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臨牀透析 2021 Vol.37 No.9 増刊号 透析患者の消化管疾患 A to Z
- ページ数 : 236頁
- 書籍発行日 : 2021年8月
- 電子版発売日 : 2021年8月18日
商品情報
内容
本増刊号では,消化管疾患を基軸に,透析患者との関連,あるいは非透析患者における病態も含めて幅広く網羅し,多くの消化管を専門とされる先生方にご執筆いただいた.透析患者において,消化管疾患がみられた場合や,そうした疾患が疑われる場合の臨床上の問題点に,本増刊号から解答が得られることを確信している.(序文より)
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序文
序文
本増刊号では,透析患者における消化管疾患を特集した.透析患者において,消化器管疾患を考えることは,複数の点で重要である.すなわち,①生命予後と関連する疾患であるということ,②全身性の疾患で消化管と腎臓の双方に病変を生じる疾患が存在すること,③検査を行う場合に,腎不全の存在を考慮しなければならないこと,④透析患者において高頻度にみられる消化管疾患・合併症が存在することが挙げられる.
生命予後との関連については,日本透析医学会の統計調査にも示されている.表には,同調査の結果で,消化管に関連する疾患による死亡患者数を挙げている1).総計は約1,600人で,全死亡患者数の5%を占める.とくに,透析患者における消化管出血のリスクは高く,不良な生命予後との関連を示す報告もみられる2).さらには,消化管穿孔による死亡リスクが高いこと3),腸管虚血も重要な疾患であり長期的な生命予後とも関連があること4)など,消化管の疾患が,透析患者の予後と深く関連していることが明らかになってきている.

全身疾患も,消化管と腎臓との双方に影響を及ぼす.たとえば,血管炎やアミロイドーシスは,消化管にも病変を生じる一方で,末期腎不全の原因疾患としても重要である.アミロイドーシスは透析開始後も病勢が進行し,同疾患を原疾患とする透析患者では対策が重要である.また血管炎についても,末期腎不全患者では,低率ではあるが,再発のリスクは存在し5),疾患活動性の評価は,透析導入後も継続して求められる.
消化管疾患においても,さまざまな新たな検査・治療が可能となってきている.従来,検索が困難であった小腸病変においても,カプセル内視鏡や小腸バルーン内視鏡は,病変の検索を可能とし,バルーン内視鏡では治療手段も提供されてきている6).消化器疾患領域においては,非常に広く使用されるに至っているこうした新たな手段について,各患者の透析治療に平素携わっている透析医・医療者が十分な知識をもつことは,適切な治療・ケアを提供するうえで必要である.それ以外にも,従来から,消化管の検査としてルチーンで行われてきた,上部消化管・下部消化管内視鏡においても,併用薬に関する注意,あるいは前処置についても,透析患者の特殊性の考慮が必要となる場合も多い.
透析患者において,食欲低下,口腔機能低下症,歯周病は低栄養や消耗に関連する病態の原因となる.また,胃食道逆流症,胃前庭部毛細血管拡張症,虚血性腸炎などもそれぞれ透析患者においてはしばしばみられる合併症として知られている.
本増刊号では,消化管疾患を基軸に,透析患者との関連,あるいは非透析患者における病態も含めて幅広く網羅し,多くの消化管を専門とされる先生方にご執筆いただいた.透析患者において,消化管疾患がみられた場合や,そうした疾患が疑われる場合の臨床上の問題点に,本増刊号から解答が得られることを確信している.
文献・参考URL(2021年7月現在)
1)日本透析医学会:WADDA System ver 2.1(更新日時2021年3月30日).死因詳細,2019年末患者,調査年死亡患者.2021
https://www.jsdt.or.jp/2)Sood, P., Kumar, G., Nanchal, R., et al.:Chronic kidney disease and end-stage renal disease predict higher risk of mortality in patients with primary upper gastrointestinal bleeding. Am. J. Nephrol. 2012;35:216-224
3)Yang, J. Y., Lee, T. C., Montez―Rath, M. E., et al.:Trends in the incidence of intestinal perforation in US dialysis patients(1992-2005). J. Nephrol. 2013;26:281-288
4)Quiroga, B., Verde, E., Abad, S., et al.:Detection of patients at high risk for non-occlusive mesenteric ischemia in hemodialysis. J. Surg. Res. 2013;180:51-55
5)Lionaki, S., Hogan, S. L., Jennette, C. E., et al.:The clinical course of ANCA small-vessel vasculitis on chronic dialysis. Kidney Int. 2009;76:644-651
6)Nakajima, F., Furumatsu, Y., Yurugi, T., et al.:Investigation of small intestinal lesions in dialysis patients using capsule endoscopy. Hemodial. Int. 2019;23:77-80
東京女子医科大学血液浄化療法科
花房 規男
目次
総論
1 食欲低下/磯部 伸介
Ⅰ.診断
Ⅱ.原因
Ⅲ.透析患者の治療
2 悪心・嘔吐 /西野 隆義
Ⅰ.定義,概念
Ⅱ.病態生理および発生機序
Ⅲ.悪心・嘔吐をきたす疾患
Ⅳ.透析患者の悪心・嘔吐へのアプローチ
Ⅴ.悪心・嘔吐へのアプローチ
Ⅵ.随伴症状からみた鑑別診断
3 下痢・便秘/富田 寿彦,三輪 洋人
Ⅰ.下痢
Ⅱ.便秘
Ⅲ.便秘診断
Ⅳ.便秘治療
4 急性腹症/新宅 究典,佐藤 友保,川西 秀樹
Ⅰ.疑うべき疾患と初期対応
Ⅱ.透析患者での病態と原因
Ⅲ.診断
Ⅳ.治療
5 消化管出血 /福原佳代子,緒方 晴彦
Ⅰ.症候・検査
Ⅱ.消化管出血をきたす消化管疾患
6 CT・MRI・超音波検査/和田 慎司,水沼 仁孝
Ⅰ.造影剤の安全使用について
Ⅱ.腎機能の測定
Ⅲ.造影剤投与に関して
Ⅳ.造影剤投与と透析
Ⅴ. 急性副作用発生時の対応:アドレナリン0.3 mg の大腿前外側部筋肉内注射
Ⅵ.各画像の適応と検査の実際
7 上部消化管内視鏡検査と治療/細江 直樹,林 由紀恵,リンピアス神谷研次,高林 馨,緒方 晴彦,金井 隆典
Ⅰ.透析患者の上部消化管異常
Ⅱ.透析患者の上部消化管内視鏡検査
Ⅲ.透析患者の上部消化管内視鏡治療
8 下部消化管内視鏡検査と治療 /水上 博喜,田中 淳一
Ⅰ.注意すべきおもな病態
Ⅱ.下部消化管内視鏡検査の前処置
Ⅲ.生検,内視鏡的治療の観血的処置
9 小腸内視鏡検査と治療 /宮原 晶子,矢野 智則,山本 博徳
Ⅰ.慢性腎不全・透析患者の小腸病変
Ⅱ.小腸内視鏡を用いた出血源精査
Ⅲ.CE を用いた検査の実際
Ⅳ.BAE を用いた検査・治療の実際
Ⅴ.DBE による治療の実際
Ⅵ.CE・BAE 後の対応
10 消化管手術周術期管理/久木田和丘,堀江 卓,小野寺一彦 目黒 順一,米川 元樹,沼澤 理絵
Ⅰ.術前管理
Ⅱ.術後管理
Ⅲ.抗血栓薬の使用
11 栄養療法/加藤 明彦 74
Ⅰ.透析患者における栄養障害の病態
Ⅱ.三大栄養素の代謝異常
Ⅲ.栄養スクリーニング法および栄養評価法
Ⅳ.透析患者に対する栄養補給
12 開腹手術,低侵襲手術/高山 哲郎,阿佐美健吾,熊田 博之,芳賀 泉
Ⅰ.透析患者に対する消化器手術の現状
Ⅱ.透析患者に対する低侵襲手術(腹腔鏡下手術)
Ⅲ.将来展望(ロボット手術)
13 アルゴンプラズマ凝固/小林 卓真,矢野 智則 86
Ⅰ.概念
Ⅱ.原理
Ⅲ.適応病変
各論
1.全消化管にみられる疾患・徴候
1 消化管穿孔/堀 誠司,室谷 典義
2 消化管運動機能異常・吸収不良症候群/眞部 紀明,綾木 麻紀,中村 純 ,藤田 穰,畠 二郎,春間 賢
・消化管運動異常
・吸収不良症候群
3 消化管の感染症/清水 誠治
4 異物誤飲/石川 秀樹
2.全身疾患に伴う疾患
1 消化管アミロイドーシス/池田 修一
2 血管炎/鳥巣 剛弘,川崎 啓祐
・ANCA 関連血管炎
・免疫複合体性小型血管炎
3 消化管リンパ腫/岡田 裕之
3.口腔
1 口腔機能低下症・味覚障害/柏﨑 晴彦
2 歯周病/稲垣 幸司
3 顎骨壊死/岩本 潤
4 口腔内悪性腫瘍/田中 彰
4.食道
1 食道癌/小田島慎也
2 胃食道逆流症/本郷 道夫
3 透析症例における食道・胃静脈瘤/矢崎 康幸,河野 優子,佐藤 雄太
5.胃・十二指腸
1 胃癌 /飛田恵美子,古川 和宏,角嶋 直美 ,古根 聡,中村 正直,藤城 光弘
2 消化性潰瘍・出血 /鎌田 智有
3 胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE) /土生 亜実,恩田 毅,貝瀬 満
4 機能性ディスペプシア /大島 忠之,三輪 洋人
5 Helicobacter pylori感染症/原武 大介,小林 知貴,長澤 佳郎,西澤 欣子,山下 和臣,伊藤 公訓
6 消化管間質腫瘍(GIST)/杉山 敏郎
6.小腸・大腸,肛門
1 イレウス /安達 洋祐
2 非閉塞性腸間膜虚血(NOMI)・虚血性腸炎/鈴木 修司,下田 貢,島崎 二郎,大城 幸雄
・非閉塞性腸間膜虚血(NOMI)
・虚血性腸炎
3 炎症性腸疾患/清原 裕貴,金井 隆典
4 過敏性腸症候群/三澤 昇,高津 智弘,吉原 努,芦苅 圭一,大久保秀則,日暮 琢磨,中島 淳
5 短腸症候群/小山 諭
6 虫垂炎/吉田 篤史
7 大腸癌/服部 優宏,木井 修平,谷山 宣之,佐藤 正法,後藤 順一,高橋 宏明
8 大腸憩室症・憩室炎/ 藤森 俊二,濱窪 亮平,大森 順,貝瀬 満,岩切 勝彦
9 直腸・肛門疾患/福島 慶久,松田 圭二,端山 軍,野澤慶次郎,橋口陽二郎
7.腹腔・腹壁
1 細菌性腹膜炎/安永 親生,吉松 正憲,宮崎 雄幸,吉屋 圭史
2 腹膜播種・癌性腹膜炎/小峯 弓子,吉田俊太郎,藤城 光弘,小池 和彦
3 被囊性腹膜硬化症(EPS)/花房 規男,塚田三佐緒,土谷 健
4 ヘルニア/番匠谷将孝,川西 秀樹
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書籍情報
- ISBN:9784004103709
- ページ数:236頁
- 書籍発行日:2021年8月
- 電子版発売日:2021年8月18日
- 判:B5判
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