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- 抗精神病薬プラクティカルガイド
商品情報
内容
精神科医のみならず他科の医師、薬剤師、臨床心理士、看護師、学生にもお薦めの書!
序文
多くの施設の先生方のご協力を得て,ようやく本書を出版するに至りました.本書では,抗精神病薬の歴史,作用機序,具体的な使用方法,有害事象,薬物相互作用,統合失調症の薬物治療ガイドラインをくまなく網羅している,「コンパクトではあるが,かゆいところに手の届く実用的なガイドブック」を目指しました.また,精神科医師のみならず,他科の医師,薬剤師,臨床心理士,看護師,学生に対してもわかりやすく気軽に読めることも心がけました.わかりやすさに重点を置いたために,内容を大胆に単純化したところもあります.読者の皆様にはこの点をどうかお許し願いたいと思います.
統合失調症の薬物治療は日々進歩していますが,一方で未だ抗精神病薬の多剤大量療法が行われていることも事実です.統合失調症の根本的な病因や科学的な根拠に基づいた診断方法は未だに確立されていない現状では,抗精神病薬を用いるにあたって,大量の情報の中から正しい情報を抽出して最良のエビデンスを患者に還元することが精神科医に課せられた使命です.精神科医療も今後はShared Decision Makingの流れにシフトして行くことが予想されます.そのためには,治療者やコメディカルスタッフが抗精神病薬使用に関する正しい知識を身に着けておくことは必要不可欠であり,それをわかりやすく患者・家族に説明する義務があります.その作業が患者・家族・医療スタッフ間の良好な関係を構築するものであると確信しています.もちろん,統合失調症の治療は薬物療法だけではなく,精神療法,リハビリテーションが不可欠であることは言うまでもありません.換言するならば,薬物療法は精神療法やリハビリテーションの効果を最大限に引き出すためのツールです.そのツールは正しく使用されなければ,むしろ患者に害をおよぼすことにも成りかねません.
本書が精神科薬物療法を学ぼうとする読者のお役に少しでも立つことができれば,著者一同この上ない喜びです.
2013年5月
吉村玲児
目次
第1章 抗精神病薬の歴史
A.第I期:クロルプロマジン(CP)以前(有史以前から18世紀まで)
B.第II期:クロルプロマジン(CP)の発見
C.第III期:CP発見以降
D.第IV期:第三世代抗精神病薬アリピプラゾール(ARP)開発以降
第2章 抗精神病薬の適応となる疾患
A.抗精神病薬が保険適応に該当する疾患
1 統合失調症
2 双極性障害
3 うつ病,うつ状態
4 その他
B.保険適応外であるが臨床上で使用される疾患
1 適応外使用について
2 双極性障害
3 うつ病
4 認知症(behavioral and psychological symptoms of dementia)に対して
5 せん妄
6 その他
第3章 抗精神病薬の種類と基本的な作用
A.抗精神病薬の作用機序
1 ドーパミンD2受容体と抗精神病効果
2 その他の受容体に対する作用と効果
B.抗精神病薬の種類
1 定型抗精神病薬
2 非定型抗精神病薬
3 抗精神病薬の持効性注射剤
C.抗精神病薬の基本的な使い方
1 薬剤選択
2 原則として単剤で使用
3 投与量と投与期間
4 身体的なモニタリング
D.抗精神病薬の限界
〈コラム〉抗精神病薬の併用療法および大量療法とその是正について
第4章 定型抗精神病薬
A.日本の抗精神病薬処方の現状
B.定型抗精神病薬の種類と特徴
C.定型抗精神病薬で認められる重篤な副作用
1 遅発性ジスキネジア
2 悪性症候群
3 水中毒
D.アドヒアランス
第5章 非定型抗精神病薬
A.定 義
B.薬理学的プロファイル
1 リスペリドン
2 オランザピン
3 クエチアピン
4 ペロスピロン
5 アリピプラゾール
6 ブロナンセリン
第6章 クロザピン
A.薬理学的特徴
B.治療抵抗性統合失調症の定義
C.Clozaril Patient Monitoring Service(CPMS)
D.クロザピン使用の実際
1 適応に関する検討と禁忌
2 同意と導入
3 前治療薬からの切りかえ
4 投与開始後
5 CPMSによるモニタリング
E.クロザピンの有効性と限界
F.副作用とその対処
1 無顆粒球症・好中球減少症・白血球減少症
2 糖尿病・高血糖・耐糖能異常
3 心筋炎・心筋症・心膜症
4 けいれん
G.クロザピン抵抗性統合失調症の治療
第7章 抗精神病薬の代謝と相互作用
A.薬物動態学的相互作用-薬物の体内動態
1 吸収と薬物相互作用
2 分布と薬物相互作用
3 代謝と薬物相互作用
4 排泄と薬物相互作用
B.薬力学的相互作用
1 ドネペジル,ガランタミン,リバスチグミン
2 バルプロ酸とオランザピン
3 カルバマゼピンとオランザピン
第8章 抗精神病薬使用時に注意すべきこと
A.至適最小用量を考えよう
B.抗精神病薬の副作用
C.錐体外路症状と脳内D2受容体占拠率
D.悪性症候群
E.過鎮静
F.心突然死(QT延長)
G.便秘とイレウス
H.急性腹症
I.誤嚥性肺炎
J.高プロラクチン血症と低プロラクチン血症
K.代謝に関する副作用は,受容体プロフィールで予測できる
L.離脱やリバウンド現象
M.急性期の血液検査データの特徴
第9章 双極性障害の薬物療法─非定型抗精神病薬も含めて
A.気分安定薬
1 リチウム
2 バルプロ酸,カルバマゼピン,ラモトリギン
B.非定型抗精神病薬
日本うつ病学会の双極性障害の治療ガイドライン
第10章 抗精神病薬選択のエビデンス
A.薬剤選択
1 統合失調症に最適な薬物療法とは?
2 CLZについて
3 抗精神病薬の多剤併用療法
B.剤型選択
1 液剤
2 口腔内崩壊錠
3 持効性注射製剤
第11章 統合失調症の治療ガイドライン
A.継続してAPを服用することは,再発予防に有効か?
B.SGA vs FGA
C.SGA vs SGA
D.ブロナンセリン
E.初発統合失調症
F.SGA vs SGA: 副作用(体重増加と抗パーキンソン病薬の使用頻度)
G.デポ剤の有効性
H.治療抵抗性統合失調症
I.抗うつ薬は統合失調症の陰性症状に有効か?
J.結語
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書籍情報
- ISBN:9784498129566
- ページ数:152頁
- 書籍発行日:2013年5月
- 電子版発売日:2013年8月2日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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