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- Dr.鈴木の13カ条の原則で不明熱に絶対強くなる
商品情報
内容
鑑別を絞り込むテクニックのほか、主治医としての心構えなど、必ず役立つ極意が満載!
Dr鈴木が編み出した「13カ条の原則」を基本編と実践編で学び、応用編では実際の症例にあたりながら自然に「13カ条の原則」の意義が理解でき、実践的なポイントが身につけられます。
序文
はじめに
遂にこの日がやってきた.どちらかと言えば,というか,間違いなく,私は書くよりも話すほうが得意な人間である.No と言えない軟弱な性格もあり,依頼された講演やカンファレンスは二つ返事で引き受けてしまい,週末がつぶれて墓穴を掘ることになるのだが,人と会って話すことは嫌いではなく,出会いが世界を広げてくれる楽しみがあるので,決して苦痛ではない.ただ書き物は何にしても苦痛なのだ.書くということは後に残るということなので,いい加減なことは書けないし,思いつきや勢いで通用するほど甘いものではない.文献を紐解き,思索を深め,言葉を選び,紙の上に文字を連ねていく.生来のいい加減さとめんどくさがり屋の性格が仇になる.そんな人間がよく本書の完成までこぎつけたものである.ということでまず自分を大いに褒めてあげたい(笑).
前振りが長くなってしまったが,この本は,羊土社の『レジデントノート』編集部の方に「名大の総合診療科で不明熱の症例を数多く診てきたノウハウがあるので,それを読者に伝えたい」と持ちかけてみたところ,「それでは『レジデントノート』の連載で」と承諾をいただいたことから始まった.実際の連載は2011 年の11 月号から始まり2012 年の9月号まで隔月で1 年間続いたのだが,幸い好評であったので,今回加筆を行い体裁も新たに世に出していただいたというわけである.
本書は基本編と応用編の2つに分かれている.基本編では「不明熱へのアプローチ13 カ条の原則」を中心に,不明熱診療を行ううえでの基本となる考え方について解説した.応用編では症例にあたりながら自然に「13カ条の原則」の意義が理解でき,実践的なポイントが身につけられるように試みた.今改めて応用編のケースを1例目から読んでみると,指導医の「熱尾直志(実に安直な命名...)」先生と研修医の「不明嫌男(笑)」医師とのやりとりの内容とレベルが少しずつ変わってきていることがわかる.連載を続ける中,自分の書き方がこなれていったのもあるのだが,二人のやりとりを描くことによって,著者である自分自身の頭の中も少しずつ整理されていった感もある.
不明熱の診療にある程度従事していると,知識もさることながら,筋道をしっかり立てて進んでいく思考過程が極めて大切であることがわかる.自分に説明できないことは人にも説明できないし,さらには患者にも説明できない.緻密な論理展開の上にこそ科学としての臨床推論がある.それを軽視する者に勝利は訪れない.ただし臨床は理屈通りには決していかないし,答えも一通りではない.答えが本当にその先にあるのかさえもわからない.そんな不確実性を許容して,不透明で先も見えない旅路を進むことができるのだろうか? 論理の力が暗闇の中の行く先を照らしても,それだけでは患者と家族は前に進めない.医師が声をかけ,共に手をつないでの歩みができてこそ,不明熱という長い道のりを歩き切ることができるのだ.
新専門医制度での総合診療専門医には,超高齢社会の地域医療を担う主役としての活躍が期待されている.しかしながらgeneral な診療の必要性は,プライマリ・ケアの現場だけに留まらない.地域の第一線の病院から大学病院まで,一つの臓器のみならず多臓器にまたがる複雑な病態を呈する患者や,診断がつかずにどこの科で診てもらったらよいのかわからない患者は数多くいる.そこでは器質的な異常のみならず心理社会的状況をも十二分に考慮したうえで,総合的な視点を持って,ベストの判断を遂行するプロとしての役割が求められる.本書を読んだ若い医師の中からそのような志向性を持つ者が一人でも多く出てくれることを期待している.
本書のケースはすべて私が経験した実際の症例である.年齢や設定などを変えて個人情報の秘匿には配慮をしたつもりであるが,その分若干リアリティが弱まってしまったケースもあると感じている.また本書は個々の疾患の解説書ではないので,各ケースの疾患に関する「臨床上のポイント」の記述はケースの理解を助ける程度にとどめてあり,体系だった記述ではなく偏りもあるかもしれない.その点はご理解のうえご容赦いただきたい.
いかに書くことが苦痛だといっても,こうして本になってみればさすがにうれしいものであるが,その反面,内容に関しての責任をも強く感じている.全国各地で不明熱の診療のエキスパートを自認するベテランの先生方から素朴な疑問が拭いきれない研修医まで,ぜひご一読いただき,本書に対しての忌憚なきご意見をいただければ幸いである.
最後に,本書の作成にあたり,遅々として進まない執筆過程にも根気よくお付き合いいただき,終始ご支援をいただいた羊土社の杉田真以子様,その他の編集部の皆様方に対しては感謝の念に堪えない.本当にありがとうございました.そして,本書の難解な症例を一緒に診療してくれた歴代の名古屋大学医学部附属病院総合診療科の病棟チームと研修医の皆さん方,どうもありがとう.心からの感謝の念と共に,君たちにこの本を捧げる.
2015年3月
鈴木 富雄
目次
◆不明熱 敵の姿をとらえるための 目的別インデックス
基本編 不明熱へのアプローチ"13カ条の原則"とは?
1.不明熱診療の基本
2.不明熱へのアプローチ13カ条の原則!
3.病歴聴取のポイント
4.身体診察のポイント
5.3つのぶれない軸
実践編 ケーススタディで身につける"13カ条の原則"による診断の進め方
Case1 疑わなければわからない!意外な落とし穴
Case2 「抗菌薬が著効した」に要注意!
Case3 胸部CTで影がないのに咳が止まらない?
Case4 こんな不明熱も決して稀ではない?
Case5 油断大敵! 一難去ってまた一難
Case6 検査も大事だが,やはりこれが1番重要
Case7 第4の不明熱といえば
◆特別付録:不明熱 現場で知りたいこと困ることQ&A
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書籍情報
- ISBN:9784758117685
- ページ数:175頁
- 書籍発行日:2015年3月
- 電子版発売日:2015年8月21日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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