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- しびれ、痛みの外来Q&A-脊椎脊髄外来の疑問に答える- 改訂2版
商品情報
内容
教科書的アプローチだけでは決して解決し得ないしびれ・痛みの診療。見逃せない疾患についての的確な診断法や治療を進めるポイント、患者が抱く疑問への答えを現場の専門家が豊富な経験を基に解説したハンドブック。
序文
改訂版の発刊に際して
「しびれ,痛みの外来Q&A」初版の刊行から6年以上が経過し,この度,改訂第2版を出版することになりました.初版が非常に好評であったことに加え,その後のしびれ,痛み診療における診断・治療の進歩があり,初版本の内容が古くなってしまいました.そのため,改訂に際しては6年間の進歩を踏まえて,項目を加えたり,削除したりしました.特に,画像では診断が困難である「触れてわかる腰痛,下肢痛」や「殿部,下肢の絞扼性末梢神経障害」の項目を重点的に追加しました.これらの病態は,一般教科書には十分に記載されていない疾患概念ですが,日常診療では,思いのほか多く遭遇する疾患と思われます.改訂版は,他の教科書では得られない内容も記載されているため,しびれ,痛みの外来診療を行っている医師には非常に役立つものと確信しております.ぜひ,御一読いただければ幸いです.
最後に,今回の改訂版の発刊に際して御尽力いただいた中外医学社の小川孝志氏,鈴木真美子氏にこの場を借りて心より感謝申しあげます.
2017年6月
井須 豊彦
初版の序
私は1973年北海道大学医学部を卒業し,その後,初代教授である故 都留美都雄先生に憧れ,北大脳神経外科に入局しました.当初は脊椎脊髄外科には全く興味はなかったのですが,元講師伊藤輝史先生(初代脊髄班チーフ)と北大神経外科の前教授である岩崎喜信先生(当時は助教授,二代目脊髄班チーフ)の篤い勧誘により脊椎脊髄外科を志すことになりました.大学での6年間は学会発表や論文作成を精力的に行い,神経内科医や同門の先生方の信頼を得るため,岩崎喜信先生(当時は脊髄班チーフ)とともに頑張りました.1989年10月突然,釧路労災病院脳神経外科への赴任を命ぜられました.当時,釧路労災病院脳神経外科では脊椎脊髄疾患の診療は全く行われていませんでしたので,赴任後は患者さんに信頼される診察,治療を心がけました.また,扱う疾患も大学での疾患(脊髄腫瘍,脊髄空洞症,脊髄動静脈奇形等の髄内疾患)と違い,加齢に伴って生じる脊椎変性疾患(腰椎椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄症,頸椎症,頸椎後縦靭帯骨化症等)が大多数を占めるようになりました.
近年,MRI,CT等の画像診断の普及,進歩により脊椎脊髄疾患の診断が容易となったことに加え,高齢化社会の到来により脊椎変性疾患の外来数・手術件数は増加しています.脊椎変性疾患の診療を行っていて感じることは,患者さんへのインフォームドコンセント(説明と同意)が如何に大切であるかということです.脊椎変性疾患でみられる手足のしびれや痛みは他の疾患でもしばしばみられるため,他の疾患(脳疾患であったり,末梢疾患であったり,内科的な病気だったりと多種多彩)との鑑別が必要です.そのため,画像で脊椎変性疾患に特有な異常所見がみられても,しびれや痛みの原因が脊椎変性疾患によるものかどうかを検討しなければなりません.昨今における画像重視の時代では,患者さんへの説明が画像で異常があるかどうかに終始する傾向にあります.また,エビデンス重視の時代を反映してか,診療ガイドラインや教科書に基づいて,画一的に病気や治療の説明が行われたりしています.私は病気や治療の説明には,医師の長年の経験や患者さんの個別性も考慮しなければいけないと感じています.
本書では,脊椎変性疾患外来において患者さんからしばしば受ける質問をとりあげ,それぞれについてエビデンスや診療ガイドライン,教科書に基づいてQ&A方式で執筆者にわかりやすく答えていただきました.日常の診療指針の確認と知識の整理に,また実際の患者さんや家族への説明に役立つようにまとめました.本書の特徴はそれぞれのQ&Aに対して<神経外科医のつぶやき>の欄を設け,長年の経験に基づいた私の考え方を記載していることです.私の独善的な内容となっていますので,ご批判をいただければと思います.また,Coffee Breakやコラム欄では渡辺亜紀子氏ならびに本間秀樹氏にイラストをお願いしました.本書が手足のしびれや痛みの患者さんを診察する機会のある先生方や脊椎脊髄疾患に興味を抱いている若手の先生方の外来診療の参考になれば幸いです.また,本書の出版に尽力された中外医学社の小川孝志氏ならびに稲垣義夫氏に心よりお礼を述べたいと思います.
最後に,脳神経外科入局時の教授であった故 都留美都雄先生(1920年10月13日〜1993年10月26日,享年74歳)に本書を捧げたいと思います.
2010年8月
井須 豊彦
目次
第1章 症状ならびに病気に関すること
Q1.しびれや痛みの場所はなぜ重要ですか?
a.神経内科の立場より
b.神経外科の立場より
Q2.病状の経過はなぜ重要ですか?
Q3.歩行,座位,頸部後屈などの動作で症状が悪化または軽減するかどうかを聞くことはなぜ重要ですか?
Q4.外傷により症状が悪化したかどうかはなぜ重要ですか?
●Coffee Break 昔の教えは正しい
Q5.他院で頸椎後縦靱帯骨化症と診断されました.難病と言われ心配です.どうしたらよいでしょうか?
Q6.病気は遺伝しますか?
●Coffee Break エチケット
Q7.腰部脊柱管狭窄症とはどんな病気ですか?
Q8.ぎっくり腰と言われました.ぎっくり腰とは何ですか?
●Coffee Break 医者は強者または弱者?
Q9.「手で身体に触れてわかる腰痛」とはどのような腰痛ですか?診断は簡単ですか?
Q10.間欠性跛行とは何ですか?鑑別しなければいけない疾患は?
Q11.腰が痛いです.どのような病気が考えられますか?
Q12.下肢がしびれ,痛いです.どのような病気が考えられますか?坐骨神経痛でしょうか?
Q13.しびれ・痛みを呈する神経内科疾患とはどのような病気ですか?
文献
第2章 検査ならびに診断に関すること
Q1.どうして脳の検査をするのですか?
●Coffee Break 脳神経外科医とは
■コラム教科書❶ 人との出会い その1.橘 滋國先生
■コラム教科書❷ 人との出会い その2.故 都留美都雄先生
Q2.MRI,CTなどの画像検査をすればすべてがわかりますか?
Q3.どうして採血するのですか?
Q4.脊髄造影検査とはどんな検査ですか?今でも必要ですか?どのような時に必要となるか,入院が必要かどうか,を教えてください.
文献
第3章 診察に関すること
Q1.受診の目的をどうして聞くのですか?
●Coffee Break 医者は画像診断にのみ興味をもってはいけません
●Coffee Break 外科医は忙しい?
Q2.診察する前にどうして問診票を書かなければならないのですか?
Q3.どうして服用している薬を教えなければいけないのですか?
●Coffee Break 手をあてる医療をめざして
Q4.セカンドオピニオンとは何ですか?セカンドオピニオンを求めてもいいですか?
文献
第4章 治療に関すること
A.保存療法
Q1.薬は効きますか?薬物療法にはどのようなものがありますか?
●Coffee Break 仲間
Q2.脊椎変性疾患に対して牽引療法は有効ですか?
●Coffee Break 整形外科医に教えられたこと
Q3.頸椎カラー,腰椎コルセットなどの外固定装具は必要ですか?
●Coffee Break 時代おくれ
Q4.神経ブロックとはどんな治療法ですか?有効ですか?
■コラム教科書❸ 人との出会い その3.村上栄一先生
Q5.保存療法をいつまで続けるべきですか?
Q6.脊髄刺激療法とはどんな治療法ですか?どのような症状に効きますか?
Q7.鍼灸治療とはどんな方法ですか?有効ですか?
■コラム教科書❹ 人との出会い その4.佐藤雅美先生
●Coffee Break 足裏の病気−足根管症候群
Q8.どの段階で専門家へ紹介すべきですか?
B.外科治療:手術のタイミングに関して
Q1.手術は急いで決めなければならないのでしょうか?
●Coffee Break 中高年の神経外科医よ大志を抱け
Q2.どのような症状になったら手術をすべきでしょうか?
Q3.検査で神経が強く圧迫されていると言われました.しかし,症状は少ししびれる程度です.それでも手術は必要ですか?
C.外科治療:手術法に関して
Q1.手術にはどういった方法がありますか(頸椎,腰椎)?
●Coffee Break 金属固定術推進派それとも消極派?
Q2.金属固定術は必要ですか?
Q3.内視鏡手術とはどんな手術法ですか?内視鏡手術は有用な手術法ですか?
Q4.絞扼性末梢神経障害にはどのような疾患がありますか?手術は可能ですか?
■コラム教科書❺ 人との出会い その5.Williams先生
D.手術治療におけるインフォームドコンセントに関して
Q1.どうして手術同意書が必要ですか?
Q2.どうして家族の同意も必要ですか?
●Coffee Break 親子のきずな
Q3.手術の話はどの医師に聞くべきですか?
●Coffee Break 患者さんの本音,外科医の本音
文献
第5章 手術後の経過に関して
Q1.手術をすればしびれ,痛み,運動麻痺は良くなりますか?
Q2.手術は安全なのでしょうか?手術の合併症にはどのようなものがありますか?
●Coffee Break 脊椎脊髄外科医の寿命
Q3.再発はするのでしょうか?再発した場合,再手術は可能ですか?
Q4.手術の長期成績を教えてください
文献
<付録>
1.用語集
2.薬説明集
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書籍情報
- ISBN:9784498128811
- ページ数:165頁
- 書籍発行日:2017年7月
- 電子版発売日:2017年10月13日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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