医学のあゆみ268巻13号 制御性T細胞研究の現在

  • ページ数 : 264頁
  • 書籍発行日 : 2019年3月
  • 電子版発売日 : 2021年2月12日
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内容

制御性T細胞研究の現在
企画:
坂口志文(大阪大学免疫学フロンティア研究センター実験免疫学)
堀 昌平(東京大学大学院薬学系研究科免疫・微生物学教室)

・制御性T細胞(Treg)は,1980~1990年代にかけて,免疫自己寛容の導入・維持に必須のリンパ球として研究がはじまった.本特集では,Tregの基礎研究から臨床応用まで広く研究の現状を紹介する.
・近年,Tregの発生・分化,機能の分子的基礎,転写因子とのネットワークなどが明らかになりつつある.また,単なる免疫抑制だけでなく,組織の恒常性・再生にも重要な役割を担っている可能性も示されてきた.
・Tregの強化による自己免疫疾患の治療・予防,逆にTregの減弱によるがん免疫の惹起・強化なども期待されており,研究が進められている.本特集ではこれらの最新の知見についても解説いただく.

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序文

はじめに

制御性T 細胞(regulatory T cells:Treg)とよばれるT 細胞群は,1980~1990年代にかけて,免疫自己寛容の導入・維持に必須のリンパ球として研究がはじまった.すなわち,「正常動物から特定のT細胞群を除去すれば,ヒトの自己免疫病と酷似した病変が自然発症し,除去したT細胞群を補えば発症が阻止される」との実験結果がTreg研究のはじまりである.1995 年にTregの特異的細胞表面マーカーとしてCD25,2003年には特異的転写因子Foxp3が同定され,ほかのT細胞とは機能的に異なる別個のT細胞サブセットであることが確立された.すなわち,Tregの大部分は抑制機能に特化し,機能的に成熟したT細胞群として胸腺で産生され,独自のT細胞系譜を形成し,正常個体末梢CD4+T細胞の約10%を占める.また,一部のTregは特定の条件下で通常T細胞からも分化する.

近年,このようなTregの発生・分化,機能の分子的基礎,とくに,ほかのさまざまな転写因子とのネットワーク,特異的エピゲノムの役割が明らかになりつつある.また,さまざまな免疫応答の抑制機序の理解が進むとともに,Tregが単なる免疫抑制だけでなく,組織の恒常性・再生にも積極的な役割を担っている可能性も示されてきた.

一方,そもそもTregが自己免疫応答を抑制するT細胞として同定されたように,Tregはヒトの病的・生理的免疫応答の抑制的制御に枢要である.たとえば,Tregの量的・機能的強化により,自己免疫病,炎症性腸炎などの免疫疾患の治療・予防,臓器移植における拒絶抑制,またTregの量的機能的減弱による癌免疫の惹起・強化が可能である.実際,欧米を中心にTregを対象とする臨床試験が近年活発に進行しており,有望な結果が発表されている.

本特集では“制御性T細胞研究の現在”と題して,Tregの基礎研究から臨床応用まで広く研究の現状を紹介する.今後のTreg研究の進展,臨床への展開に期待したい.


坂口志文
大阪大学免疫学フロンティア研究センター実験免疫学
堀 昌平
東京大学大学院薬学系研究科免疫・微生物学教室

目次

基礎

【分化】

Treg分化におけるエピゲノムの役割……大倉永也・安水良明

制御性T細胞の系列安定性……中島啓・堀昌平

胸腺における制御性T細胞分化…… 宮澤龍一郎・松本満

組織特異的制御性T細胞……伊藤美菜子・他

樹状細胞によるTreg分化の制御……佐藤克明

SATB1によるT細胞分化と免疫寛容の制御……田中ゆり子・近藤元就

Nr4aファミリー転写因子によるTreg制御……関谷高史

カルシウムシグナルによる制御性T細胞の分化と機能の制御……大洞将嗣

母体由来短鎖脂肪酸によるTreg分化の制御……中島章人

【機能】

Treg分化と機能におけるTCRシグナルの役割……田中淳

Tregによる免疫抑制メカニズム……知念孝敏

エフェクター性制御性T細胞分化・維持の分子基盤……村上龍一・堀昌平

濾胞性制御性T細胞……木本富子・James B.Wing

転写因子Id2, Id3による制御性T細胞の制御とTH2型炎症……宮崎和子・宮崎正輝

自己免疫寛容におけるFoxP3陽性TregとPD-1……竹馬俊介

【組織免疫】

腸内細菌由来代謝産物によるTreg制御……大野博司

食品成分による自然免疫受容体を介した腸管Tregの制御……岩倉洋一郎

制御性T細胞の恒常性維持におけるアミノ酸の役割……池田佳世・竹田潔

粘膜上皮細胞死による制御性T細胞数の制御……中澤優太・他

DNAメチル化機構による腸管Tregの機能制御……長谷耕二

腸管組織の恒常性維持に必要な制御性T細胞の抗原レセプターの多様性──Tregレパトワによる腸管恒常性維持……西尾純子

皮膚制御性T細胞の役割……花川奨・他

皮膚の樹状細胞と制御性T細胞のクロストークによる免疫制御……山崎小百合・森田明理

代謝制御による腫瘍内Tregの制御は可能か……國定勇希

制御性T細胞による骨髄環境制御……錦井秀和

健常時から末梢組織炎症時における制御性T細胞の生体内動態と関連した多様性・機能変化……戸村道夫

【Tregの多様性】

LAG3陽性制御性T細胞による免疫制御機構……岡村僚久

腸管上皮CD4+CD8αα+T細胞における腸管恒常性制御……筋野智久

慢性感染症におけるIL-27産生性制御性T細胞……由井克之

臨床

【自己免疫】

ゲノムワイド関連解析と制御性T細胞……山本一彦

関節リウマチにおける制御性T細胞……小松紀子・高柳広

IPEX症候群……金兼弘和

多発性硬化症と制御性T細胞……山村隆・木村公俊

天疱瘡抗原デスモグレイン3に対する自己免疫応答と制御性T細胞の役割……高橋勇人・天谷雅行

シェーグレン症候群の病態機序と制御性T細胞……石丸直澄・山田安希子

【さまざまな疾患・病態】

がん免疫における制御性T細胞の役割……大植祥弘

アレルギー疾患と制御性T細胞……三上統久・杉本篤

妊娠における制御性T細胞の役割……津田さやか・齋藤滋

制御性T細胞による動脈硬化の予防……佐々木直人

制御性Tリンパ球とHTLV-1感染症……松岡雅雄・安永純一朗

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書籍情報

  • ISBN:9784006026813
  • ページ数:264頁
  • 書籍発行日:2019年3月
  • 電子版発売日:2021年2月12日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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