思考としての感染症 思想としての感染症

  • ページ数 : 252頁
  • 電子版発売日 : 2011年6月1日
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商品情報

内容

感染症治療マニュアルから脱却したワンランク上の「考える」感染症診療の実現を目指すべく、その方法と実践を論じた書「思考としての感染症 思想としての感染症」が電子書籍になりました。

序文

あとがきにかえて

感染症診療には思考的,戦略的態度は欠かせない.それに哲学,倫理学,思想を学ぶことも必須だと私は考えている.本書はそのような考えを念頭に入れて,複雑な感染症診療の世界を少しも簡略化せず,「複雑なままに」議論したつもりである.もちろん,抽象的な空理空論など私のもっとも嫌悪するところなので,具体的な事象のみ,現場で実際に私自身が行っている,自らの頭脳を引っかき回しているプロセスのみを扱ったつもりである.本来,哲学とは極めて具体的な実学であると私は思っている.抽象的な空理空論に見えるのは,大学の先生がそのようなものにしつらえたから(あるいはそのように見せたから)に他ならない.

本書は頭の使い方,を議論した.従って,この検査をしなさい,あの治療が何パーセント効く,という臨床的考察のバックグラウンドにある,一つ次元の高い議論を目指した.本書を読んでも明日からの診療には役に立たないかもしれない.あるいは役に立つかもしれない.それは読み手の感性と咀嚼の方法にあるのかもしれないが,願わくば多くの方が本書から何かを吸い込んで飲み込んでいただけることを祈っている.

本書が成り立つには,多くの方の支えが必要であった.まず,かぜ症候群診療の論考においては,TFCという希有なメーリングリストをお作りになったことで有名な,田坂佳千先生の論文なしでは成り立たなかった.本書を真っ先に読んでいただきたかったのが田坂先生であるが,その先生はすでに鬼籍に入られてしまった.

その田坂論文を咀嚼するとき,亀田総合病院感染症フェローの山本舜悟先生とのダイアログはとても参考になり,本書の内容もそのときの対話が活かされている.

同様に,感染症に対する考え方の醸造は,毎日何時間も行う感染症回診の中で少しずつ育まれてきたものである.亀田総合病院における感染症診療の大きな柱,私の貴重なパートナーである細川直登先生,歴代の感染症フェロー,総合診療の後期研修医,感性豊かで優秀な初期研修医たち,そして感染症をローテートした数多くの病院内外の医師や学生たちとの対話が,少しずつ私の中での感染症診療の戦略性と論理性を磨き上げていった.

私の感染症に対する態度のバックボーンを培ったのは,間違いなく沖縄県立中部病院時代の感染症教育である.喜舎場朝和先生,遠藤和郎先生の具体的なご指導が血肉になっており,本書の存在は両氏の教えなしでは到底成り立たなかった.同時期の先輩,現在は武蔵野赤十字病院で感染症診療に当たる本郷偉元先生の肉声や,その沖縄の血を全国レベルに還元された青木眞先生のティーチングも,この身に染みいっている.

自治医科大学の矢野(五味)晴美先生,静岡県立がんセンターの大曲貴夫先生が代表世話人を務めてこられた日本感染症教育研究会(IDATEN)メーリングリストでの数多くの議論,主催のケースカンファレンス,洛和会音羽病院の大野博司先生が主催される感染症セミナーでの議論も,TFC同様私にたくさんのことを教えてくれた.ご多忙の中,快く対談を引き受けてくださった名郷直樹先生にも感謝である.未だ構造主義医療を充分咀嚼していませんが....

その他,ここでは紹介できないほどの数多くの医療者,患者との邂逅がすべて血肉となって本書を執筆する際のエネルギー源になっている.各位に感謝の気持ちで一杯である.

本書の作成にあたり,中外医学社の諸氏,とくに編集担当の岩松宏典さんには格別のお世話になった.ここに改めてお礼申し上げます.

最後に,私の心の支えである,葉子,葉奈子,ショコラに感謝したい.


2008年 1月25日

晴れた,雲の美しい神戸の一室にて
岩田 健太郎

目次

第一章

・かぜという状態を考える

・かぜ症候群定義の過程

・かぜ症候群を欠けたパズルの一ピースととらえる

・周辺のピースを埋めるために

・外的な条件

・グラム染色は面倒か

・諸条件を重ねた場合

・稀な疾患をみる

・かぜ その診断の具体的なプロセス

・かぜの治療

・何かあったら

・かぜの周辺にあるピース達

・その他、かぜ症候群にまつわる話をもう少し 心内膜炎などをからめて

・外的なものとの付き合い方。コミュニケーション・スキルと日本の外来診療制度

・慢性の咳

・懸念という名のささやきが

・de-scalationにはリスクがない?

・診断という不確定要素 その戦略性

・抗菌薬を変える根拠

・ゲーム理論を用いる

・ゴールの設定を

・時間という根拠

・終末期患者の抗菌薬使用について

・腸炎の治療に点滴を用いるか

・小児科夜間救急外来でエクストラチャージを請求することを考える

・(本当に)薬害をなくす方法

・では,私たちはどうしたらよいのか

・行政的な問題.予防接種と健康教育の不備をどう考えるか

・マニュアル,ガイドラインを捨てる日

・Science works.

第二章

・監査について考える

・反証主義に反する意味で,文部科学省は要らない

・臓器を見る医者という偶像.プライマリ・ケア医 vs 専門医という無意味さ

・性教育というリスク

・駆け込み寺

・利己主義と利他主義の狭間で

・インサイダーとアウトサイダー

・うそをついてはいけないか


■対談 よくわからないが,わかる


あとがきにかえて

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書籍情報

  • ISBN:9784498021143
  • ページ数:252頁
  • 電子版発売日:2011年6月1日
  • 判:四六判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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