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- 代謝にターボをかける生き方【ヴィジ医師のライフスタイル医学入門】
商品情報
内容
ライフスタイル医学は、菜食・低脂肪食による食事指導、運動療法、瞑想などの精神療法などによって病気の原因を改善し、患者さん自身の代謝によって健康を獲得することを支援します。
本書では1食事2運動3睡眠4嗜好5メンタルヘルス6社会的つながりというライフスタイル医学の6つの柱をエビデンスにしっかり基づきながら、学術的な説明のみならず食事のレシピまで含めて、具体的にコンパクトにわかりやすく解説しています。医師、看護師、薬剤師、栄養士、心理療法士、理学療法士など、患者さんの日常生活習慣を改善させるためのライフスタイル医学入門書として必携の一冊です。
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序文
訳者 日本ライフスタイル医学会(JSLM)ご挨拶
新型コロナウイルスのパンデミックが全世界を席捲しています。ただ、実はそれ以前から、動脈硬化性疾患、糖尿病、がんなどの非感染性疾患(non—communicable disease:NCD)のパンデミックは、それに勝るとも劣らぬ勢いで全世界に広がっていました。
そうしたNCD のパンデミックに対峙して、対症療法ではなく原因療法で立ち向かおうという世界的な流れも加速しています。原因とは、病気の原因となったライフスタイルのことです。American College of Lifestyle Medicine(ACLM:米国ライフスタイル医学会)もそうした世界的な潮流のなかで発足しました。
原因療法は水道の蛇口に例えられます。バーキット博士はアフリカで診療をし、有名なバーキットリンパ腫を発見したのですが、それ以外にも食物繊維を大量に食べるアフリカ人の間に欧米でみられるようながんや心臓病が極端に少ないことを発見しました。そうした病気が、本書で「災害を招くレシピ」と指摘している欧米的な食事による生活習慣病であり、予防可能であることを看破したのです。そして、現代医療を「水道の蛇口を締めずに床を拭くこと」に例える有名な比喩が生まれました。彼は「水道の水で床が浸水した場合、蛇口を閉めない限り、床を拭き取っても役に立たない。蛇口からの水は病気の原因を表し、浸水した床は私たちの病院のベッドを満床にする。医学生は、蛇口を締めることよりも床を拭く方法についてはるかに多くを学び、モップとブラシの専門家である医師は、蛇口を締めることに専念している医師よりもはるかに多くを稼ぐことができる」と1982 年の論文※で警告しています。
残念ながら、床を拭く名人が現代医療ではスーパードクターと呼ばれています。反対に本書の著者であるヴィジ医師は、さしずめ水道の蛇口を締める名人と言えるでしょう。
ライフスタイル医学ではITLC(intensive therapeutic lifestyle change:集中治療的ライフスタイル変更)によって数多くの成果が生まれています。前述のACLM では、ライフスタイル医学が取り組む6 つの柱として、「食事、運動、睡眠、嗜好、メンタルヘルス、社会的つながり」を挙げています。ITLC では、これらの側面から、医師、看護師、薬剤師、栄養士、心理療法士、健康管理コーチ、理学療法士、などの専門家チームが包括的、集中的、集団的、継続的に患者さんのライフスタイルに介入します。
ライフスタイル医学の奔流の背景にあるのは、本書でも紹介されているような、ライフスタイル医学の有効性を示すエビデンスの集積です。ITLC によって、NCD が改善を通り越して、薬物治療や外科的治療が不要になるほどに「逆転」するという事例が多く報告されるようになりました。そのなかには、食事指導により2 型糖尿病が薬物療法不要になるまで治癒したり、うつ病に対する有酸素運動が薬物治療と同等の効果があるというようなエビデンスもあります。また、クリントン元米国大統領の主治医だったオーニッシュ医師のクリニックでは菜食・低脂肪食による食事指導、運動療法、瞑想などの精神療法、グループカウンセリングなどを集中的、継続的に行い、硬化した心臓病の冠動脈を元の平滑な状態に戻したり、長寿につながる染色体のテロメアを伸ばしたり、前立腺がんの患者の遺伝子の発現を抑制するなどの成果を出しています。このようにライフスタイル医学の隆盛の背景には、「健康への武器としての科学的エビデンス」の集積があるのです。
ここで少し、ライフスタイル医学についていくつか補足しておきます。
第一に、ライフスタイル医学は反医学ではありません。現代医学を否定するものではなく、むしろその弱点を補完するものです。しかし、ライフスタイル医学は現代医学の単なる補助ではありません。刺し身のツマではないのです。ライフスタイル医学は本来、医学の本流であるべきです。前述のACLM は、「対症療法の結果、高額で大量の薬物療法と外科療法がいまだに唯一の選択肢である状況に対峙し、国内および全世界でライフスタイル医学が治療の第一選択となることを促進する」ことを目標に掲げています。
第二に、ライフスタイル医学は反科学ではなく、その対極にあるものです。分野としては栄養学、代謝学、病態生理学、大脳生理学、心理学、社会心理学、運動生理学などの科学的立場に立つ学問です。ライフスタイルが健康に与える影響について、あくまで臨床研究、介入研究、疫学研究、動物実験などのデータに基づき統計的有意性と再現性が検証されているエビデンスを重視します。統合医療、代替医療、臨床知のなかにはいずれエビデンスに発展する手法がありえますし、それ自体を否定するものではありませんが、科学的なデータで効果が検証されていない手法は、ライフスタイル医学では中心戦略として採用していません。また、ヴィーガニズムなどの特定の思想に基づくものでもありません。
第三に、ライフスタイル医学は患者さんが健康の主体者となることを支援します。患者さんの健康自己コントロール権を保障する医学なのです。伝統的な医療では、疾患の原因となったライフスタイルはそのままなので、永続的な薬物治療や外科治療が不可避です。ともすれば現代医療は患者さんを無力な存在に位置づけてしまい、医療機関や医療従事者に依存させ、患者さんが自分の健康を自分自身でコントロールする力を奪ってしまいます。ライフスタイル医学では、患者さん自身が自分を健康にする習慣を獲得することで最終的にはこの依存から離脱できます。
第四に、ライフスタイル医学は、本書でも再三強調されているように、患者さんの個別性を否定するものではありません。すべての人に有効な画一的なライフスタイルはないと考えています。いずれ、本人の病状や体質に合わせたオーダーメイドのライフスタイル医療が整備されていくことと思います。
私たち、日本ライフスタイル医学会(Japanese Society of Lifestyle Medicine:JSLM)は、ACLM の姉妹学会として、米国のライフスタイル医学系の学会に集まった日本の医療従事者を中心に2015 年より準備が始まり、2018 年に結成されました。JSLM は医師、歯科医、薬剤師、医療教育者、医療リサーチャー、公衆衛生専門家、看護師、栄養士、ソーシャルワーカー、理学療法士、臨床心理士、ヘルスコーチ、医療政策にかかわる専門家等、幅広い分野の専門家の結集を目指しています。現在、全国学会の開催、専門医制度の整備に向けて努力しています。将来的には日本独自のライフスタイル医学のエビデンスを研究、発見、創造していきたいと考えています。
日本にライフスタイル医学の考え方を広く普及したいとJSLM が考えているとき、本書『代謝にターボをかける生き方』に出会いました。本書はライフスタイル医学の、食事、運動、睡眠、嗜好、メンタルヘルス、社会的つながりの6 つの柱のうち、嗜好以外のほとんどを網羅し、コンパクトにわかりやすく解説しています。エビデンスにしっかり基づきながら、学術的な説明のみならず食事のレシピまで含めて、ライフスタイルを変える方法が具体的に紹介されていて非常に実践的です。また、ユーモアと愛情にあふれ、著者の温かい人柄がにじみ出ていて、エビデンスに基づいた本にありがちな理論だけの冷たい感じがありません。一方で、著者のアイデンティティでもあるインド医学の考え方も紹介していて、本書に奥行きを与えています。深い人生書であり哲学書でもある本書は、じっくり読むほどに深い学びと気づきと生きる知恵が得られ、実に味わい深い本です。本書はライフスタイル医学の入門書として非常に優れており、本書によってライフスタイル医学の真髄が習得できると確信しています。
私たちは今回、『代謝にターボをかける生き方』を翻訳し、日本の皆さんにご紹介できることをたいへん嬉しく思っています。
※ Burkitt DP. Western diseases and their emergence related to diet. S Afr Med J 61(26):1013—1015, 1982.
JSLM『代謝にターボをかける生き方』翻訳チーム一同(順不同、敬称略)
高木 篤(監訳) 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・財団評議員
日本内科学会総合内科専門医(名古屋)
白井珠美 University California San Diego, Radiology, School of Medicine 博士研究員(サンディエゴ、カリフォルニア)
宮本京介 The Queen’s Medical Center 内科医(ホノルル)
山瀬 綾 皮膚科医(シンガポール)
寺尾奈歩子 愛媛大学大学院医学系研究科看護学専攻 基盤・実践看護学講座
木村典世 アドベンチストメディカルセンター内科(沖縄)
水上 治(監修) 健康増進クリニック院長 (東京)
免責事項
本書の内容は、JSLM が完全に推奨するものではありません。また、ライフスタイルが疾患に及ぼす影響については個別性があり、すべての人に効果的なライフスタイルはありません。患者さんに指導する場合には十分な説明と同意のうえ、注意深い観察のもとで行ってください。また、ご自分で実施する場合には、現在通院中の方は主治医と相談し、ご自分の体調を十分観察しながら、自己責任のうえ、注意深く行ってください。本書の内容によって、健康に支障をきたしたいかなる場合においても、JSLM は一切の責任を負いません。
なお、著者の注釈は☆で、訳者の注釈は※で示しました。
目次
訳者 日本ライフスタイル医学会(JSLM)ご挨拶
推薦の序
『代謝にターボをかける生き方(原題:Turbo Metabolism)』への賛辞
はじめに なぜ代謝にターボをかけるのか? それは私にとって何なのか?
災害を招くレシピ
あなたの「理由」を見つけましょう
この本の使い方
生きるためのルール
あなたの素晴らしい体
第1 章 メタボリックシンドローム:慢性疾患の根本原因
ターボ代謝
1 型および2 型糖尿病
インスリンの役割
インスリン抵抗性
糖質グレージング、またはHbA1c の重要性
HbA1c 血液検査
ケーススタディ:ジョン
コルチゾールの効果
炎症
過剰な腹部脂肪によるホルモンの不均衡
本当の空腹と渇望の違い
事実か誤りか
ケーススタディ:メアリー
生きるためのルール
第2 章 糖尿病の治療と治癒に向けた全人的なアプローチ
チャクラ:体内のエネルギーの流れ
マズローの欲求段階説
三位一体の脳モデル
あなたのハードウェアとソフトウェアの再配線
事実か誤りか
生きるためのルール
第3 章 スタートするための基礎知識
検査値のベースラインの確立
あなたの旅の準備
ゴミを出す
事実か誤りか
健康のためによい買い物をする
事実か誤りか
食品表示ラベルの解読
あなたが食べるものを追跡し、柔軟性をもちましょう
脳の使い方を考える(悪い習慣を断ちきるために)
習慣ハッキング:設定の最適化
生きるためのルール
第4 章 最適な健康のための最適な栄養
加工食品を避けましょう
植物は食物繊維と豊富なタンパク質を提供します
動物性食品は計画の一部になれます
最適な健康のための最高の食事とは
食事のタイミングと頻度とは?
生きるためのルール
第5 章 生命の原料としての水
あなたの水の必要性
ジャンクウォーターではなく、高品質の水を飲みましょう
水温は重要ですか?
事実か誤りか
生きるためのルール
第6 章 運動の重要な役割
代謝の基礎
定期的な筋力トレーニングによる筋肉量の増加
定期的な運動の利点
事実か誤りか
毎日の運動ルーチンの作成
最低限の基礎:ウォーキング
筋力トレーニング
持久力の発展
4 カ月の運動プログラム
運動の4 つの最大の間違い
より良いトレーニング習慣のための特別なヒント
生きるためのルール
第7章 ストレスをコントロールする
精神的な回復力と意志力
ストレス:良い点と悪い点
知覚されたストレスの有害な影響
ストレス管理のCOOPS モデル
社会的つながり:私たちの目に見えないサポートの構造
回復力を構築する:問題を解決し、感謝の気持ちを表す
事実か誤りか
マインドフルネス
瞑想
3 種類の瞑想
マインドフルな食事
ボディ・インテリジェンス・テクニック(BITS)
食べる際の五感を磨きましょう
感覚のトレーニング:STOP メソッド
あなたのタイプを知り、ストレスを徹底的に和らげる
ケーススタディ:ヴィジェイ
ケーススタディ:ビクトリア
生きるためのルール
第8 章 睡眠:健康に不可欠な要素
睡眠不足と慢性疾患
メラトニンとセロトニン
よく知られている睡眠泥棒
睡眠習慣の改善
ケーススタディ:マーガレット
ケーススタディ:スティーブ
生きるためのルール
第9 章 環境の敵との戦い
環境毒素、汚染物質、防腐剤
環境ワーキンググループが推奨事項を作成しています
ケーススタディ:アンドリュー
生きるためのルール
第10 章 スーパーフードとサプリメント
事実か誤りか
善玉菌、スーパーフード、ターボ代謝
抗炎症作用をもつスパイス
ビタミンとミネラルのサプリメント
生きるためのルール
第11 章 ターボ代謝レシピ
朝ごはん
おやつ
サラダとスープ
インドとアジア
南西部とメキシコ料理
パスタ
野菜の付け合せ
結論
「なぜか」と自問してみましょう
すべてをまとめる
生きるためのルール
付録1 最適な健康のためのヴィジ医師の十戒
付録2 ターボ代謝を実現したい10 の理由
付録3 3 つのレベルの運動プログラム
運動ログ(記録)
運動ログの例
エクササイズレベルⅠ
エクササイズレベルⅡ
エクササイズレベルⅢ
付録4 食品のグリセミック指数
非常に低いGI(<20)
低GI(21 〜55)
中等度GI(56 〜69)
高GI(>70)
謝辞
参考文献
索引
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書籍情報
- ISBN:9784908083655
- ページ数:256頁
- 書籍発行日:2021年6月
- 電子版発売日:2021年7月23日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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