ここが知りたい!膠原病診療ハンドブック

  • ページ数 : 459頁
  • 書籍発行日 : 2021年5月
  • 電子版発売日 : 2021年5月24日
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商品情報

内容

「ここが知りたい!」シリーズ 最新刊!

「ここが知りたい!」シリーズの膠原病編.日進月歩のリウマチ・膠原病領域について,非専門医に向けて幅広い内容をわかりやすくコンパクトに解説します.膠原病領域では様々な臓器障害を併発することを踏まえ,「各科との連携ポイント」の章も設置.リウマチ専門医以外の多彩なエキスパートも執筆陣に迎えた充実の内容は,リウマチ専門医にとっても非常に有益なものとなっています.すべての医療者,必読必携の書!

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序文

はじめに


近年,特に21世紀以後において,医学は目覚ましく進歩しました.中でもリウマチ・膠原病領域では様々な因子の解明にとどまらず,生物学的製剤や分子標的治療薬などのあらたな治療ツールも登場し,診療方針も抜本的に変化するようになりました.もはや,数十年前の学生時代に学んだ知識とは激変している分野といっても過言でないかもしれません.

そんな中で,「ここが知りたい!」シリーズの姉妹書として「膠原病診療」の執筆編集の機会を頂きました.すでに「リウマチ・膠原病」を対象としたマニュアル本は,各社からたくさん出版されております.しかし,リウマチ・膠原病を専門としないかかりつけ医・総合診療医,研修医,コメディカルの方にとって幅広い内容をコンパクトに理解するのは容易でなさそうです.可能な限り実践に即した内容を理解し,主要な疾患・病態を調べられるべく本書を構成しました.そして,姉妹書同様に症例呈示を原則的にくわえるとともに,最近のガイドラインもふまえた知識・診療ノウハウの理解を可能とさせるべき構成としました特に,膠原病領域は多彩な臓器障害を併発し,多くの診療科との連携を必要とする分野です.そこで,従来のマニュアル本では取り上げられにくい「膠原病と関連しやすい各科との連携ポイント」の項目をつくるとともに,リウマチ専門医以外の多様なエキスパートの先生にも執筆を依頼させて頂きました.本書がリウマチ専門医にとっても有益になっていただけることを願っております.そして,読者のみならず,全ての膠原病患者さんにより良い結果につながることを心から願っております.

さて,人生100年時代を念頭にいっそうの医学・医療の発展が期待された令和時代が到来しましたが,新型コロナウイルスも到来し皆の生活は劇変させられました.様々な考えも出現し,医療人にとっても辛抱を重ねる日々が続いております.この問題の解決とともに,新たな明るい未来が到来することを心から願っております.

最後になりますが,岩岡秀明先生には中外医学社を通じて今回の執筆編集の機会を頂けるとともに分担執筆に関わって頂きました.そして多くの先生方には分担執筆を頂くとともに,岸本暢將先生には監修を頂きました.さらに中外医学社の皆様には企画から刊行まで関わって頂きました.皆様方に厚く御礼申し上げたいと思います.


2021年2月

船橋市立医療センター腎臓内科・リウマチ膠原病内科
清水英樹

目次

第Ⅰ章 イントロダクション

■ 1.膠原病について〈清水英樹 岸本暢將〉

■ 2.初診時診療〈清水英樹 岸本暢將〉

  1.膠原病診療の4 つのステップ

  2.情報収集のポイント

  3.治療

  4.免疫抑制療法の介入前に必要な評価事項

■ 3.継続診療〈清水英樹 岸本暢將〉

  1.病勢評価と治療方針

  2.再燃と合併症の評価

  3.長期例の対応

  4.その他

第Ⅱ章 膠原病診療前の基礎知識

■ 1.免疫学〈藤尾圭志〉

  1.自然免疫系

  2.適応免疫系─ CD4陽性T細胞

  3.適応免疫系─ B細胞

■ 2.皮膚の見方〈宮川健彦〉

  1.指

  2.顔

  3.全身性・汎発性紅斑

  4.上背部左右対称性の色素沈着と紅斑

  5.下腿

  6.口腔・外陰部のびらん,潰瘍

  7.皮下の硬結

  8.茶色い肥厚,茶色い陥凹

■ 3.筋・関節所見の取り方〈萩野 昇〉

  1.なにを診るか: see とobserve の間

  2.炎症性か否か

  3.まず手から始めよ

  4.肘・肩の診察

  5.頭頸部・脊椎の診察

  6.下半身の診察

  7.筋の診察

■ 4.ステロイド・免疫抑制薬〈花田徳大 藤尾圭志〉

  1.ステロイド

  2.免疫抑制薬

第Ⅲ章 主な受診理由ごとの対応

■ 1.発熱・炎症反応高値〈萩野 昇〉

  1.その発熱はどこで評価すべきか

  2.リウマチ性疾患・膠原病を疑うきっかけ

  3.若年者の不明熱・不明炎症

  4.高齢者の不明熱・不明炎症

■ 2.関節痛〈加藤愛美 池田 啓〉

  1.痛みの詳細について

  2.炎症性か非炎症性か?

  3.鑑別疾患

  4.関節痛の診察・検査

■ 3.筋力低下・筋肉痛〈杉森祐介 藤尾圭志〉

  1.筋力低下の診療

  2.筋肉痛の診療

  3.自己免疫疾患に伴う筋力低下,筋肉痛

■ 4.自己抗体の異常〈吉田常恭 橋本 求〉

  1.関節リウマチの診断にかかわるRFと抗CCP抗体測定の意義

  2.膠原病診断にかかわるANA の感度・特異度と疾患特異抗体の関係

  3.血管炎診断にかかわるANCA の感度・特異度と疾患名との関係

  4.本症例における問題点: 関節炎は種々の膠原病で合併する

  5.自己抗体が陰性でも臨床症状から診断することが求められる

■ 5.緊急性の高い病態〈萩野 昇〉

  1.炎症+多臓器不全

  2.急性から亜急性に進行する呼吸不全

  3.神経症状

  4.腎不全

  5.急性単関節炎

  6.心筋炎

第Ⅳ章 代表的な疾患

■ 1.関節リウマチ

 ①総論・診断〈杉山隆広 池田 啓〉

  1.総論

  2.診断

 ②画像検査〈杉山隆広 池田 啓〉

  1.総論

  2.単純X 線

  3.RA 診療における単純X 線の役割

  4.関節エコー

  5.MRI

  6.RA 診療における関節エコー・MRI の役割

 コラム: 関節X線AsBCD〈岸本暢將〉

 ③従来型抗リウマチ薬(csDMARDs)〈池田圭吾 大谷友也〉

  1.csDMARDs の種類と特徴,役割

  2.実際の使い方

 ④治療(bDMARDs+tsDMARDs)〈渡部 龍 橋本 求〉

  1.bDMARDs

  2.tsDMARDs

  3.bDMARDs/tsDMARDs 投与時の注意点

 ⑤手術・リハビリ〈高瀬 完〉

  1.リウマチにおける骨・関節病変

  2.リウマチのリハビリテーション

■ 2.全身性エリテマトーデス〈野村篤史〉

  1.SLE とはどんな病気か

  2.SLE という疾患概念と診断

  3.鑑別診断

  4.治療・マネージメント

  5.近年承認された薬剤

  6.治療の目標~臓器障害や合併症の評価とマネージメント~

■ 3.血管炎

 ①総論〈遠藤彰子〉

  1.分類

  2.血管炎へのアプローチ

 ②大型血管炎(巨細胞性動脈炎,高安動脈炎)〈杉原毅彦〉

  1.疫学

  2.臨床症状

  3.罹患血管分布

  4.検査

  5.診断 鑑別診断

  6.治療

 ③ ANCA 関連血管炎〈軽部美穂〉

  1.ANCA 関連血管炎の解説

  2.好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

 ④結節性多発動脈炎〈小林政司〉

 ⑤他の血管炎〈遠藤彰子〉

  1.抗糸球体基底膜抗体関連疾患〔抗GBM 抗体関連疾患(旧Goodpasture 症候群)〕

  2.IgA 血管炎(旧Henoch-Schönlein 紫斑病)

  3.クリオグロブリン血症性血管炎

  4.低補体性蕁麻疹様血管炎

  5.Cogan 症候群

■ 4.強皮症〈小林政司 桑名正隆〉

  1.強皮症の臨床所見

  2.強皮症の診断

  3.SSc の病型分類

  4.SSc の主要障害臓器

■ 5.皮膚筋炎・多発性筋炎〈池田圭吾 篠浦まりな〉

  1.多発性筋炎・皮膚筋炎とは

  2.症状の特徴

  3.検査所見の特徴

  4.診断

  5.治療

■ 6.混合性結合組織病〈横田雅也 中島裕史〉

  1.疾患概念,疫学

  2.症状

  3.検査所見

  4.診断

  5.治療の概要

  6.MCTDに合併したPAH のマネージメント

■ 7.リウマチ性多発筋痛症〈杉原毅彦〉

  1.疫学

  2.臨床症状

  3.検査

  4.診断 鑑別診断

  5.治療

■ 8.脊椎関節炎〈岸本暢將〉

  1.脊椎関節炎の病態~関節リウマチとの違い~

  2.脊椎関節炎の臨床像

  3.SpA の臨床所見の頻度は?

  4.SpA の分類基準は?

  5.治療方針

■ 9.シェーグレン症候群〈松本 功 坪井洋人〉

  1.日本での疫学

  2.臨床的特徴

  3.診断に必要な検査

  4.鑑別診断と特殊病態

  5.治療について

■ 10.ベーチェット病〈髙橋健太郎 海辺剛志〉

  1.病態と診断

  2.それぞれの症状に応じた実践的治療

  3.特殊病型(腸管・神経・血管)の実践的治療

■ 11.IgG4 関連疾患〈坪井洋人 松本 功〉

  1.疾患概念

  2.疫学

  3.診断

  4.鑑別診断

  5.治療

  6.指定難病による医療費の助成

  7.予後

■ 12.成人発症スティル病〈古賀智裕 川上 純〉

  1.AOSD の臨床症状と診断について

  2.AOSD の鑑別疾患について

  3.AOSD の治療について

■ 13.自己炎症性疾患〈古賀智裕 川上 純〉

  1.自己炎症性疾患の臨床症状と診断について

  2.自己炎症性疾患の鑑別疾患について

  3.家族性地中海熱の治療について

第Ⅴ章 膠原病科で遭遇する可能性のある疾患

■ 1.変形性関節症〈矢部裕一朗〉

  1.変形性関節症とは?

  2.変形性手関節症

■ 2.化膿性関節炎〈矢部裕一朗〉

  1.診断

  2.治療

■ 3.結晶性関節炎〈前田伸治〉

  1.痛風

  2.ピロリン酸カルシウム結晶沈着症(偽痛風)

  3.塩基性リン酸カルシウム結晶沈着症

■ 4.線維筋痛症〈前田伸治〉

  1.線維筋痛症

  2.病因と病態

  3.線維筋痛症の診断

  4.治療

第Ⅵ章 膠原病と関係しやすい各科との連携ポイント

■ 1.整形外科との連携〈高瀬 完〉

  1.関節痛の診察のポイント

  2.鑑別診断

■ 2.皮膚科との連携〈宮川健彦〉

  1.慢性期,経過観察期の皮膚科対応

  2.各種膠原病の皮膚症状の対応

■ 3.呼吸器内科との連携〈皿谷 健〉

  1.呼吸器内科へのコンサルトが想定されるセッティング

■ 4.腎臓内科との連携〈松野裕樹 清水英樹〉

  1.腎疾患のスクリーニングから腎臓内科へのコンサルトまで

  2.腎臓内科へのコンサルトのポイント

■ 5.脳神経内科との連携〈大石知瑞子 園生雅弘〉

  1.末梢神経障害

  2.炎症性筋疾患

■ 6.眼科との連携〈野呂隆彦〉

  1.膠原病関連の諸症状から連想する眼所見や眼疾患

  2.診断

  3.治療の注意点

  4.連携が大切である主な疾患とポイント

■ 7.血液内科との連携〈森田 薫 神田善伸〉

  1.汎血球減少症

  2.血球貪食症候群

  3.骨髄検査を実施するタイミング

■ 8.感染症内科との連携〈岩田健太郎〉

  1.膠原病ミミックな感染症に要注意

  2.T スポット陽性には解釈が必要

  3.LTBI はリファンピンで治療

  4.生物製剤と感染リスクの吟味

  5.抗菌薬は薬剤感受性だけではない

  6.COVID-19 と対峙する

■ 9.糖尿病・内分泌疾患との連携〈岩岡秀明〉

  1.血糖値を上昇させる薬剤

  2.糖尿病性手関節症

  3.甲状腺機能低下症

  4.甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

  5.更年期障害に伴う関節症状

■ 10.循環器内科との連携〈古川明日香 田村雄一〉

  1.膠原病と肺高血圧症

  2.膠原病と血管炎: ベーチェット

■ 11.血液浄化療法科との連携〈花房規男〉

  1.血漿交換の実際

第Ⅶ章 その他

■ 1. コ・メディカルの立場での膠原病診療〈松田真紀子 秋山陽一郎〉

  1.慢性疾患患者におけるわが国が直面している問題

  2.膠原病診療に関わるコ・メディカルとチーム医療の必要性

  3.膠原病患者が病気を理解し自己管理できるための支援

■ 2.高齢者〈久保かなえ〉

  1.高齢発症関節リウマチの臨床的特徴

  2.高齢者診療の問題点~フレイル・サルコペニア~

  3.高齢発症関節リウマチに対するTreat to Target

  4.高齢者における治療のリスク

■ 3.漢方薬〈津田篤太郎〉

  1.MTX の副作用とその機序

  2.人参を含む漢方方剤の使い分け

  3.副腎皮質ステロイドと妊娠への影響

  4.ステロイドの投与期間と漢方の使い方


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書籍情報

  • ISBN:9784498026148
  • ページ数:459頁
  • 書籍発行日:2021年5月
  • 電子版発売日:2021年5月24日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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