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PCIのための虚血評価 非侵襲的虚血評価スタンダードマニュアル

  • 書籍発行日 : 2020年3月
  • 電子版発売日 : 2020年5月8日
8,250
(税込)
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商品情報

内容

非侵襲的虚血評価のすべてがわかる,慢性冠動脈疾患の治療のためのPCI術者必携の一冊! PCIの適応が考えられる病変(慢性冠動脈疾患)に対する非侵襲的虚血評価法を1冊にまとめた書籍。各々の検査法を解説するだけでなく,モダリティごとのさまざまな違いをPCIによる治療にどう活かし使い分けをするか(虚血評価をマルチモダリティでどう行うか)を実践的に解説。また,2019年3月に改訂された慢性冠動脈疾患診断ガイドラインの概説も掲載。
「基礎編」では,各モダリティの概要と特徴,ポイント,エビデンスを解説。「実践編」では各モダリティの実践的な使い分けを主要な症例を挙げて解説。さらに「症例解説」では,臨床の場で遭遇する知っておきたい稀な症例を取り上げ,より実践で役立つ内容としている。

序文

Appropriate Choice of Diagnostic Modalities

COURAGE研究によって,冠血行再建術と至適内科療法の間に治療後の心血管イベント(心筋梗塞を含む複合イベント)に差がないのではないかという問題提起がなされた。Hachamovitchらの研究により,虚血心筋量がおよそ左室の10%を越えると血行再建術が内科療法の効果を上回るとされ,さらにCOURAGE研究のNuclear sub-studyからも5% 以上の虚血心筋量の低減が患者予後改善に繋がると報告された。一方,ORBITA試験においては1枝有意狭窄冠動脈病変についてのPCI群と偽PCI群における術後運動耐容能には差がなかった。

虚血心筋量と治療法の選択に関しての最近の話題は,2019 年のAHAにて発表されたISCHEMIA研究であろう。まだ論文化はなされていないが,その結果は,中等度以上である左室10%以上の虚血心筋量が証明されている群においても,最適な内科療法と血行再建術群(74%がPCI治療)の間で心血管イベント(心血管死,心筋梗塞,不安定狭心症での入院,心不全または蘇生された心停止)に差がなかったというものである。

また2019年,欧州心臓病学会が慢性冠症候群(CCS)診療ガイドラインを策定し,CCS診断の第一歩に運動負荷試験をとばして冠動脈造影CT検査を用いることも提案された。 これらの話題も含めて,PCI前に虚血の証明や定量化をいかに適切に,非侵襲的に行うかにターゲットをあてた本書では,心電図,心エコー図,CT,MRI,シンチグラムと多くのモダリティによる最新の虚血評価法をエキスパート医師の協力を得て編纂した。

本書は,田中信大先生編集による『PCIのための虚血評価 FFRスタンダードマニュアル』の姉妹本として企画されたが,ともすればPCI適応の判断に用いられ易い肉眼的冠動脈狭窄度ではなく,いかに「虚血心筋」を評価するかがターゲットになっている。そのため,これまで虚血証明に標準的に用いられてきた負荷心筋シンチグラム検査に加え,各種診断モダリティの長所,短所,ハードウェアの進化等について知識を整理・発展させ,検査を実践したい初学者を含む読者の期待に応えるものになっていると確信する。

本書の上梓により,少しでも虚血性心疾患患者さんのQOLと長期予後の改善に寄与できるとすればこの上ない喜びである。


2020年2月

日本大学病院循環器内科教授
松本直也

目次

Ⅰ 基礎編 非侵襲的虚血評価を知る

■心筋シンチグラムを知る

PCIのための心筋シンチグラムのポイント

心筋シンチグラム検査とは

シンチグラム検査の定量性

冠動脈狭窄と心筋シンチグラム

治療法の選択と虚血心筋量

安定型狭心症における内科療法の意義

心筋シンチグラムの検査概要

核種の特徴

負荷法の特徴

プロトコル

心筋シンチグラムの特徴

SPECT 血流画像の視覚的定量評価

SPECT 血流画像の自動的定量評価

SPECT血流画像の虚血定量指標を用いたCAD患者の予後予測とリスク層別化

心電図同期シンチグラム

心電図同期および非同期シンチグラムについて

心電図同期SPECTの原理

心電図同期SPECTから得られる心機能指標

心機能指標を活用するために

J-ACCESSからみた心筋SPECTのエビデンス

多施設予後評価研究J-ACCESS

重症心事故の発生

冠動脈狭窄が既知の場合のSPECT検査の価値

正常心筋SPECTの価値

重症心事故と糖尿病および慢性腎臓病

血行再建における虚血の重要性

J-ACCESS Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ研究

J-ACCESS予後予測モデル

心臓専用半導体SPECT装置

心臓専用半導体シンチグラム検査の原理と方法

D-SPECT による臨床画像

D-SPECTによる冠動脈疾患診断能

半導体検出器ガンマカメラによる心事故予後評価

99mTcと123Iによる心筋血流・代謝2核種同時撮像法

99mTcと201Tlによる心筋血流2核種同時撮像法

心筋ダイナミックパーフュージョン検査

コラム▶ 心筋血流予備能の概念(PET)

13N-アンモニアPETイメージング

MFRの正常値と臨床的意義

コラム▶ 核医学検査の被ばく低減法

若年者ではタリウムによる検査を避ける

Stress-only protocolを利用する

技術的な手法を用いた線量低減

コラム▶ 左室のセグメンテーション(17セグメント法)と冠動脈支配

17セグメントスコアリングシステム

冠動脈の支配領域とシンチグラム画像の関連

■負荷心電図を知る

PCIのための負荷心電図のポイント

運動負荷心電図の意義と限界

運動負荷心電図の実際

運動負荷心電図の評価と偽陽性を呈する病態

運動負荷試験中の不整脈

運動負荷心電図の評価不能例と判定不能例

運動負荷心電図の症候・徴候の評価

運動負荷心電図の結果の報告

運動負荷心電図の課題

運動負荷心電図の応用

負荷心電図の検査概要

プロトコル

安全性

感度と特異度

適応,禁忌,負荷中止基準

負荷心電図の判読

判定基準

ST 変化を検出する誘導

偽陽性

偽陰性

心拍数とST 変化(HR-STループ,HR-STスロープ)

重症度の評価

不整脈

運動誘発性冠攣縮

コラム▶ 虚血のカスケード(虚血の滝)

■負荷心エコーを知る

PCIのための負荷心エコー法のポイント

負荷心エコーとは

運動負荷と薬物負荷心エコー

負荷心エコーの目的

負荷心エコーの実際

壁運動の評価

負荷心エコーで何がわかるのか

冠動脈狭窄診断のエビデンス

冠動脈血流の評価

ドブタミン負荷心エコーの目的

ドブタミン負荷心エコーの実際

心筋バイアビリティの評価

ドブタミン負荷の壁運動評価

予後の予測

問題点と今後への課題

その他の評価法

負荷心エコーによる冠血流予備能評価

心エコーによる冠動脈描出

冠血流速度計測の実際

負荷心エコーによる最大冠血流速度計測

虚血の評価

コラム▶ 負荷心エコー法のエビデンス

心筋虚血診断における負荷心エコー法のエビデンス

壁運動評価による冠動脈疾患の診断

Post systolic shorteningの検出による冠動脈疾患の診断

今後のエビデンス

コラム▶ 負荷心エコーによる壁運動・心機能の定量評価

慢性冠動脈疾患における負荷心エコーの役割

負荷心エコーの方法と評価法

■心臓CTを知る

PCIのための冠動脈CTのポイント

慢性冠動脈疾患診断における冠動脈CTの有用性

冠動脈CTにおける狭窄度評価

PCIの適応決定に対する機能的評価の重要性

PCIにおける冠動脈CTの役割

冠動脈CTの検査概要

心電図同期撮像の基礎的原理

撮像モードと機器の新しい展開

ヨード造影剤の投与法,撮像タイミングと前投薬

負荷パーフュージョン

負荷心筋CTPとは

撮影方法と評価方法

心筋CTPの適応,冠動脈CTと心筋CTPの撮影順序

エビデンス

被ばく

当院での包括的心臓プロトコル

CTを用いた心筋血流評価の将来性

FFR-CTによる虚血診断とPCI

CTを用いたFFR測定法

FFR-CTの診断性能に関する臨床試験

診断,治療方針,費用,QOLに対するFFRCT の影響

CAG,血行再建術に対する信頼性の高いゲートキーパーとしてのFFRCT

侵襲的FFR を省いたPCIに関する適切な意思決定

びまん性狭窄に対するFFR–CTの有用性

心臓CTのエビデンスを知る

冠動脈CT

FFR-CT

CTパーフュージョン

■心臓MRIを知る

PCIのためのMRA

MRAによる冠動脈の形態評価

MRIによる冠動脈プラークイメージング法

コラム▶  PCIのための負荷パーフュージョンMRI

Ⅱ 実践編 非侵襲的虚血評価をどう使い分けるか

■総論

各虚血評価法の使い分けを知る:負荷心電図,エコー,CT,シンチ,MRIの選択法

検査前確率の概念

ベイズの定理

慢性冠動脈疾患診断ガイドライン(2018年改訂版)による各種検査使い分け

CT 冠動脈造影と負荷心筋血流イメージング検査

ESC慢性冠動脈診断マネジメントガイドラインとの比較

■心筋シンチグラム

心筋シンチグラム:冠動脈枝別の虚血心筋のパターン

左前下行枝(LAD)領域

対角枝(diagonal)領域

右冠動脈(RCA)/後下行枝(4PD)領域

鈍縁枝(OM)/高位側壁枝領域(Ramus artery/HL)

後側壁枝(PL)/4PL

心筋シンチグラムのピットフォール

重症虚血症例にみられる注目すべき副次所見

重症虚血の際に留意すべきこと

負荷前後に注意すべき点など

血行再建術後にみられる注目すべき所見

陳旧性心筋梗塞症における心筋バイアビリティ評価

再灌流療法の適応決定における心筋バイアビリティ評価

安静時心筋血流イメージングを用いた心筋バイアビリティ評価

心筋バイアビリティにおける冬眠心筋と気絶心筋

123I-BMIPP心筋脂肪酸代謝イメージングを用いたバイアビリティ評価

18F-FDG PETを用いた心筋バイアビリティ評価

心筋シンチグラム:アーチファクトの見分け方

アーチファクトの種類

体動アーチファクト

減衰アーチファクト

心外高集積によるアーチファクト

カウント不足によるアーチファクト

左脚ブロック・人工ペースメーカによるアーチファクト

開胸術後の中隔奇異性運動様所見

コラム▶ 冠動脈カルシウムスコアと心筋シンチグラムとPCI

コラム▶ シンチグラムにおける報告書の書き方

愛される報告書に求められる条件

レポーティングに記載すべき内容:患者情報

血流情報

心機能情報

心筋SPECT診断

コラム▶ 虚血のメモリーイメージング

心筋のエネルギー代謝

虚血心での臨床応用

BMIPP活用症例

コラム▶ Functional SYNTAXスコアとは

SYNergy between PCI with TAXus and Cardiac Surgery(SYNTAX)スコア

Functional SYNTAXスコア

症例

コラム▶ 心筋シンチグラム画像を理解するためのソフトウェア

■負荷心電図

負荷心電図が特に有用な患者群と症例(ガイドラインを含めて)

PCIの治療適応と負荷心電図

負荷心電図を行うことが適切な患者群

負荷心電図のピットフォール

運動負荷検査の適応と禁忌

Dukeトレッドミルスコアの利用

10METsの意義

何のための負荷検査なのか?:症候限界性運動負荷検査の意味するもの

■負荷心エコー

負荷心エコー法が特に有用な患者群と症例

運動負荷心エコーが特に有用な患者群

薬剤負荷心エコーが特に有用な患者群

コラム▶ 負荷心エコー法のピットフォールと成功のコツ:PCIに至るまでに

冠動脈疾患における負荷心エコーの有用性

ドブタミン負荷心エコー(DSE)の有用性

準備

プロトコル

画像

評価法

禁忌

コラム▶ 負荷心エコー法のピットフォールと成功のコツ:PCIに至るまでにどのように負荷心エコーを利用するか(運動負荷)

検査前の準備

実際の検査の様子

検査結果の判定

陳旧性心筋梗塞症における心筋バイアビリティ評価

心筋バイアビリティ評価の意義

心エコーによる心筋バイアビリティの評価法

ドブタミン負荷エコーの準備

ドブタミン負荷エコーの実際

心筋バイアビリティの評価

低用量ドブタミン負荷エコーの診断精度

コラム▶ 負荷心エコー法の弁膜症症例に対する応用

僧帽弁閉鎖不全症(MR)

■心臓CT

冠動脈CTが特に有用な患者群と症例:中等度検査前確率群におけるCTの有用性(ACSの予測を含めて)

安定胸痛における冠動脈CTの適応

安定胸痛患者の冠動脈病変の評価

胸痛患者での冠動脈石灰化

急性胸痛患者における冠動脈CTの適応

冠動脈CTのピットフォールと成功のコツ:PCIに至るまでにどのように冠動脈CTを利用するか

モーションアーチファクト

前処置

冠動脈石灰化

FFR-CTの原理とエビデンス

FFR-CTの問題点

FFR-CTの適正使用指針

冠動脈CTをどう利用するか

冠動脈CTと心筋シンチグラムのフュージョンイメージング

冠動脈CTと負荷心筋シンチグラムのフュージョンイメージングへの期待

フュージョンイメージングによる診断のコンセプトとその有用性

Ⅲ 症例解説 知っておきたい まれな症例

症例解説 PCIせず至適内科療法が奏功した例

症例解説 心筋バイアビリティなしと評価された症例に対するPCI

症例解説 心筋バイアビリティ評価にPET検査が有用だった例

症例解説 D-SPECTとMFR

症例解説 Invasive FFRとシンチグラムの不一致例の解釈

症例解説 冠動脈バイパスグラフトが開存しているにもかかわらず負荷シンチグラムで心筋虚血が認められた症例

症例解説 CT-FFRでは診断が困難な有意狭窄病変

症例解説 COPD,気管支喘息合併例での心筋虚血の評価

症例解説 ドブタミン負荷心筋シンチグラムが有用だった症例

Ⅳ ガイドライン概説

慢性冠動脈疾患診断ガイドライン(2018年改訂版)概説

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書籍情報

  • ISBN:9784758319652
  • ページ数:0頁
  • 書籍発行日:2020年3月
  • 電子版発売日:2020年5月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

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