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- 産婦人科の実際 2024年9月号 73巻9号 特集 婦人科がん治療における下肢リンパ浮腫 【電子版】
商品情報
内容
序文
企画者のことば
2024 年度の診療報酬改定において，外陰がんに対するセンチネルリンパ節生検が保険適用となったが，子宮がんに対しては保険適用とならなかった。これはわれわれ産婦人科医にとって，そしておそらく子宮がんの患者さんにとっても，大変残念なことであった。
海外と比較すると，日本では子宮体がんや子宮頸がんに対して，丁寧な手術をする医師が多いと思われる。そして再発を防ぐために，骨盤リンパ節郭清もきれいに行うよう努めている医師も多い。これは結果的に術後の下肢リンパ浮腫の原因となる。また，子宮頸がんの術後補助療法として，以前は化学療法を施行する施設が多かったが，最近はガイドラインに従って同時化学放射線療法を施行する施設が増え，その結果として，ますます後遺障害としての下肢リンパ浮腫の発生が増加しつつある。一方で，下肢リンパ浮腫に対するリンパ管静脈吻合術も広く行われるようになってきた。
海外における婦人科がんに対する手術の考え方は，わが国とは大きく異なる。一般に，リンパ節郭清の治療的意義は証明されていないことから，リンパ節は術後補助療法の必要性の有無を評価するための病理学的検索の対象と考えられている。そして子宮がんに対してはセンチネルリンパ節生検が標準診療として行われており，下肢リンパ浮腫の発生が抑えられている。このように，この分野においてわが国の診療は「ガラパゴス化」しつつあると考えられる。
本特集号は，婦人科がんに対するセンチネルリンパ節生検，骨盤リンパ節郭清，リンパ浮腫に対する手術を含めた治療法などについて，海外の診療を念頭においたうえで，わが国の診療の現在地を浮き彫りにすることを目的として企画した。今回の企画が読者諸氏にとって，自らの診療を見つめ直す契機になれば幸甚である。そして本特集号が今後，センチネルリンパ節生検の保険適用を目指すうえで，後押しになってくれればと願っている。
松村謙臣
目次
特集 婦人科がん治療における下肢リンパ浮腫−センチネルリンパ節生検の保険適用はなぜ必要なのか？
1.センチネルリンパ節の概念と検出方法 戸上 真一
2.外陰がんに対するセンチネルリンパ節生検 山口 建
3.子宮頸がんに対する広汎全摘＋CCRTの是非 澤田 健二郎
4.子宮頸がんに対するセンチネルリンパ節生検 関山 健太郎
5.子宮体がんに対するリンパ節郭清の是非 山田 靖
6.子宮体がんに対するセンチネルリンパ節生検と新FIGO分類 徳永 英樹
7.婦人科がん治療後の下肢リンパ浮腫への理学療法 宇津木 久仁子
8.婦人科がん治療後の下肢リンパ浮腫への手術療法 原 尚子
9.婦人科がん治療後の下肢リンパ浮腫への漢方治療 横山 良仁
10.センチネルリンパ節生検の保険承認−これまでの経緯および今後の展望 和田 美智子
臨床経験
当院における胚移植方法別による周産期合併症と児の先天異常の発生率 小山 伸夫
今日の話題
手動真空吸引法（MVA）を用いた人工妊娠中絶手術における 手術困難症例への工夫 菊池 淳
症例
機能性過多月経の原因として血液疾患の存在が考えられた2 症例 岡崎友里
子宮筋腫の表在血管が破綻した腹腔内出血でCPA となるも 後遺症なく救命しえたCOVID-19 陽性患者の1 例 河井啓一郎
骨盤内腫瘍に対する腹腔鏡下手術で診断に至った硝子血管型Castleman病の1例 塩見 真由
ホルモン療法が奏効した鼠径部子宮内膜症の1 例 牛田汐美
海外文献から 宮崎大学産婦人科
胎児発育不全における臍帯動脈抵抗の不一致と有害転帰との関連性
子宮内膜症に関連した疼痛の再発予防のための長時間作用性黄体ホルモンと経口避妊薬併用療法の比較：PRE—EMPT pragmatic 並行群間オープンラベルランダム化比較試験
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書籍情報
- ISBN：9784003107309
- ページ数：108頁
- 書籍発行日：2024年9月
- 電子版発売日：2024年9月11日
- 判：B5判
- 種別：eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数：3
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