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INTESTINE 2020 Vol.24 No.3 クローン病小腸狭窄病変に対する内視鏡的バルーン拡張術─基本からピットフォールまで
INTESTINE編集委員会 (編) / 日本メディカルセンター
商品情報
内容
わが国における大腸用拡大内視鏡普及率は40%程度とされている.本号の企画担当委員はこの原因を,① シャフトの太さ・硬さによる難挿入性,② 拡大観察による検査時間の増長,③ 拡大内視鏡分類の理解・習得の難しさ,④ 指導者不足,などと考えた.これらの問題点を解決するために必要と思われる項目について拡大内視鏡を極めた専門医に解説していただくことで読者の拡大内視鏡に対する理解を深め,拡大内視鏡検査がより一般化し臨床に貢献することを目的として本号は企画された.
*都合により,紙版の誌面と異なり割愛される箇所があることがございます(p.248-255は未収載となっております).
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序文
序説
日本のクローン病患者数は増加し続けており,推定7 万人の患者が存在していると考えられている.クローン病は原因不明の慢性炎症疾患で,時間の経過とともに病態は炎症から線維化へ変化し薬物治療の有効性は低下する.そして最終的に瘻孔,狭窄といった腸管合併症により患者QOL が低下し,腸管切除が必要となる.このように今日ではクローン病は進行性の疾患であると認識されている.
抗TNF-α抗体の登場以後,クローン病の薬物療法は大きく進歩した.腸管合併症への進展を防ぐために適切な生物学的製剤の使用方法が模索されている.一方で,すでに狭窄や瘻孔を合併している患者は内科治療にしばしば抵抗性である.とくに小腸狭窄病変は手術理由のもっとも多くを占める.日本人では小腸型・小腸大腸型クローン病が多いことを考えれば,小腸狭窄病変のマネージメントは患者アウトカムに直結する課題である.専門施設を中心にクローン病小腸狭窄病変(吻合部を含む)に対するバルーン拡張術が行われている.これについては小腸内視鏡を得意とする日本が先行する領域であり,本号で特集として取り上げることとした次第である.
本特集では総論から始まり,バルーン拡張術がアウトカムである腸管切除手術を減少させうるのかについての検証,定期的拡張の是非,という非常に重要な課題についてエキスパートの先生に解説いただいた.さらに,本号の特徴はより具体的で実践的なノウハウを強調した点である.クローン病の狭窄病変に対する拡張術は専門施設でも決して数は多いものではなく,若手医師が経験を積むには時間がかかる.そこで症例の共有が必要ではないかと考えた.技術的なコツ,各施設での工夫,ピットフォール,トラブルシューティング,そしてもちろん典型的な成功例を含めた実際の症例をできるだけ多く提示していただいた.そして最後には欧米からの新しい情報としてspiral enteroscopyの話題,狭窄病変に対する切開法の二つの話題を紹介した.spiral enteroscopy が線維化の強いクローン病患者にどのくらい安全に使用できるかは同内視鏡の大きな課題であろう.狭窄病変に対する切開法については吻合部以外で安全に施行することは可能か,バルーン拡張と比較した成績はどうなのかなどが興味深い.
これまで,クローン病小腸狭窄病変に対する拡張術に特化して解説したものはほとんどなく,本特集はこれぞ日本発信の書という画期的内容であると思っている.エキスパートの立場から解説いただいた先生方,貴重な症例を惜しみもなく提示していただいた各施設に深く感謝する次第である.現在,拡張術を行っている施設にも,これから導入を考えている施設にも非常に役立つ内容になっており,読者の方々のクローン病臨床に役立ててもらえると確信している.
久松 理一(杏林大学医学部消化器内科学)
目次
特集
0序説
Editorial
久松 理一
Tadakazu Hisamatsu
1IBDに対する小腸治療内視鏡─歴史と現況
Therapeutic enteroscopy for inflammatory bowel disease
松本 主之
Takayuki Matsumoto
2-1クローン病小腸狭窄病変に対するバルーン拡張術 (1) 総論
Overview of endoscopic balloon dilation in Crohn's disease
平井 郁仁
Fumihito Hirai
2-2クローン病小腸狭窄病変に対するバルーン拡張術 (2) バルーン拡張術は予後を変えたのか
Has endoscopic balloon dilation improved patient prognosis?
辻川 知之
Tomoyuki Tsujikawa
2-3クローン病小腸狭窄病変に対するバルーン拡張術 (3) 定期的拡張術か,エピソーディックな拡張か?
Which procedure is preferable: prophylactic scheduled endoscopic or episodic balloon dilation?
渡辺 憲治
Kenji Watanabe
2-4-1クローン病小腸狭窄病変に対するバルーン拡張術 (4) クローン病におけるバルーン拡張術のコツ a.ダブルバルーン内視鏡の立場から
Tips of endoscopic balloon dilation by doubleballoon endoscopy
中村 正直
Masanao Nakamura
2-4-2クローン病小腸狭窄病変に対するバルーン拡張術 (4) クローン病におけるバルーン拡張術のコツ b.シングルバルーン内視鏡の立場から
Endoscopic balloon dilatation using single-balloon endoscopy
大塚 和朗
Kazuo Ohtsuka
2-5-1クローン病小腸狭窄病変に対するバルーン拡張術 (5) 施設の工夫 a.キャストフードの有用性
Usefulness of a calibrated small-caliber-tip transparent hood
矢野 智則
Tomonori Yano
2-5-2クローン病小腸狭窄病変に対するバルーン拡張術 (5) 施設の工夫 b.困難症例における工夫
Balloon dilatation technique for difficult cases
吉田 篤史
Atsushi Yoshida
2-6クローン病小腸狭窄病変に対するバルーン拡張術 (6) ピットフォール─悪性狭窄との鑑別
Endoscopic balloon dilation for small bowel strictures -- Diagnostic pitfalls for malignancy
細見 周平
Shuhei Hosomi
2-7-1クローン病小腸狭窄病変に対するバルーン拡張術 (7) 症例 a.小腸狭窄病変
Endoscopic balloon dilatation for Crohn's disease-associated small bowel stricture
遠藤 豊
Yutaka Endo
2-7-2クローン病小腸狭窄病変に対するバルーン拡張術 (7) 症例 b.回腸結腸吻合部狭窄─術後約30年目に吻合部狭窄を認めたクローン病の1症例
Crohn's disease with anastomotic stenosis 30 years after surgery: A case report
勝木 伸一
Shinichi Katsuki
2-7-3クローン病小腸狭窄病変に対するバルーン拡張術 (7) 症例 c.拡張術によるカプセル内視鏡回収
Salvage of capsule endoscopy by endoscopic balloon dilation
大森 鉄平
Teppei Omori
2-7-4クローン病小腸狭窄病変に対するバルーン拡張術 (7) 症例 d.トラブルシューティング─クローン病の狭窄病変に対するバルーン拡張術にて穿孔をきたした1例
A case of perforation caused by balloon dilation for Crohn's disease-associated strictures
古賀 章浩
Akihiro Koga
2-7-5クローン病小腸狭窄病変に対するバルーン拡張術 (7) 症例 e.トラブルシューティング─出血
A case of ileal bleeding post-EBD in Crohn's disease
砂田 圭二郎
Keijiro Sunada
3Spiral Enteroscopy in patients with Crohn's disease
Spiral Enteroscopy in patients with Crohn's disease
Markus Schneider
Markus Schneider
4海外の文献を読み解く─クローン病狭窄病変に対する切開法は有効か?
Effectiveness of electroincision to treat strictures in patients with Crohn's disease: An international literature review
小林 拓
Taku Kobayashi
連載一覧
5-1Endocytoscopyによる大腸低異型度腺腫に対する鑑別診断─"Resect and Discard" strategyの新たな可能性
Endocytoscopy for the differential diagnosis of colorectal low-grade adenoma: A novel possibility for the "resect and discard" strategy
工藤 豊樹
Toyoki Kudo
TOPICS
TOPICS
5-2画像強調併用拡大内視鏡により診断された微小良性腺腫を無治療経過観察した場合のadvanced neoplasia発生率に関する検討
Incidence of advanced colorectal neoplasia in individuals with untreated diminutive colorectal adenomas diagnosed by magnifying image-enhanced endoscopy
関口 正宇
Masau Sekiguchi
TOPICS
TOPICS
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書籍情報
- ISBN:9784004202403
- ページ数:102頁
- 書籍発行日:2020年8月
- 電子版発売日:2021年2月5日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:2
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