淺村・呼吸器外科手術

  • ページ数 : 487頁
  • 書籍発行日 : 2011年6月
  • 電子版発売日 : 2021年5月21日
¥35,200(税込)
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商品情報

内容

呼吸器外科手術手技の実際のノウハウを単著でまとめた手術書

呼吸器外科医としてこれまでに蓄積した手術手技の実際のノウハウを、単著でわかりやすくまとめた。単著であるからこそ書くことのできる“本音”の手術手技を解説している。手術手技の理論的背景を重視し、あえて失敗談などをも交えて解説することで、手技の本質に迫った。オリジナルの図を500枚以上掲載し、視覚的な理解を助けている。合併症に対するリカバリー手術、小手術、再手術なども解説した。

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序文

小人之学也,入乎耳出乎口    [荀子]

小人(しょうじん)の学は耳より入りて口より出づ

「徳のない人の学問は,耳から入り,すぐに口から出る,聞いたことをすぐに人に語って聞かせる,浅薄な学問だ」という意味だそうである。ある新聞の金言名言という記事で読んで,とても感心してしまい,本書の冒頭に引用した。本書は,私が身に付けた呼吸器外科手術手技の総決算である。私自身が経験の中から一つひとつ積み上げてきた技術を,本音で紹介しようとしたものである。本書の内容が,冒頭に掲げた荀子のいう“小人の学”に相当するか否かは,読者の判断にお任せするしかないであろう。私の本書執筆の狙いの一つは,多少の偏見や思い込みがあったとしても,それをも含めて私が身に付けた技術を,これから呼吸器外科を生涯の職業として選択しようというやる気のある若い先生たちに,ぜひとも伝えておこうということである。それで,本書のすべてを私一人で執筆しようと決心した。国立がんセンターは,ある意味とても恵まれた臨床と研究の場であって,わが国では最も症例数に恵まれてきた。そのため私は,同世代はもちろん,かなり上の世代の先生までを含めても,最も数多い手術経験をさせていただいたと思う。私が先輩達から受け継ぎ,培ってきた技術を紹介して,これから将来のある呼吸器外科医に役立ててもらうことも,私の使命であると感じるようになった。国立がんセンターでレジデントを教育するといっても限りがあるからである。

音楽は,私の人生の極めて大きな部分を占める。医学部を卒業した時点では,確かに音楽に関する知識のほうが医学の知識より多かったと思う(今はさすがに逆転したと思うのだが)。一昨年,子供のバイオリンを買い換えるため,バイオリン製作技術に関する本をかなりいろいろと読み込んだ(それで,ロンドンでとても満足のいく楽器を求めることができた)。おそらくご存知の方もいるだろうが,バイオリンの製作技術は,16 ~ 17 世紀頃忽然とこの世に姿を現し,瞬く間に最高水準に到達した。現在でもグァルネリ,ストラディヴァリらクレモナの名匠の楽器がなお頂点にあり,その価格は現在高いもので5 億円を優に超える。通常の科学技術であるならば,300年もあれば技術革新の末にとてつもなく進歩を遂げているはずである。現在なお,300 年前の鎌で稲刈りをしている農家はいないであろうし,飛行機も300 年前には飛んでいなかった。ところが,バイオリン製作では今もストラディヴァリの楽器はお手本であり,採寸のモデルとされている。これがバイオリン製作の摩訶不思議なところなのである。クレモナの巨匠以降バイオリン製作技術が停滞したのは,一つには当時の徒弟制度にあったようである。グァルネリもストラディヴァリも,決してバイオリン製作の手引き書など書かなかったし,さまざまな実験的な試みの成果を広く公表することもなかったのである。結局名手が死に絶えたら,技術も死に絶えてしまったのである。ニスの配合も秘中の秘で,現在でもその詳細は不明な部分があるという。

一方,外科の技術は,そもそもそれを秘匿する必要がない。私は決してストラディヴァリではないが,自分が呼吸器外科手術について身に付け学んだことを,もう一度反芻して,理論付けあるいは理屈付けを行ってこれを整理し,これを紹介することで,お役に立てるのではないかと思う。本書はそのような試みである。バイオリンの銘器が今なお通用するのにはもうひとつの理由があり,それは当時すでに楽器製作の技術が理論的に妥当で完成度が高かったということである。長続きする技術とは必ずそのようなものである。外科の技術についてみてみると,業者の宣伝にのっていろいろなものが登場するけれども,実用性や理論性に問題があるものはすぐに淘汰されて消えていく。例えば,フィブリングルー製剤によるエアリークの防止法などがそれであって,あまり一般化しなかったのではないだろうか? 私としては,長続きする技術を書き留めたつもりである。

もう一つ私達が認識すべきことは,わが国の外科の技術水準の高さについてである。外科技術の水準を客観的に評価する物差しは存在しないが,わかる人間がみれば自然とわかるものである。私の経験で申し上げれば,わが国の技術水準は大変高く,大いに自負してよいものであると思う。国立がんセンターを訪れる多くの外科医から,当然お世辞半分ではあってもそのような評価をいただき嬉しく思っている。そのような技術を,少しでも書き留めておきたいと思ったのである。日本の明治期の目覚ましい興隆や敗戦後の経済復興を支えたものは,明らかに日本人の教育水準の高さ,勤勉さ,技術の発展改良を尊ぶ気性であったに相違ない。私の父は職業軍人である海軍士官であったが(海兵70 期,海軍大尉),彼が終戦直前に従事した作戦などには瞠目せざるを得ない。ドイツが降伏すると大西洋にあるアメリカ艦船は,パナマ運河を経由して一挙に太平洋へ回航するから,これは戦局を左右する重要な事態であった。当時の連合艦隊司令部(実は慶應義塾大学日吉校舎の地下にあった)は,これを阻止するためにパナマ運河を破壊する作戦を立てたのである。そのためには敵にみつからずに長駆太平洋を横断し(そのためにはシュノーケルによる長時間潜行が可能で航続距離の長い潜水艦が必要),アメリカ本土近海で浮上した後,爆撃機をカタパルトから発進させて運河を破壊し,さらにこれを洋上で収容して帰途につく必要があった。すなわち,航空機を搭載でき,しかも航続距離の長い超大型潜水艦(イ─401 潜水艦)と,翼を折りたためる高性能の戦闘爆撃機(“晴嵐”)の両者を開発する必要があった。この“晴嵐”と命名された美しい飛行機は(現在ワシントンのスミソニアン博物館に収蔵),太平洋戦争末期に造られたが,すでに流線型の美しい機体をもっていて,次代のジェット戦闘機の出現を想起させるものである。また,この潜水空母のコンセプトは,大陸間弾道ミサイルを搭載するミサイル原子力潜水艦のコンセプトモデルとなったとされている。結局,戦局の逼迫から攻撃目標をウルシー環礁に変更して出撃中,終戦を迎えるという数奇な運命を辿る(吉村昭著,「深海の使者」に詳しい)。私の父は,この航空作戦部隊(第631 航空隊)の飛行隊長として航空部門の責任者であった。このような技術力,作戦力を当時の帝国海軍がもっていたことなど,日本ではあまり広くは知られていないが,こういった技術力や作戦力こそが戦後日本の復興を可能にしたのであり,当時においても瞠目すべき水準のものであった。日本人は,これらを誇りとすべきであるのに,奇妙なことにアメリカがこれを認め,“晴嵐” はアメリカ軍が本土に持ち帰った後,スミソニアン航空宇宙博物館が接収し,時間と金をかけて修復して記念すべき名機として博物館に展示した。一方,巨大潜水空母は,戦後ソ連の手に渡ることを怖れてハワイへ回航され,機能性能の十分な調査後,ハワイ沖で爆沈されている(最近その位置が明らかになった)。

これら当時の日本の軍事技術は,非常に高い水準に到達していて,ある意味アメリカにおいて正当な評価を受けている。現在の外科技術も同様であるに相違ない。アメリカに比べると,胸腔鏡手術や低侵襲手術の取り組みは,10 年は先行していたと思う(私は彼らが始めた頃にやめてしまったが…)。私は,日本語ではあるが本書を海外の知己を得た外科医にも配り,われわれ日本の技術について理解を深めてもらおうと考えている。

アメリカについて,一つだけ余談を紹介しておこう。“晴嵐” をリストアしたスミソニアン博物館は,どうやらその航空部隊の指揮官がまだ日本で存命中であるという情報を得たらしく,私の父を見つけ出し,公開前に父と私をワシントンに招待してくれたのである(こういうところがアメリカの美点である)。実際にその飛行機を操縦していた父から,リストアのディテイルが正しかったか否か,聞きたかったらしい。小さなセレモニーがあったが,80歳を超えた父は,日本人ではなくアメリカ人に大変な尊敬をもって迎えられ,スミソニアンの会報にも紹介された。こういう点,アメリカ人は良いものを大変フェアに良いものとして評価する習慣をもっていて,これは尊敬に値する。日本ではあり得ないことだ。ワシントンを訪れたら,ダレス空港近くにある新しいパビリオンを訪ねてほしい。広島を爆撃したB29 “エノラゲイ” のすぐ近くに“晴嵐” はある。

さらに備忘のために書いておくと,国立がんセンター中央病院のある築地の地は,実は海軍兵学校(今は海上自衛隊幹部候補生学校)が広島県江田島に移るまで,海軍兵学寮として多くの明治期の海軍士官を育てた場所であり,斎藤實海軍大将が揮毫した立派な石碑が今もキャンパス内に残っている。山本権兵衛もこの地で学び,新橋の料亭に通ったことなどは,江藤淳著の「海は甦る」に詳しい。

本書執筆の背景

国立がんセンターは,2010 年4 月に独立行政法人となり,“国立がん研究センター” として生まれ変わった。まさに,新生という言葉がふさわしい。新しく理事長に就任された嘉山孝正先生は,極めて短い時間で旧国立がんセンターの問題点を看破され,強いリーダーシップを発揮されて機構改革や人事改革を行い,また新たなわが国の癌医療の在り方について提言を発信している。職員のやる気,センターの雰囲気は大きく変化し,1 年前とは比較にならない。

嘉山新理事長の下で改革は突然始まり,2010 年6 月には早くも新しい人事体制が組まれた。着任以来,彼が実態を把握するのに要した時間は,わずか1 カ月少しであったと思われ,その対応の早さには驚かされた。そして,夏までには,人事の入れ替えを含めた手術室の運営方法を改め,見違えるように円滑化して,手術がやりやすい環境が整えられた。大体,呼吸器外科の手術は,麻酔科と協調しなければ良い手術などできないのである。本当に有り難いことだと思っている。さらに,整備不足であった医療安全管理体制も一新されて,厳格で公正なものに替えられた。新理事長のあまりに迅速な指示に少々対応しきれない部分もあるが,この1 年のセンターの著しい改善と職員のやる気の復活をみれば,彼の打ち出す方向性が極めて正しいことが示されているといえよう。

私が本書を執筆していた時期とは,新生がんセンターがスタートする直前の混乱期であった。もともと,50 歳を過ぎたら手術書を書き上げようと思っていて,2 度ほど試みては挫折した経緯があったので,このがんセンターの混乱期を期して,私は一気に執筆を行ったのである。ある意味では,この混乱が私をして執筆の時間をもたらしめたともいえるのかもしれない。

本書の特徴

本書を執筆するにあたって私が考えていたコンセプトは次のようなものであり,本書を読んでいただくにあたって,読者にご理解いただきたいものである。

(1) 本書は,私が呼吸器外科医として今まで蓄積した外科手技の実際のノウハウを,自分の言葉で解説した手術書であり,自分の言葉で書く必要性から,全範囲を私一人で執筆することにした。分担執筆の場合には,どうしても定型的な執筆スタイルを踏襲しなければならず,通り一遍の解説になってしまいがちである。それでは私の意図を実現することができない。すなわち,私の“本音” の手技をご紹介しよう,というのが私の意図である。

(2) 手術手技の理論的背景を重視して執筆したつもりである。とはいっても化学療法の領域とは異なり,一応の理屈はあっても,今流行の“エビデンス”のレベルは決して高いものではない。これは外科手術という特性上仕方のないことであり,まさに外科の“ アート” の部分である。

(3) オリジナルのイラストレーションを500 葉以上作成して視覚的な理解を助けた。これは本当に骨の折れる作業で,まず私がスケッチをしてそれをイラストレーターの川本満氏に手術画として仕上げてもらうという手順をとった。私の過酷な要求にもかかわらず,快く修正に応じていただいたことには,深く感謝申し上げるところである。ただそれでも,外科医として,もう少し何とか改良したいというイラストも少なからず存在する。ただ,1 枚のイラストに拘泥して完全を期していると(例えば1 カ月2 枚のペース),500 枚描くのに20 年以上かかることがわかったので,あまりに細かいことはこだわらないことにした。川本氏のイラストの出来は総合的に素晴らしいものであると思う。

(4) あえて失敗談などをも交えて解説し,手技の本質に迫るようにした。本書には,私や私の周囲の人の失敗談も紹介されている。もともと私は,手術書には成功談しか紹介されていないのが不思議であった。手術書通りにやってうまくいかないことがあるのは当然であるから,私は失敗経験を書いたほうがよいと思ったのである。参考にしていただきたい。

(5) 従来の手術書では,ほとんど取り上げられなかった合併症などに対するリカバリー手術(出血の対処法など),小手術,特に手技の難しい再手術なども解説した。実際の日常診療では,このようなところで苦労することが多く,比較的少人数で診療している呼吸器外科では,いざという時周囲に相談できる相手もいないことが多い。そのような際に,少しでも参考になればと思い,これらの小項目を充実させた。

(6) 私は,今後も本書の本文のみならずイラストにも改訂を加えながら,本書をわが国の呼吸器外科医のお役に立つものに育てていきたいと思っている。であるから,内容に対する疑問や修正すべき点についてのご指摘を心より歓迎申し上げる。もしも幸いにも,本書が呼吸器外科医の支持を得て重版が可能となった時には,それらの修正を積み上げて,より完成度の高いものを目指していきたいと思っている。

本書の執筆を可能にしてくれたのは,私の師,同僚,一緒に苦労してくれたレジデント卒業生達である。私の呼吸器外科手術の師は,何といっても故成毛韶夫先生と杏林大学の呉屋朝幸教授のお二人であり,外科医としての師は,伊勢慶應病院の植田正昭元院長といえる。この三先生がいなければ,本書は完成できなかったと思う。静岡がんセンターの近藤晴彦先生,神奈川がんセンターの中山治彦先生,順天堂大学の鈴木健司先生,そして今私とともに働いてくれている渡辺俊一先生は,まさに同志であり,私の現在の技術は,これらの先生達とともに苦労して作り上げたものである。私一人の作品ではない。一方,国立がんセンターには,外科以外にも優秀な先生達がおられ,この先生達からの薫陶は,何事にも変えられない貴重なものであった。病理では,下里幸雄先生が肺癌病理の基本と論文の書き方を教えてくださり,学位取得の指導をしてくださった。亀谷徹元北里大学医学部長は,神経内分泌腫瘍の研究で私の後ろ盾となってくださったし,私の20 年以上に及ぶ室内楽仲間でもある(亀谷ピアノ,淺村チェロ)。故池田茂人先生からは気管支鏡の手ほどきを受けた。西條長宏先生からは臨床試験の基礎にある科学的な考え方を学ばせていただいた。病理の,野口雅之(筑波大学教授),松野吉宏(北海道大学教授)の両先生には,今も教えていただくことが多い。ご両人とも日本を代表する信頼のできる優秀な外科病理医である。国立がんセンターのレジデントの卒業生も,各地で頑張ってくれているのは頼もしいことである。レジデント在任中のパフォーマンスは,やはり個人それぞれではあったが,私の叱責によく耐えて頑張ってくれたと思う。今後も,戻った施設で自分なりの努力を続けてほしいと思っている。ただ,私を論破して撃破しようという気骨ある若い先生がなかなか現れないのが残念でならない。現在の新生国立がん研究センター中央病院では,淺村,渡辺以外に,櫻井裕幸先生,河内利賢先生が頑張ってくれている。今後われわれは,新人を補充してさらなる陣容の強化を図りたいと思っており,全国の若い先生方の応募をお待ちしている。

最後に,単著でほぼ呼吸器外科の全範囲をカバーする手術書を作るという無謀な企てを了としてくださった金原出版(川井弘光社長)には,心から感謝申し上げたい。原稿については,編集部の佐々木瞳嬢と制作部の野村久雄氏の並々ならぬ理解と忍耐が不可欠であり,東京郊外に住まれるイラストレーターの川本満氏との間で何度となくやりとりしてくれた。そして,川本氏も忍耐強く私の修正要求に応じてくださったことには,感謝の言葉もない。これらの皆さんに改めて深甚なる謝意を表するものである。そして,今までの私の研究者としての多忙な国際的な活動を理解して助けてくれた家族にも深く感謝している。

私は,この文章を7 時間遅れでミュンヘンを出発した成田に向かう機上で書いている。リスボンで開かれた神経内分泌腫瘍の学会からの帰途であったが,私は彼の地で東北関東地方を襲った巨大な地震を知って慄然とした。出発の大幅な遅れも地震のためであった。そもそも,ヨーロッパの西の果てから地震直後に帰国できるのかもわからず不安であったが,実際に被災されて家や家族を失われた方々の悲痛なお気持ちとは比べようもない。多くの人命が一瞬に失われた事実を直視するにつけ,人間の存在そのものの脆さ,儚さを実感せざるを得ない。心からご冥福をお祈り申し上げ,生きている私としては,日本の行く末(子供達の未来)がどうなるのか不安で一杯であるが,何としてもこの本を世に送り出す使命を感じたのである。


2011年3月12日 機上にて

淺村 尚生

目次

序章

1.私の呼吸器外科手術のルーツ

2.外科医の心構え

 A.論理的な思考解析過程をもつ

 B.誤りを受け入れて修正する謙虚さと柔軟性をもつ

 C.外科医として患者への仁義を果たす

 D.常に状況を悪いほうに考える

 E.次はないと思え

 F.自分が知らないことは虚心坦懐に学ぶ

 G.よく勉強する

3.呼吸器外科チームの在り方

 A.富士山型と八ヶ岳型の診療体制

 B.診療の方針

I.総論:呼吸器外科基本手技の総合的な理解

I-1.呼吸器外科手術における開胸法と体位

 A.国立がんセンターにおける開胸術の変遷史

 B.“後側方開胸基本線”

 C.後側方小開胸法-通常の肺切除術で私が用いる開胸法

 D.前方開胸法-開胸基本線にのらない開胸法

 E.小開胸法

 F.開胸における体位の取り方

 G.閉胸について

I-2.低侵襲手術に関する私の基本的な考え方

 A.私の胸腔鏡手術経験

 B.胸腔鏡手術の特性

 C.小開胸手術の特性

 D.私の現在の手術スタイル

I-3.呼吸器外科基本手技のエレメント

 1.気管支に用いる基本手技

  A.気管支の“構造”(肺外気管支と肺内気管支)

  B.気管支断端の創傷治癒:“治癒しにくい理由”

  C.気管支の剥離法

  D.気管支断端閉鎖の基本-いわゆるSweet方向といわゆるOverholt方向-

  E.気管支断端の被覆

 2.肺血管に用いる基本手技

  A.肺血管に関する解剖学的考察

  B.血管壁の取扱い方

  C.肺血管剥離のための道具:電気メスかハサミか?

  D.肺血管の剥離法

  E.肺血管の切離

  F.止血のめどが立たない肺動脈の剥離はやってはいけない

  G.胸腔鏡下肺葉切除術と肺動脈の剥離法

  H.出血への対処

  I.重篤な出血

 3.肺実質に用いる基本手技

  A.肺実質、臓側胸膜損傷の修復・補修

  B.匍匐前進法

  C.厄介な肺(気腫性肺)への対応

 4.呼吸器外科手術のための手術器具

  A.呼吸器外科手術の器具の組合せ

  B.小開胸手術でぜひとも必要な器具類

  C.いざという時に備えておかなければならないもの

  D.必要な時に備えておきたい器具類

  E.ステープラー考

 5.胸腔ドレーン

  A.胸腔ドレーンの目的

  B.ドレーンの入れ方

  C.抜管の基準

  D.ドレーン挿入中の管理

  E.抜管の手技

 6.今日の呼吸器外科で必要とされる基本手技

  A.胸腔内手術と胸腔外手術

  B.深部でも通用する運針

  C.結紮方法(器械結紮)の工夫

 7-1.高度な呼吸器外科の基本手技-心嚢内血管処理

  A.心嚢内血管処理が必要な時

  B.心嚢の解剖-心嚢の折れ返りの構造

  C.心嚢内血管処理のテクニック

 7-2.高度な呼吸器外科の基本手技-癒着剥離術

  A.癒着剥離を行う手順

  B.癒着剥離の範囲:全面的か部分的か?

  C.横隔膜付近の癒着剥離

  D.胸膜癒着の剥離法の実際

II.各論:呼吸器外科手術手技

II-1.肺葉切除術 Lobectomy

 A.肺葉切除術の基本的な考え方

 B.肺葉切除術の特性

1.右上葉切除術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

2.右中葉切除術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

 C.手順に関する考察

3.右下葉切除術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

 C.上下・中下葉間の分葉不全に対する対処

4.左上葉切除術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

 C.手順に関する考察

5.左下葉切除術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

 C.上下葉間の分葉不全に対する対処

6.右上中葉切除術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

7.右中下葉切除術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

 C.手順に関する考察

II-2.肺全摘術 Pneumonectomy

 A.肺全摘術の基本的な考え方

 B.肺全摘術の特性

 C.肺全摘術のテクニカルな特徴

1.右肺全摘術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

2.左肺全摘術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

II-3.肺楔状切除術あるいは肺部分切除術 Wedge resection

 A.肺楔状切除術の基本的な考え方

 B.楔状切除術のテクニカルな特徴

 C.手術手順

II-4.肺区域切除術 Segmentectomy

 A.区域切除術の基本的な考え方

 B.区域切除術の特性

 C.区域切除術における肺実質の離断方法

 D.区域切除術の適応の考え方

 E.肺癌における根治術としての区域切除術-“テクニックマニア”に陥らないしっかりした考え方をもとう

1.S6区域切除術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

2.左上区域切除術(簡便型区域切除術)

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

3.左舌区域切除術(簡便型区域切除術)

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

 C.左上下葉間に分葉不全がある時の上区域切除術、舌区域切除術に関する考察

4.右上葉S3区域切除術(古典的区域切除術)

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

 C.縦隔型肺動脈のある場合の上区域切除術

II-5.肺門・縦隔リンパ節郭清術 Hilar/mediastinal lymph node dissection

 A.リンパ節郭清とは?

 B.リンパ節マップ:歴史とIASLCマップの作成

 C.IASLCマップの特徴

 D.選択的縦隔郭清ということ

 E.縦隔郭清手技

II-6.気管支形成術 Bronchoplastic procedures

 A.気管支形成術の基本的な考え方

 B.気管支形成術の考察

 C.気管支形成術における気管支の切断部位の決定

 D.粘膜下縫合と全層縫合

 E.一括結紮と順次結紮

 F.気管支形成術の吻合糸

 G.口径差の調整

 H.吻合部被覆の意義

1.右スリーブ上葉切除術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

2.右楔状スリーブ上葉切除術

 A.解剖学的な考察

 B.吻合手技

3.左スリーブ上葉切除術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

4.右スリーブ肺全摘術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手順

5.左スリーブ肺全摘術に関するコメント

II-7.気管管状切除術・吻合術 Tracheal resection/anastomosis

 A.気管の局所解剖

 B.気管へのアプローチ法の選択

 C.吻合テクニックの実際

II-8.血管形成術のいろいろ Angioplasty

 A.肺動脈欠損部の縫合閉鎖

 B.肺動脈欠損部のパッチ閉鎖法

 C.肺動脈-肺動脈の端々吻合

 D.腕頭静脈-人工血管の端々吻合

 E.手順の実際

II-9.他臓器の切除を含む拡大切除術 Extended resections

 A.拡大切除術の基本的な考え方:是か非か?

1.胸壁合併切除術

 A.胸壁の切除と再建

 B.手術手順

2.心膜合併切除術

 A.解剖学的な考察

 B.手術手技

3.左房合併切除術

 A.症例(1)

 B.症例(2)

 C.手術手順

II-10.肺尖部胸壁浸潤癌の切除術 Surgery for superior sulcus tumor(SST)

1.“Superior sulcus tumor(SST)”についての歴史的な理解:肺尖部胸壁浸潤癌の臨床病理学的特性

2.Superior sulcusはどこか?

3.SSTに対する基本的な治療方針

4.後方浸潤を主体とするSSTの切除術

 A.皮切とアプローチ

 B.手順考

 C.手術手技の実際

5.前方浸潤を主体とするSSTの切除術

 A.皮切とアプローチ

 B.切除法の実際

II-11.胸膜肺全摘術 Pleuropneumonectomy

 A.胸膜肺全摘術の基本的な考え方

 B.胸膜肺全摘術の特性

 C.右胸膜肺全摘術の手術手順

II-12.呼吸器外科で必須とされる小手術 Minor procedures

1.縦隔鏡検査

 A.縦隔鏡の目的

 B.麻酔と体位

 C.手術手順

2.心嚢ドレナージ術

 A.心嚢ドレナージの考え方

 B.剣状突起下の解剖:心嚢との関係

 C.剣状突起下アプローチによる心嚢ドレナージ術の手技

3.胸膜癒着術(タルク撒布術)

 A.胸膜癒着術の適応

 B.癒着剤について

 C.胸膜癒着術の実際

II-13.合併症に対するリカバリー手術 Surgery for complications

1.膿胸に対する開窓術

 A.開窓術の考え方

 B.開窓術に至る手順と注意点

 C.どのような時に開窓を決意するか

 D.開窓術の外科的な側面

 E.手術手順

2.胸郭成形術

 A.胸郭成形術後の病態

 B.胸郭成形術のタイミング

 C.胸郭成形術の手術手技

3.乳糜胸に対する胸管結紮術

 A.術後乳糜胸の考え方

 B.準備と方針

 C.手術手順

4.胸骨正中切開後の胸骨接合部のし開

 A.胸骨接合部し開の原因

 B.胸骨接合部のし開時のメカニズム

 C.胸骨正中切開創感染の管理

 D.感染性の胸骨接合部のし開の管理

5.術後出血に対する再開胸止血術

 A.術後出血における出血量の評価「ドレーン排液量と同量の血腫が胸腔内に存在すると思え」

 B.再開胸止血術におけるドレーン排液量と胸腔内血腫量の関係

 C.再開胸止血術の決断に至る考え方

 D.再開胸止血術の手術手技

II-14.再手術 Re-operations

 A.再手術の特性

 B.再手術の外科的側面

 C.初回手術の術式が及ぼす影響

 D.再手術の各論

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書籍情報

  • ISBN:9784307202886
  • ページ数:487頁
  • 書籍発行日:2011年6月
  • 電子版発売日:2021年5月21日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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