• ページ数 : 138頁
  • 書籍発行日 : 2017年9月
  • 電子版発売日 : 2018年1月26日
2,640
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商品情報

内容

神経内科医必携のデータブック!

これまで明らかに記載されていなかった、髄液検査の基準値・カットオフ値を最新文献を元に示し、疾患ごとに何を調べるべきかを簡単に理解できるよう解説。髄液検査から得られる情報をあますところなく使いこなそう! 臨床医待望のデータブック。

序文

髄液検査は神経疾患診療において必須の検査であり,特に中枢神経感染症や炎症性疾患で重要な役割を果たしている。脳,脊髄への体液管理は血液脳関門によって厳密に管理される特殊な環境にあり他臓器のように血液検査からでは得られる情報量が少なく,髄液検査のみから得られる情報が多い。特にアルツハイマー病やプリオン病などの中枢神経に限局した疾患では一般血液検査は正常であり髄液検査が唯一の診断の参考であることもある。

近年の画像診断技術の発展によりPET検査でアルツハイマー病診断に応用されるアミロイドイメージングやタウオパチーのタウイメージングを利用することで脳の病理所見を反映した画像所見が得られることも確かだが,そのような特殊な画像装置を持つ施設は極わずかで患者数の多さを考えると診断技術として一般化するのは現実的ではない。アルツハイマー病の髄液検査所見は研究が進んでおりアミロイド蛋白,タウ蛋白の測定により実際の脳病理を反映した結果が得られ,それらはPET検査と遜色ない感度,特異度を持つようになっている。一般臨床ではPET検査は行えないが髄液検査は特別な条件なく行えるため髄液検査の持つ診断能力の重要性は神経感染症だけでなく変性疾患でももっと重要視されてもよいと思う。

髄液検査は血液検査と比べて侵襲度が高いために多数の正常検体で基準値を出すことが難しく教科書を見ても細胞数,蛋白,糖などの一般的なものはすぐに基準値が見つけられるが特殊項目に関しては記載がない場合が多い。邦文,英文の各種雑誌を見ても,特殊検査項目はある疾患で上昇する,あるいは低下するという記載はあるものの,そもそもの基準値が明確に記載されてないことが多く検査結果の評価ができないこともしばしばある。そのために検査ごとに膨大な文献検索をして探してくる手間がかかり臨床医の時間と労力が費やされている。筆者らもその検索に何百時間を費やしてきた。

本書では髄液検査項目と疾患とに項目を分けて特殊な検査項目の基準値を文献を元に示し,疾患毎では何を調べるべきかをわかりやすくかつ簡単に理解できるように解説した。

本書が臨床医の時間と労力を軽減し日々の診療に役立つことを希望する。


2017年8月

著者を代表して 太田浄文

目次

1 手技,検体取り扱いの注意事項

腰椎穿刺一般

合併症

検体取り扱い

2 髄液検査基準値,カットオフ値一覧表

3 髄液検査項目解説

髄液圧

外観

細胞数

細胞形態

蛋白

Q ALB,ALB Index

IgG,IgA,IgM,IgE

CD4/8比

LDH

CK

β2ミクログロブリン

β―Dグルカン

ADA

ミエリン塩基性蛋白

オリゴクロナールIgGバンド

乳酸,ピルビン酸

総ホモシステイン

IL―6

IL―10

sIL―2R

VEGF

CEA

総タウ蛋白

リン酸化タウ蛋白

アミロイドβ

NSE

14―3―3蛋白

ネオプテリン

アンジオテンシン変換酵素

リゾチーム

オレキシン

フェリチン

トランスフェリン

HVA,MHPG,5―HIAA

抗NMDA受容体抗体

抗GAD抗体

TPO抗体,抗サイログロブリン抗体

フローサイトメトリー

4 神経感染症

中枢神経感染症における病原体,ゲノム,抗原,抗体検査

細菌性髄膜炎

結核性髄膜炎

真菌感染症

ウイルス性髄膜炎・脳炎・脳症一般

単純ヘルペスウイルス感染症

水痘帯状疱疹ウイルス感染症

サイトメガロウイルス感染症

EBウイルス感染症

ヒトヘルペス6型ウイルス感染症

日本脳炎

HIV感染症

HTLV―1関連脊髄症

進行性多巣性白質脳症

亜急性硬化性全脳症

プリオン病

モラレ髄膜炎

ベル麻痺

ラムゼイ―ハント症候群

ポリオ

狂犬病

インフルエンザ脳症

ハンセン病

破傷風

神経梅毒

ライム病

ワイル病

ツツガムシ病

トキソプラズマ脳炎

脳マラリア

アメーバ感染症

寄生虫感染症

5 神経免疫疾患

多発性硬化症

視神経脊髄炎

MOG抗体陽性視神経炎

急性散在性脳脊髄炎

clinically isolated syndrome

アトピー性脊髄炎

神経ベーチェット病

神経スウィート病

神経サルコイドーシス

ループス神経・精神障害

シェーグレン症候群

リウマチ性髄膜炎

中枢神経系血管炎

可逆性脳血管攣縮症候群reversible cerebral vasoconstriction syndrome

肥厚性硬膜炎

NMDA受容体脳炎

VGKC複合体抗体陽性脳炎

橋本脳症

GAD抗体陽性小脳失調症,GAD抗体陽性てんかん,GAD抗体陽性辺縁系脳炎

グルテン失調症

アイザックス症候群

スティッフパーソン症候群

原田病

トロサ・ハント症候群

chronic lymphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids

ビッカースタッフ型脳幹脳炎

6 神経変性疾患

アルツハイマー病

レビー小体型認知症

血管性認知症

前頭側頭型認知症

正常圧水頭症

軽度認知障害

嗜銀顆粒性認知症

神経原線維変化型老年期認知症

パーキンソン病

進行性核上性麻痺,皮質基底核変性症

脳血管性パーキンソニズム

筋萎縮性側索硬化症

脊髄小脳変性症

ハンチントン病

瀬川病

7 末梢神経疾患

ニューロパチー全般について

ギラン・バレー症候群

慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー

抗MAG抗体関連ニューロパチー

多巣性運動性ニューロパチー

非全身性血管炎性ニューロパチー

神経痛性筋萎縮症

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

クロゥ・深瀬症候群

家族性アミロイド多発ニューロパチー

シャルコー・マリー・トゥース病

糖尿病性ニューロパチー

薬剤性ニューロパチー

8 脳腫瘍

脳腫瘍診断一般について

神経膠腫

悪性リンパ腫

白血病

癌性髄膜炎

9 内科疾患,代謝性疾患

肝性脳症

尿毒症性脳症

ビタミンB1欠乏症

ビタミンB12欠乏症

低酸素脳症

低血糖脳症

一酸化炭素中毒

ウィルソン病

副腎白質ジストロフィー

reversible posterior leukoencephalopathy syndrome

ファブリー病

ミトコンドリア病

10 脳血管障害

脳梗塞

脳出血

くも膜下出血

脳静脈血栓症

アミロイドアンギオパチー

脳動静脈奇形

11 脊髄,脊椎疾患

脊柱管狭窄症

脊髄空洞症

脊椎硬膜外膿瘍

脊髄梗塞

放射性脊髄症

12 その他の疾患

脳表ヘモジデリン沈着症

筋炎,重症筋無力症,筋ジストロフィー

ナルコレプシー

てんかん

うつ病

統合失調症

脳脊髄液減少症

片頭痛,筋緊張性頭痛,群発頭痛

むずむず脚症候群


APPENDIX:特殊検査項目提出先一覧

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書籍情報

  • ISBN:9784880024066
  • ページ数:138頁
  • 書籍発行日:2017年9月
  • 電子版発売日:2018年1月26日
  • 判:B6判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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