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- 形成外科 2021年6月増刊号【特集】形成外科専攻医への推奨論文166選―原典に触れる―
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序文
序
科挙を乗り越えた中世の中国の官僚たちは「論語」の知識を前提に語りあったことでしょう。中世の日本の貴族たちは,「源氏物語」や「古今和歌集」を頭に入れて日々の会話や歌のやり取りを楽しんだと思います。知的な社会生活を営むためには,その社会を構成する人たちの間に共通する知識のインフラを自分の中に整備しておく必要があります。
例えば『坊ちゃん』や『雪国』などは,近代あるいは現代日本においてのそのようなインフラ的な小説になっています。しかし,読んでいることが常識と思われているような小説でも案外読んでいないものもあって,「読んだふり」をした経験をおもちの方も少なくないのではないでしょうか。本増刊号は,形成外科医で構成されている社会において,知的な社会生活を送るために必要と思われる知識のインフラをご提供しようと企画しました。日々の形成外科診療に役立つという目的よりも,形成外科界で知的な社会生活を送るために役立つという目的であり,従来の企画趣旨とは異なる新たな企画の「『形成外科』増刊号」です。
さて,医学論文を読むのはどのような時でしょう。医学生はまず,「医学概論」のような講義で,「ワトソンとクリックの二重らせん」「バンティングのインスリン」などの原典を紹介されるかもしれません。また,基礎医学の研究室に配属されると,その専門分野の主要論文や最近の報告に触れるでしょう。臨床実習のレポート作成のために読む必要のある文献を指導教官から渡されることもあると思います。卒業後は医局の抄読会で基本的な概念や最新の知見がテーマとなりますし,学会発表や論文執筆に臨むことになれば,いよいよ本格的に文献を渉猟して考察を加える作業が始まります。そこで行き当たるのは,それぞれの分野に興味を抱く人たちが必ず目を通す「原著」です。
私たち形成外科医も,要点をまとめた教科書,雑誌の総説・解説,専門医試験問題集などからの知識だけでは,「世界で初めて完全切断を再接着された指で煙草を吸っている度胸のある人」「世界で初めて遊離筋肉移植によって完全麻痺から蘇った少し引きつった笑い」「今見ても上出来な50 年前の再建耳介」などを話題にできません。原典には教科書や論文中の引用では感じ取れない味わいがあり,解説本の図表からは得られない驚きや感動があると思います。
本増刊号は,多忙な研修中の,おそらく効率重視の猛勉強の甲斐あって,いよいよ一人前の形成外科医としてのスタートラインに立った先生方に贈るものです。原典に触れてこそ得られる何かを実感していただくために,これまで皆さんを手取り足取り指導し,これからも目指すべき遥かな目標となる先生方に,これぞという論文を推薦していただきました。
執筆の依頼においては,どのカテゴリーも多士済々という有難くも難しい選択を余儀なくされました。例えばChapter.1-❸「次世代の形成外科医たちが薦める論文47選」では,本誌に連載中の「形成外科NEXT―次世代の本音―」に本書企画時点でご執筆済の著者にほぼ限定させていただきました。そして,ぜひご執筆いただきたかった先生方にも諸般の事情からお願いできなかったり,ご専門から少し外れた分野での依頼をせざるを得なかったりもしました。この場をお借りしてお詫び申し上げます。
最後に,この増刊号が,医師として,そして形成外科医として永く生きていこうと思っておられる方々に対して,その基盤となる古典的で必須の知識を提供できる本に仕上がったとすれば,編者としてこれに勝る幸せはありません。
垣淵正男
(兵庫医科大学形成外科)
細川 亙
(大阪みなと中央病院)
目次
Chapter.1 形成外科医なら読んでおきたい!113選
❶形成外科エキスパート別の推薦論文50選
01.植皮①基礎■耳介真皮の血行を究めた阪大形成外科/国際医療福祉大学医学部形成外科学 松﨑 恭一
02.植皮②臨床■皮弁に劣らぬ質感で一世を風靡した“含皮下血管網全層植皮術”/金沢医科大学形成外科 岸邊 美幸
03.皮弁①基礎■皮膚血管解剖領域(アンジオソーム)と穿通枝の臨床血行領域―皮弁血行理論とデザインの進歩―/埼玉医科大学総合医療センター形成外科・美容外科 三鍋 俊春
04.皮弁②臨床■穿通枝皮弁が登場する前夜における皮弁血行分類の決定版/徳島大学大学院医歯薬学研究部形成外科学 橋本 一郎
05.顔面骨骨折①基礎■顔面骨骨折治療におけるバットレス再構成の重要性を提唱/藤田医科大学病院形成外科 奥本 隆行
06.顔面骨骨折②臨床■頬骨骨折へのGillies-Kilner アプローチ/兵庫医科大学形成外科 西本 聡
07.クラニオ①基礎■頭蓋縫合早期癒合症の形態形成メカニズムの一仮説―頭蓋縫合早期癒合症の真実をつかむのは誰か―/慶應義塾大学医学部形成外科 坂本 好昭
08.クラニオ②臨床■Craniofacial surgery の合併症に対する分析―8,101 例の解析―/大阪市立総合医療センター形成外科 今井 啓介
09.顎変形①基礎■下顎枝を矢状分割する本術式は下顎骨変形に適応できる優れた術式として下顎骨骨切り術の原点となった/東京慈恵会医科大学形成外科学講座 宮脇 剛司
10.顎変形②臨床■もう1 つの矢状分割骨切り術変法―short split 法―/金沢医科大学形成外科 山下 昌信
11.口唇裂■Rotation-advancement 法ひらめきの瞬間―うたた寝から目が覚めたら片側唇裂の写真が斜めに―/昭和大学 土佐 泰祥
12.口蓋裂■Z形成を表裏で逆方向に行うと何ができるのか?/信州大学医学部形成再建外科学教室 杠 俊介
13.頭頸部再建①上顎■再建外科の共通言語は欠損から―多すぎる上顎欠損分類―/埼玉医科大学国際医療センター形成外科 去川 俊二
14.頭頸部再建②下顎■腓骨皮弁は下顎再建に用いられるまで,なぜ14 年を要したのか?/がん・感染症センター都立駒込病院形成再建外科 寺尾 保信
15.頭頸部再建③下咽頭・頸部食道■世界初の遊離空腸移植―動物実験からFirst in Human に至るまで―/岩手医科大学形成外科 櫻庭 実
16.四肢の再建■不自由な皮弁―cross-leg flap―/浜松医科大学形成外科 中川 雅裕
17.乳房再建①インプラント■エキスパンダーとインプラントによる乳房再建の原典―40 年前にすべての要点を記述―/聖マリアンナ医科大学形成外科 梶川 明義
18.乳房再建②皮弁■横軸腹直筋(TRAM)皮弁のzone 分類―真の開発者は誰か―/大阪大学医学部形成外科 冨田 興一
19.乳房再建③脂肪注入■乳房への脂肪注入移植術の安全性と有効性/亀田総合病院乳腺科 淺野 裕子
20.マイクロサージャリー①血管■手術用顕微鏡がなかった時代の腸管移植/東京女子医科大学形成外科 櫻井 裕之
21.マイクロサージャリー②神経■現代における端側神経縫合の黎明/名古屋大学大学院医学系研究科形成外科学 橋川 和信
22.眼瞼①先天異常■Hotz法・Hotz変法とは何か?―140年の時をくぐり抜けた術式―/東北医科薬科大学形成外科学 権太 浩一 ほか
23.眼瞼②後天性疾患■眼表面の環境整備を考慮した眼瞼手術/和歌山県立医科大学形成外科 朝村 真一
24.眼窩(義眼床)■無眼球眼窩に対して肋軟骨インプラントによる義眼台再建の有効性を最初に示した/大阪市立大学形成外科 元村 尚嗣
25.耳介①小耳症■小耳症に対する肋軟骨移植術はここから始まった/札幌医科大学形成外科 四ツ柳高敏
26.耳介②再建■耳介再建における側頭頭頂筋膜弁の優れた汎用性と応用性,そして信頼性/福島県立医科大学形成外科学講座 小山 明彦
27.外鼻(再建)■前額皮弁による外鼻再建/久留米大学医学部形成外科・顎顔面外科 力丸 英明
28.胸部(漏斗胸)■漏斗胸に対する低侵襲手術の発見―切開を最小限にする革新的アイディア―/香川大学形成外科 永竿 智久
29.手外科①先天異常■母指多指症―Wassel 分類のルーツ―/金沢医科大学形成外科 島田 賢一
30.手外科②変性疾患■PIP 関節内骨折に対する合理的かつ最も単純で安価な創外固定器の発明―鈴木の鋼線とラバーバンドによる関節牽引システム―/京都大学大学院医学研究科形成外科学講座 齊藤 晋
31.手外科③切断指■奈良から世界初の母指完全切断再接着の成功例に至る物語/近畿大学医学部形成外科 楠原 廣久
32.下肢① CLI-1■重症下肢虚血の治療における血行再建におけるコンセプト―血行再建は,直接灌流か非直接灌流のどちらを行うべきか―/杏林大学医学部形成外科 大浦 紀彦
33.下肢① CLI-2■血行再建医師と下肢難治性創傷を担う創傷外科医には一読必須の論文/神戸大学大学院医学研究科形成外科学 寺師 浩人
34.下肢② DM■“The Gift of Pain”―痛みとは,神から送られた贈り物である―/佐賀大学医学部形成外科 上村 哲司
35.皮膚腫瘍①皮膚良性腫瘍■BRAF 遺伝子変異を生じているにもかかわらず,色素性母斑は何十年もの間おとなしくしている/奈良県立医科大学附属病院形成外科 桑原 理充
36.皮膚腫瘍②皮膚悪性腫瘍■新薬の開発が悪性黒色腫の外科的治療戦略に大きな変革をもたらしている/大分大学医学部附属病院形成外科 清水 史明
37.母斑①色素性母斑■ホクロから悪性黒色腫は発生するのか?―皮膚病理の巨匠の見解―/愛媛大学医学部附属病院形成外科 中岡 啓喜
38.母斑②レーザー治療■皮膚の光学特性/東海大学医学部外科学系形成外科学 河野 太郎
39.血管腫・血管奇形■乳児血管腫に対するプロプラノロールを用いた薬物療法の発見/杏林大学医学部形成外科 尾崎 峰
40.ケロイド■100 年以上前の顔と手のケロイド治療/日本医科大学形成外科 小川 令
41.瘢痕■Z 形成術―150 年以上に渡り世界中で使用されている局所皮弁―/大阪赤十字病院形成外科 山𦚰 聖子
42.顔面神経麻痺①基礎■顔面神経麻痺再建の発展に大きく寄与した端側神経縫合法の原点―無効とされていた術式の有用性を基礎実験で証明し固定概念を覆した―/順天堂大学医学部附属浦安病院形成外科・再建外科 林 礼人
43.顔面神経麻痺②臨床■世界初の神経血管柄付き遊離筋肉移植術を利用した「笑いの表情」再建―世界初の神経血管柄付き遊離筋肉移植術の臨床成功例となった3つのポイント―/東京歯科大学市川総合病院形成外科 田中 一郎
44.熱傷■自家培養表皮移植黎明期の金字塔/日本大学医学部形成外科 副島 一孝
45.創傷治癒■創傷治療に革命を起こした技術開発/順天堂大学医学部形成外科学講座 田中 里佳
46.リンパ浮腫■臨床においてリンパ管移植術後の吻合部開存を画像的に明らかにした最初の文献―スーパーマイクロサージャリーの先駆けで自身の手術結果を客観的に評価する重要性を学んだ―/横浜市立大学形成外科学教室 前川 二郎
47.GID■日本国内におけるGIDの診断と治療の進め方/岡山大学病院ジェンダーセンター 難波祐三郎
48.再生医療①軟骨■Tissue engineering―工学と細胞の融合―/Yanaga CLinic & 組織再生研究所 矢永 博子
49.再生医療②脂肪■脂肪組織幹細胞発見のきっかけとなった歴史的発見―物事の現象を忠実に捉えて見逃さないことの重要性―/順天堂大学医学部形成外科学講座 水野 博司
50.シミュレーションIT・AI■クラニオフェイシャルサージャリーにおける三次元評価/日本医科大学千葉北総病院形成外科 秋元 正宇
❷美容外科・美容医療エキスパート別の推薦論文16選
01.ケミカルピーリング■日本で再ブレイクしたケミカルピーリング―AHA を使用したピーリング―/湘南藤沢形成外科クリニックR 山下 理絵
02.レーザー治療■レーザーを用いた美容医療が一般化するきっかけを作った/みやた形成外科・皮ふクリニック 宮田 成章
03.美容機器■RF 治療器の効果と安全性を光顕ならび電顕の組織学的検討で証明―世界初のRF 皮膚美容治療器サーマクールの初期研究―/クロスクリニック銀座 石川 浩一
04.フィラー注入療法■フィラー注入において最も留意すべき解剖学的危険エリア―最大限に患者の安全を確保せよ―/BR CLINIC GINZA 野本 俊一
05.ボトックス(顔面)■目を見れば判る(@_◉)/南平台緒方クリニック 緒方 寿夫
06.脂肪吸引術■脂肪吸引の大転換期となったトゥメセント方式/プラザ形成外科・東京女子医科大学形成外科 クレ カツヒロ
07.フェイスリフト■生涯にわたり顔面の若返りを追い続けた美容外科医―アメリカのフェイスリフトの歴史―/牧野美容クリニック・牧野皮膚科形成外科内科医院 牧野 太郎
08.スレッドリフト■糸に棘をつけて引き上げるという発想はここから生まれた/ドクタースパ・クリニック 鈴木 芳郎
09.上眼瞼■眼瞼下垂の腱膜手術/蘇春堂形成外科 野平久仁彦
10.下眼瞼■Hamra 法として知られる目のクマに対する手術のオリジナルであるLoeb の論文/帝京大学形成・口腔顎顔面外科学講座 小室 裕造
11.隆鼻術■アジア人における複合隆鼻術―自家組織移植による鼻背部augmentation と鼻中隔延長術―/リッツ美容外科東京院 広比 利次
12.斜鼻・整鼻術■鼻尖形成に構造力学的アプローチをもたらした/リラ・クラニオフェイシャル・クリニック 菅原 康志
13.顔面輪郭形成術■東洋人における美容外科の特徴と側貌改善の新たな取り組み/クリニカ市ヶ谷 倉片 優
14.植毛■植毛術の歴史―パンチグラフトの始祖は日本人だった―/北里大学病院形成外科・美容外科 武田 啓
15.乳房増大術■脂肪注入は混迷を極める乳房増大材料の真打ちとなるか?/神戸大学医学部附属病院美容外科 原岡 剛一
16.腋臭症・多汗症手術■腋臭症のABCC11 遺伝子研究のルーツ/こまちクリニック 土井 秀明
❸次世代の形成外科医たちが薦める論文47選
■現在に至る血管柄付き遊離腓骨皮弁の発展に先鞭をつけた画期的論文―Septocutaneous branch の発見と臨床応用が腓骨皮弁の適応を拡大させる契機となった―/徳島大学大学院医歯薬学研究部形成外科学 安倍 吉郎
■研究も臨床も多職種一丸で―bench and bedside proceed together―/慶應義塾大学医学部形成外科 荒牧 典子
■もっと「自由」な遊離皮弁へ―皮弁における固定観念からの解放―/東京大学形成外科 飯田 拓也
■鼻部再建に必須な双葉皮弁の完成―今なおスタンダードな皮弁デザインとその応用―/湘南藤沢徳洲会病院形成外科 飯田 直成
■小児頭部CT 撮影に潜むリスク―低線量被爆をどう考えるか―/東北大学医学系研究科形成外科学分野 今井 啓道
■皮膚領域へのレーザーの応用―レーザー治療の父Goldman 博士の観察眼―/大城クリニック 大城 貴史
■複合組織移植術(composite graft)の生着機序の探求/杏林大学医学部形成外科 尾崎 峰
■世界中に急速に浸透したプロペラ皮弁―誰もが理解できるネーミングと,誰もができる術式の開発―/日本医科大学形成外科 小野 真平
■脂肪幹細胞の発見と分子生物学的解析/関西医科大学形成外科学講座 覚道奈津子
■漏斗胸手術に革命をもたらしたパイオニア/岐阜大学医学部附属病院形成外科 加藤 久和
■SMAS の正体―“科学的に説明する”とは?―/兵庫医科大学形成外科 河合建一郎
■1980 年に発表された手指再建における画期的な論文の1 つ―wrap-around flap―/近畿大学医学部形成外科 楠原 廣久
■遊離皮弁を頭頸部再建の標準治療にしたレジェンドたちの移植成績/大阪国際がんセンター形成外科 栗田 智之
■ヒト皮膚の伸縮特性は方向により異なるため,円形の創は楕円となる―ランガー線の発見―/京都大学大学院医学研究科形成外科学講座 齊藤 晋
■Pernkopf Anatomy―その解剖書,善か悪か―/慶應義塾大学医学部形成外科 坂本 好昭
■婦人科美容・形成術はどの科が担うべきか!?―小陰唇縮小術が初めて形成外科のトップ誌に掲載された記念すべき論文―/ルーチェクリニック銀座 佐野 仁美
■時代を先取りしすぎた日本発上顎再建後修正術/埼玉医科大学国際医療センター形成外科 去川 俊二
■指ブロックにおけるエピネフリンの使用―常識を疑う―/帝京大学医学部附属溝口病院形成外科 菅 浩隆
■末梢神経再生におけるシュワン細胞ガイドシステム機序の新たな知見/京都府立医科大学形成外科 素輪 善弘
■非症候群性頭蓋縫合早期癒合症に対する低侵襲手術―読めばクラニオ手術へのイメージが大きく変わります―/福岡大学形成外科 髙木 誠司
■複雑を単純に―機能温存を目的としたわかりやすい上顎再建―/山口大学医学部附属病院形成外科 髙須 啓之
■20年の研究を経て,万難を排して臨んだ米国初の顔面移植臨床例/愛知県がんセンター病院形成外科 高成 啓介
■血管再生治療の原点―世界ではじめて血管内皮前駆細胞を発見―/順天堂大学医学部形成外科学講座 田中 里佳
■CLI治療における創傷治療医と血行再建医との共通言語―angiosome concept―/新須磨病院形成外科・創傷治療センター 辻 依子
■Z形成術の起源と変遷/大阪市立大学大学院医学研究科形成外科学 出口 綾香
■最初の腹部皮弁による乳房再建はDIEP flap を目指していた!/がん・感染症センター都立駒込病院形成再建外科 寺尾 保信
■ヒト脂肪組織由来幹細胞の発見―形成外科における再生医療の夜明け―/帝京大学医学部形成・口腔顎顔面外科 堂後 京子
■現在にも通じる小耳症再建の魁―「美しい耳」には先人の智慧と技術がつまっている―/仙台医療センター形成外科・手外科,東北ハンドサージャリーセンター 鳥谷部荘八
■真皮に多能性細胞が存在することの発見/山手皮フ・形成外科クリニック 内藤 素子
■皮弁デザインの可能性を広げるdelay―angiosome に基づいた検討―/大阪医科薬科大学形成外科 塗 隆志
■血管奇形の血行動態評価―病態の本質を見抜く―/神戸大学大学院医学研究科形成外科学 野村 正
■自身を対象にした脳の可塑性の克明な記録/名古屋大学大学院医学系研究科形成外科学 橋川 和信
■ヒト咬傷による破傷風死亡例の初報告/島根大学医学部附属病院形成外科 林田 健志
■世界初の穿通枝皮弁の報告/国立がん研究センター東病院形成外科 東野 琢也
■進化心理学的観点から考える形成外科の道標―二重瞼,高い鼻,大きい乳房も遺伝的適応度を示す指標なのか?―/関西医科大学形成外科 日原 正勝
■後大腿皮弁をよく理解しうまく使いこなすために/山形大学医学部附属病院形成外科 福田 憲翁
■神経端側縫合の起点/兵庫医科大学形成外科 藤原 敏宏
■Figure で魅せる口蓋形成術/北海道大学大学院医学研究院形成外科学教室 前田 拓
■形成外科医 男性と女性,若手とベテラン どちらが優れてる?/群馬大学医学部附属病院形成外科 牧口 貴哉
■世界で初めての遊離筋肉移植による顔面神経麻痺動的再建/東京女子医科大学形成外科 松峯 元
■世界初の遊離深下腹壁動脈穿通枝皮弁による乳房再建術―十分な基礎研究により安全性が吟味された上で行われたチャレンジ―/がん研有明病院形成外科 宮下 宏紀
■カリスマ再建外科医が遺した「動脈端側吻合神話」の実像/東京大学形成外科 宮本 慎平
■小さな侵襲で成長を導く/近畿大学医学部形成外科 諸富 公昭
■遊離腓骨皮弁による上顎再建/鳥取大学形成外科 八木俊路朗
■混沌からの秩序/金沢医科大学形成外科 山下 昌信
■即応―大胸筋皮弁術―/大阪赤十字病院形成外科 山𦚰 聖子
■神経血管柄付き遊離筋肉移植術により笑いを取り戻す!―形成美容外科にまったく新しい治療ジャンルを拓く―/東京警察病院形成外科・美容外科 渡辺 頼勝
Chapter.2 私の人生を変えた1論文43選
■マイクロサージャリーによる顔面神経機能再建への挑戦/獨協医科大学形成外科 朝戸 裕貴
■母指を再建する整容的および機能的に優れた画期的な皮弁/大阪医科薬科大学形成外科 上田 晃一
■外鼻再建に注ぐ情熱―サブユニット原理とその根本にある概念―/弘前大学形成外科 漆舘 聡志
■採取部位で目的の形を作ってから移植するプレハブ皮弁(プレラミネート皮弁)の歴史的論文/日本医科大学形成外科 小川 令
■顔面骨領域において初めて骨延長術を臨床応用し成功―骨移植せず,骨量を増大し,変形を改善―/藤田医科大学病院形成外科 奥本 隆行
■今もって驚愕の美しさ―Modern craniofacial surgery の父,Paul Tessier の革命―/福島県立医科大学形成外科学講座 小山 明彦
■アレンテストとそれを考案したE.V. Allen 博士/聖マリアンナ医科大学形成外科 梶川 明義
■世界最小(?)のsuperthin SCIP flap 移植術/九州大学病院形成外科 門田 英輝
■私の人生を変えた内視鏡下組織採取/名古屋大学医学部形成外科 亀井 譲
■皮膚再生を引き起こす決定的因子の発見/慶應義塾大学医学部形成外科 貴志 和生
■常識を覆し真実に至る研究―抗体の多様性はDNA が動くこと,すなわち体細胞の遺伝子再構築で生じる現象だった―/防衛医科大学校形成外科 清澤 智晴
■血管吻合で頻用される内頸静脈の閉塞に関して本邦で初めて警鐘を鳴らした/大阪大学医学部形成外科 久保 盾貴
■形成外科医になりたい/奈良県立医科大学附属病院形成外科 桑原 理充
■下肢の脚延長で行われていた骨延長術を頭蓋顎顔面外科領域に導入した論文/帝京大学形成・口腔顎顔面外科学講座 小室 裕造
■核移植による体細胞のリプログラミング―全能性再獲得のメカニズムから探る細胞分化の謎―/東北医科薬科大学形成外科学 権太 浩一
■ボストン,ココナッツ・グローブナイトクラブ大火災/東京女子医科大学形成外科 櫻井 裕之
■本邦に遊離空腸移植を根付かせた再建外科手術における比較研究/岩手医科大学形成外科 櫻庭 実
■Free flap による乳房再建の歴史は日本から―採取部も殿部が腹部より早かった―/富山大学学術研究部医学系形成再建外科・美容外科 佐武 利彦
■一施設の報告が再建手術の世界的スタンダードを作る/大分大学医学部附属病院形成外科 清水 史明
■形成外科医としてNoma を知ろう/琉球大学病院形成外科 清水 雄介
■華々しい培養表皮開発の陰で繰り広げられた人工真皮開発の苦闘/日本大学医学部形成外科 副島 一孝
■医学雑誌とは学問における戦いの場である/杏林大学形成外科 多久嶋亮彦
■世界初の遊離植皮の成功―現在につながる第一歩―/長崎大学医学部形成外科 田中 克己
■論文投稿後に学会発表する術/神戸大学大学院医学研究科形成外科学 寺師 浩人
■脂肪細胞の分化に関する3つの“Good Question”―問いで始まる脂肪細胞のサイエンス―/名古屋市立大学形成外科 鳥山 和宏
■“Putting it all together“ による両側唇裂の手術/福井大学医学部附属病院形成外科 中井 國博
■頭頸部再建のスタンダードとなった穿通枝皮弁/浜松医科大学形成外科 中川 雅裕
■世界初のtemporary ectopic implantation の成功例報告/三重大学大学院医学系研究科形成外科学 成島 三長
■動脈と静脈のどちらがより組織血流に重要か?/京都府立医科大学形成外科 沼尻 敏明
■内陰部動脈穿通枝皮弁の研究のきっかけとなった蓮の花びら皮弁/徳島大学大学院医歯薬学研究部形成外科学 橋本 一郎
■皮弁(flap)の多様性を予見させる血行解剖の金字塔/東邦大学医療センター佐倉病院形成外科 林 明照
■新しい術式が生まれる時―大先輩からのメッセージ―/愛知医科大学形成外科 古川 洋志
■私がリンパ外科を志すきっかけとなった論文/横浜市立大学形成外科学教室 前川 二郎
■霊長類の進化で見られるインボルクリン遺伝子の変異―分子生物学で解き明かされる進化論―/国際医療福祉大学医学部形成外科学 松﨑 恭一
■「ループ型」神経移植―顔面神経再建専用? の神経移植術式の開発―/新潟大学大学院医歯学総合研究科形成外科 松田 健
■二層性人工真皮の広範囲熱傷10 症例に対する臨床使用の成績/東京医科大学形成外科学分野 松村 一
■衝撃とともに私を再生医学研究の道へと誘ってくれた1編―形成外科医にとっての新たな研究フィールドの展開―/順天堂大学医学部形成外科学講座 水野 博司
■頭蓋顔面領域における世界初の骨延長術の臨床報告―頭蓋顔面領域の膜性骨に対する骨延長術―/千葉大学大学院医学研究院形成外科学 三川 信之
■仮骨延長法の原点/東京慈恵会医科大学形成外科学講座 宮脇 剛司
■顎顔面外科骨折治療における大原則である中顔面buttress という概念を腫瘍切除後の上顎再建に流用した画期的な論文/大阪市立大学形成外科 元村 尚嗣
■穿通枝皮弁の第一人者Blondeel が行った腹部皮弁での乳房知覚再建/東京医科歯科大学形成・再建外科学分野 森 弘樹
■きれいなキューピット弓を作りたい―White skin roll はなぜ白い? 口紅が乗る赤唇って粘膜?―/信州大学医学部形成再建外科学教室 杠 俊介
■ヒト型の耳介がマウスの背中に生えた写真は,世界中に衝撃を与えた/札幌医科大学形成外科 四ツ柳高敏
Chapter.3 医師人生のための教養論文10選+α
❶読んでみたい歴史的論文10選
■抗体の多様性の生成メカニズム―複数の抗体遺伝子断片の無作為の選択・組み換えによる再編成―/東北医科薬科大学形成外科学 権太 浩一
■DNA の二重らせん構造の発見―若き科学者たちの2 頁足らずの論文による世紀の偉業と科学者たちの確執―/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
■ペニシリンの発見―自然治癒力を信じる元軍医が導いた抗生剤の世紀の扉―/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
■X 線の発見―第1 回ノーベル物理学賞受賞者は信義に背いたのか?―/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
■インスリンの発見―的外れな実験をしゃにむに推し進めた若者達に微笑んだ幸運の女神―/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
■アドレナリンの発見―北陸が生んだ稀代の実務型研究者の発見した世界初のホルモンの名称は混乱している―/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
■ジョー・マレーの腎移植―臓器移植の扉は形成外科医が開いた―/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
■キュリー夫人とラジウム―原子の時代の嚆矢となった女性初のノーベル賞受賞者は戦い続けた―/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
■iPS 細胞―細胞分化のパラダイムシフトは医療を変えるか?―/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
■太平洋を跨いだ遊離皮弁の先陣争い―真の勝者は誰か―/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
❷読んでみたい「1冊」12選
『The Arterial Anatomy of Skin Flaps』Cormack GC■皮膚科形成外科診療班時代の心の拠り所になった1冊/産業医科大学病院形成外科 安田 浩
『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』ウェンディ・ムーア■医聖のメンタリティーを学ぼう/南平台緒方クリニック 緒方 寿夫
『海と毒薬』遠藤周作■戦争の狂気は医学にも及ぶが,医学に及ぶ狂気の原因は戦争だけではない/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
『最後の診断』アーサー・ヘイリー■医療の現場はヒーロー,ヒロイン,ヒールに事欠かない/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
『赤ひげ診療譚』山本周五郎■医療は社会正義の上にあるべし/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
「高瀬舟」(『山椒大夫・高瀬舟』)森 鴎外■高級官僚でもある博学の軍医が伝えたかったものは/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
『白い巨塔』山崎豊子■財前五郎はわれわれ自身でもある/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
『華岡青洲の妻』有吉佐和子■嫁姑の命を賭した意地の張り合いの結末や如何に/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
『白い航跡』吉村 昭■多くの人が傷つき亡くなる戦争が使命感を抱かせ医療を進歩させる/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
『肝臓先生』坂口安吾■献身的な迷医は名医に見える/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
『いのちの初夜』北條民雄■生きるとは,命とは/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
『顔面麻痺』ビートたけし■エンターテイメントの天才が形成外科医の手にかかる/兵庫医科大学形成外科 垣淵 正男
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書籍情報
- ISBN:9784014106413
- ページ数:200頁
- 書籍発行日:2021年6月
- 電子版発売日:2021年7月10日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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