治療効果判定─可動域,動作時痛の再評価

3 慢性痛を理解した薬物療法─下降性疼痛抑制系の改善

4 生活習慣と食習慣の改善─痛みの改善を早め,再発させないために

5 MPS診療における現状の問題点

〈10〉 超音波ガイド下インターベンション(注射)の実際と工夫/和田 誠

1 病態の改善,痛みのコントロールにおける最重要手技

2 超音波ガイド下インターベンションの実際

3 超音波ガイド下インターベンションを利用した膝関節内注射の工夫

4 診断的な意義の高い治療法

2章 各論

〈1〉頭頚部(肩こりを含む)/寺田 哲

1 頭頚部の基礎知識

2 頭頚部の診かた

3 実践! 頭頚部痛のエコー診療

4 実際の治療

〈2〉肩関節/岩本 航 喜友名翼

1 肩関節診療でエコーを活用する

2 肩関節の基礎知識

3 肩関節の診かた

4 実践! 肩関節痛のエコー診療

〈3〉腰殿部/石田 岳

1 腰殿部痛の基礎知識

2 腰殿部の診かた─問診,整形外科学的テスト,動作分析

3 実践! 腰殿部痛のエコー診療

〈4〉膝/谷掛洋平

1 重要なのは関節内・外を意識すること

2 膝関節の基礎知識

3 膝関節の診かた

4 実践! 膝関節痛のエコー診療

5 まずは第一歩を!

〈5〉スポーツ障害/和田 誠

1 スポーツ障害の基礎知識

2 スポーツ障害の診かた

3 実践! スポーツ障害のエコー診療

〈6〉手指・足趾のしびれの臨床/斉藤 究

1 指先1本のしびれもハイドロリリースで改善が可能

2 指先・足趾のしびれ

3 正中神経・尺骨神経・橈骨神経障害によるしびれ

4 神経の圧迫・牽引・癒着を原因とするしびれ

5 上肢下肢の知覚神経支配領域に一致しないしびれ


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書籍情報

  • ISBN:9784784966738
  • ページ数:169頁
  • 書籍発行日:2021年4月
  • 電子版発売日:2021年4月21日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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