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- OSAKA UNIVERSITY 肝炎診療マニュアル
商品情報
内容
ひろくALTの上昇する疾患としてとらえられる肝炎。本書があれば、いついかなるときにそのような状況に遭遇しても、周辺知識を総動員した論理的診断と、治療の最適解に到達することが可能に。研修医・一般内科医にはもちろん、専門医の知識の整理にも有用です。
序文
私が医師として最初のトレーニングを受けていた頃の話です.肝疾患の患者さんの病態について血清ALT値の変動のことをあれこれ説明していると,指導医の先生から「ALTの変動で一喜一憂するな」と言われたことがあります.おそらく「重症肝炎の指標として肝障害の程度ではなく肝臓の予備能をもっと注意しなさい」ということを教えていただいたのだと思います.これはとても大事なことで,肝臓の予備能に注目できるかどうかが肝臓の専門医と非専門医を分けるひとつの要件であるといえるでしょう.しかし,同時に「たかがALT,されどALT」という思いもします.ALTが低いと患者さんは喜ばれますし,高いと暗い顔をされます.私たちもALTが高くなると,抗ウイルス治療や肝庇護療法,そして瀉血を病態に応じて考えるわけです.ながらく肝臓を専門として医師をしてきましたが,やはり患者さんとともにALTに一喜一憂して過ごしてきたように思います.
そもそもALTの異常こそが,まず肝疾患の存在を疑う窓口になります.ALTが少しでも高い患者さんをみると,私たちはなぜなのだろうと考えるわけです.私たちはALTが高い状態を結論をつけずにおいておくことができません.血清ALT値は肝細胞障害,もっと正確にいえば肝細胞死の簡便かつ鋭敏な指標です.このマニュアルでは,血清ALT値の上昇する疾患を広く肝炎として捉え,そのような患者さんに遭遇した時にどのようなことを考えたらよいのかをまとめたものです.肝炎は肝疾患診療の入り口であり,ここから肝硬変,肝がん,あるいは急性肝不全へとさまざまな問題が展開していきます.まだまだ書ききれていないことも多くあるかもしれませんが,このマニュアルが先生方の肝疾患診療の一助になれば編者として望外の喜びです.
2013年6月
竹原徹郎
目次
肝炎総論:緒言に代えて
I 肝炎の歴史
II 肝炎の定義と分類
III 肝細胞死の分子機構
1 臨床検査
I 肝炎診療における臨床検査の意義
II 臨床検査による肝病態の評価
III 一般検査
1.尿検査
2.末梢血検査
3.凝固系検査
IV 肝機能検査
1.トランスアミナーゼ
2.ビリルビン
3.γ-GTP
4.アルカリフォスファターゼ
5.LDH
6.総胆汁酸
7.血清蛋白
8.膠質反応
9.自己抗体
10.ICG試験
11.アンモニア
12.分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸比
13.コレステロール
14.血糖値
15.微量金属代謝に関する検査
16.薬物リンパ球刺激テスト
V 肝線維化マーカー
1.IV型コラーゲン
2.ヒアルロン酸
3.III型プロコラーゲンN末端ペプチド
VI 肝炎ウイルス検査
1.A型肝炎ウイルス
2.B型肝炎ウイルス
3.C型肝炎ウイルス
4.D型肝炎ウイルス
5.E型肝炎ウイルス
6.その他
VII 腫瘍マーカー
1.AFP
2.AFP-L3分画
3.PIVAK-II
4.その他
2 画像検査
I 肝の区域
II 画像診断法
1.超音波
2.CT
3.MRI
4.血管造影
5.FDG-PET
III 肝腫瘤性病変の画像所見
1.肝細胞癌
2.胆管細胞癌
3.転移性肝癌
4.肝血管腫
5.限局性過形成結節
6.肝細胞腺腫
7.肝膿瘍
8.肝嚢胞
IV 肝びまん性病変の画像所見
1.慢性肝炎
2.肝硬変
3.急性肝炎,劇症肝炎
4.脂肪肝
V 非侵襲的肝線維化診断法
1.Fibroscan
2.Virtual Touch Tissue Quantification
3.Real-time Tissue Elastography
4.MR elastography
3 組織検査
I 肝生検・肝腫瘍生検
1.意義
2.適応疾患
3.方法
4.合併症
5.禁忌
II 肝臓病理
1.正常肝の組織
2.肝組織の染色方法
3.肝組織の評価方法
4.びまん性病変
5.結節性病変
4 胆道系疾患の診断と処置
胆道癌
I 疾患概念・特徴
II 診 断
1.臨床症状
2.血液検査
3.画像検査
III 治 療
1.外科切除の可否
2.切除可能
3.切除不可能
IV 予 後
総胆管結石
I 疾患概念・特徴
II 診 断
1.臨床症状
2.血液生化学検査
3.画像検査
III 治 療
1.胆道ドレナージ術
2.総胆管結石除去術
IV 予 後
1.早期合併症
2.晩期合併症
5 急性肝炎
I 疾患概念・特徴
II 診 断
1.原因検索の進め方
2.重症度の評価
III 各 論
1.B型急性肝炎
2.C型急性肝炎
3.A型急性肝炎
4.E型急性肝炎
5.肝炎ウイルス以外の急性肝炎
IV 治 療
1.共通の治療
2.成因別の対処法
V 予 後
6 劇症肝炎
I 疾患概念・特徴
II 診 断
1.臨床症状
2.血液生化学所見
3.画像検査
4.成因の診断
III 治 療
1.全身管理
2.血液浄化療法
3.肝性脳症対策
4.免疫抑制治療
5.抗ウイルス治療
6.抗凝固療法
7.その他
8.肝移植
IV 予 後
7 B型慢性肝炎
I 疾患概念・疫学
II 診 断
1.HBVマーカー(血清学的検査)
2.HBVマーカー(ウイルス学的検査)
3.HBVキャリアの自然経過
4.疾患進展度についての検査
III 治 療
1.抗ウイルス治療の種類と特徴
2.抗ウイルス治療の適応と使い分け
3.核酸アナログ治療
4.インターフェロン治療
5.その他の治療薬
IV 経過観察・予後
V 免疫抑制治療,化学療法の際におけるHBV再活性化とその予防
1.HBV再活性化とは
2.HBV再活性化予防
8 C型慢性肝炎
I 疾患概念
II 診 断
III 治 療
1.C型肝炎の治療薬
2.抗ウイルス治療を行う前に考慮すべき事項
3.C型肝炎の治療選択
4.PEG-IFN/リバビリン治療の実際
5.テラプレビル/PEG-IFN/リバビリン治療の実際
6.新規抗ウイルス薬
IV 予 後
9 非アルコール性脂肪性肝疾患/非アルコール性脂肪肝炎
I 疾患概念・特徴
II 診 断
III 治 療
1.基本的な方針と現状
2.生活指導
3.薬物治療
4.瀉血治療
5.外科的治療
IV 予 後
10 アルコール性肝障害
I 疾患概念
1.概念・疫学
2.エタノール代謝と肝細胞障害
II 診断:診断基準
1.飲酒歴の聴取とアルコール依存症の診断
2.アルコール性肝障害の診断基準
3.身体所見
4.血液検査
III 診断:アルコール性肝障害の病型診断
1.アルコール性脂肪肝
2.アルコール性肝炎
3.アルコール性肝線維症
4.アルコール性肝硬変
5.アルコール性肝癌
IV 治 療
1.アルコール性脂肪肝
2.アルコール性肝炎
3.アルコール性肝硬変・肝癌
V 予 後
11 自己免疫性肝炎
I 疾患概念・特徴
II 診 断
[わが国の診断指針]
[改訂版国際診断基準スコアリングシステム]
[簡易版国際診断基準スコアリングシステム]
1.臨床症状
2.血液検査
3.病理所見
4.病型
5.重症度
6.合併症
III 治 療
1.プレドニゾロン
2.アザチオプリン
3.ウルソデオキシコール酸
4.急性肝炎様発症型症例の治療
5.急性肝不全型症例の治療
6.ウイルス性肝炎合併症例の治療
7.妊婦症例に対する治療
8.肝移植
IV 予 後
1.短期予後
2.長期予後
V 類縁疾患
1.PBC
2.PSC
3.IgG4関連疾患
12 薬物性肝障害
I 疾患概念・特徴
II 診 断
[診断基準]
1.臨床症状
2.血液検査
3.画像所見
4.病理所見
5.病型
6.重症度
7.特に鑑別が必要な疾患と判別方法
III 治 療
IV 予 後
13 その他の慢性肝疾患・肝障害を起こす疾患
Wilson病
I 疾患概念・特徴
II 診 断
1.臨床症状
2.検査所見
3.病理組織所見
4.遺伝子変異
III 治 療
1.D-ペニシラミン
2.塩酸トリエンチン
3.酢酸亜鉛
4.Ammonium tetrathiomolybdate
5.低銅食療法
6.肝移植
IV 予 後
うっ血肝
I 疾患概念・特徴
II 診 断
III 治 療
IV 予 後
ヘモクロマトーシス
I 疾患概念・特徴
II 診 断
III 治 療
IV 予 後
14 肝硬変
I 疾患概念・特徴
II 診 断
1.臨床症状
2.血液検査
3.画像検査
4.肝生検・腹腔鏡検査
III 治 療
1.原因治療と抗炎症治療
2.予備能・栄養状態改善のための治療
3.合併症に対する治療
4.日常生活管理
IV 予 後
15 肝癌
肝細胞癌
I 疾患概念・特徴
II 診 断
III 治 療
1.局所治療
2.肝切除
3.肝動脈化学塞栓療法
4.肝動注化学療法
5.全身化学療法
6.肝移植
7.ソラフェニブ
8.放射線治療
9.肝発癌予防
IV 予 後
胆管細胞癌(肝内胆管癌)
I 疾患概念・特徴
II 診 断
III 治 療
IV 予 後
転移性肝癌
I 疾患概念・特徴
II 診 断
III 治 療
鑑別すべき肝良性腫瘍
16 肝移植
I 肝移植とは
II 肝移植の適応
1.レシピエントの適応基準
2.レシピエント選択基準
3.脳死ドナー適応基準
4.生体肝移植ドナー適応基準
III 主な適応疾患
1.劇症肝炎
2.肝硬変
3.肝細胞癌
4.自己免疫性肝炎
5.原発性胆汁性肝硬変
6.原発性硬化性胆管炎
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書籍情報
- ISBN:9784498142107
- ページ数:398頁
- 書籍発行日:2013年7月
- 電子版発売日:2014年1月24日
- 判:B6変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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