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- 脳性麻痺と周産期合併症/イベントの関連 最新の知見
商品情報
内容
周産期医療の重要なランドマークであり,多様な原因があることが解明されつつある脳性麻痺を取り扱った書籍。
国内外の最新文献とデータに基づいた脳性麻痺の実態解明と予防・治療について,全国の臨床家に広く執筆を依頼し,網羅的に情報を集めた成書であり,定義,疫学,診断はもとより,妊娠中・分娩時・新生児期と時系列のリスク因子・管理までを網羅!
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序文
序文
脳性麻痺は,「受胎から生後4週以内の新生児までの間に生じた,脳の非進行性病変に基づく永続的な,しかし変化しうる運動および姿勢の異常である。その症状は満2歳までに発現し,進行性疾患や一過性運動障害または将来正常化するであろうと思われる運動発達遅延は除外する」と定義されている。周産期医療の発達にもかかわらず,出生1,000に対して「約2」という発生頻度は変わっておらず,この改善は周産期死亡率,妊産婦死亡率のそれらと並び,周産期医療の重要な指標(ベンチマーク)と考えられている。
わが国では,平成21(2009)年から脳性麻痺児に対する経済補償と同時に原因究明と再発防止に関する提言を目的とした「産科医療補償制度」が開始され,すでに令和2(2020)年末までに2,792件の原因分析報告書が作成されてきた。そこには,さまざまな原因が「脳性麻痺」発症につながっていることが明らかにされている。しかしながら,脳性麻痺の大部分は「分娩中の仮死」が主な原因であるという誤った考えが長い間占めていたためか,「原因は多様である」という事実はまだ世間に広く知られるには至っていない。
このように,脳性麻痺の実態解明と予防・治療は周産期分野において非常に注目度の高いトピックでありながら,「脳性麻痺と周産期合併症/イベントとの関連」を記載した参考書はこれまでなかったため,今回,一般臨床家まで含めた多くの医師に有用で,臨床現場において参考となる書籍の刊行を企画した。
本書の内容を概説すると,脳性麻痺の歴史と定義・疫学,産科医療補償制度の概要紹介,臨床診断・画像診断に始まって,妊娠・分娩の時系列に従い,現時点で「脳性麻痺」に関連すると考えられているすべての疾患/イベントを紹介した後,現在試みられている治療法まで網羅した。それぞれの項目において,精力的に取り組んでおられる専門家の方々に執筆をご依頼したところ,快く引き受けていただいた。この場を借りて,厚くお礼を申し上げる次第である。
編集者の企図以上に素晴らしい内容が満載されているので,わが国の産科管理の向上にきっと役立つ参考書となるに違いない。
本書が,周産期(産科,新生児科)専門医のみならず,一般の産婦人科医,小児科医,助産師をはじめ妊娠分娩に携わるすべての方々にご愛読いただければ,編集者一同このうえない喜びである。
令和3(2021)年5月吉日
編集者を代表して
東京医療保健大学臨床教授
松田義雄
目次
推薦の言葉 脳性麻痺発生予防に尽力している諸兄に敬意を表します/木下勝之
推薦の言葉 ~脳性麻痺の総合的理解に向けて~/木村 正
序文/松田義雄
歴史と定義
Ⅰ 総論
脳性麻痺の歴史
近年の脳性麻痺についての疫学的研究
定義
脳性麻痺の分類
胎児心拍数モニタリングと新生児脳症
疫学概論
脳性麻痺の定義
脳性麻痺の発生率
脳性麻痺の「原因」と「リスク因子」
産科医療補償制度再発防止委員会報告書からみた脳性麻痺の原因疾患
産科医療補償制度の現状
産科医療補償制度の現況と課題
脳性麻痺の臨床診断
脳性麻痺の診断
健康診査で脳性麻痺を疑う症状・所見
脳性麻痺の病型
脳性麻痺の重症度
低酸素性虚血性脳症による脳性麻痺の診断
脳性麻痺の原因となりうる周産期脳病変の画像所見
上衣下出血−脳室内出血
低酸素性虚血性脳症
Ⅱ 各論 脳性麻痺と関連する周産期合併症/ イベント
妊娠中
染色体異常
染色体異常の概説
染色体異常を含む遺伝要因と脳性麻痺との関連
染色体異常を含む遺伝要因による脳性麻痺:現状と未来予想
中枢神経系を中心とした形態異常
脳性麻痺との関連
脳室拡大
小頭症
全前脳胞症
滑脳症
裂脳症
孔脳症
水無脳症
サイトメガロウイルス感染症,トキソプラズマ症
診断と問題点
脳性麻痺との関連(病態生理)と現状
予防に向けて
ヘルペス感染症
基礎疾患(周産期合併症)の概説
脳性麻痺と関連付ける病態生理
脳性麻痺における基礎疾患の現状
予防に向けて
多胎妊娠
双胎における周産期合併症
脳性麻痺と関連するMD双胎の病態
双胎間輸血症候群
MD双胎一児死亡
一児発育不全
双胎貧血多血症/急性胎児間血流移動
MD双胎における吻合血管の役割
血流不均衡による脳性麻痺発症のわが国の現状
予防に向けて
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群の概説
脳性麻痺における妊娠高血圧症候群(HDP)の現状
胎児発育不全と胎児機能不全
予防に向けて
切迫早産/前期破水
切迫早産
前期破水
脳性麻痺と関連付ける病態生理
脳性麻痺における基礎疾患の現状
予防に向けて
胎児発育不全/SFD
胎児発育不全/SFDの概説
脳性麻痺と関連付ける病態生理
脳性麻痺における胎児発育不全/SFDの現状
脳性麻痺の予防にむけて
子宮内発症
胎内発症脳性麻痺の概説と病態生理
胎内発症脳性麻痺の現状
予防に向けて
胎動減少
胎動の実際
胎動観察の困難さについて
胎動評価法について
胎動カウントに関するエビデンス
産科医療補償制度を通じて判明した胎動減少に関する知見
胎動に関連した近年の研究成果
妊娠中/分娩時
常位胎盤早期剥離
常位胎盤早期剥離の定義と病態
脳性麻痺と関連した常位胎盤早期剥離の症状
常位胎盤早期剥離の診断
常位胎盤早期剥離の治療・予防
子宮内感染/絨毛膜羊膜炎
子宮内感染/絨毛膜羊膜炎の診断と問題点
脳性麻痺との関連
予防に向けて
胎児母体間輸血症候群
基礎疾患の概説
原因・リスク因子
症状
診断
治療
脳性麻痺と関連する病態
脳性麻痺における基礎疾患の現状および脳性麻痺の予防に向けて
分娩時
臍帯因子(臍帯巻絡・臍帯脱出を含む)
臍帯トラブルの問題点
各種臍帯トラブルの病態生理
臍帯トラブルによる脳性麻痺発生の現状
臍帯異常による脳性麻痺の予防に向けて
分娩時低酸素
分娩時低酸素の概説
脳性麻痺と関連付ける病態生理
分娩中に胎児低酸素を起こしうる病態
予防に向けて
脳性麻痺と関連が深いCTGパターン
子宮収縮薬
Bishopスコアとの関連
分娩誘発/分娩促進の適応
わが国で使用されている子宮収縮薬
病態生理
予防に向けて
補助経腟分娩(クリステレル胎児圧出法を含む)
補助経腟分娩と脳性麻痺
補助経腟分娩の要約
補助経腟分娩の方法
補助経腟分娩後の肩甲難産
補助経腟分娩の新生児合併症,記録の重要性
遷延分娩
遷延分娩/分娩停止の概説
脳性麻痺との関連
母体の呼吸循環不全
呼吸循環不全の概説
慢性的な循環の低下と胎児発育との関連
急性呼吸循環不全と脳性麻痺
羊水塞栓症と脳性麻痺
GAS感染症と脳性麻痺
全脊髄くも膜下麻酔と脳性麻痺
母体が急性呼吸循環不全となった場合
分娩時/新生児期
GBS 感染症
新生児とB群溶血性連鎖球菌感染症
新生児髄膜炎と脳障害発症機序
脳性麻痺の主たる原因がB群溶血性連鎖球菌感染症とされた事例について
早発型B群溶血性連鎖球菌感染症
遅発型B群溶血性連鎖球菌感染症
遅発型B群溶血性連鎖球菌感染症の今後の課題
予防に向けて−遅発型B群溶血性連鎖球菌感染症を防ぐために
新生児仮死
基礎疾患(周産期合併症の概念)
脳性麻痺と関連付ける病態生理
脳性麻痺における基礎疾患の現状
予防に向けて
新生児期
未熟性
脳性麻痺のリスク因子としての未熟性の位置付け
未熟性と脳性麻痺に関する報告
脳性麻痺の病型
未熟性の病態
予防
脳室内出血,脳室周囲白質軟化症
脳室内出血
脳室周囲白質軟化症
脳室内出血,脳室周囲白質軟化症と脳性麻痺
新生児脳梗塞
新生児脳梗塞の概要
脳性麻痺と関連付ける病態生理
脳性麻痺における新生児脳梗塞の現状
予防に向けて
新生児低血糖
新生児低血糖とは
新生児低血糖のリスクファクター
新生児低血糖が神経学的障害を起こすメカニズムについて
新生児低血糖と脳性麻痺の関連について
ビリルビン脳症
診断
症状
脳性麻痺と関連付ける病態生理
脳性麻痺における現状
予防に向けて
乳幼児突発性危急事態(ALTE)
概念
乳幼児突然死症候群
SUPC
ALTE/SUPCの疫学
ALTE/SUPCの原因と予後
対策
Ⅲ 各論 脳性麻痺の予防
新生児低体温療法
新生児低体温療法とは
新生児低体温療法の基礎
新生児低体温療法の適応基準
新生児低体温療法の実際
新生児低体温療法の短期予後
新生児低体温療法の長期予後
早産児低酸素性虚血性脳症に対する新生児低体温療法
新生児低体温療法のオプション拡大
マグネシウムの周産期脳保護作用に関する最新の知見
マグネシウムの脳神経保護作用の現状
脳神経保護目的のマグネシウムの投与方法
マグネシウムの脳神経保護作用の機序
日本からの多施設共同,後方視的研究
臍帯血幹細胞移植のメカニズムと現状
臍帯血幹細胞と再生医療
UC-BSCによる低酸素性虚血性脳症の治療
UC-BSCの治療メカニズム
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書籍情報
- ISBN:9784758321303
- ページ数:264頁
- 書籍発行日:2021年7月
- 電子版発売日:2021年8月6日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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