実戦的耳鼻咽喉科検査法〈ENT臨床フロンティア〉

  • ページ数 : 312頁
  • 書籍発行日 : 2012年5月
  • 電子版発売日 : 2021年12月17日
14,300
(税込)
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商品情報

内容

耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査は診療の中心的位置にあり種類も多彩です.本書は,超多忙な耳鼻咽喉科医が,時間をかけず,正しく診断して,最適な治療方針を決定するための検査法を厳選して解説しました.大がかりな装備を必要とせず,被検者の負担も少ない検査法を実戦的に使いこなすための1冊です.

あわせて読む → 「ENT臨床フロンティア」シリーズ

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序文

耳鼻咽喉科・頭頸部外科において,検査は診療の中心的位置にあり種類も多彩です.それらの検査法を網羅した良書は,すでにいくつかあり,中山書店からも大系《CLIENT21》で『機能検査』や『画像診断』が刊行されております.

一方,本書は「実戦的耳鼻咽喉科検査法」として,超多忙な耳鼻咽喉科開業医や第一線の勤務医の先生方に役立つ検査法を抽出し,わかりやすく解説したものです.忙しい診療現場は戦場のようでもあります.そこで,時間をかけずに正しい診断に至り最適な治療方針を決定するために,最低限行うべき検査法に絞るとの趣旨で編集にあたりました.したがって,検査法を網羅するのではなく,①手間暇がかからず,②大がかりな装備を必要とせず,③被検者の負担も少ない検査法に重点を置きました.

執筆は臨床現場で活躍する専門家に依頼し,できるだけ図や写真を多くし,解説は簡明で検査法を理解するために必要なものに限りました.コンテンツの並べ方も工夫し,画像診断は巻頭に配置し,診療で扱う実際のCT・MRIと対照しやすいようにしました.

新しい検査法だけでなく,古くからある検査法についても従来の教科書にはない実戦的な使用法が多数示されております.

コラム,アドバイスなどでは,新しい疾患概念と検査所見,検査機器の紹介,疾患の動向,ちょっとした診療のコツなどが,経験豊富な執筆陣によって惜しみなく披露されております.また,巻末には便利な解剖イラストが付録として付いておりますので,これをコピーしてインフォームドコンセントの際に利用することができます.

本書によって,開業医,勤務医の先生方が,診療の合間に楽しみながら,検査法についての知識を増やし,診療の幅を拡げることができると思います.また,耳鼻咽喉科専門医を目指す方々にとっても,本書は有用な参考書となるでしょう.

本書「実戦的耳鼻咽喉科検査法」を,皆様の診察室においていただき,活用していただければ幸いです.


2012年5月

東北大学耳鼻咽喉・頭頸部外科
小林俊光

目次

第1章 画像からみる耳鼻咽喉科解剖(正常代表画像)

側頭骨 CT

 側頭骨軸位断像

 側頭骨冠状断像

 側頭骨三次元再構成像(多断面再構成法)

鼻部CT,MRI

 鼻部CT

 鼻部MRI

頸部MRI

 MRIの特徴

 MRIの撮影方法

 基本的撮像法と正常解剖

第2章 実戦的 X 線画像診断

 耳単純 X 線検査の種類と特徴

 描出される代表的疾患

 鼻副鼻腔疾患における画像の役割

 単純画像の副鼻腔疾患診療における位置

 撮影法の選択

 読影のポイント

咽喉頭

 単純X線写真の特質と適応

 単純 X 線写真による正常解剖

 症例にみる単純 X 線写真

第3章 新しい内視鏡診断

NBI による癌の診断

 NBIとは

 機器の紹介

 表在性病変に対する考え方

 NBIによる診断の流れ

 観察時の工夫

良性疾患,とくに小児における利用法

 内視鏡の種類

 内視鏡で耳をみる

 鼓膜のみかた

 内視鏡で鼻をみる

 内視鏡で上咽頭をみる

 内視鏡で喉頭をみる

 気管切開孔から気管を観察する

第4章 耳管機能をみる

実戦的耳管機能検査法−鼓膜形成術前の耳管機能評価

 鼓膜形成術の適応判定としての耳管機能検査

第5章 聴覚機能をみる

音による聴力検査の実際

 音叉

 外来初診時に行う音による難聴の定性的検査

 音叉による難聴の定量検査

実戦的オージオグラムの読み方

 難聴の程度

 オージオグラムの聴力型

 難聴の種類(感音難聴,伝音難聴,混合難聴)と鑑別

 感音難聴病態

 伝音,混合難聴病態

 聴力改善手術におけるオージオグラムの変化

実戦的ティンパノメトリー

 滲出性中耳炎:貯留液の量と存在部位を推定する

 鼓膜穿孔のある耳にも使ってみる:上鼓室疎通性の判定

 ピークが陽圧だったら

 「ピークの高さ」を読む

 異型のティンパノグラム

アブミ骨筋反射検査(SR)の利用法

 健常者のSR

 伝音難聴の診断

 他覚的聴力検査

 内耳性難聴の診断(メッツテスト)

 後迷路性難聴の診断(reflex decay)

 顔面神経麻痺の診断

 脳幹障害の診断

 神経・筋疾患の診断

語音聴力検査のコツ

 語音弁別検査

 語音了解閾値検査(語音聴取閾値検査)

 マスキング

開業医が行える他覚的聴覚検査

 耳音響放射(OAE)検査

 聴性脳幹反応(ABR)検査

 聴性定常反応(ASSR)検査

 アブミ骨筋反射(SR)検査

実戦的耳鳴検査法

 臨床の現場における耳鳴検査の目的

 実際の検査法

 耳鳴問診票

 Tinnitus Handicap Inventory(THI)

 固定周波数ピッチマッチ検査,ラウドネスバランス検査

感音難聴の鑑別診断のための検査の組み合わせ

 自覚的聴力検査(聴覚心理検査)による鑑別

 他覚的聴力検査を用いた鑑別

後迷路性難聴を疑ったときに行う検査

 後迷路性難聴を疑うきっかけ

 後迷路性難聴の診断や聴覚能評価に有用な検査

実戦的補聴器適合検査

 補聴器の適合

 「補聴器適合検査の指針( 2010)」における音場聴覚検査

 「補聴器適合検査の指針( 2010)」の各検査項目の実際

第6章 平衡機能をみる

実戦的平衡機能検査

効率的かつ迅速に診断をするための検査とは

 まず問診票でめまい症状の全体像を把握

 問診と検査を診察室で同時に行う

 赤外線フレンツェル眼鏡を使用した頭振り眼鏡検査の活用

 聴力検査・平衡機能検査は頻回に行う

耳鼻咽喉科診療所で行うめまい検査と病診連携

 耳鼻咽喉科診療所を受診するめまい疾患

 ルーチンに行う平衡機能検査

 診療所でも行える耳石器機能検査

 簡単に行える半規管機能検査

 病診連携を図る!

第7章 顔面神経機能をみる

実戦的顔面神経機能検査

 耳鼻咽喉科的一般診察の重要性

 聴力検査・アブミ骨筋反射・平衡機能検査のポイント

 血液検査・尿検査の目的と解釈

 表情筋運動スコアによる重症度評価

 電気生理学的検査は完全麻痺症例において必須の検査

 画像検査は必要に応じて

 流涙検査・味覚検査は補助的に

第8章 アレルギー・感染症の検査

実戦的アレルギー検査

 問診

 前鼻鏡検査

 鼻汁好酸球

 特異的IgE抗体検査

 検査法による鑑別診断

感染症に関する検査

 感染症検査の意義

 感染症検査の種類

実戦的STI検査

 口腔・咽頭に関連する性感染症

 口腔・咽頭に生じる性感染症病変

 口腔・咽頭に無症候性に感染する性感染症

 検査の選択と診断のポイント

第9章 味覚・嗅覚検査

実戦的味覚検査法

 味覚障害患者の変貌

 味覚障害診療の工夫

 味覚異常の起こり方

 味覚障害の診断の進め方

 濾紙ディスク法実施における工夫

 味覚検査の間隔

 内服用亜鉛製剤の有効亜鉛量

第10章 呼吸機能をみる

鼻腔通気性の検査法

 鼻腔通気度検査

 音響鼻腔計測検査

 ピークフロー検査

 鼻腔通気性の評価における問題点

実戦的な睡眠時呼吸障害の検査

 簡易モニター

 鼻咽腔ファイバースコピー

 セファロメトリー(顎顔面形態規格写真)

 質問紙

 ビデオ撮影(小児において)

 多点感圧センサーシート

呼吸機能検査

 ガス交換

 換気:スパイロメトリー検査

 気道可逆性検査

 肺気量検査

 肺拡散能検査

第11章 音声・言語の機能検査

実戦的音声機能検査

 問診票と面接−VHIとGRBASスケール

 喉頭ファイバースコープ検査と声の録音

 空気力学的検査と音響分析

実戦的言語機能検査

 言語発達検査

 構音の検査

第12章 嚥下機能をみる

実戦的嚥下機能検査

 社会背景

 誤嚥を防ぐ嚥下のメカニズム

 嚥下障害にて依頼受診した症例

 嚥下障害の原因は?

 誤嚥例の症状

 嚥下障害の診断の手順

 嚥下機能検査法とその限界

 嚥下内視鏡検査(VE)のポイント

 対象症例

 嚥下障害の対処法のポイント

 専門施設へ紹介するポイント

第13章 頸部・甲状腺機能をみる

実戦的頸部超音波検査

 検査に関する基本事項

 正常所見

 代表疾患

付録 患者への説明用イラスト集

聴覚・平衡機能

顔面神経の走行

頸部所見

嚥下のしくみ

CT 所見

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書籍情報

  • ISBN:9784521734590
  • ページ数:312頁
  • 書籍発行日:2012年5月
  • 電子版発売日:2021年12月17日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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