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- 経鼻内視鏡マニュアル
商品情報
内容
序文
内視鏡は消化管の内腔を直接みることができるのに加え,鉗子口を通して生検鉗子や処置具など,さまざまな器具が使用できるため,診断のみならず治療に威力を発揮し,消化器診療に不可欠な機器となっている.なかでも早期発見が重要な上部消化管領域のがんでは,その診断能の高さから重要な位置を占めているが,その苦しいイメージから,検査を受けることに消極的な人も多いのが現状である.
胃の内腔を視る試みは硬性胃鏡にはじまり,軟性胃鏡,胃カメラ,ファイバースコープの時代を経て,現在では電子内視鏡が主流になっている.私が内視鏡をはじめたのは胃カメラの時代で,検査室を暗くし撮影時に光るフラッシュを頼りに胃内の写真を撮るもので,後日,撮影されたフイルムをみて生検が必要な病変が写っている場合は生検鉗子口を装備した太い内視鏡を改めて挿入する必要があった.これらを思うと良い時代になったものである.
現在では胃内を大きく明るいTVモニターで視ることができ,観察や処置が円滑にできるばかりでなく,多人数で供覧できるため教育にも役立っている.観察面のみならず挿入面に関しても,内視鏡は細くなり,被験者の苦痛は少なくなったが,挿入経路として口腔を用いる(経口法)ため,咽頭・喉頭の圧迫・摩擦による違和感や嘔吐反射などの問題点は解決されていない.このため鎮静薬や鎮痛薬が用いられているが,死亡例の報告もあり,改善の余地はある.最近,超細径電子内視鏡が登場してからは挿入経路として鼻腔を用いる経鼻的上部消化管内視鏡(経鼻法)が試みられ,被験者に優しい内視鏡として注目されている.
経鼻法は挿入率が高いうえ,嘔気・嘔吐が少なく,経口法の挿入に関する問題点をある程度克服したと言えるが,鼻痛や鼻出血など新たな問題も生じている.食道入口部がゆっくりと観察できるため挿入が容易で,経験の少ない医師にも取り扱いやすい機器であるが,導入期であり経鼻法と経口法の長所・短所や鼻腔の解剖を十分に熟知した内視鏡医が実施すべき時期と思われる.経鼻法は多くの被験者に苦痛の少ない検査が提供でき,なかでも経口法で嫌な思いをした人にきわめて評価が高い.しかし,一方では経口法の方が負担が少なく楽であると答える被験者があることや,経口法の経験のない人にとっては経鼻法が決して苦しくないとは言えず,経鼻法に固執するのではなく,上部内視鏡検査に1つの選択肢が増えたと認識すべきである.現在,経鼻法は胃がん検診や人間ドックへの導入のほか,イレウス管挿入や胃瘻造設の補助など,幅広く臨床応用されている.
安全で有用な経鼻法は急速に普及すると予測されるが,これらを扱った書籍が少ないのが現状である.内視鏡経験者がこれから経鼻法をはじめるにあたり必要なのは耳鼻科領域の知識や前処置,鼻腔の通過法などの具体的な手技であり,またすでにはじめられた検査医にとっては,どのように応用できるかが興味あるところである.本書ではすべての解説にイラストや写真をつけることにより,経鼻法を志すすべての医師にわかりやすいマニュアルとなるように企画した.必ずや日常の診療に役立つ1冊になるものと確信している.
2007年 8月
編者を代表して
宮岡 正明
目次
序【宮岡正明】
[Part1]経鼻内視鏡に必要な基礎知識
【白井孝之,大北一郎,渡邊謙一】
(1) 経鼻内視鏡機器
(2) 経鼻内視鏡検査の適応と禁忌
(3) 偶発症とその対策
(4) インフォームドコンセント:IC(informed consent)
[Part2]経鼻内視鏡検査に必要な耳鼻咽喉科領域の基礎知識
【飯村陽一,荒木 進,鈴木 衞】
(1) 解剖
(2) 生理
(3) 耳鼻咽喉科領域の疾患(内視鏡で観察できる範囲)
(4) 鼻出血への対応法
(5) 耳鼻咽喉科医からのメッセージ
[Part3]経鼻内視鏡検査の前処置
【辰巳嘉英,立花俊治】
(1) 前処置
(2) 鼻腔麻酔法
(3) 内視鏡挿入前の準備
(4) 後処置
(5) 経鼻内視鏡施行後の注意事項
(6) 前処置・鼻腔麻酔に使用される薬剤の注意点
(7) まとめ
[Part4]挿入方法 【阿部公紀】
(1) 挿入体位
(2) 把持方法
(3) 挿入鼻腔の選択
(4) 挿入経路
(5) 挿入前の内視鏡点検
(6) 被験者へはじめて挿入する前の準備
(7) 挿入の実際
[Part5]現状と問題点 【櫻井幸弘】
(1) 背景
(2) 挿入率
(3) 嘔気・嘔吐
(4) 鼻痛
(5) 鼻出血
(6) 安全性
(7) 問題点
(8) 経鼻法と経口法の相違点
[Part6]応用編
[1]イレウス管挿入【岩本淳一,溝上裕士,下河邊宏一】
(1) 準備品
(2) 方法
(3) データ
(4) 利点と問題点
(5) おわりに
[2]内視鏡的胃瘻造設術(Introducer法)【尾形高士】
(1) 準備品
(2) 方法
(3) 安全性
(4) 利点と問題点
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書籍情報
- ISBN:9784758106399
- ページ数:92頁
- 電子版発売日:2011年5月31日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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