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商品情報
内容
図が豊富でわかりやすい◎ 薬理学の要点を簡潔にまとめた,詳しすぎず易しすぎないちょうどよい教科書。通読も拾い読みもしやすく,WEB特典の解答付きの応用問題(特典コード付き)で重要事項の復習ができます。
序文
まえがき
教育改革が叫ばれている.古典的な講堂での教員1人対多数の学生よりもグループ学習が良い,課題中心の講義が良い,学生に予習を強いる反転講義が良いと新しい教育法が提唱されている.教育もヒトに対する介入(治療)であるならば,エビデンス(本書セクション006参照)に基づいた教育法を行わなければならないだろう.となると,エビデンスを得るためには,例えば,学生をランダムに2群にわけ,1群には従来の講義,もう1つの群には反転講義を行う.残念ながら,学生はどちらの講義を受けているかはわかっているので,ブラインド化は評価者のみとせざるをえない(学生は新しい学習法のほうが,少なくとも初期は興味をもって積極的に参加するので,本来ならば,学生も新教育法なのか旧教育法なのかわからないようにブラインド化しなくてはならない).次の問題はエンドポイント(評価項目)をどうするかである.教育の評価とはなんであろうか?例えば,医療系大学であれば,それぞれの国家試験の合格率が考えられる.しかし,当然ながら,国家試験に合格することが医療教育の目的ではない.将来の良い医療人の育成が目的である.では,良い医療人とは何か?それもいろいろな考え方があり,また,時代とともに変遷しよう.エンドポイントを設定できない現状では,教育のエビデンスは権威者の個人的意見かケースリポート程度のレベルの低いものしかない(本書セクション007表1参照).
良質のエビデンスを得難い教育法をどう改変すればよいだろうか?1つの考え方は教育の多様性の維持である.大人数の講義,グループ学習,反転講義など様々な教育を行えば,すべての学生に適していなくても,どれかはそれぞれの学生に適した教育となろう.そして,様々な学生を育成すれば,いずれかの学生が将来のその時々に合致した良き医療人になろう.教育においてもこの多様性の維持が有効なことは,多様な種の存在によって過酷な環境を生き抜いてきた生命の進化から明らかである.
すでに様々な薬理学教科書が刊行されている.辞書的な大部の定番名著もあり(本書あとがき参照),優れた簡潔な教科書もある.本書は蛇足かもしれない.しかし,だれか一人でも薬理学の理解にお役に立てればと期待してあえて末席を汚すこととした."FLASH"のタイトルの中にもある通り,各セクションは拾い読み可能であり,そのどれかがどなたかのお役に立てれば本望である.誤りやご意見はご遠慮なく羊土社編集部にお伝えいただきたい.
進本書は内外の様々な既刊の教科書,学術書,インターネットで公開されている情報を参考にさせていただいた.お礼を申し上げるとともに,個々の参照先の割愛をご容赦いただきたい.最後に,本書を通して査読していただいた淡路健雄博士(埼玉医科大学・医学部・薬理学教室・准教授),英語についてご意見をいただいた周防諭博士(埼玉医科大学・医学部・薬理学教室・講師),羊土社の間馬彬大氏,山村康高氏,そして谷口友紀氏らに深く感謝する.
2018年8月
丸山 敬
目次
第1章 総論
001 医療と疾患
002 薬,薬物,薬剤
003 主作用と副作用
004 薬害
005 薬効と自然変動/プラセボ効果
006 新薬開発
007 個別化薬理学
008 薬物の投与経路①(非経口投与)
009 薬物の投与経路②(経口投与)
010 薬物の投与経路③(その他)
011 投与後の薬物(薬物動態)
012 半減期とクリアランス
013 薬物と肝腎とpH(排出)
014 薬物相互作用
015 シグナル伝達と薬物
016 リガンド,アゴニスト,アンタゴニスト
017 抗体医薬
第2章 消化器
018 消化器疾患概要
019 消化性潰瘍治療薬
020 胃粘膜防護薬
021 消化管機能性疾患
022 ウイルス性肝炎
023 肝臓防護薬(庇護薬)
024 膵臓疾患
025 炎症性腸疾患
026 便秘と下痢
第3章 循環器・血液
027 高血圧①(循環系概要)
028 高血圧②(概論)
029 高血圧③(主要薬)
030 高血圧④(代替薬)
031 心筋梗塞・狭心症治療薬①
032 心筋梗塞・狭心症治療薬②
033 心不全治療薬
034 不整脈
035 利尿薬
036 造血薬(貧血治療薬)
第4章 呼吸器
037 呼吸器概要
038 咳,痰
039 気管支喘息
040 慢性閉塞性肺疾患
041 肺高血圧症
042 マクロライド
第5章 内分泌
043 ホルモン
044 下垂体ホルモン
045 甲状腺機能異常の症状①
046 甲状腺機能異常の症状②
047 副腎髄質
048 副腎皮質
049 性ホルモン
050 糖尿病
051 脂質異常症治療薬
052 骨粗鬆症(Ca代謝)
第6章 神経
053 神経系概論
054 脳血管障害治療薬
055 認知症①(アルツハイマー病)
056 認知症②(その他)
057 パーキンソン病治療薬
058 片頭痛治療薬
059 慢性頭痛
060 統合失調症治療薬
061 催眠薬/抗不安薬
062 うつ病と躁病
063 てんかん
064 薬物乱用
065 麻薬性鎮痛薬/緩和ケア
066 睡眠障害
067 自律神経系
068 交感神経系薬物
069 副交感神経系薬物
070 骨格筋作用薬
071 全身麻酔薬
072 局所麻酔薬
第7章 感染症
073 感染症概論
074 耐性・菌交代症・日和見感染
075 抗菌薬総論
076 抗菌薬各論
077 ウイルス感染症
078 真菌感染症
079 寄生虫(含ダニ,シラミ)感染症
080 消毒薬
第8章 抗がん薬
081 抗がん薬概論
082 従来型抗がん薬①(総論)
083 従来型抗がん薬②(各論)
084 MTX,5-FU,活性葉酸
085 分子標的薬
086 その他の抗がん薬①
087 その他の抗がん薬②
第9章 抗炎症薬
088 炎症
089 NSAID
090 膠原病(関節リウマチ,SLE)
091 痛風治療薬
092 抗アレルギー薬
第10章 その他
093 眼疾患
094 抗肥満薬
095 生活改善薬
096 皮膚疾患
097 漢方薬
098 造影剤
099 サプリメント
100 放射線障害
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書籍情報
- ISBN:9784758120890
- ページ数:375頁
- 書籍発行日:2018年9月
- 電子版発売日:2018年11月2日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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