SPAM 浦添ER診療ガイドブック

  • ページ数 : 336頁
  • 書籍発行日 : 2019年11月
  • 電子版発売日 : 2019年11月18日
4,620
(税込)
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商品情報

内容

本書は、初期研修医が救急外来(ER)で自信をもって初期対応に臨むことができるようにと沖縄県の浦添総合病院で生まれた救急初療標準化コース、通称「SPAM」をベースに、最新の知見とエビデンスを盛り込んで作成された救急診療ガイドです。最大の特徴は「研修医目線」で作り上げられてきた“現場感”と“実用性”。研修医だけでなく、救急外来に携わるすべての医師にお薦めの1冊です。

序文

発刊にあたって

このたび,浦添総合病院の初期研修プログラムの誇るべき伝統である「SPAM」が一冊の本としてまとまり,全国の皆さんにお届けできることを非常に嬉しく思います.この本(通称「SPAM本」)を通じて,広く全国にSPAMを知ってもらうことはもちろん,日々ERで頑張っている全国の研修医達が現場ですぐに活用できる一冊として,皆さんの白衣のポケットに忍ばせてもらえれば,執筆者一同これ以上に嬉しいことはありません.

SPAMの特徴として,研修医が「研修医目線」で考え,作り上げて継続されてきたものであること,研修医が救急外来で生き延びるための初期評価や初期対応に重点を置いていること,群星沖縄プロジェクトの強みであるバイタルサインや身体所見を重視していることなどがあげられます.この本は,決して専門的なものでもなければ,みんなが従うべきプロトコルとなるものでもありませんが,実際にERで四苦八苦しながら闘っている「研修医の視点」に立って作られたガイドブックだという強みがあります.みなさんにも,そのことを意識してこの本を愛用していただければと思います.

この本の執筆に取り組んだのは,現役の浦添総合病院の研修医および,SPAMコースを生み出し,これまで育ててきたOB/OG達です.自分達が経験した初期研修の伝統を,一冊の本として「カタチ」にすることは,浦添総合病院で初期研修をした全員の自信や誇りに繋がるものであり,SPAMの集大成として非常に貴重な経験となりました.また,それと同時に,浦添総合病院でのこれまでの自分たちのER診療を見つめ直す良いきっかけにもなりました.SPAMコースで教えていることや,自分達の普段のER診療がはたしてスタンダードと呼べるものなのか,改善点はないか,エビデンスはどうなっているのかなどを改めて調べ直し,カタチに残す.そんな作業を通じて,自分たち自身についても振り返って考える良い機会となりました.そのため,疾患各論の内容は,普段のSPAMコースで指導している内容や浦添総合病院ERでの実際の診療内容に加え,できるだけ最新のエビデンスに基づいた,現時点での「世界のスタンダード」に近い内容もたくさん盛り込んだパワーアップしたものとなっています.「スタンダード」はその時代によって変わっていくものでもあり,他のやり方を否定するものではありませんが,この本の中にER診療の奥深さや楽しさ,醍醐味を感じてもらえれば幸いです.

代々引き継がれてきたSPAMの内容をまとめ直し,カタチにする作業は一筋縄ではいきませんでした.ですが,プロジェクトに協力してくださった現役研修医の皆さんおよびOB/OGの皆さんの協力のお陰で素晴らしい一冊ができたことに,監修者として感謝申し上げます.また,群星沖縄プロジェクトを素晴らしいリーダーシップで率い,長年にわたって私達を指導してくださっている宮城征四郎先生および徳田安春先生,この企画を受けることを戸惑っている際に背中を押してくださった浦添総合病院の宮城敏夫理事長,福本泰三院長,いつも快く私達をサポートしてくださる教育研究室の皆さん,その他多くの方々のご理解とご協力に心からお礼を申し上げます.そして,このような企画を提案いただき,度重なる原稿提出の遅れにも嫌な顔一つせず,私達の思いをカタチにするのに辛抱強く付き合って下さった中外医学社の宮崎さんに,感謝します.本当にありがとうございました.

この本が,少しでも多くの研修医や医学生の力となり,ひいては今後の日本のより良いER診療への助けとなることを心から願っています.


令和元年10月吉日

監修・執筆
山内 素直



推薦の序

研修医向けの救急外来での初期評価そして初期対応コースSPAMが1冊の本になりました.SPAMはStandard of Primary Assessment in Muribushiの略で,救急初療標準化コースです.群星沖縄プロジェクト基幹病院の一つであり,地域医療支援病院のモデルとなっている浦添総合病院の初期研修医が総力を挙げて作ってきました.群星沖縄プロジェクトは,2003年に宮城征四郎先生(現名誉センター長)が立ち上げられた,沖縄県内の研修病院群アライアンスです.2017年からは私がセンター長を引き継がせていただいています.

コースのセッティングは救急外来の最前線.ここでは,研修医の皆さんがチームの最前線に立ち,ダイナミックに診療しています.緊急度と重症度が高い患者さんが,次から次へと多数搬送されて来る中で,迅速かつ適切な蘇生を行い,キラー疾患を見逃さないための診断と治療を行うという安全な診療が求められます.本書を読んで,救急外来で常に持ち歩き,必要に応じて再読を繰り返すことで,SPAMをマスターすることにより,このような診療が可能になると思います.

本書は,医学生・研修医だけでなく,救急外来診療を行うすべての医師にお勧めです.宮城先生によるティーチングのコア・コンセプトであるバイタルサインの解釈を始めとした問診と診察の基本を一貫して忠実に重視し,記述されています.また,わかりやすい図表や,覚えやすい語呂合わせが豊富に付いており,読者の理解と記憶を助けてくれます.さらには,監修の山内素直先生を始めとしたコース作成OB/OGたちが世界各地で活躍する中で,このコース内容に最新のエビデンスとグローバル・スタンダードの知見をインプットしてくれています.

患者さんの急変はいつどこでも起こる可能性があります.本書の内容は,入院中,プライマリケア外来,在宅医療など,全ての患者さんの急変対応に応用できます.自信を持って患者診療を行うためには急変対応に対する備えが必要です.そのためにも,本書を,医師だけでなく,すべての医療者にもお勧めします.さあ,あなたもSPAMポーズをマスターして,安全な医療を提供できるプロフェッショナルを目指しましょう.


2019年10月吉日

群星沖縄臨床研修センター長
徳田 安春



目次

第1章 SPAM

1▶SPAMってなんだろう?

2▶SPAMの二本柱 〜Primary ApproachとSecondary Approach〜

3▶Primary Approachの実際

4▶Secondary Approachの実際

第2章 Aの異常 〜Airway〜

1▶Aの異常へのアプローチ

2▶急性喉頭蓋炎

3▶アナフィラキシー

4▶気道異物

5▶気道熱傷

第3章 Bの異常 〜Breathing〜

1▶Bの異常へのアプローチ

2▶肺炎

3▶気管支喘息発作

4▶COPD急性増悪

5▶気胸

6▶肺塞栓症

第4章 Cの異常 〜Circulation〜

1▶Cの異常へのアプローチ

2▶ショック

3▶急性心不全

4▶頻脈

5▶徐脈

第5章 Dの異常 〜Disability〜

1▶Dの異常へのアプローチ

2▶低血糖

3▶失神

4▶糖尿病性ケトアシドーシス/高血糖高浸透圧症候群

5▶肝性脳症

6▶熱中症

第6章 Advanced SPAM

1▶Advanced SPAMとは?

2▶腹痛編

1 感染性腸炎(嘔吐下痢症)

2 消化管出血(吐血/下血/血便)

3 急性虫垂炎

4 大腸憩室炎

5 胆石発作/急性胆嚢炎/急性胆管炎

6 急性膵炎

7 産婦人科系の急性腹症

7-1.異所性妊娠

7-2.卵巣出血

7-3.茎捻転(卵巣腫瘍茎捻転)

7-4.骨盤内炎症性疾患

3▶頭痛・神経編

1 頭痛

2 めまい

3 痙攣発作(てんかん発作)

4 クモ膜下出血

5 脳出血

6 脳梗塞

4▶胸痛編

1 ST上昇型心筋梗塞

2 非ST上昇型急性心筋梗塞/不安定狭心症

3 急性大動脈解離

5▶感染症編

1 グラム染色

2 急性上気道炎/インフルエンザ

3 尿路感染症

4 皮膚軟部組織感染症(蜂窩織炎/壊死性軟部組織感染症)

5 髄膜炎

6 感染性心内膜炎

6▶腎・泌尿器系疾患,電解質異常編

1 急性腎障害

2 高ナトリウム血症

3 低ナトリウム血症

4 高カリウム血症

5 低カリウム血症

6 泌尿器系の救急疾患(尿路結石/精巣上体炎/精巣捻転)

7▶その他

1 小児の発熱

2 捻挫(足関節)

3 骨折

4 熱傷

5 眼科救急疾患

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書籍情報

  • ISBN:9784498166189
  • ページ数:336頁
  • 書籍発行日:2019年11月
  • 電子版発売日:2019年11月18日
  • 判:B6変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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