眼手術学 1 総論・眼窩

  • ページ数 : 438頁
  • 書籍発行日 : 2014年1月
  • 電子版発売日 : 2020年11月4日
26,400
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内容

眼科手術全般を全8冊に分けて網羅したシリーズの第1巻.本書では「総論」と「眼窩」を扱う.「総論」では,眼手術に臨む心構えから,多くの眼手術に共通する基本事項を細部にわたり具体的に解説する.「眼窩」では,眼窩疾患の治療に必要な外科的手術について網羅し,止血や縫合,術後管理など,他の眼手術とは一線を画する事項についてWEB動画も用いて解説する他,診断に必要な画像検査の評価についても豊富な図と共に詳述する.

あわせて読む → 「眼手術学」シリーズ

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序文

「総論・眼窩」序文

眼手術学の第1巻として,総論・眼窩をお届けする.

前半は総論で,すべての眼手術の基本となる事柄をまとめた.本項を「眼手術に臨む心構え」という些か精神論的な章から始めたのは,本シリーズを,単なるテクニック書と一線を画したものにしたいという理由による.スタッフの教育,手術室の設備・システム,顕微鏡,動画記録システム,基本手術器具の用意と滅菌,術前の全身検査,術前準備,左右確認,術者・術野の準備は,手術を実際に開始する前に確実に押さえておかなくてはならない基本中の基本である.細かく項目立てすることにより,細部まで具体的に記述してもらうようにした.麻酔や手術器具の持ち方,助手・器械出しなどについては,疾患や術式ごとにバリエーションがあり得るが,ここでは多くの眼手術に共通するベース事項を解説してもらうこととした.その後は,薬理・生理・病理などの基礎医学事項に加え,保険医療・リスクマネジメント・訴訟関連など,いざという際に必要となる知識をまとめた.

後半は眼窩である.眼窩疾患は数ある眼疾患の中でも比較的頻度の低い部類に入る領域であろう.その主な病態は「炎症」「腫瘍」「外傷」である.そうでなくとも診断・治療ともに難儀な「炎症」「腫瘍」「外傷」が,眼窩に生じてしまったらどのようなことになるのか.とくに外科的治療が必要な局面を迎えた場合には,どのように対処したらよいのか.偶然にも周囲に眼窩疾患のエキスパートが存在する環境ならよいが,残念ながらそのような眼科医は多くはない.一方,一般眼科医にとって眼窩疾患が身近に感じられないもうひとつの要因は,眼窩の病態のほとんどが自分の目で直接確認できない点に起因する.すなわち,X線CTやMRI等による評価抜きには眼窩疾患に対応することは不可能であるという現実がある.

ここでは眼窩疾患の治療に必要な外科的手技について,ほぼすべての分野にわたって懇切丁寧な解説を読むことができる.手術に必要な器具をはじめ,止血や縫合,術後管理など,他の眼手術とは一線を画する基本的事項についても具体的に言及した.むろん,診断に必要な画像検査の評価についても,豊富な図と詳細な解説がもれなく付いている.

本巻が眼手術総論及び眼窩手術のスタンダードとして末永く活用されていくことを期待したい.


平成26年1月
大鹿哲郎・後藤 浩

目次

【第1部 総論】

Ⅰ.手術の基本

1.眼手術に臨む心構え

2.手術教育システムの構築

3.手術関連スタッフの教育

II.設備・システム

1.手術室のセッティング

2.日帰り手術システムの構築

3.手術用顕微鏡

4.手術動画記録システム

III.器具

1.基本の手術器具

●手術器具のディスポパッケージ化

2.手術器具の洗浄・消毒・滅菌法

●クロイツフェルト・ヤコブ病による汚染対策

3.縫合糸・針

4.電気メス・炭酸ガスレーザー

IV.準備

1.術前の全身評価

2.術中・術後の全身管理

3.手術前の準備・左右の確認

4.術者の準備

5.術野の準備

●術中の術野減菌化

Ⅴ.手術の実際

1.麻酔

2.手術器具の持ち方と使い方

3.手術助手・器械出し

4.手術記録

Ⅵ.眼手術の基礎知識

1.眼手術と眼薬理

2.眼手術と眼生理

3.眼科手術と創傷治癒

4.眼手術と病理検査

5.眼手術と保険医療・保険点数

6.眼科手術とリスクマネジメント

7.眼手術と訴訟

【第2部 眼窩】

Ⅰ.眼窩手術に必要な基礎知識

1.眼窩を構成する骨

2.眼窩の血管

3.眼窩の神経

4.眼窩の脂肪と隔膜構造

5.涙腺の解剖と生理

6.眼窩に関連した副鼻腔の解剖

II.眼窩手術の器具・材料

1.眼窩骨折および眼窩腫瘍手術に必要な器具

III.眼窩手術の基本手技

1.顕微鏡とセッティング

2.消毒,ドレープ,麻酔

3.切開,展開(骨切り),止血,縫合

4.術後のケア

IV.眼窩骨折の整復術

1.眼窩骨折の臨床診断

2.眼窩骨折の画像診断

●顔面骨骨折の診断のポイント

3.眼窩骨折治療の適応

4.眼窩下壁骨折の治療

5.眼窩内壁骨折の治療

6.人工材料を用いた眼窩の再建

7.バルーンを用いた整復術

Ⅴ.眼窩異物摘出術

1.眼窩異物摘出術

Ⅵ.眼窩腫瘍摘出術

1.眼窩腫瘍の臨床診断

●眼窩腫瘍の統計

2.眼窩腫瘍の画像診断

●眼窩腫瘍の鑑別診断① 甲状腺眼症

●眼窩腫瘍の鑑別診断② 特発性眼窩炎症

●眼窩疾患における眼球運動障害の特徴と評価法

3.眼窩腫瘍手術の適応

4.眼窩前方にある腫瘍の摘出術

5.眼窩内側にある腫瘍の摘出術

6.筋円錐内にある腫瘍の摘出術

7.涙腺部腫瘍摘出術

●涙腺悪性腫瘍に対する重粒子線治療

8.経頭蓋アプローチ

9.術後合併症とその対策

10.眼窩腫瘍の生検

●摘出組織の取り扱い法(生検組織を含む)

●眼窩腫瘍の病理組織診断に用いられる特殊染色

●眼窩悪性リンパ腫の診断に必要な病理以外の検査

VII.眼窩蜂窩織炎と骨膜下膿瘍の治療

2.眼窩蜂窩織炎と骨膜下膿瘍の外科的治療法

●マイラゲルによるトラブル

VIII.その他の眼窩手術

1.眼球摘出術

2.眼球内容除去術

●可動義眼台

3.眼窩内容除去術

●内視鏡を用いた副鼻腔手術時のトラブル

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書籍情報

  • ISBN:9784830655906
  • ページ数:438頁
  • 書籍発行日:2014年1月
  • 電子版発売日:2020年11月4日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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