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- 亀田流 市中肺炎診療レクチャー 感染症医と呼吸器内科医の視点から
商品情報
内容
読者の達成目標を6つ設定するとともに,(1)肺炎の一般的な診療の流れに沿って説明,(2)呼吸器内科医と感染症医の両方の視点を取り入れる,(3)臨床現場でちょっと気になるけれど,あえて自分で調べることまでしない事柄をテーマに取り上げる,(4)頻回の短いまとめを作って,重要な点を強調する,(5)図表を多用する,(6)マニアックになりすぎない,の6点を心がけました. 高度な内容でありながら医学生や初期研修医であってもストレスなく読み進められる構成となっています.
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序文
はじめに
質問です.読者の皆さんは,この中のいくつの質問に,根拠と自信もって回答できますか?
発熱と咳で来院した患者全員に胸部X線写真は必要か?
市中肺炎診療における胸部CTの役割は?
市中肺炎の経験的治療で,非定型肺炎は全例カバーすべきか?
市中肺炎の治療におけるアジスロマイシンの役割と効果は?
重症市中肺炎を,ピペラシリン / タゾバクタムで治療開始することは妥当か?
市中肺炎の治療における副腎皮質ステロイドの役割は?
内科外来や救急外来で診療をしていると,市中肺炎またはその疑いの患者さんを診療する機会は多いと思います.しかし,その診断・治療・予防について,しっかりと系統的に学んだことがある人は少ないのではないでしょうか.極論ですが,「発熱・咳・痰で来院した患者は,全員胸部レントゲン撮影して,浸潤影あったら,市中肺炎として,喀痰培養採取した後,入院ならセフトリアキソンとアジスロマイシンの併用治療,外来ならレボフロキサシンの内服を行う」という診療でも,多くの場合,問題なく患者さんは改善して元気になると思いますし,いろいろ考えた結果,同じ診療内容になることも多いと思います.そのため,common diseaseであるにもかかわらず,あまり勉強されることがない,モチベーションが上がりにくい疾患なのかもしれません(と,勝手に思っています).
私自身,医師3年目から7年目の5年間,愛知県の安城更生病院で呼吸器内科医として,年間200人以上の市中肺炎の患者さんの診療を行っていましたが,上級医の経験や自分の(浅い)経験に基づいた診療を行っており,その詳細を学ぶことは少なかったように思います.これは,市中肺炎の診断(疫学・病歴・身体所見・画像・微生物学的検査)・治療(抗菌薬・ステロイド)・予防について,通常の診療の流れに沿って,堅苦しい"evidence"を「わかりやすく」かつ「実践的に」解説している親切な書籍はほとんどなかったことも原因と思われます.グラム染色に詳しい本,抗菌薬治療に詳しい本,画像に詳しい本,はあるのですが,満遍なく網羅している「初学者でも」読みやすい本というのは,筆者の記憶では存在しませんでした.
また,2016年から亀田総合病院の感染症科に所属し,感染症診療にどっぷり従事するようになって,強く感じるようになったことがありました.それは呼吸器内科医は「画像」に強いが「微生物」に弱い,感染症医は「微生物」に強いが「画像」に弱いということ,どちらも得意分野のかなりマニアックな深い知識を持っているけれども,お互い得意な領域の重要なポイントを共有できていない・伝え合っていないということです.この経験を通じて,画像と微生物の両方に触れるテキストが必要なのではないかと思うようになりました.
そんな折,2017年夏に当時所属していた亀田総合病院感染症科で開催した外部向けの感染症セミナーの「市中肺炎」の講義を担当することになり,「市中肺炎」と真剣に向き合う機会を得ました.さらに幸運にも,その内容を書籍化させていただく機会を得て,本書を作成することになりました.
作成するにあたって,本書の読者の達成目標を6つ設定するとともに(表),(1)肺炎の一般的な診療の流れに沿って説明,(2)呼吸器内科医と感染症医の両方の視点を取り入れる,(3)臨床現場でちょっと気になるけれど,あえて自分で調べることまでしない事柄をテーマに取り上げる,(4)頻回の短いまとめを作って,重要な点を強調する,(5)図表を多用する,(6)マニアックになりすぎない,の6点を心がけました.そのため,難易度は感染症フェロー・呼吸器内科後期研修修了時レベルだと思いますが,医学生や初期研修医であっても,ストレスなく読み進められるような構成となっていると自負しています.本書を読み終えるころには,表の6つの目標を達成するとともに,冒頭の質問にもすべて答えられるようになっていると思います.本書の内容が,読者の皆様の明日からの診療にお役に立つことを心から願っています.
達成目標
1.急性の気道症状で来院した患者における「胸部X線写真の適応」を理解する
2.市中肺炎を疑っている状況における「胸部CTの適応」を理解する
3.「肺結核を疑う状況」を理解する
4.市中肺炎の「重症度評価」と「入院適応」を理解する
5.市中肺炎の「初期治療」の「選択方法」を理解する
6.市中肺炎の「適切なフォローアップ方法」を理解する
最後に,本書を出版するにあたって,担当してくださった桂彰吾さん,笹形佑子さんをはじめとする中外医学社の皆様には大変お世話になりました.また,筆者が初期研修医の頃から呼吸器内科疾患について熱心にご指導してくださった安城更生病院呼吸器内科の原徹先生と,市中肺炎について講義する機会を与え,本書のきっかけを作ってくださった亀田総合病院感染症科の細川直登先生,グラム染色の写真を提供してくださった鈴木大介先生,鈴木啓之先生,早野聡史先生,西原悠二先生に,深く感謝申し上げます.
2019年4月
黒田 浩一
目次
1 市中肺炎の診断
1 市中肺炎の定義
2 市中肺炎の疫学
コラム 急性気管支炎に抗菌薬は不要〜だから肺炎の診断は重要〜
3 導入:肺炎の診断は難しい?─痰出して抗菌薬開始,の前の段階
4 肺炎を示唆する症状
5 肺炎を示唆する身体所見
コラム 副雑音について
6 肺炎の予測モデル─胸部単純X線写真オーダー支援ツール
7 胸部単純X線写真
コラム 胸部単純X線写真のPitfall
8 胸部CT
9 肺結核を疑う時
コラム 肺結核を疑った時の対応
コラム 空気感染隔離の解除
コラム 肺結核と血痰〜肺結核における喀血の頻度〜
2 市中肺炎の重症度判定と入院適応
1 市中肺炎の重症度判定(総論)
2 重症度判定ツール(PSI,CURB-65/CRB-65,A-DROP)
3 重症度判定ツールの有用性と使用上の注意点
4 各判定ツールの比較─結局どのツールを使用するか
コラム ICU入室の基準
5 入院適応の決定
3 原因微生物を考える Part 1
1 導入─原因微生物を考える
2 疫学から考える
3 患者背景から考える
コラム インフルエンザ後の肺炎
4 重症度から考える
5 非定型肺炎と細菌性肺炎の鑑別
コラム 「非定型肺炎」と一括りにはできない
6 尿中抗原検査(肺炎球菌,Legionella pneumophila)
7 市中肺炎における緑膿菌性肺炎のリスク
コラム 市中肺炎診療で使用する抗緑膿菌活性のある抗菌薬
4 原因微生物を考える Part 2
1 微生物学的検査
2 喀痰グラム染色の有用性
3 喀痰のグラム染色─質の評価
4 グラム染色で推定できる細菌
5 血液培養─いつ採取するか
5 抗菌薬治療
1 総論─経験的治療と標的治療
2 原因微生物がはっきりしない場合の経験的治療
3 肺炎球菌が疑われる場合の経験的治療と同定後の標的治療
4 インフルエンザ桿菌が疑われる場合の経験的治療と同定後の標的治療
5 Moraxella catarrhalisが疑われる場合の経験的治療と同定後の標的治療
6 腸内細菌科細菌が疑われる場合の経験的治療と同定後の標的治療
7 緑膿菌が疑われる場合の経験的治療と同定後の標的治療
8 黄色ブドウ球菌が疑われる場合の経験的治療と同定後の標的治療
9 重症肺炎におけるβラクタム系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬の併用
10 市中肺炎における副腎皮質ステロイドの役割
コラム 肺炎随伴性胸水と膿胸
コラム フルオロキノロン系抗菌薬の使用上の注意
コラム いつ嫌気性菌をカバーするか〜誤嚥性肺炎〜
6 治療効果判定と治療期間
1 市中肺炎の治療効果判定
2 治療期間
3 経験的治療で改善しない場合の鑑別
7 市中肺炎の予防─ワクチン接種
1 肺炎球菌ワクチン
2 インフルエンザワクチン
コラム 免疫チェックポイント 阻害薬使用中のインフルエンザワクチン
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書籍情報
- ISBN:9784498130425
- ページ数:210頁
- 書籍発行日:2019年6月
- 電子版発売日:2019年6月21日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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