より理解を深める! 体液電解質異常と輸液〈3版〉

  • ページ数 : 262頁
  • 電子版発売日 : 2011年5月31日
5,500
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商品情報

内容

米国の腎臓内科専門医の電解質教育の水準を示した、国内初の参考書「より理解を深める! 体液電解質異常と輸液〈3版〉」の電子書籍版です。

序文

改訂第3版の序

改訂第2版が出てから,思いの外,好評を頂いたこともあって,早くも,改訂第3版を出させて頂くことになった.短い期間で改訂することは既に買って頂いた方に申し訳ない気持ちもあり,改訂せずに増刷することも検討したが,なるべくこのような機会に少しでも直したり,アップデートできることはした方が,今後買って頂く方のためにも良いと考えた.

今回の改訂では特に,内容が十分でなかった低カリウム血症の記述を追加したり,カルシウム代謝異常においてはミルクアルカリ症候群や FGF23 の解説をアップデートした.何度,改訂しても不十分な点を完全になくすことは出来ないが,このような改訂をさせて頂くにあたっては,多くの先生や同僚からの意見を頂いて,初めて出来たことである.ここに,感謝の意を表するとともに,今後も御意見やご助言を頂ければ幸いと思っている.


2007年 3月

柴垣 有吾


改訂第2版の序

大変うれしいことに初版はそれなりに好評をもって迎えられたようである.ある意味,マニアックな部分も多く,又,筆者の文章力の無さにも関わらず,多くの方に読んで頂いた背景には体液電解質の一般的な教科書には書かれていない部分にも言及した点があると思っている.

しかしながら,輸液をタイトルに掲げているにも関わらず,輸液の章の内容が薄いことがかなり気になった.又,読者の方からも多くのするどい質問や疑義を頂いた.本改訂版では,初版の訂正などに加え,輸液の章をより詳しくし,かつ,最もわかりにくいとされる透析患者における体液電解質異常・輸液の章を新設した.

本書は 100%完璧なものでは到底なく,読者の方からの質問や疑義・助言は常に歓迎したいと思っている.又,本書が少しでも体液電解質・輸液の理解に貢献できれば幸いである.


2006年 6月

柴垣 有吾


水電解質・輸液は難しいとの声に応えるように,最近はいくつものレジデント向けの水電解質・輸液のテキストが巷に出回るようになった.これらの多くは大変よく書けていて,最初に学ぶには非常にとっつきやすい.しかし,この初級者向けのレベルを卒業した人の好奇心をさらに満足させるようなテキストはあまり見かけない気がする.私も研修医時代,常にこのような本を探していた.その中で Halperin & Goldstein の「Fluid, Electrolyte, and Acid-Base Physiology: A Problem-Based Approach」と Scribner の「Fluid & Electrolyte Balance」が私にとって唯一,好奇心をくすぐられる名著であったと思う.

私は父が約 45 年前に米国で臨床留学をし,まさにその Scribner 博士の下で水電解質を学んで来たこともあり,是非,自分も米国で学びたいと思っていた.そんな中,現在に至るまで大変お世話になっている日本学術会議会長の黒川清先生や現在の上司である藤田敏郎先生のお陰もあって,アメリカ腎臓学会の教育担当ディレクターで水電解質教育のエキスパートでもある Robert G. Narins 先生の下で臨床研修を積むことができたのである.私にとっては,毎日が非常に勉強になる日々であり,日本で解決せずにいくつも抱えていた疑問が次々に氷解し,さらに理解を深めることができる喜びを感じたのを今も覚えている.米国では,かなり偉い先生にも気軽に質問できる雰囲気がある.visiting professor 制度により,教科書や論文で名前を知っている先生が目の前で講義をしてくれることも度々でその度に多くの疑問をぶつけることができた.是非,ここで学んだ多くの事を本として還元したいという気持ちが強くなっていた.

この度,私の研究室の先輩であり,尊敬する神戸大学医学部助教授深川雅史先生のご理解とご協力の下にこのテキストを出版できることを大変大きな喜びに感じている.深川先生にはこの本をレビューし,修正して頂く労をお願いしたが,先生のお力でかなり満足のいくものができたと自負している.又,中外医学社の秀島悟氏,荻野邦義氏にはこの本の企画・編集で大変ご苦労を頂いた.中外医学社の方々は父の本も担当された方であり,縁というものを強く感じているが,改めてここに感謝の気持ちを表したい.

最後にこの本を私の医者としての目標でもあり,最も尊敬する父,昌功に捧げたい.


2005年 5月

柴垣 有吾

目次

第1章 体液恒常性維持のメカニズム

A.腎臓の構造と尿生成

B.腎臓と体液恒常性維持(人はどの位水を飲むことができる?)

C.体液の組成と分布

1.体液の体内分布

2.年齢・性別・肥満度による体液量の変化

3.体液を構成する溶質とその量・濃度の関係

D.体液恒常性維持のメカニズム

第2章 水代謝・ナトリウム代謝異常の診断と治療

A.水・ナトリウム代謝と体液の生理

1.体液移動の原則

2.浸透圧(osmolality)と張度(tonicity=有効浸透圧effective osmolality)の違い

3.血漿浸透圧・張度と膠質浸透圧の違い

4.自由水(free water/electrolyte-free water)とは何か?

5.尿における張度と自由水の概念

6.細胞外液量・細胞内液量とナトリウム・水の関係

B.ナトリウムバランス調節系(細胞外液量調節系)の生理

C.ナトリウムバランス調節系(細胞外液量調節系)の異常

1.ナトリウム過剰(浮腫性疾患)の病態生理

2.浮腫形成の仕組み

3.浮腫・胸腹水の治療

4.利尿薬の使い方

5.ナトリウム欠乏(脱水症)

D.水バランス調節系の生理

1.尿の希釈・濃縮機構

2.尿希釈の仕組み

3.尿濃縮の仕組み

E.水バランス調節系の異常(低ナトリウム血症,高ナトリウム血症)

1.溶質と水の関係(血清ナトリウム濃度は張度を反映する)

2.低ナトリウム血症

3.SIADH(Syndrome of Inappropriate Secretion of ADH: 不適切 ADH 分泌症候群)

4.高ナトリウム血症

5.多尿性疾患

第3章 カリウム代謝異常の診断と治療

A.カリウム代謝の生理

1.カリウムの分布

2.カリウムの代謝のオーバービュー

3.細胞内外のカリウム濃度調節(カリウムの急性調節機構)

4.腎におけるカリウム排泄の調節(カリウムの慢性調節機構)

5.カリウム代謝の検査

6.カリウム代謝異常における症状・所見

B.カリウム代謝の異常

1.高カリウム血症

2.低カリウム血症

第4章 酸塩基平衡異常の診断と治療

A.酸塩基平衡の生理

1.酸塩基とは

2.酸の産生

3.緩衝系(バッファー)とは何か?

4.腎での酸排泄の仕組み

5.腎における酸排泄調節機構

B.血液ガスの読み方

1.血液ガスの基礎知識

2.血液ガスの用語の定義

3.血液ガスの読み方の実際

C.酸塩基平衡異常の原因

1.代謝性アシドーシス

2.代謝性アルカローシス

3.呼吸性アシドーシスと呼吸性アルカローシス

D.代謝性酸塩基平衡異常の治療(一般論)

1.代謝性アシドーシスの治療

2.代謝性アルカローシスの治療

第5章 カルシウム・リン・マグネシウム代謝異常の診断と治療

A.カルシウム代謝の生理

1.カルシウムの出納

2.腸管でのカルシウム吸収機構

3.腎でのカルシウム排泄機構

4.イオン化カルシウム

5.血清カルシウム濃度の調節機構

B.高カルシウム血症

1.高カルシウム血症の原因疾患

2.高カルシウム血症の診断

3.高カルシウム血症の症状

4.高カルシウム血症の治療

C.低カルシウム血症

1.低カルシウム血症の原因疾患

2.低カルシウム血症の診断

3.低カルシウム血症の症状

4.低カルシウム血症の治療

D.リン代謝の生理

1.リンの出納

2.腸管でのリン吸収機構

3.腎でのリン排泄機構

4.血清リン濃度の調節機構

E.高リン血症

1.高リン血症の発現機序と原因疾患

2.高リン血症の診断

3.高リン血症の症状

4.高リン血症の治療

F.低リン血症

1.低リン血症の発現機序と原因疾患

2.低リン血症の診断

3.低リン血症の症状

4.低リン血症の治療

G.マグネシウム代謝の生理

1.マグネシウムの出納

2.血清マグネシウム濃度の調節機構

H.高マグネシウム血症

1.高マグネシウム血症の症状・所見

2.高マグネシウム血症の原因

3.高マグネシウム血症の治療

I.低マグネシウム血症

1.低マグネシウム血症の症状・所見

2.低マグネシウム血症の診断

3.低マグネシウム血症の治療

第6章 輸液(水電解質輸液)の基本

A.輸液を理解するための基礎知識の復習

1.体液の体内分布

2.張度差による体液の移動

3.生理食塩水と 5%ブドウ糖液の体内分布

4.全ての輸液製剤は生理食塩水と 5%ブドウ糖液の混合したものと考えられる

B.維持輸液:体液バランスの維持のための輸液

C.是正輸液:体液バランスの回復のための輸液

1.どこに(WHERE)足りないのか?

2.何が(WHAT)足りないのか?

3.どれ位(HOW MUCH)足りないのか?

4.是正輸液の実際:脱水症の治療

D.輸液処方の基本

E.輸液製剤の種類と特徴

1.等張液(細胞外液補充液)

2.1 号液(3/5 等張液: 開始液)

3.2 号液(2/3 等張液: 細胞内液補充液)

4.3 号液(1/3 等張液: 維持液)

5.4 号液(1/5 等張液: 術後回復液)

6.5%ブドウ糖液

7.カリウム補充液

8.Ca,P,Mg 補充液

F.高齢者への輸液の注意点

1.加齢による腎機能・水電解質バランス調節機構の変化

2.高齢者における安全な輸液とは(Talbot の安全輸液理論)

G.周術期の輸液管理の注意点

1.サードスペース(3rd space)

2.血管拡張

3.ドレーン・チューブ

H.輸液管理の難しい疾患への対応の基本

1.腎不全

2.浮腫性疾患(心不全,ネフローゼ,肝硬変)

3.高血糖(糖尿病性ケトアシドーシス,非ケトン性高浸透圧性昏睡)

I.外来での輸液の適応とその注意点

1.脱水症(水,ナトリウムの補充)

2.低カリウム血症(カリウムの補充)

J.栄養輸液の必要最低限の知識

1.栄養輸液とは

2.栄養輸液の適応

3.必要カロリー量

4.投与ルート

5.3 大栄養素の割合

6.糖質製剤

7.アミノ酸製剤

8.脂肪製剤

9.ビタミン剤,微量元素,電解質

10.栄養輸液のモニタリング

第7章 透析患者の体液電解質代謝異常と輸液

A.透析患者における体液電解質異常: 総論

B.透析患者における体液電解質異常: 各論

1.体液量(ナトリウム・水の量)の異常

2.浸透圧(ナトリウムと水の比)の異常

3.カリウムの異常

4.酸塩基平衡の異常

C.透析患者への輸液

1.透析患者での水電解質補充の基本

2.透析患者での輸液メニューの基本

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書籍情報

  • ISBN:9784498123120
  • ページ数:262頁
  • 電子版発売日:2011年5月31日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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