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臨牀消化器内科 2021 Vol.36 No.7 〈最新〉NAFLD/NASH 診療ガイドラインを読む
- ページ数 : 112頁
- 書籍発行日 : 2021年6月
- 電子版発売日 : 2021年6月25日
商品情報
内容
2018年より,日本消化器病学会と日本肝臓学会の合同で,13名の作成委員および4 名の評価委員のもとでNAFLD/NASH 診療ガイドラインの改訂が行われ,2020年11月に発行となった.そのポイントをこの特集でまとめていただいた.
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序文
巻頭言
NAFLD/NASH(非アルコール性脂肪肝疾患/非アルコール性脂肪肝炎)の診療ガイドラインは,2014 年に日本消化器病学会の編集で協力学会として日本肝臓学会の協力を得て作成された1).この診療ガイドラインは注目され,また広く利用されてきたが,その概念・画像診断法・治療方法に関しても新たな知見が報告されており,このたび改訂の運びとなった.NAFLD は本邦に約2 千万人以上の患者がおり,今後さらに増加することも危惧されている.とくに生命予後に関連するF3 以上の高度線維化症例は,2030 年には約100 万人になると推定されている2).まさにC 型肝炎に代わって,今後NAFLD/NASH が主要な慢性肝疾患になることは必定と考えられる.
今回,日本消化器病学会と日本肝臓学会の共同の診療ガイドライン3)として,委員会が開催され,13 人の委員と4 人の評価委員とともに,欧米のガイドラインも参考に検討・改訂された4),5).両学会ガイドライン統括委員会の指示により,GRADE システムを参考にエビデンスを評価し,推奨の強さを決定した.また今回より,従来のクリニカルクエスチョン(CQ)だけでなく,コンセンサスが得られたクエスチョンに関してはバックグラウンドクエスチョン(BQ)として,今後の研究課題はフューチャーリサーチクエスション(FRQ)として分類し,さまざまな問題に対応した.またインターナショナルに通用するガイドラインを目指して作成した.
この6 年間のNAFLD に関する大きな話題は,まず肝臓の線維化と生命予後との関連の多数の報告だと思われる.Angulo ら6)は,肝細胞の風船様変性より,肝臓の線維化の程度が唯一,生命予後に関わる因子と報告している.ほぼ同様の報告は,欧州,本邦からも多数報告されている.この点を重視し,NAFLD の診断・概念,CQ,および肝臓の線維化の拾い上げのフローチャートを提案した.
次にNAFL(非アルコール性脂肪肝)とNASH の相互移行,NAFL の進行に関する問題である.これに関しても,定義・概念の項で,NAFL とNASH は,相互移行があり,NAFL の一部は,進行速度は遅いが線維化が進行することもあると明記した7).また欧米の診断基準に基づき,薬物による肝脂肪沈着はNAFLDから除いた.
NAFLD のHCC(肝細胞癌)のスクリーニングでは,CQ および専門医におけるフォローアップフローチャートの項に案を記載した.マンパワーおよび医療経済的な面から,まだベストなスクリーニング法は今後の課題であるが,少なくともNAFLD 肝硬変および肝硬変に相当する肝硬度症例では半年おきの超音波検査と腫瘍マーカーによるスクリーニングを提案した.さらにNAFLD 患者の最大の死因である脳・心血管系イベントに関しても,脳・心血管系疾患リスクの絞り込み方法のフローチャートを提案した.
また治療に関しては多くの報告が見られ,また現在多くの治験が行われている.しかしながら現在のところ,NAFLD,NASH に保険適用が認められた薬剤はない.前版と比較すると,新たにSGLT(sodium glucose cotransporter)‒2 阻害薬,GLP(glucagon‒like peptide)‒1 アナログ製剤が追加された.今後,多数例での無作為化比較試験,肝組織学的な改善の確認が必要である.しかしNAFLD,NASH の治験の難しさとして,肝生検のサンプリングエラー,病理医による判定の違い,線維化改善のための長期の評価期間が必要なこと,人種差を含めたNAFLD の患者ごとの病因・病態の違いなど種々の要因があり,今後も容易ではないことが推測される.
今後まずは,このガイドラインを広く理解・周知してもらい,線維化群,HCCのスクリーニングに繫げ,最終的に治療に繫げられることを期待して,この特集を参考にしていただければ幸いである.
徳重 克年
目次
特集
巻頭言 徳重 克年
1 .NAFLD/NASH の診断・定義 ― その歴史と現在の潮流 池嶋 健一
2 .NAFLD/NASH の疫学と今後の予想 小野 正文 他
3 .NAFLD/NASH とメタボリックシンドローム,心血管イベント 江口有一郎 他
4 .NAFLD/NASH の病態とその展望 鎌田 佳宏
5 .NAFLD/NASH の遺伝的背景 伊藤 義人 他
6 .NAFLD/NASH の画像診断 米田 正人 他
7 .NAFLD の非侵襲的肝線維化診断とフォローアップ体制 芥田 憲夫
8 .NAFLD/NASH の現状の治療方針 重福 隆太,岩佐 元雄
9 .NAFLD/NASH の新規治療薬とその展望 米田 政志
10.NAFLD/NASH の発癌とスクリーニング体制 大塚 基之
11.NAFLD/NASH の予後と危険因子 小木曽智美
連載
手技の解説
内視鏡診断支援機能「CAD EYE」の使用経験から坂本 琢,斎藤 豊
内視鏡の読み方
類基底細胞癌を伴う食道扁平上皮癌 中尾 栄祐,由雄 敏之 他
薬の知識
トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ®) ― 化学療法後に増悪したHER2 陽性の切除不能進行・再発胃癌岡田 真央,朴 成和 他
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書籍情報
- ISBN:9784004003607
- ページ数:112頁
- 書籍発行日:2021年6月
- 電子版発売日:2021年6月25日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:2
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