ベッドサイドの臨床神経生理学

  • ページ数 : 226頁
  • 書籍発行日 : 2017年8月
  • 電子版発売日 : 2018年1月19日
4,180
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商品情報

内容

臨床に直結した「使える臨床神経生理学」のエッセンスを一冊に凝縮!

ベッドサイドでよく使われる脳波、筋電図、誘発電位などの原理とその意義を概説したあと、どうすれば3-step diagnosisの助けとなるのか、そのポイントをまとめました。

序文

私は,1979年6月に故黒岩義五郎教授が主宰する九州大学神経内科の門を叩きました.その当時は,画質の悪いCTが出始めたときで,神経学的診察,いわゆるHammer Neurologyが盛んで,徹底して3-step diagnosisを教え込まれました.3-step diagnosisとは,1.解剖学的診断(anatomical diagnosis),2.原因的診断(etiological diagnosis),3.臨床診断(clinical diagnosis)のことで,病歴,診察所見から神経疾患を診断することです.幸いなことに,黒岩義五郎教授,後藤幾生助教授(のち九州大学神経内科教授),加藤元博講師(のち九州大学臨床神経生理教授),柴崎浩講師(のち京都大学神経内科教授),田平武助手(のち国立長寿医療センター研究所長),糸山泰人助手(のち東北大学神経内科教授),小林卓郎助手(のち九州大学神経内科教授)というそうそうたるメンバーに徹底して臨床的診察とその考え方を叩き込まれました.

臨床神経生理学(Clinical Neurophysiology)は,脳から脊髄,末梢神経,筋に至る広い範囲の機能とその病態を,生理学的に研究している学問分野です.CTのはしりの頃は,脳波,誘発電位による病態生理の解明が一番盛んな時でした.その後,臨床現場では,CTやMRIなどの画像検査の進歩により,脳の形態的な検査が重要視されています.しかし,機能的な面を検査する臨床神経生理学的な検査も忘れてはならない検査です.逆に形態検査で異常所見が検出されない時に,臨床神経生理学的な検査はその威力を発揮します.

本書では,私が考えるベッドサイドの臨床神経生理学をできるだけ,わかりやすく解説しました.ベッドサイドでよく使われる脳波,筋電図,誘発電位などの原理とその意義を概説したあと,どうすれば,3-step diagnosisの助けとなるのか,そのポイントをまとめました.これにより,神経生理学的手技の基本的な事項から検査のコツ,所見の捉え方,臨床応用までを一冊で「俯瞰」できるようになりました.本書が,神経内科医,脳外科医,精神科医,臨床検査技師などの方にお役に立てば幸いです.

なお,本書の企画・編集でお世話になった中外医学社,企画部・岩松宏典氏のご協力により,この本は完成しました.この場を借りて感謝申し上げます.また,資料の収集・整理を手伝ってくれた秘書の小笠原史織さんに厚く御礼申し上げます.


2017年初夏

九州大学大学院医学研究院・臨床神経生理学分野
飛松 省三

目次

基礎編

1章 臨床神経生理学とは

1-1 臨床神経生理学の歴史

1-2 脳波(electroencephalography;EEG)

1-3 筋電図(electromyography;EMG)

1-4 誘発電位(evoked potentials)

1-5 事象関連電位(event-related potentials;ERP)

1-6 経頭蓋磁気刺激法(transcranial magnetic stimulation;TMS)

1-7 機能的磁気共鳴画像(functional magnetic resonance imaging;fMRI)


2章 臨床神経生理学を理解するためのMEの基礎知識

2-1 差動型増幅器

2-2 アナログ/デジタル(A/D)変換

2-3 ナイキスト周波数とエイリアシングノイズ

2-4 フィルタ

2-5 アーチファクト

2-6 検査室の条件


3章 針筋電図検査とは

3-1 検査の適応

3-2 検査装置

3-3 筋電図検査に関する神経生理

3-4 検査の方法

3-5 運動単位電位の波形分析

3-6 安静時の筋電図所見

3-7 弱収縮時の筋電図所見

3-8 最大随意収縮時の筋電図所見

3-9 表面筋電図(surface EMG)


4章 神経伝導検査とは

4-1 神経伝導検査に関する末梢神経の生理

4-2 検査の適応

4-3 検査装置

4-4 検査の方法

4-5 神経伝導検査(nerve conduction study)

4-6 伝導異常を生む形態学的基盤

4-7 異常所見のとらえ方・考え方

4-8 神経反復刺激試験


5章 脳波検査とは

5-1 脳波検査(electroencephalography;EEG)の目的

5-2 原理

5-3 検査方法

5-4 正常所見

5-5 異常所見

5-6 脳磁図(magnetoencephalography;MEG)


6章 誘発電位とは

6-1 誘発電位検査の目的

6-2 誘発電位測定の原理

6-3 検査方法

6-4 視覚誘発電位(visual evoked potentials;VEP)

6-5 体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potentials;SEP)

6-6 聴性脳幹反応(auditory brainstem response;ABR)

6-7 運動誘発電位(motor evoked potentials;MEP)

6-8 事象関連電位(event-related potentials;ERP)

臨床応用編

7章 ニューロパチー

7-1 免疫性・炎症性ニューロパチー

7-2 脱髄の電気生理

7-3 脱髄の電気生理学的分類

7-4 画像検査

7-5 体性感覚誘発電位と運動誘発電位


8章 運動ニューロン疾患

8-1 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の症状

8-2 ALSの診断基準

8-3 ALSにおける電気生理学的検査の意義


9章 中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患

9-1 多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)

9-2 視神経脊髄型多発性硬化症(opticospinal MS;OSMS)

9-3 視神経脊髄炎(neuromyelitis optica;NMO)

9-4 Clinically isolated syndrome(CIS)

9-5 ベッドサイドでの症候評価

9-6 脱髄による伝導の遅延


10章 てんかん

10-1 てんかんの分類

10-2 てんかん原性

10-3 偽性てんかん発作波

10-4 てんかんの発作型と脳波

10-5 てんかん焦点の決定

10-6 小児期・思春期のてんかん

10-7 長時間脳波ビデオモニタリング(long-term EEG-video monitoring)

10-8 てんかん重積状態(status epilepticus;SE)

10-9 てんかんの補助検査


11章 びまん性脳症・意識障害

11-1 意識を保つ上行性網様体賦活系

11-2 脳幹網様体と神経伝達物質

11-3 正常脳波リズムの発生機序

11-4 脳症と脳波異常

11-5 脳症と脳波所見

11-6 脳波による重症度評価

11-7 びまん性脳障害

11-8 周期性脳波パターン

11-9 昏睡時における特殊な脳波パターン


12章 認知症

12-1 アルツハイマー病(AD)の脳波異常

12-2 レビー小体型認知症(DLB)の脳波異常

12-3 前頭側頭葉変性症(FTLD)の脳波異常

12-4 血管性認知症(VaD)の脳波異常

12-5 Creutzfeldt-Jakob病(CJD)の脳波異常

12-6 鑑別すべき他の神経疾患


13章 パーキンソン病と不随意運動

13-1 大脳基底核の神経回路とその機能

13-2 運動寡少症と運動過多症

13-3 機能的MRIによる大脳基底核のネットワーク解析

13-4 不随意運動の解析


14章 幻視

14-1 並列的視覚情報処理

14-2 安静時脳内ネットワーク

14-3 幻視の種類

14-4 幻視を生じる主な病態

14-5 注意ネットワークの障害

14-6 パレイドリア(pareidolia)の病態

14-7 DLBの幻視


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書籍情報

  • ISBN:9784498228863
  • ページ数:226頁
  • 書籍発行日:2017年8月
  • 電子版発売日:2018年1月19日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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