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- 抗凝固薬の考え方、使い方
商品情報
内容
本書には、心房細動の捉え方と抗凝固療法を考えるうえで何が最も重要であるかということが明確に論ぜられています。
臨床現場で生じる疑問に的確な判断をしていくために必要なことは、心房細動という疾患の本質を見極め、抗凝固療法全体についての考え方を知ることです。広い範囲を一人の執筆者がカバーし、一定の文体と論理構成で書かれており、より理解が深まる一冊。
序文
序
心房細動は不整脈ではないとつくづく感じる.単なる不整脈であれば電気現 象としての心房細動を抑え込めばそれで解決である.そう単純ではないという ことである.心房細動の成因は複雑で"症候群"的なところもありそうだが, 基本的には加齢・動脈硬化的な変化を基礎に生じるものだ.その加齢・動脈硬 化的な変化は心房細動発症前から進行しているし,発症後も進行は止まらな い.我々はそれを止める方法をいまだ持ち合わせていない.しばしば心房細動 は進行性の不整脈であると表現されるが,この根本となる変化と細動によって 修飾される変化(この部分だけがAF begets AF)が一体となって進行すると いうのが本質ではないだろうか?心房細動という不整脈が進行性というのは 表層的な見方だと筆者は考えている.
"根治"という言葉は誰にとっても心地良い言葉である.心房細動が根治す る,と聞けば患者は治療を希望するし,うっとうしい抗凝固療法も止めること ができるのではないか,と期待するのが人情であろう.しかしそうはいかない. 少なくとも本来抗凝固療法が必要な患者でカテーテルアブレーションを行うこ とで抗凝固療法を中止できるという根拠はない.多くの臨床現場で使用されて いる診断法の範囲ではどのような結果であっても抗凝固療法を中止する根拠に はならないことを詳細に解説した.中止できるだろうとお考えの諸兄にはぜひ 本書を読んでいただきたい.
新規抗凝固薬が登場して,抗凝固療法は大いに変わった.しかし全てが良い 方向に進歩・発展したわけではない.つまりたくさんあったワルファリンの問 題点の一部は一定の解決がなされたが,新規抗凝固薬に特有とも言える新たな 問題点も生じているということである.抗凝固療法はいまだ諸刃の剣である. 新規抗凝固薬は従来通りあるいは従来以上にきめ細かい配慮をしながら使用す れば,より良い結果(頭蓋内出血の頻度低減など)が得られる薬剤と認識する べきである.手間が掛からなくなるからと安易に使用していると痛い目にあ う.また新規抗凝固薬は決して横並びではない.冷静な目で,詳細に大規模試 験の結果を眺めれば,性能の差は明らかである.そもそもそれを認めないと使 い分け論議はできない.使い分けというのは相対評価をしているわけだから.
"病気だけを診ず,患者を診ろ"とよく言われる."心房細動だけを診ず,そ の背景・患者全体を診ろ"ということであろう.時代が変わって,新たな治療 法が手に入っても,医療の本質はなんら変わらない.
2016年 3月
大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学/先進心血管治療学寄附講座 准教授
奥山 裕司
目次
第I章 心房細動の機序と疫学を知る
(1)心房細動の俯瞰的捉え方
(2)心房細動の発症基盤:基本は心房の老化現象
1.虚血性心疾患は初期にステントを入れると完治する?
2.心房細動が発作性→持続性→永続性と進行するというのは表層的理解
3.アブレーションが有効に見えるのは?
4.いわゆる"upstream治療"と"真のupstream治療"
5.CAST試験から学ぶべきこと
6.AFでCAST試験と同じ過ちを繰り返してはならない
7.AF burdenと脳梗塞・脳卒中
8.持続性と発作性心房細動の生命予後
(3)安全性って?
1.安全性についての考え方
2.最も守るべきは"頭"
(4)無症候性の問題
1.心房細動は問診とスナップショット心電図で捉えられるのか?!
(5)心房細動患者におけるカテーテルアブレーションの意義
第II章 心原性塞栓症と抗凝固療法の基礎知識
1.心房細動に伴う心原性塞栓の機序
2.心原性塞栓の予防の考え方
3.心原性塞栓のリスク評価
4.出血のリスク評価
5.抗凝固薬の作用機序
6.抗凝固強度の評価
7.ワルファリンからNOAC(DOAC)へ〜良いことばかりではない〜
第III章 ワルファリン治療
1.抗凝固療法の質の評価
2.TTRでみたワルファリン治療の質と臨床効果
3.ワルファリン治療の質を上げるために
4.抗凝固療法の適応についての考え方
5.抗凝固療法導入期と維持期の問題
6.出血合併症の頻度と予防法
7.抗凝固療法中の大出血と対処の基本
8.抗凝固療法中の頭蓋内出血に対する対処
9.手術時などの対処法,内視鏡検査などに関連して
10.Sick day ruleについて
11.現段階でNOACよりもワルファリンが選択される状況
第IV章 新規経口抗凝固薬概説
新規抗凝固薬の特徴と大規模試験の評価ポイント
(1)直接トロンビン阻害薬:ダビガトラン
(2)第Xa因子阻害薬:アピキサバン
(3)第Xa因子阻害薬:リバーロキサバン
(4)第Xa因子阻害薬:エドキサバン
第V章 抗凝固薬の使い分け
第VI章 抜歯,内視鏡検査,外科手術時の抗凝固療法
1.抜歯を含めた歯科治療時の抗凝固療法
2.消化管内視鏡検査
3.開腹・開胸などの外科的処置
4.ヘパリン置換の問題
第VII 章持続性心房細動のcardioversion時の対応
第VIII 章透析中または腎機能障害時の抗凝固療法
1.CKD患者での抗凝固療法
2.透析患者における抗凝固療法
第IX章 高齢者における抗凝固療法
1.ワルファリン治療におけるnet clinical benefitと年齢
2.新規抗凝固薬の特徴とnet clinical benefit
3.高齢者での抗凝固療法の使い分け
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書籍情報
- ISBN:9784498050464
- ページ数:180頁
- 書籍発行日:2016年4月
- 電子版発売日:2016年8月12日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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