Dynamic diagnosisに必要な脊椎脊髄の神経症候学

  • ページ数 : 316頁
  • 書籍発行日 : 2017年3月
  • 電子版発売日 : 2018年11月23日
8,800
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商品情報

内容

『脊椎脊髄ジャーナル』で最も読まれた特集号をアップデート&12項目を書き下ろし!

本書は2005年5月発売の特大号を当時の著者たちと一部の新しい著者たちによって、新しく改版したものである。各著者は、神経内科、整形外科、脳神経外科、泌尿器科、放射線科、リハビリテーション科などを専門とするため、本書は多角的な視点で執筆されているという特長ももつ。本邦初の脊椎脊髄に特化した神経症候学の書籍の誕生である。項目には、最近注目されている領域の何本かの論文(Surfer's myelopathy、強直性脊椎炎、仙腸関節炎、視神経脊髄炎、脊髄サルコイドーシス)も新たに追加している。

序文

本書の元になった脊椎脊髄ジャーナルの総特集「Dynamicdiagnosisに必要な脊椎脊髄の神経症候学」の特大号が発刊されたのは2005年5月のことである.雑誌の命は書籍よりも短く,1年もすれば忘れ去られることも多い中で,この特大号は10年以上にわたって売れ続け,同誌の中では販売部数が最も多い号となっている.これは画像検査や種々の機器検査,生化学的検査や遺伝子検査が飛躍的に発展を遂げてきている現今においても,「病歴と診察に何度も立ち返らないと良い診療ができない」という臨床現場の医師の実感が生きている証拠と考えられる.

不思議な気がすることに,まだ検査手段がそれほど発達していなかったと思われる半世紀以上も前に,神経学の泰斗たるR.Wartenbergがその名著]Diagnostic Tests in Neurology:ASelection for Office Use/(Year Book Publishers,1953;佐野圭司訳『神経学的診察法』医歯薬出版,1956)の序論で,すでに次のように述べている.「神経学的診断を下すのに無暗やたらと機械的,技術的,検査室的な検査を行い,それらを重視しすぎるという悲しむべき風潮が盛んになりつつある.医師は自分の診断を,簡単な神経学的検査の所見よりもこれらの検査結果に基づいて行うというようにますますなりつつある.彼は患者の現在と過去について患者と心から話し合うことをせず,患者の身内のものと談合することもせず,その患者を検査室に送るのである.(中略)観察と判断に基づいた『臨床的感覚(]clinical sense, klinischerSinn/)』の代わりに馬鹿がやっても大丈夫というような,規格化された方法を求める医師たちがあまりにも多い」.さらに,その時代から100年以上も前の大神経学者M. H. Rombergの言葉「われわれがつとめて達成せねばならない大目的は,すなわち医学を単なる機械的技術のかせから解放することである」(1840)を引用している.

本書は先の総特集を当時の著者たちと一部の新しい著者たちによって,新しく改版したものである.当然ながら,私たちは前記の至言を噛みしめながらも,機械的技術の成果を捨て去るわけにはいかない.Dynamic diagnosisと称したのは,臨床的技術(病歴聴取と神経学的診察)と機械的技術とをダイナミックに結びつける,新時代の神経症候学を提唱するためである.本書が外来診察室やベッドサイドで有効に利用され,そうした症候学が根付き,発展することを期待したい.


2017年1月29日

編者

目次

第1章 診察のこつ

病歴聴取および診察のポイント―整形外科から

病歴聴取および診察のポイント―脳神経外科から

病歴聴取および診察のポイント―神経内科から

第2章 部位別の神経学

大後頭孔の症候―大後頭孔症候群

上位頸椎部障害の神経症候

C3/4高位障害の特徴

中下位頸椎の症候―神経根症, 脊髄症の臨床的特徴と高位診断の指標

上中位胸椎の神経症候

下位胸椎, 上位腰椎の神経症候

腰仙椎部(馬尾)の神経症候

第3章 脊椎脊髄病変との鑑別診断

脳血管障害と脊椎脊髄病変との鑑別

Parkinson病と脊椎脊髄病変との鑑別

神経叢疾患と脊椎脊髄病変との鑑別

末梢神経疾患と脊椎脊髄病変との鑑別

筋疾患と脊椎脊髄病変との鑑別

胸痛・腹痛を呈する内臓疾患と脊椎脊髄疾患との鑑別

心因性疼痛―新たな視点に立った解釈と層化の実際

第4章 脊椎脊髄疾患の病理学的分類からみた神経症候

脊椎脊髄先天奇形

脊椎脊髄腫瘍

頸椎変性疾患

腰部脊柱管狭窄症

頸椎部flexion myelopathy

強直性脊椎炎と仙腸関節炎

脊髄サルコイドーシス

多発性硬化症(MS)

視神経脊髄炎(NMO)

筋萎縮性側索硬化症

代謝性脊髄症

脊髄血管障害

脊椎脊髄損傷の神経学的診断

特発性脊髄ヘルニア

脊髄空洞症

第5章 脊椎脊髄疾患における注目すべき症状

脊髄・末梢神経由来の慢性疼痛

脊椎脊髄疾患とめまい

Dropped head syndrome(首下がり症候群)

下垂腕徴候

Myelopathy hand

頸部神経根症による下垂指(drop fingers)

Surfer's myelopathy

腰痛,下肢痛

脊椎脊髄疾患における歩行障害

歩行障害と間欠跛行

下垂足

皮膚自律神経症状

膀胱直腸障害, 排尿障害

第6章 脊椎脊髄疾患における神経症候と検査所見の対応

髄内病変のMRI―髄内腫瘍と脊髄腫大をきたす非腫瘍性疾患

電気生理学的検査との対応

髄液検査


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書籍情報

  • ISBN:9784895905862
  • ページ数:316頁
  • 書籍発行日:2017年3月
  • 電子版発売日:2018年11月23日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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