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- レジデントノート増刊 Vol.19 No.8 いざというとき慌てない!マイナーエマージェンシー
商品情報
内容
歯が抜けた,釣り針が刺さった,動物に咬まれた,ボタン電池を飲んだ,などの診慣れない症例に対する治療法や手技などを解説します.「こんなときどうする?」にしっかり応える一冊です!
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序文
皆さんは「自分の知識や技術が足りなかったばかりに患者さんにいらぬ負担を強いてしまった」,なんて経験はありませんか? それも命にかかわるような重大な病態ではない,"しゃっくりが止まらない""指輪が抜けない"といった一見軽症に見えるけれども患者さんはとても辛くて困っている場面で.上級医を呼ぶには軽症すぎるし,他院紹介も難しい.患者さんに我慢してもらったり,遠方の病院まで受診してもらったりというのは,とても心苦しく,自分の無力さを感じてしまうシーンです.医学部の授業でも習っていないうえに,相談しようにも何科に相談すればいいのかよくわからないこれらの疾患/病態に対して救急を担当する研修医や若手医師らは戸惑いながらも日々対応していることと思います.
最近医学雑誌で"マイナーエマージェンシー"と呼ばれる一群の特集が組まれるようになってきました.これらの疾患/病態は,自分がその疾患・対応を知っているか知らないかで,患者さんの負担が大きく変わります.外れた顎の正しい入れ方,グラグラになった歯の取り扱い,ダニや虫に刺されたときの対応法,などなど.いずれもマイナーと侮るなかれ,われわれ医療者から見れば"小ネタ"であっても,患者さん当人にとってみては重大で決定的な手技であり,ちょっとした介入で効果絶大,たいへん感謝される場面です.いわばER医にとって「腕の見せどころ」といったところでしょうか.
今回,羊土社からレジデントノート増刊『いざというとき慌てない!マイナーエマージェンシー』が発刊されることになり,編集のお手伝いをさせていただくご縁に恵まれました."マイナーエマージェンシー"の定義はさまざまです.例えば,有名なPhilipButtaravoliらの『MINOR EMERGENCIES』では,心筋梗塞・脳卒中・急性腹症を除いた"直ちに命にかかわるほどではないが,すぐに対応しなければならないもの"をマイナーエマージェンシーとしていますし,眼科・耳鼻科・泌尿器科といった"国試でいうところのマイナー科の救急"をマイナーエマージェンシーとすることもあるようです.いずれにせよ救命救急センターや外傷センターに搬送されるような重症患者ではない,生命の危機には陥っていない,けれどもなんとかしなければならない/なんとかしたい救急患者,といったところが,皆の想像するマイナーエマージェンシーではないでしょうか.
本書では,主に初期・二次救急医療機関の救急外来で診療する初期研修医や各専門科医が出会う救命救急が必要なほどではない軽症患者のうち,「専門科医を呼ぶほどでもないが,どう対応したらいいだろう」「そもそも何科が専門かわからない,何科に相談したらいいかわからない」といった"マイナー"なものや,救急をしているとこんな問題が生じるのだがどうやって解決すればいいのか,といったものまでを含めて,私自身が普段困っている問題を中心にとり上げることとしました.このなかには2012年4月から月刊誌『レジデントノート』に1年間連載されたものに加筆した項目も含まれています.
執筆は,全国各地の救急外来や総合診療外来,へき地診療所などで活躍されている第一線の救急医・総合診療医の先生にお願いしました.いずれも海千山千の修羅場をくぐってきた精鋭たちです.これまでの豊富な経験をもとにわかりやすく,とても読みやすい文章で解説して下さいました.みなさまありがとうございました.
章分けについては正直のところ,たいへん困りました.そもそも主訴や診療科で分けられないものがこのマイナーエマージェンシーですので,診療科ごとの分類はそぐわないものです.また臓器別という分類もいまひとつしっくりきません.そんな状況で,読者の方が診療中に困ったときにすばやく目的の論文に到達できるためにはどうすればいいのか,編集部の方々に知恵を絞っていただきこのような形になりました.
マイナーエマージェンシーは,救急とプライマリ・ケアをつなぐ重要なカテゴリーの1つと考えています.本書は,読めばきっと適切な対応ができる実践的な内容になっていますので,どうぞ楽しく読み進めていただき,日々の診療にお役立ていただければと思います.本書がERで悪戦苦闘している初期研修医・後期研修医のみならず臨床で活躍中のすべての医師にとって,有用なものとして頼りにされることを願ってやみません.そして,"目の前の"患者さんや"その次に現れる"患者さんの笑顔に結びつくなら,編者としてこれ以上の幸せはありません.
2017年7月
医療法人倚山会田岡病院 救急科
上山 裕二
目次
第1章 頭・首
1.頭が痛い① 緑内障発作
1.(専門医を呼ぶ前に)自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶタイミング,専門医が来るまでにできること
2.頭が痛い② 片頭痛
1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
2.薬を飲むタイミング
3.専門医を呼べない状況ならどうするか
4.こんなときは要注意
5.患者さんを帰す際の注意事項
●Advanced Lecture:片頭痛と脳梗塞や心血管リスク
3.脳震盪 いつから運動させるか
1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.専門医を呼べない状況ならどうするか
4.患者さんを帰す際の注意事項
●Advanced Lecture:1.ガイドラインによる入院・帰宅の基準
●Advanced Lecture:2.脳震盪によって生じる注意すべき症状
4.顔面骨骨折
1.自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.専門医を呼べない状況であればどうするか
4.患者さんを帰す際の注意事項
5.追突されて首が重たい
1.初期対応
2.X線撮影が必要かどうか
3.外傷性頸部症候群の診断と治療
●Advanced Lecture:1.頸椎X線について
●Advanced Lecture:2.頸椎X線を読影する前に確認すること
●Advanced Lecture:3.ABCD fanning
第2章 目・耳・鼻・口
1.なんだか見えにくい 網膜中心動脈閉塞症
1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.専門医を呼べない状況ならどうするか
4.こんなときは要注意
5.治療後のリスク評価
●Advanced Lecture:高気圧酸素療法の有効性
2.耳のトラブル 耳内に虫が入ってしまった患者さんがきたら...
1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.専門医を呼べない状況ならどうするか
4.患者さんを帰す際の注意事項
●Advanced Lecture:小児の鎮静
3.鼻血が止まりません
1.基礎知識:鼻腔の血管支配
2.自分でやるべきこと
3.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
4.こんなときは要注意
5.患者さんを帰す際の注意事項
4.抜けてしまった歯ってどうするの?
1.まず初療医がやるべきことは
2.専門医を呼ぶべき状況・タイミング
3.専門医への引き継ぎにあたって
4.患者さんを帰す際の注意事項
●Advanced Lecture:完全脱臼歯における再植までの時間と予後
5.あごが外れた 顎関節脱臼
1.顎関節脱臼の概要
2.診療の流れ
3.整復法
4.専門医を呼ぶタイミング
5.こんなときは要注意
6.患者さんを帰す際の注意事項
6.餅が喉につまった
気道異物:1.自分でやるべきこと
食道異物:1.自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶタイミング
3.専門医を呼べない場合
4.こんなときは要注意
5.患者さんを帰すときの注意
第3章 手・足・肩・腰
1.爪を挟んだ
爪周囲の解剖
爪下血腫の対処法:1.実際の処置
爪下血腫の対処法:2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
爪下血腫の対処法:3.専門医を呼べない状況ならどうするか
爪下血腫の対処法:4.患者さんを帰す際の注意事項
●Advanced Lecture:1.爪周囲炎(paronychia)
●Advanced Lecture:2.瘭疽(felon)
2.指輪が抜けない
1.(上級医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
2.上級医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.指輪の切断
4.指輪抜去後の注意点
3.手をついた
1.「手をついた」でよくある骨折
2.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
3.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
4.専門医を呼べない状況ならどうするか
5.こんなときは要注意
6.患者さんを帰す際の注意事項
●Advanced Lecture:1.手関節背屈位ギプス固定
●Advanced Lecture:2.TFCC損傷
4.肘が抜けた?肘内障
1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.徒手整復
4.こんなときは要注意
5.肩が抜けた
1.自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼べない状況ならどうするか
3.こんなときは要注意
4.患者さんを帰す際の注意事項
6.膝をひねった
化膿性膝関節炎:1.自分でやるべきこと
化膿性膝関節炎:2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
化膿性膝関節炎:3.こんなときは要注意
骨折:1.自分でやるべきこと
骨折:2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
骨折:3.こんなときは要注意
骨折:4.膝の痛みを訴える患者さんを帰す場合の注意
7.足をひねった
1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.専門医を呼べない状況ならどうするか
4.こんなときは要注意
5.患者さんを帰す際の注意事項
●Advanced Lecture:ただ捻挫しただけなのに手術がいるの!??
8.腰が痛い
1.患者さんを帰す際の注意事項
2.こんなときは要注意
3.専門医を呼ぶタイミング
第4章 胸部・腹部・臀部
1.しゃっくりが止まらない
1.吃逆にどのようにアプローチするか
2.吃逆を止めましょう
3.吃逆エマージェンシー!?~専門医を呼びましょう~
4.患者さんを帰す際の注意事項
2.お刺身を食べたらお腹が痛い
1.まずやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.専門医を呼べない状況ならどうするか
4.こんなときは要注意
5.患者さんを帰す際の注意事項
3.ボタン電池を飲んじゃった
1.ボタン電池誤飲といえば,リチウム電池
2.電池の豆知識:型番から電池の種類を読み解く
3.ボタン電池による組織損傷機序
4.ボタン電池誤飲の症状
5.疑ったら検査
6.ボタン電池誤飲とわかったときの治療
7.合併症
8.予後不良因子
4.肛門周囲のトラブル
総論:肛門関連疾患の悩みどころ
各論:疾患ごとの対応のしかた:1.痔核脱出・嵌頓痔核
各論:2.出血
各論:3.血栓性外痔核
各論:4.肛門周囲膿瘍
第5章 咬まれた・刺された
1.動物(イヌ,ネコ,ヒト,シカ!)に咬まれた
1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶタイミング
3.専門医を呼べない状況ならどうするか
4.患者さんを帰すときの注意事項
●Advanced Lecture:1.Capnocytophaga canimorsus感染症(カプノサイトファーガ)
●Advanced Lecture:2.猫ひっかき病(Bartonella henslae)
●Advanced Lecture:3.サル咬傷
2.ヘビに咬まれた!マムシ,ヤマカガシなど毒ヘビに咬まれたときの対処法・抗毒素の安全な使用法
1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.専門医を呼べない状況ならどうするか
4.患者さんを帰す際の注意事項
●Advanced Lecture:マムシ抗毒素血清は有効?無効?
3.ダニに咬まれた!?
1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼べない状況ならばどうするか? 注意点は?
3.患者さんを帰す際の注意事項
●Advanced Lecture:1.日本紅斑熱
●Advanced Lecture:2.SFTS
4.虫に刺された
ハチに刺されたとき:1.自分でやるべきこと(初期治療)
ハチに刺されたとき:2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
ハチに刺されたとき:3.患者さんを帰す際の注意事項
ムカデに刺されたとき
その他の虫に刺されたとき
5.海洋生物に刺された
1.初期対応と治療
2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.専門医を呼べない状況ならどうするか
4.患者さんを帰す際の注意事項
●Advanced Lecture:1.クラゲ刺傷の疼痛緩和
●Advanced Lecture:2.番外編:シガテラ中毒
第6章 外傷・ケガ
1.釣り針が刺さった
1.自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶタイミング
3.こんなときは要注意
4.患者さんを帰す際の注意事項
2.針,刺しちゃいました
1.自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.こんなときは要注意
4.患者さんを帰す際の注意事項
3.どうやって傷を閉じたらいいの?創傷閉鎖の選択肢
1.自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.専門医を呼べない状況ならどうするか
4.こんなときは要注意
5.患者さんを帰す際の注意事項
●Advanced Lecture:DERMABOND®によるアレルギーの予防と,接触性皮膚炎症候群をきたした場合の対処
4.凍傷の患者さんが来たら...
1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.専門医を呼べない状況ならどうするか
4.こんなときは要注意
5.患者さんを帰す際の注意事項
●Advanced Lecture:南極地域観測隊員の防寒・防風・安全対策
第7章 精神疾患かもしれない
1.過換気症候群疑いの患者さんが来たら...
1.自分でやるべきこと
2.こんなときは要注意
3.患者さんを帰す際の注意事項
2.心因性非てんかん性発作,解離性昏迷
1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
3.専門医を呼べない状況ならどうするか
4.こんなときは要注意
5.患者さんを帰す際の注意事項
3.悪性症候群かも?
1.悪性症候群(NMS)かも?
2.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
3.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
4.専門医を呼べない状況ならどうするか
5.こんなときは要注意
6.患者さんを帰す際の注意事項
●Advanced Lecture:悪性症候群(NMS)vs 悪性高熱症(MH)
第8章 こんな患者さんが来たら...
1.えっと,妊婦さんですか 救急で来た妊婦の対応
常位胎盤早期剥離:1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
常位胎盤早期剥離:2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
常位胎盤早期剥離:3.こんなときは要注意
妊娠高血圧症候群,HELLP症候群:1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
妊娠高血圧症候群,HELLP症候群:2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
妊娠高血圧症候群,HELLP症候群:3.こんなときは要注意
異所性妊娠・切迫流産・切迫早産:1.(専門医を呼べるとしても)自分でやるべきこと
異所性妊娠・切迫流産・切迫早産:2.専門医を呼ぶべきか,呼ぶタイミング
異所性妊娠・切迫流産・切迫早産:3.こんなときは要注意
2.家族がいない!?
1.緊急避難
2.患者の同意
3.家族による同意
4.成年後見人
5.社会資源
6.それでも誰もいないとき
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書籍情報
- ISBN:9784758115919
- ページ数:271頁
- 書籍発行日:2017年7月
- 電子版発売日:2018年10月5日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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