婦人科がん化学療法ハンドブック

  • ページ数 : 180頁
  • 書籍発行日 : 2011年5月
  • 電子版発売日 : 2011年12月23日
3,300
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商品情報

内容

婦人科がんについてEBMに基づいた標準的治療についてのレビュー、標準的な化学療法レジメンなどの情報を1冊に集約した「婦人科がん化学療法ハンドブック」が電子書籍になりました。
電子書籍版では、目次・索引リンク、薬剤名から今日の治療薬へのリンク参照、全文検索、PubMedリンクなど電子ならではの機能で、より立体的に参照することができます。

序文

外陰・腟がんはそれぞれ婦人科がんの4%,1~2%と稀ながんであるが,高齢化の中で確実に遭遇するがんであり,適切な治療法の理解が必要である.約70%を占めるHPV 16/18型による子宮頸がんはHPVワクチンにより100%予防できるようになったが,その他のhigh risk HPVに起因する症例もあることより検診の重要性は啓発を続けていかねばならない.治療では骨盤神経の温存,リンパ浮腫の予防・治療の進歩によりQOLを維持した根治手術が行われる.Ib2期~III期に対して欧米では化学放射線療法が標準的であり,わが国でも患者に選択肢として提示する必要がある.進行・再発がんではシスプラチン (50mg/m2)がkey drugであり,ネダプラチン,イリノテカンやパクリタキセル(適応外)が用いられる.術前・術後化学療法に関しても引き続き臨床研究が求められる.子宮体がんは高齢化社会の中で確実に増加しており,適切な手術による進行期に基づく中~高リスク例に対して化学療法が行われる.シスプラチンに加えアドリアマイシンがkey drugであり,併用ではAP療法が標準的である.タキサン系薬剤の有用性に関してJGOGの試験がその答えを出すであろう.子宮温存を要する若年婦人(0-Ia期/高分化)や進行・再発がんではMPAも有用である.卵巣がん治療ではパクリタキセル/カルボプラチン(TC)療法が標準的となって久しいがこの間,生存の改善は進んでいない.TC療法に第3の抗がん薬の併用や維持療法では生存は改善されない.現在の国際コンセンサスは,dose-dense(dd)パクリタキセルと腹腔内(IP)化学療法である.わが国発のdd-TC療法は有効性が高い投与法として推奨できる.IP療法は世界に遅れることなく,積極的な臨床試験への取り組みが必要である.感受性再発がんではTC療法に比べてリポソーマルドキソルビシン/カルボプラチン併用療法の非劣性が示され,ゲムシタビンとともに毒性に基づく選択が可能となった.分子標的薬では2つのRCTでベバシズマブをTC療法と併用し,さらに維持療法を行うことで生存の改善が示されたが,承認後はバイオマーカーが存在しないベバシズマブをどんな対象にどの位の量を投与するか,また,費用対効果が課題となる.また,PARP阻害剤のBRCAnessへの有効性が期待できる.腹腔内病変が完全に切除できた進行がん患者ではリンパ節郭清により生存が改善される.初回切除不能と考えられる進行がんでは化学療法後に,interval debulking surgeryを行うアプローチがオプションの1つとしてあげられる.


このように婦人科がん治療の概略を述べましたが,エビデンスは恒に変化しています.この変化する最新のエビデンスも臨床上知るべきものは可能な限り含めて執筆を依頼させていただきました.

本書は恒にエビデンスをup-dateし,臨床の現場で実践されている多忙な中堅の先生方を中心に執筆を依頼させていただきました.先生方が本書を手元におかれて,患者と向かい合ってより良い婦人科がん治療を行っていただけることを祈念致しております.


2011年 3月

杉山 徹

目次

序章

A.婦人科がんで用いられる抗がん薬

1.婦人科がんで使用される抗がん薬

2.婦人科がんで使用する代表的抗がん薬の歴史と薬理作用

B.導入が期待される分子標的薬

1.Bevacizumab

2.Pazopanib

3.BIBF1120

4.AMG386

5.PARP阻害薬

6.MORAb-003(Farletuzumab)

7.mTOR inhibitor

1 外陰・腟がん

A.外陰がん

1.総説

2.外陰がんに対する化学療法

3.外陰がんの抗がん薬

4.外陰がんに対する放射線同時化学療法

B.腟がん

1.総説

2.腟がんの抗がん薬

3.腟がんに対する放射線同時化学療法

2 子宮頸がん

2-A.総説

1.概要

2.子宮頸がん治療における化学療法の位置づけ

3.今後の頸がんに対する化学療法の新たな取り組み

2-B.進行・再発がん

1.対象

2.有効な薬剤は何か

3.標準的に行われているレジメンは何か

4.研究的に行われているレジメンは何か

2-C.CCRT

1.対象

2.有効な薬剤

3.標準的・研究的に行われているレジメン

2-D.術前・術後化学療法

1.対象

2.有効な薬剤とレジメン

3.CPT-P療法・CPT-NDP療法における投与期間

3 子宮体がん

3-A.総説

1.子宮体がんに対する化学療法

2.子宮肉腫に対する化学療法

3.妊孕性温存例に対するmedroxyprogesterone acetate(MPA)療法

3-B.術後化学療法

1.術後化学療法の適応

2.子宮体がんに有効な薬剤

3.標準的,研究的レジメン

4.研究的レジメンの概説

3-C.進行・再発がんに対する化学療法

1.単剤化学療法

2.多剤併用療法

3.今後の展望

3-D.子宮肉腫

1.子宮がん肉腫

2.子宮平滑筋肉腫

3.子宮内膜間質肉腫

3-E.妊孕性温存例におけるMPA療法

1.対象

2.治療法

3.治療中~後のfollow upの実際

4.治療後の妊娠について

4 卵巣がん

4-A.総説

1.化学療法の目的

2.初回化学療法:現在の標準と最近の動向

3.卵巣がん治療ガイドライン2010年改訂版

4-B.上皮性・間質性腫瘍(卵管・腹膜がんを含む)

a.初回化学療法

 1.対象

 2.有効な薬剤は何か

 3.標準的・研究的に行われているレジメンは何か

 4.標準的なレジメン

 5.知っておくべきレジメン

 6.組織型別治療

b.再発卵巣がんに対する化学療法

 1.プラチナ抵抗性再発卵巣がんに対する主な化学療法

 2.知っておくべきレジメン

4-C.胚細胞腫瘍

1.標準的なレジメンの図示

4-D.性索間質性腫瘍

1.標準的なレジメンの図示

2.臨床研究であるが知っておくべきレジメン

5 絨毛がん

1.化学療法の対象

2.用いられる薬剤

3.単剤レジメン

4.多剤併用レジメン

5.主な薬物有害事象

6.その他の有害事象

6 化学療法に対する支持療法

6-A.適切なG-CSF製剤の投与法

1.治療総説レビュー

2.投与の目的

3.投与できる薬剤

4.投与の実際

5.薬物動態

6.好中球の増加

7.薬物有害反応

8.その他

6-B.Chemotherapy-induced nausea and vomiting(CINV)に対する標準的な制吐療法

1.背景

2.治療の原則

3.用いる制吐薬

4.実際の投与法

6-C.緩和医療

1.婦人科がんにおける緩和医療の考え方

2.がん性疼痛に対する支持療法

3.消化器症状に対する支持療法

4.骨転移に対する支持療法

5.その他:婦人科がん領域における精神腫瘍学的介入に関する最近の報告

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784498060609
  • ページ数:180頁
  • 書籍発行日:2011年5月
  • 電子版発売日:2011年12月23日
  • 判:B6判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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