画像による新生児症例カンファランス

  • ページ数 : 244頁
  • 書籍発行日 : 2012年12月
  • 電子版発売日 : 2013年11月8日
6,380
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商品情報

内容

小さく生まれた赤ちゃんの画像診断を系統的に学ぶ機会は少なく、診断の難しい症例になると中堅医師でもその判読は容易ではない。現場でよく出会う症例ごとに、小児放射線科医と新生児科医が読影のポイントを基礎からレクチャーする待望の一冊。

序文

本書はネオネイタルケア誌に2006年から2009年まで連載された「どこを見る? 何がわかる? 画像による新生児症例カンファランス」に手を加えてまとめたものである.第3章がその症例集であり,第1章と最後の文章は単行本化にあたって新しく河野達夫先生と原裕子先生に書き起こしていただいた.また重要だと考えられる「新生児のエアリーク」については独立させて第2章とした.

この連載はもともと,川口市立医療センターで1994年にスタートし月一回開催している「画像による新生児・小児症例カンファランス」の内容から選んでいたものである.原裕子先生・河野達夫先生には一貫してコンサルタントとして参加いただいている.その場に画像を持ち寄るだけでなく,骨系統疾患が疑われる症例は遠方からでも郵送またはeメールによる相談を受け,この道の第一人者である西村玄先生にコメントをお願いするというユニークなスタイルを続け,今年の11月で129回を数える.

さらにさかのぼると,小児放射線科医と新生児科医とが定期的にカンファランスを開催し,希望者が自由に参加するというスタイルは,旧都立豊島病院を中心に藤岡睦久先生をコメンテーターとして月一回開催されていたカンファランスを引き継いだものだった.これは新生児の画像診断の勉強会に本間洋子先生と私が参加して,読影困難だったretrocardiac pneumomediastinumの症例を藤岡先生が明快に説明してくださったことに感銘(知らなかったことに衝撃)を受けて思いたったことに端を発している.このカンファランスの症例については,1995年に藤岡先生がまとめて今回と同じメディカ出版から『症例に学ぶ新生児X線診断』として出版されているが,巻頭で藤岡先生もこの出会いのエピソードを紹介してくださっている.

裏話になるが,河野・原両先生はカンファランスに無償で参加していただいているばかりでなく,河野先生が毎回持参してくださる大量のおやつ代は多分この十数年で数十万円に上る.原先生の友人のトロント小児病院放射線科ドクターに飛び入りでレクチャーをしていただいたこともある.西村玄先生には大変お世話になった.他のどんなコンピュータシステムでも太刀打ちできない玄先生の膨大な知識をもって,このカンファランスではじめて疾患名が判明し報告された症例のみならず,まとめてスタディとして発表されたり,国内だけでなくドイツに遺伝子診断をお願いしたりといった症例など,枚挙にいとまがない.私はどちらのカンファランスにも世話人として計201回の開催のお世話をしたことになるが,多くの知識のみならず知己を得たことは大きな財産であると思っている.

その他お世話になった方々はここに書ききれないが,主治医として日夜NICUでケアを担当した川口市立医療センター新生児集中治療科のスタッフ,研修医,NICUの看護スタッフ,そして昼も夜もいろいろな注文に応じて協力をいただいた放射線科技師各位に篤くお礼申し上げる.


2012年10月13日 出張先のシカゴにて

医療法人鉄蕉会亀田総合病院新生児科
奥 起久子

目次

第1章 新生児の画像診断の心得

1 読影の心得5箇条

心得1:画像所見から,疾患名ではなく病態を判断しよう

心得2:出生からの時間経過に伴い,画像所見も変化することを知る

心得3:患児の重症度と,異常画像所見の程度は相関しないことを知る

心得4:撮影条件を勘案した判断をしよう

心得5:カテーテル位置は毎回チェックする

2 撮影の心得5箇条

心得1:ルチン撮影法は事前に取り決めよう

心得2:よい画像を得るための準備と,オーダーをしよう

心得3:適切な撮影のためには放射線技師,看護師との連携が不可欠

心得4:最適な撮影法をオーダーしよう

心得5:放射線被ばくと防護の正しい知識を得よう

第2章 新生児エアリークの見かた

1 エアリークの定義とよく見られる3パターン

エアリークの定義/どんな種類があるか?/どんな場合に起こる?/

気胸/縦隔気腫/エアリークの起こり方/間質性肺気腫

2 縦隔から進展して起こるさまざまなエアリーク

心囊気腫/気腹/皮下気腫/腎周囲の空気貯留/全身性空気塞栓

3判読が難しいエアリーク

胸膜外気胸/下肺靱帯内の空気貯留/縦隔気腫の心後方貯留/気瘤/緊張性間質性肺気腫

4 読影応用編(ちょっと難しい症例を読影してみよう)

第3章 代表的な疾患 注意したい疾患・所見

1 胸部

症例1 肺サーファクタント補充療法の効果が一時的であった低出生体重児

症例2 人工換気を要した超低出生体重児の呼吸障害

症例3 斑状陰影を呈する正期産児の呼吸障害

症例4 胸腔内に不整な透亮像を呈する呼吸障害

症例5 長期破水後に出生した極低出生体重児に見られた呼吸障害

症例6 胎児超音波で羊水過少を認めた症例

症例7 RDS経過後に呼吸障害が遷延した超低出生体重児

症例8 RDSの既往なく慢性呼吸障害を呈し,肺高血圧で死亡した超低出生体重児

症例9 性器出血を繰り返す母体より出生した,RDSも胎盤感染もない慢性呼吸障害児

症例10 胎便性羊水混濁が認められた呼吸障害の正期産児

症例11 難治性の肺炎

症例12 多量の気管内分泌液を認める呼吸障害

症例13 右下肺野に異常陰影が出現し,抜管困難であった正期産児

症例14 黄色ブドウ球菌感染症経過後の抜管困難

症例15 胎児超音波で横隔膜ヘルニアが疑われた正期産児

症例16 フロッピーインファントの呼吸障害

2 中枢神経系

症例17 上衣下出血がPDA顕在化により進行した症例

症例18 頭部超音波で脳室周囲に高輝度が認められた早産児

症例19 新生児仮死で出生し,著明なアシドーシスが見られた正期産児

症例20 胎児超音波で脳室拡大を指摘された症例

症例21 脳室拡大と脳回異常が疑われた低出生体重児

症例22 口唇口蓋裂および水頭症が疑われた胎児

症例23 後頭部皮髄境界が不明瞭な正期産児

症例24 頭部超音波で脳の形成異常や石灰化が疑われた正期産児

3 腹部

症例25 24時間排便なく著明な腹部膨満と嘔吐で搬送された正期産児

症例26 血性粘液便排出後に急変し,気管挿管に至った症例

症例27 日齢3になって胆汁性嘔吐と腹部膨満とが生じた正期産児

症例28 日齢4に嘔吐で発症し,日齢14で胆汁性嘔吐を主訴に送院された正期産児

症例29 羊水過多と胎児腹水とを認めた正期産児

症例30 在胎30週で羊水過多のためMR検査を施行した症例

症例31 羊水過多があり胆汁性嘔吐を呈した症例

症例32 黄疸が増強し,右上腹部に異常な腫瘤が見られた症例

症例33 胎児超音波で両側腎の異常が疑われた双生児の1児

症例34 胎児超音波で?胞性腫瘤と羊水過多とが疑われた正期産児

症例35 出生時より腹部膨満が著明で緊急入院した正期産児

症例36 緊急帝王切開後に陥没呼吸が見られた早産児

4 チューブトラブル

症例37 肺サーファクタント補充療法後に片肺のみ改善が見られたRDS児

症例38 母乳様の液体が多量に気管吸引された症例

症例39 下肢から挿入したPICCの挿入位置はこれでよい?

症例40 不可思議な臍静脈カテーテルの走行が見られた低出生体重児

症例41 PICC挿入後に見られた心嚢液貯留

5 その他

症例42 多発骨折を来した超低出生体重児

症例43 胎児超音波で四肢短縮が疑われた症例

症例44 原因不明の羊水過多があり気管挿管が困難だった症例

症例45 当初予後不良と告知されたが3歳に成長した骨系統疾患の症例

研究 新生児に最適なCR撮影への取り組み

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書籍情報

  • ISBN:9784840440745
  • ページ数:244頁
  • 書籍発行日:2012年12月
  • 電子版発売日:2013年11月8日
  • 判:AB判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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