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- Heart View 2022年1月号 Vol.26 No.1 心不全治療のアップデート
商品情報
内容
1 心不全の世界共通定義と分類
2 BNPの診断意義をもう一度学び直す
3 心不全診療における心エコー図法の新たな知見 ほか
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序文
企画にあたって
坂田泰史（大阪大学大学院医学研究科循環器内科学教授）
心不全は，高齢化社会の進行とともに急速にその数を増やしている。心不全治療の問題は，心機能低下の危険因子を有する患者に心機能低下を起こさせず，心不全発症を抑えるか，つまりステージAからBそしてCへの移行を予防するというテーマと，いま心不全になっている患者に対してどのように治療し症状緩和を図るか，つまり心不全ステージ分類のCからDへの移行をどう抑えるか，というテーマとに大別される。近年，それぞれのテーマに対し，新しい薬物，非薬物治療が出現し，注目が集まっている。しかし，本当に患者のためになる治療戦略はどのようなものになるのだろうか。
紀元前5世紀，中国春秋時代に書かれた兵法書「孫子」における最も有名な一節に，「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」というものがある。敵も味方も情勢をしっかり把握していれば，幾度戦っても敗れることはない，という意味だが，その後は「彼を知らずして己を知れば，一勝一負す」と続く。味方の情勢を知っていても敵情を知らなければ勝ったり負けたりである，という意味になる。新しい治療が出た場合，どうしてもその治療のメカニズム，方法，合併症や副作用には目が向くが，実際どういう心不全を対象に治療を行っているかについて，われわれはどのくらいわかっているのだろうか。新たな治療をしているつもりになっていても，実は「勝ったり負けたり」しているだけではないだろうか。
今回は，心不全治療のアップデートというタイトルだが，治療法そのものだけではなく，「診る」「識る」パートにも力を入れて企画を行った。心不全の世界共通基準が本年ようやくまとまったこと，普段汎用している左室駆出率のもつ経時的意義，またARNIやMRBが出現したからこそ，BNPやNT-proBNPの診断意義を学び直す，心筋症について深く掘り下げていく，このような「診る・識る」ことをより進めていかなければ，薬物治療のみならず非薬物治療でも「治す」ことはままならないだろう。心不全治療がアップデートされたこの時代こそ，「一勝一負」より治療確率を上げていくために『Heart View』企画主旨の意味合いが高まっていると考える。是非読者の方々と，心不全診療のオプションが増えた喜びと難しさを共有できればと思う。
目次
特集：心不全治療のアップデート 企画・構成／坂田泰史
【診る】
1 心不全の世界共通定義と分類 筒井裕之
2 BNPの診断意義をもう一度学び直す 猪又孝元
3 心不全診療における心エコー図法の新たな知見 山本昌良，石津智子
4 二次性心筋症の早期診断 髙潮征爾，田賢一
5【Expertise】心筋症ゲノム医療による精密医療 野村征太郎
【識る】
6 HFpEFの理解はいまどこまで進んでいるか？ 山本一博
7 左室駆出率のtrajectoryから心不全を考える 大谷朋仁
8 画像検査から読み解く糖尿病と心不全の関係 三浦弘之
9 循環器内科医が知っておくべきCOVID-19の心血管系への影響 岸 拓弥
10【Expertise】疾患iPS細胞を用いた心筋症個別化医療へのアプローチ 肥後修一朗
【治す】
11 神経体液性因子抑制の新しい展開 －ARNIおよび新世代MRA－ 桑原宏一郎
12 SGLT2阻害薬による心不全予防と治療 田中敦史，野出孝一
13【Expertise】心不全におけるcGMP-PKGシグナルとベルイシグアト 中村 峻，沼田玄理，瀧本英樹
14 心房細動合併心不全の治療におけるAFアブレーションの位置付け 井上耕一
15 心不全を伴う僧帽弁閉鎖不全症治療におけるTEERの役割と功罪：ハイブリッド外科医の視点から 田端 実
16【Expertise】ついに始まったDestination therapy 絹川弘一郎
連載
・【心臓の解剖 知っておきたい知識－疾患の病態生理から治療へつなげる解剖学－】
第10回 下大静脈の基本構造と疾患 井川 修
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書籍情報
- ISBN：9784008102601
- ページ数：116頁
- 書籍発行日：2021年12月
- 電子版発売日：2021年12月7日
- 判：A4変型
- 種別：eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数：3
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