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- 図説 よくわかる臨床不妊症学 不妊症治療 up to date
商品情報
内容
序文
序
このたび「図説 よくわかる臨床不妊症学 不妊症治療up to date」を上梓する運びとなりました.
このテキストは,「図説 よくわかる臨床不妊症学」シリーズとして2007年9月に発行した「生殖補助医療編」,ならびに同年10月に発行した「一般不妊治療編」の姉妹編という位置づけをもちます.
日進月歩の不妊症治療の分野におきまして,最近までにさらに発展してきた内分泌・着床・アンドロロジーなどに関する新しい話題,あるいは内視鏡や漢方の話題も改めて取り上げ,それぞれのフロントラインでご活躍の先生方にご執筆いただきました.またARTに関する多くのデータが登録制度により集積され,これまでにわれわれが取り組んできた成功率と安全性の向上への努力が実を結びつつあることもご紹介いただきました.
その反面,ARTによる反復不成功症例が存在し,高年齢女性や,あるいは卵巣予備能の新たな指標であるAMH低下症例への対応という,診療の場で誰もが苦慮するテーマも取り上げました.
ところで不妊治療はかつて産婦人科医が泌尿器科医の協力のもと,分娩や手術を取り扱う傍ら向き合ってきました.この「掛け持ち業務」は1980年代に入り体外受精の臨床応用とともに次第に崩壊し,胚培養士・カウンセラー・コーディネーターによる協力なしでは良質の不妊症診療が成立するはずはなく,次第に現在のチーム医療の姿に移行し,クライアントに対する様々な支援体制が充実してまいりました.やがて各職種に関連が深い学会の誕生,あるいは既存の学会による資格認定制度の導入により,生殖医療に関するすべての職種が今や広く認知され,各々の地位が目に見えて向上してきたことも,たいへん喜ばしいことです.このテキストでも,ラボラトリーワーク・ナーシング・カウンセリングの各分野における最先端の話題を学んでいただけるものと考えています.
さて今後の不妊治療の行く先は,どう展望されるのでしょうか? このテーマは不妊治療の近未来像として取り上げました.現代女性は高学歴で職場での能力も高く,その結果として晩婚化が進んでまいりました.一方で若くしてがん治療に向き合わざるをえない方々も,ある一定の頻度で発生しています.これら社会的・医学的に卵巣・精巣などの性腺の凍結保存により妊孕性を温存する必要性が,現実的な問題としてクローズアップされてきています.また再生医療による精子や卵子を作出する技術に関する最先端の研究も徐々に進んできています.これらの話題を取り上げ,最新の情報につきご執筆いただきました.
また特別寄稿と致しまして,永く不妊治療を支えてこられました4名のたいへん著名な先生方からもご執筆いただきました.非常に示唆に富む不妊治療の歴史や今後の課題を,高所よりご指導いただきました.
以上,現時点における不妊症診療をめぐる多くの話題を取り上げることができました.このテキストを通読することにより,読者の方々の最新知識の整理に役立ち,日頃の診療の場でお役立ていただけましたら,編集者としまして望外の喜びでございます.
末筆になりましたが,たいへんご多忙のところご執筆を賜りました皆様方に,心より感謝申し上げます.
2012年 6月 吉日
自治医科大学医学部産科婦人科学講座
柴原 浩章
目次
【1】一般不妊治療
女性不妊症
1 高年齢不妊女性の治療
A.高年齢女性不妊症の初診時注意点
B.高年齢女性の周産期リスク評価と指針
C.高年齢女性の不妊初期検査・治療
2 AMHとその活用法
A.AMHとは
B.血清AMH値に影響を与える因子
C.AMHの臨床的活用法
D.AMHとART
E.AMHとPCOS
F.AMHと子宮内膜症
3 PCOSの診療
A.PCOSの病態と診断基準について
B.PCOSの特異的治療としてのインスリン抵抗性改善薬とIVMについて
4 鏡視下手術
A.腹腔内癒着病変に対する鏡視下手術
B.子宮内腔病変に対する鏡視下手術
C.不妊症診療における鏡視下手術の位置づけ
5 漢方製剤による女性不妊症治療
A.漢方療法と西洋療法の考え方の違い
B.不妊における東洋医学的異常と漢方療法の効果
C.処方の具体例
D.漢方療法の問題点と対策
E.漢方療法の副次効果と今後
特別コラム①わが国における不妊症治療の発展について
男性不妊症
6 精液検査法の標準化
A.精液検査法の標準化を目指す必要性
B.日本の精液検査法の現状と精液検査標準化ガイドライン作成の経緯
C.精液検査標準化ガイドラインの概要
D.WHOラボマニュアル第5版
E.臨床上の問題点
F.今後の方向性
7 男性不妊治療~薬物療法~
A.ホルモン療法
B.非ホルモン療法
C.今後期待される薬物療法(抗酸化剤を中心に)
D.男性機能障害への薬物療法
E.その他の薬物療法
8 男性不妊症診療~手術療法~
A.精索静脈瘤手術
B.精巣内精子採取術testicular sperm extraction(TESE)
特別コラム②特発性男性不妊症の病態解明に迫る
カウンセリング
9 生殖遺伝カウンセリング
A.不妊や習慣流産の原因としてカップルのいずれかが染色体異常保因者であるケース
B.ART妊娠で出生した児の一般的な先天異常のリスクを
どう考えるか
C.ART妊娠の出生児と悪性腫瘍発症についての関連性のとらえ方
D.ゲノム刷り込み現象(インプリンティング)の異常による疾患発症について
E.顕微授精と染色体異常妊娠との関連性について
F.重度乏精子症におけるY染色体の微小欠失と次世代への
伝播の問題
10 生殖心理カウンセリング
A.生殖心理カウンセリングとは
B.不妊の心理的問題
C.治療段階と患者の悩み
D.患者への心理的支援
E.まとめと今後の課題
11 卵子提供プログラム: 海外渡航前の日本人患者への
インフォメーション
A.卵子提供プログラム=米国においては一般的な不妊治療選択肢
B.PFC-IFCプログラムの現状および日本人患者の背景
C.海外プログラムの選定についての助言
D.海外治療前の具体的な医療上の準備について
E.卵子ドナーについて
F.心理カウンセリング
G.告知について
H.法的環境
I.費用
J.渡航前の患者へのメッセージとして
ナーシング
12 ARTの教育現場
A.追い込まれる看護職
B.キャリア支援を忘れた医師たち
C.アルコール綿の臭いのしない看護師
D.キャリアアップを目指す看護師
E.「看護師特定能力認証制度」とチーム医療
F.認定看護師の活躍
G.ART教育現場の不足
13 生殖医療相談士としての活動を通じて
A.オリエンテーション
B.治療に直結したケアー
C.体外受精へのアプローチ
D.中断・終結の支援
【2】生殖補助医療(ART)
統計
1 ART登録報告により~本邦におけるART
A.日本産科婦人科学会の生殖医学登録・調査の変遷
B.2009年までの年次別登録の推移
C.2009年治療分の成績分析
D.多胎率と胚移植あたりの妊娠率の変遷
E.先天異常率
F.排卵誘発法
卵巣刺激
2 ARTにおける卵巣刺激法
A.COSの変遷
B.COSの現状
C.GnRHアゴニスト併用法(long法)とGnRHアンタゴニスト
併用法の比較
D.遺伝子組み換えFSHと尿由来FSH
E.mild ovarian stimulation(MOS)
F.poor responderに対するCOS
ラボラトリーワーク
3 卵子の形態異常とART成績の関係
A.ヒト卵子異常形態の分類
B.各々のヒト卵子異常形態における発生能,形態異常の
原因追究と対応策
4 IMSIによるICSI
A.IMSIディッシュの作製
B.精子形態の評価
C.IMSIの流れ
5 ICSI不成功の病態とその対策
A.ICSIの受精機序
B.受精障害の定義
C.受精障害の頻度,原因
D.受精障害への対応
6 着床前遺伝子診断
A.着床前遺伝子診断の実際
B.embryo biopsyはどの細胞周期が適切か?
C.割球の固定ならびにFISH法の実際
D.均衡型相互転座における着床前診断
E.当院における着床前診断の臨床成績
F.着床前遺伝子診断における海外の現況と今後の課題
7 震災とART施設の危機管理対策
―東日本大震災を経験して―
A.震災の概要
B.当院の震災前の災害対策
C.震災直後の状況(患者・スタッフ)
D.各部門で起こった問題点と震災対処法
E.培養室内機器の損壊
F.日本生殖医学会の被害状況のまとめ
G.考察
着床
8 子宮内膜刺激胚移植法の理論と有効性
(SEET法: Stimulation of Endometrium Embryo Transfer)
A.window of implantation(WOI)
B. 胚と子宮内膜のクロストーク
C.子宮内膜局所免疫と妊娠
D.着床における胚由来因子および胚抗原の重要性に着目した移植方法―二段階胚移植法とSEET法―
E.子宮内膜刺激胚移植法(SEET法: Stimulation of
Endometrium Embryo Transfer)
F.胚由来因子の解析
9 PBMCの理論と有効性
A.免疫系を介した黄体機能調節
B.免疫系を介した胚着床誘導
C.免疫細胞に対するhCGの作用
D.免疫細胞を用いた着床不全に対する治療
10 子宮血流の改善法とその効果
A.子宮内膜の発育と子宮内膜血流
B.子宮内膜発育不全の治療
特別コラム③哺乳動物卵子研究の臨床への貢献
【3】不妊治療の近未来像
1 がん・生殖医療における配偶子と性腺凍結保存法
A.若年がん患者に対するがん・生殖医療を実践するにあたって
B.抗がん剤による性腺への毒性
C.女性がん患者とがん・生殖医療
D.男性がん患者妊孕性温存とがん・生殖医療
E.卵巣組織凍結・移植に関する話題
2 ARTとインプリンティング異常症
A.インプリンティングとは
B.インプリンティング異常症
C.ARTとインプリンティング異常症
D.今後の検討課題
3 精子幹細胞の不妊治療への応用
A.精原細胞移植(精細管内移植法)の開発
B.精子幹細胞の培養(GS細胞の樹立)
C.器官培養法でのin vitro精子形成
D.精子保存・精子幹細胞保存・精巣組織保存
E.臨床応用への課題
4 ADSCsを用いる再生医療の理論と現況
A.ES細胞
B.iPS細胞
C.脂肪組織由来間葉系幹細胞(ADSCs)
特別コラム④卵子提供プログラム~今後わが国ではどうあるべきか~
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書籍情報
- ISBN:9784498076587
- ページ数:336頁
- 書籍発行日:2012年8月
- 電子版発売日:2013年2月15日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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