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臨牀消化器内科 2020 Vol.35 No.10 分子標的時代のIBD 診療-IBD の寛解導入,寛解維持の実践

  • ページ数 : 110頁
  • 書籍発行日 : 2020年8月
  • 電子版発売日 : 2021年2月17日
3,300
(税込)
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商品情報

内容

特集「分子標的時代のIBD 診療-IBD の寛解導入,寛解維持の実践」

昨今,複数の生物学的製剤と低分子化合物が一気に導入され,かつ寛解導入と寛解維持が1種類の薬剤で完結できるシンプルな治療を展開できるようになった.そのような薬剤は治療のパワーが既存薬に対してマイルドである傾向があり,外来で早めの導入によって高い効果を有する傾向もある.他方,寛解導入と寛解維持の理解が疎かになり,導入薬と維持薬が混在した医療となる傾向も生じた.

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序文

巻頭言

渡辺  守*


近年IBD においては,生物学的製剤に代表される新規薬剤のグローバルな開発が活発である.ステロイド薬や免疫調節薬などのいわゆる既存治療との比較で,有効性のみでなく,安全性においても優れた成績が期待される薬剤も少なくない.多くの患者で寛解導入が可能となる一方で,これらの薬剤間の有効性などを比較した研究は多くはなく,薬剤の選択に頭を悩ませることとなる.有効性の評価に関しては,かつてのように臨床症状の改善のみでなく,内視鏡検査による粘膜治癒の評価や,便中マーカーの活用およびその解釈などについての知識が必要とされる.また,治療選択肢は無限にあるわけではないため,潰瘍性大腸炎およびクローン病それぞれにおいて,適切なタイミングで評価することが重要であり,一方で,疾患の進行を可能なかぎり早期に同定し,現行の治療の最適化を含めた治療変更を検討しなくてはならない.また,患者へのさまざまな負担を考慮すれば,必要以上の内視鏡検査や放射線検査などは回避し,非侵襲的な検査で代用できるのが望ましい.

一方,寛解維持に関しては,クローン病における術後症例も含めて,生物学的製剤では抗薬物抗体による効果減弱はまれではなく,生物学的製剤使用に際しての免疫調節薬の併用や,投与量の増量,投与間隔の短縮など,粘膜治癒を含む寛解維持効果の最適化を検討しなくてはならない.また,維持治療については,背景のリスクを念頭におきながら,感染症や血栓症,悪性腫瘍などに注意をする必要がある.安全性に関するデータに関しては,特定使用成績調査に加えて,全国規模のレジストリー研究などにより明らかにされることが期待される.

一方,薬物治療の進歩にもかかわらず,炎症のコントロールが困難な患者も少なくなく,再生医療などの新しいアプローチが試みられている.その発展が期待されるが,最終的には臨床試験において,その有効性,安全性が検証されるのが待たれる.また,とくに患者の視点からは,補完代替療法(CAM)に対する期待は少なくないが,効果に関する生物学的な根拠が十分に備わり,さらに臨床試験における適切な評価が行われたものは,ごくわずかである.患者へは,単に「勧めません」だけではなく,その限界について,丁寧で正確な説明が必要である.

腸管合併症の一つとして,colitic cancer の適切なサーベイランスは重要となるが,色素内視鏡や画像強調観察のほか,治療に関しては,限局性の病変に対して,内視鏡治療が行われる機会も増えている.しかし,技術的な可能性の前に,前提としては,病変の同時および異時多発性といったcolitic cancer の自然史に関する正確な知識が必要である.

最後に,専門家としては,それぞれの薬物治療の特徴に関する知識をもつだけでなく,それを個々の患者にいかにわかりやすく説明し,“shared decision making”を達成するかが求められている.患者数が増加するなか,薬物治療の選択肢の複雑化に伴い,IBD の最新の知識をもつ消化器医だけでなく,同様に専門的な知識および技術を有する他の医療職も加わったIBD センター構想について,さまざまな重症度の個々の患者および家族,地域社会における役割に関して執筆をいただいた.

今回の特集は,分子標的時代のIBD 治療に関するさまざまなテーマに関して,ぞれぞれの専門の医師に執筆をお願いしており,裾野の広がりを見せているIBDの寛解導入および寛解維持治療の実践において,きわめて有用であると考えている.読者の先生方の,明日からの日常診療に参考としていただくことを期待するものである.


*東京医科歯科大学 理事・副学長(〒113‒8510 東京都文京区湯島1‒5‒45)

目次

特集

巻頭言  渡辺 守

1.潰瘍性大腸炎に対する寛解導入と寛解維持

(1)潰瘍性大腸炎における寛解導入と寛解維持の定義 石田 夏樹,杉本 健 他

(2)潰瘍性大腸炎に対する寛解導入療法と薬剤の位置づけ 吉村 直樹

(3)潰瘍性大腸炎に対する5-ASAによる寛解維持療法と薬剤使用のコツ 竹内 健

(4)潰瘍性大腸炎治療の寛解導入と寛解維持における内視鏡介入の意義 髙橋 索真 他

2.クローン病に対する寛解導入と寛解維持

(1)クローン病治療における寛解導入と寛解維持の定義 細見 周平 他

(2)クローン病に対する寛解導入療法と薬剤の選択 杉山 浩平,田中 浩紀 他

(3)クローン病に対する寛解維持療法と薬剤使用のコツ 石田 哲也

(4)クローン病治療の寛解導入と寛解維持における内視鏡介入の意義 大森 鉄平 他

3.IBD 治療における寛解導入と寛解維持に関するトピック

(1)IB D 治療における青黛の有用性と安全性 長沼 誠

(2)クローン病寛解導入療法におけるDelayed response について 新﨑 信一郎 他

(3)IBD 寛解維持期における便中マーカーによるモニタリング 平岡 佐規子 他

(4)IBD 寛解導入療法における再生医療 小田切 信介,大西 俊介 他

(5)UC 関連腫瘍の早期診断と治療 山村 健史 他

(6)IBD センターの構想と効果,社会的役割 中村 正直 他

連載

検査値の読み方

 全身性エリテマトーデスに併発した非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の1 例 今 一義

薬の知識

 オニバイド®(イリノテカン・リポソーム製剤)―がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵癌に対する適応承認 佐竹 智行,奥坂 拓志

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書籍情報

  • ISBN:9784004003510
  • ページ数:110頁
  • 書籍発行日:2020年8月
  • 電子版発売日:2021年2月17日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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