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- 明日の運動療法を磨く理学療法プラクティス こだわり抜く関節可動域運動
商品情報
内容
PARTⅠでは関節可動域運動をする前に押さえておくべき基礎知識を,PARTⅡ~Ⅳでは上肢・下肢・体幹における運動器障害に対する関節可動域運動を,PARTⅤでは脳卒中・脳性麻痺に対する関節可動域運動を,PARTⅥでは高齢者の廃用症候群に対する関節可動域運動について解説.関節可動域の改善自体を目的にするのではなく,患者のADL改善・向上を最終目的とした評価および治療の立案・実施を達成するためにどうすべきかが学べる一冊.
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序文
「こだわり抜く関節可動域運動」序文
読者諸氏の皆様に質問します.臨床では理学療法プログラムの中で,しばしば装具療法という言葉を使う機会があるかと思いますが,これは理学療法の1つといえるでしょうか? 実はこれは間違った表現です.1965年に制定された理学療法士及び作業療法士法には,「理学療法とは,身体に障害のある者に対し,主としてその基本動作能力の回復を図るため,治療体操その他の運動を行わせ,及び電気刺激,マッサージ,温熱その他の物理手段を加えることをいう」と定義されています.つまり,理学療法とは,運動療法と物理療法をベースとした治療であり,装具療法は理学療法の範疇(運動療法と物理療法)には入らないのです.そのため,正確にいうと理学療法と装具療法を併用した治療を行っているという表現が適切です.続けて皆様に質問します.運動療法とは具体的にどのようなものがあるか列挙してください.ほとんどの人が,「関節可動域運動」,「筋力増強運動」,「全身持久力運動」,「協調性運動」,「バランス練習」,「リラクセーション」,「機能的動作練習(ADL練習)」などを挙げられるのではないでしょうか.それでは,関節モビライゼーションの体系の1つとしてよく知られるKaltenbornなどの「徒手療法(manual therapy)」と称される治療手技はどうでしょうか? 私の知り合いの徒手療法を専門にされている理学療法士に聞くと運動療法とは別ですと返事をいただきました.しかし,「理学療法学事典」(医学書院)によれば,運動療法に含まれると記載されています.一方,「変形性股関節症診療ガイドライン2016」(南江堂)によれば,第4章 保存療法Clinical Question 3「変形性股関節症に対する物理療法の効果は」の中で,徒手療法の効果が紹介されています.つまり,整形外科医師から見れば,徒手療法は物理療法(人による物理的刺激)の範疇として捉えられていることになります.このように見てみると,普段,臨床で使っている理学療法や運動療法という概念は,便利な言葉であるがゆえに,多用・拡大解釈され,その結果,微妙に捉え方に差が生じている可能性があります.
ゆえに,運動療法を武器に治療展開するわれわれ理学療法士は今一度,日々行っている運動療法の1つひとつを整理・再考し,運動療法を共通認識で捉え直し,知識・技術を深化させることが必要です.そのような観点から,今回1つ目の企画として,関節可動域(range of motion:ROM)運動をテーマに取り上げました.皆様,ROMというと言葉からは,関節を動かすことをイメージされると思います.しかし,英語標記には,関節を意味する「joint」という単語は見当たりません.なぜ,関節可動域(range of joint:ROJ)ではないのでしょうか? そもそも関節可動域測定(ROM-T)とは,何を測定する目的で作られたのでしょうか? そして,ROM運動という運動療法を行うことで目指す所は一体,何なのでしょうか? 根本的な所から見直したいと思います.
本MOOKは,各疾患領域の最前線で活躍している臨床経験豊富なスペシャリストの先生方にご執筆いただき,若手5 年目程度までの理学療法士が活用できる内容となっています.特にPART Ⅱ以降の障害別,部位別の所では,執筆者の先生方の関節可動域制限の原因分析から治療プログラムの立案,さらには,実際の治療方法の紹介までていねいにご解説いただきました.さらに「こだわりの技法」では,他の書籍では知り得ない珠玉の技を紹介していただいております.ぜひ,明日からの関節可動域運動を知識,技術の両面からこだわり抜くために,本MOOKをご活用いただければ幸いです.
2021年7月
加藤 浩
目次
PART Ⅰ 関節可動域運動をする前に押さえておくべき基礎知識
1 関節可動域運動の意義・目的について押さえる
2 関節の構造と機能を押さえる
3 関節運動学の基礎を押さえる
MINI LECTURE 軟部組織モビライゼーションとは?
MINI LECTURE 神経モビライゼーションとは?
4 ストレッチングの基礎を押さえる
PART Ⅱ 運動器障害① 上肢に対する関節可動域運動
1 肩甲帯・肩関節の関節可動域運動
1)肩関節周囲炎
2)インピンジメント症候群
3)鎖骨・上腕骨外科頚骨折
2 上腕遠位・肘関節の関節可動域運動
1)肘頭骨折・上腕骨顆上骨折
2)上腕骨内側上顆障害(野球肘)
3 前腕・手関節の関節可動域運動
1)橈骨遠位端骨折
PART Ⅲ 運動器障害② 下肢に対する関節可動域運動
1 股関節の関節可動域運動
1)変形性股関節症(保存)
2)大腿骨近位部骨折
2 膝関節の関節可動域運動
1)変形性膝関節症(保存)
2)人工膝関節全置換術(TKA)
3)膝靱帯・半月板損傷
3 足部・足関節の関節可動域運動
1)足関節捻挫
PART Ⅳ 運動器障害③ 体幹に対する関節可動域運動
1 頚部の関節可動域運動
1)変形性頚椎症
2 胸腰部の関節可動域運動
1)脊柱管狭窄症
3 腰部・骨盤の関節可動域運動
1)椎間板ヘルニア・腰痛症
4 胸郭・胸腰部の関節可動域運動
1)側弯症
PART Ⅴ 神経障害に対する関節可動域運動
1 脳血管障害に対する関節可動域運動
1)脳卒中
MINI LECTURE 関節拘縮はなぜ起きるのか?
2 小児・神経障害に対する関節可動域運動
1)脳性麻痺
PART Ⅵ 高齢者に対する関節可動域運動
1 高齢者に対する関節可動域運動
1)廃用症候群
MINI LECTURE 関節可動域運動に物理療法の併用は有効か?
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書籍情報
- ISBN:9784830645938
- ページ数:280頁
- 書籍発行日:2021年8月
- 電子版発売日:2021年10月6日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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