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- 根拠からよくわかる 注射薬・輸液の配合変化 Ver.2
商品情報
内容
配合変化を予測・回避する力がすぐに身につく!確認問題や演習問題を収録し、基本事項のおさらいや処方の考察・問題解決に取り組むことができ現場での実践に活かせます。
序文
改訂の序
本書の初版が発刊されたのは,2009年4月のことである.それから8年近くが経過しているが,当時から今日に至るまで,医療業界は大きな変化を迎えている.例えば,2008年6月に閣議決定された「骨太の方針2008」に従って,歳出改革を堅持する姿勢が打ち出され,社会保障費の伸びを2,200億円圧縮するなど,この頃から医療を取り巻く経済的状況が厳しさを見せ始めてきた.また,社会保障国民会議が,2025年の医療・介護費用が最大で94兆円にもなるといった推計をまとめており,将来に向けた社会保障のあり方を考えていかなければならないといった雰囲気になってきたのもこのあたりからであろう.そのほかにも,厚生労働省が医療費適正化計画をスタートさせ,いよいよ医療を取り巻く経済的環境は厳しいものになってきた.
さらに,時同じくして,主にがん領域において分子標的薬や抗体医薬などが臨床応用され始め,これまで治療困難とされた疾患に対する治療の選択肢を手に入れることができた.画期的新薬の登場は喜ばしいものであるが,一方で重篤な副作用を惹起する場合もあり,薬剤師の仕事は,このような医薬品の有効性とともに安全性を確保する方向にシフトしてきた.病院薬剤師の場合は,個々の患者に応じた処方設計や医薬品の安全な薬物療法,すなわち投薬前における患者に対する業務,医薬品の情報及び管理に関する業務を実施することにより病棟薬剤業務実施加算が新設された.また,薬局薬剤師の場合は,患者本位の医薬分業の実現に向けて,服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導,24時間対応・在宅対応,医療機関等との連携などを業務の主軸に置いた"かかりつけ薬剤師"制度がスタートした.
一方で,医薬品を取り巻く問題は,新聞やニュースなどでも目にするようになってきた.例えば,患者宅における大量の残薬やポリファーマシーに加えて,高額医薬品の問題など,それまでに薬物療法の主流を占めていた低分子医薬品からは,想像もつかないような高薬価の医薬品が次々と薬価収載され,医療機関や保険薬局におけ医薬品の購入費も徐々に高騰してきた.その一方で,ジェネリック医薬品のシェアも拡大し,厚生労働省は数量シェアを80%にするといった目標を定め,今日に至っている.ざっと,思いつくままに並べてみても,直近の8年間の間に,われわれ薬剤師ですら,医薬品や薬物療法に関する認識や価値観を変化させざるを得ないような状況になってきたといっても過言ではあるまい.
すなわち,今後,医薬品の適正使用を実践するにあたっては,その有効性,安全性はもちろんのこと,経済性に関する評価も同時に実践していく必要がある.医療業界における薬剤師の役割や責務も,これまで以上に大きく重くなってきたのである.このような状況下,病院薬剤師は医薬品,特に注射薬・輸液の知識や技術,スキルを大いに駆使して患者サービスの質向上に貢献しなければならない.一方,地域における薬物療法の適正化には,保険薬局における注射薬・輸液の適正使用も必須であり,保険薬局に勤務する薬剤師であっても注射薬・輸液に関する知識は重要になってくる.今後,医療を実践する単位は"地域"にシフトしていくわけだが,在宅における注射薬・輸液の使用や管理に関しても,在宅医療を実践する医師や訪問看護師だけの手に委ねるのではなく,薬局薬剤師が積極的に関与しなければならない.
そのようなときに,本書のような入門書が大いに役に立つと思う.薬剤師は,病院勤務であろうが保険薬局勤務であろうが,医療現場において薬物療法の質向上を通じて患者サービスの質を確保し,患者の利益につながる活動をしなければならない.このような状況を見越して,今回の改訂が企画されたわけである.配合変化に関する書籍は,すでに数多く出版されているが,本書は初学者に向けて,大学で学んだ基礎知識をベースに,学術的な根拠を含めて学べるよう,そして得られた知識を医療現場で実践できるよう紙面構成を工夫した.
さて,今回の改訂では,前述のような医療業界や医薬品事情の変化に対応できるよう,大幅に加筆訂正して編集に臨んだ.また,今後医療業界が如何に変化しようとも,薬物療法の有効性,安全性,経済性を確保するという薬剤師の基本的なスタンスも大切に改訂に臨んだつもりである.本書を手に取った多くの薬剤師が,注射薬・輸液の適正使用に貢献することを願って挨拶とさせていただく.
なお,本改訂版を出版するにあたり,羊土社の山村康高氏,秋本佳子女史に大変なご尽力をいただいた.この場を借りてお礼を申し上げる次第である.
2017年1月
日本経済大学大学院 経営学研究科 教授
赤瀬 朋秀
目次
改訂の序
初版の序
Color Graphics(巻頭カラー)
第1章 はじめに
1 なぜ配合変化は難しく取っつきにくいのか
2 配合変化を予測することの重要性
第2章 配合変化概論
1 配合変化(Compatibility)とは
2 配合変化の捉え方
3 配合変化の主な要因
4 混合可否の判断基準
5 配合変化の回避方法
第2章の問題
第3章 pH依存性配合変化
1 pH依存性の配合変化とは
2 pH変動試験とは
3 pH変動スケールの活用方法①
4 pH変動スケールの活用方法②
5 pH変動スケールの活用方法③
6 臨界点pHとは
7 滴定酸度(Titratable acidity)とは
8 pH依存性配合変化を生じやすい薬剤の特徴
第3章の問題
第4章 pH非依存性配合変化
1 pH非依存性(pH independent)の配合変化
2 イオン反応(沈殿反応,製剤の安定化への影響)
3 メイラード反応(Maillard reaction)
4 溶剤の希釈と過飽和
5 溶解度と析出
6 コロイドの反応
7 スタッキング現象
8 添加物による配合変化
9 光による影響
第4章の問題
第5章 医療機器との相互作用
1 溶出・吸着・収着
2 ポリカーボネートのクラック(破損)
3 輸液フィルターにおける配合変化
4 医療機器の選定にあたって
第5章の問題
第6章 配合変化を考察するためのDI
1 企業提供資料,代表的書籍,文献の収集と活用
2 データベースの作成と活用(薬剤ベース,疑義照会ベース)
3 医療スタッフへの情報提供
4 医療スタッフへの教育(薬学生実務実習を含む)
第6章の問題
第7章 配合変化を回避するための手技やルート設計
1 注射薬の混合方法と特徴
2 調製手順の設計
3 配合変化に関連したプレアボイド報告
第7章の問題
第8章 臨床活動と配合変化
1 チーム医療(ICT,NST)・病棟活動時のチェック事項(ルート観察など)
2 手術室,ICUにおける注射薬の運用と薬剤師業務の実践
第8章の問題
第9章 医療安全と配合変化
1 医療における過失とは?
2 注射薬の医療安全
3 注射薬配合変化による医療事故
4 医療安全と配合変化
第9章の問題
第10章 実務実習事前学習における注射薬の配合変化に関する教育
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書籍情報
- ISBN:9784758109352
- ページ数:246頁
- 書籍発行日:2017年2月
- 電子版発売日:2018年1月26日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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