白血病診療Q&A 一つ上を行く診療の実践

  • ページ数 : 280頁
  • 書籍発行日 : 2015年4月
  • 電子版発売日 : 2015年5月22日
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商品情報

内容

「本書」と「診療ガイドライン」で、白血病の日常診療は完璧!

造血器腫瘍診療ガイドラインだけでは不十分な部分を補完するよう必要な項目をQ&Aとして追加。また、ガイドラインのみでは満足できない読者に対して「一歩進んだ」内容も盛り込まれており、ガイドラインの知識だけでは対応できないポイントがプラクティカルにわかります!
電子版なら参考文献からPubMedへのリンクも貼られています。

序文

血液学は,基礎医学,臨床医学の両分野において目覚ましい進歩を続けている.基礎医学によって白血病のゲノム異常がすべて解明されつつあり,臨床医学によってこれらのゲノム異常が病態・予後に及ぼす影響も明らかにされつつある.

急性白血病の治療は,寛解導入療法,同種移植を含めた寛解後療法,そして,これらを通じて必要な感染症対策などの補助療法から構成される.各症例の病態,背景は極めて多様であり,血液内科医は治療の各局面においてEBM(evidence based medicine)に基づいた,しかも各患者さんに最も適した治療選択についての総合的な判断を求められる.一方,慢性骨髄性白血病に対してはチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が治療の主役であるが,治療効果の適切な評価,TKI抵抗性例に対する次の治療選択,TKIの副作用に対する適切な対応などが求められる.また,骨髄異形成症候群においてもメチル化阻害薬,エリスロポエチン製剤が登場し,同種移植を含めて治療は極めて多様化している.

このような状況下では,血液内科の専門家でも自らの診断,治療選択がEBMに則った最適のものであるかどうか迷わざるを得ない.これに対応するため,日本血液学会は,造血器腫瘍診療ガイドライン(第1.0版)を2013年に冊子として出版し,現在は改訂第1.1版をWeb上で公開している.本ガイドラインは診断,治療アルゴリズム,CQとそれに対する回答から構成され,白血病の項目は第I章として取り扱われている.しかし,本ガイドラインでは紙面の都合上,いくつかの重要な項目を掲載しきれず,また,記載内容の背景を十分に述べきれなかった部分も多い.

そこで,本書では,血液専門医が日常診療で白血病治療を行う際に遭遇する数々の疑問に答えるべく,特に造血器腫瘍診療ガイドラインだけでは不十分な部分を補完するよう必要な項目をQ&Aとして追加した.また,ガイドラインのみでは満足できない読者に対して「一歩進んだ」内容も盛り込んだ.これらに回答してくださった著者は,いずれも担当領域の一線で活躍する我が国のリーダーであり,各回答が適確かつ簡潔にまとめられている.本書が読者の先生方の日常診療の一助となれば幸いである.

2015年3月

近畿大学医学部血液・膠原病内科 松村 到

目次

I 基礎事項

1. 次世代シークエンサーで明らかにされた白血病のゲノム異常は? 〈宮本敏浩〉

2. 白血病におけるエピゲノム異常と予後の関係は? 〈冨田章裕〉

3. 白血病幹細胞とは? 〈宮本敏浩〉

4. 細胞表面抗原の読み取り方は? 〈米山彰子〉

5. 形態異常の定義は? 〈阿南建一 三浦偉久男〉

6. 形態異常から染色体異常を予測できるか? 〈阿南建一 三浦偉久男〉

II 急性骨髄性白血病(AML)

1. 予後分類の現状と今後考慮される予後因子は? 〈石川裕一 冨田章裕〉

2. 日常診療でFLT3,KITなどの遺伝子検査を実施すべきか? 〈石川裕一 清井仁〉

3. nonAPLに対してIDR(DNR)+Ara-Cを超える寛解導入療法は? 〈前田嘉信〉

4. AMLの寛解導入療法におけるGOの動向は? 〈前田嘉信〉

5. 寛解導入療法が奏効しなかったAML(primary induction failure)に対する次の治療は? 〈宮脇修一〉

6. 何歳まで標準の化学療法が可能か? 〈藤田浩之〉

7. 高齢者のAMLに対する治療は? 〈伊藤仁美 藤田浩之〉

8. nonAPLに対する至適な地固め療法は? 〈宮脇修一〉

9. 中間リスクの若年者AMLの第1寛解期に同種移植は必要か? 〈諫田淳也〉

10. KITの活性型変異陽性のCBF白血病に対する寛解後療法は? 〈石川裕一 清井仁〉

11. 75歳以上のAML患者.外来での芽球コントロールの方法は? 〈臼杵憲祐〉

12. APLに対する至適な寛解導入療法は? 〈竹下明裕 安達美和〉

13. APLの至適な地固め療法は? 〈麻生範雄〉

14. APLの至適な維持療法は? 〈麻生範雄〉

15. APLの寛解導入療法における亜ヒ酸の位置づけは? 〈木口亨〉

16. APLの地固め療法における亜ヒ酸の位置づけは? 〈竹下明裕 安達美和〉

17. APLの治療におけるGOの位置づけは? 〈木口亨〉 101

18. APLの治療方針決定におけるMRD(PML-RARA mRNA)検出の意義は? 〈恵美宣彦〉

19. 亜ヒ酸で第2寛解期に入ったAPLのその後の治療法は? 〈初見菜穂子 佐倉徹〉

20. APLに合併するDICに対する至適治療は? 〈星野匠臣 佐倉徹〉

21. 混合表現型急性白血病に対する治療は? 〈大場理恵 薄井紀子〉

III 骨髄異形成症候群(MDS)

1. MDSの予後分類は? 〈波多智子〉

2. 低リスクMDSに対する標準治療は何か? 〈鈴木隆浩〉

3. 高リスクMDSに対する標準治療は何か? 〈鈴木隆浩〉

4. 低リスクMDSに対するアザシチジンの有用性は? 〈松田光弘〉

5. MDSおよびMDSから移行したAMLに対して何歳まで同種移植が可能か? 〈内田直之〉

6. MDSから移行したAMLに対する同種移植前の芽球コントロールは? 〈森田泰慶〉

7. 高リスクMDSの同種移植前にアザシチジンの投与は有効か? 〈松田光弘〉

8. MDSの同種移植後のアザシチジンの適応は? 〈森田泰慶〉

9. 慢性骨髄単球性白血病に対するアザシチジンの有用性は? 〈澤山靖 波多智子〉

IV 急性リンパ性白血病(ALL)

1. 成人ALLに対して何歳まで小児プロトコールを適応すべきか? 〈近藤英生〉

2. ALLにおける初期治療に対する反応性の意義は? 〈近藤英生〉

3. ALLにおけるMRD評価の意義は? 〈八田善弘〉

4. 第1寛解期のALLに対する同種移植の適応は? 〈賀古真一 神田善伸〉

5. 移植後再発のALLにDLIの効果は期待できるか? 〈八田善弘〉

6. 移植適応Ph陽性ALLに対する至適な寛解導入療法・地固め療法は? 〈杉浦勇〉

7. Ph陽性ALLに対する移植後のTKI投与は? 〈杉浦勇〉 184

8. 同種移植の適応とならないPh陽性ALLの治療は? 〈水田秀一〉

V 慢性骨髄性白血病(CML)

1. CMLの治療効果判定におけるAMP-CML法と国際標準法の相関は? 〈高橋直人〉

2. BCR-ABLの点突然変異の解析方法は? 〈木村晋也 荒金尚子〉

3. 初発時に付加的染色体異常を認めたCML-CPの治療は? 〈武内正博 中世古知昭〉

4. CML-CPにおける移植の位置づけは? 〈武内正博 中世古知昭〉

5. 第2世代ABLチロシンキナーゼ阻害薬の長期の副作用は? 〈田内哲三〉

6. 第2世代ABLチロシンキナーゼ阻害薬で治療を開始した際に3カ月時点でのBCR-ABL(IS)10%をどのように評価するのか? 〈田内哲三〉

7. CML-CP治療における第2世代チロシンキナーゼ阻害薬のボスチニブの位置づけは? 〈松村到〉

8. 第3世代チロシンキナーゼ阻害薬ポナチニブの有効性は? 〈平瀬主税〉

9. MMR達成例に対する第2世代チロシンキナーゼ阻害薬の切り替えは? 〈平瀬主税〉

10. Drug-offを目指す際のインターフェロンの有効性は? 〈臼杵憲祐〉

11. 慢性期のCMLにおいてチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の中止は可能か? 〈松村到〉

12. 妊娠を希望する女性CML患者に対する治療は? 〈薄井紀子〉

VI 慢性リンパ性白血病(CLL)

1. CLLに対する治療開始基準は? 〈鈴宮淳司 池尻文良 熊野御堂慧〉

2. CLLの標準治療は? 〈山本一仁〉

3. 日常診療でCLLの予後分類に何が有用か? 〈柴山浩彦〉

4. Richter症候群化したCLLに対する治療方針は? 〈柴山浩彦〉

5. CLLに対する新規薬剤の開発状況は? 〈鈴宮淳司 井上政弥 川上耕史〉

VII 支持療法

1. 造血器腫瘍で将来の挙児を希望する患者への対応は? 〈神田善伸〉

2. 顆粒球輸血の適応とその有効性は? 〈定平健 橋田里妙 森毅彦〉

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書籍情報

  • ISBN:9784498125889
  • ページ数:280頁
  • 書籍発行日:2015年4月
  • 電子版発売日:2015年5月22日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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