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- 医学のあゆみ273巻1号 神経変性疾患の治療開発の現状――新たな戦略構築の基盤をめざして
商品情報
内容
企画:貫名信行(同志社大学大学院脳科学研究科)
・神経変性疾患は神経難病ともいわれるように,その治療は困難と思われてきた.神経変性の過程で異常タンパク質の蓄積が認められること,病因遺伝子,疾患関連遺伝子が存在することなどは明らかになりつつある.
・本特集は,2013年の特集“神経変性疾患―研究と診療の進歩”から7年間の進歩をみるものでもある.主要な神経変性疾患に対してすでにさまざまな治験が行われていることがわかる.
・研究開発の背景となる技術や類似の分子メカニズムによるアミロイドーシスの治療開発,筋ジストロフィーの治療開発に必要なレジストリーの確立など,神経変性治療開発の参考となるものについても執筆していただく.
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序文
はじめに
貫名 信行
同志社大学大学院脳科学研究科
神経変性疾患は神経難病ともいわれるように,その治療は困難と思われてきた.神経変性の過程で異常タンパク質の蓄積が認められること,病因遺伝子,疾患関連遺伝子が存在することなど,疾患の病態カスケードはかなり明らかになりつつある.その背景にはモデル動物の作製が容易となり,iPS細胞(induced pluripotent stem cells;人工多能性幹細胞)などヒト疾患を直接反映するような細胞モデルも可能となるなど,技術的進歩があることはいうまでもない.一方,治療に関してはこれらのモデル系をスクリーニングすることにより,あるいは病態を背景とした薬剤の開発が行われ,病態に基づく治療開発が可能となってきている.p>
遺伝を背景とした疾患に対しては,最も上流の病因遺伝子を標的とした治療が考えられるわけであるが,なかなか遺伝子を標的とすることは困難と思われてきた.ところが近年,核酸医薬の開発により特定の遺伝子の発現を制御することが現実的となり,治験が進んでいる.また,異常タンパク質の蓄積に対しては異常タンパク質の生成抑制,分解促進などの方向からの治療開発も進んできている.また,最近注目されている神経変性におけるRNA病態に対するアプローチも進んでおり,このような多角的なアプローチで従来困難だと思われてきた神経変性疾患の治療も夢ではないと思えるようになってきた.
本特集は,2013年の特集「神経変性疾患――研究と診療の進歩」から7年間の進歩をみるものでもある.残念ながら,この間この治療は確実に効くといえるものは開発されてはいないが,主要な神経変性疾患に対してすでにさまざまな治験が行われていることがわかる.また,研究開発の背景となる技術や類似の分子メカニズムによるアミロイドーシスの治療開発,筋ジストロフィーの治療開発のために必要なレジストリの確立など,神経変性治療開発の参考となるものについても執筆していただいた.数年後,確立された治療法の萌芽となるものが本特集に記載されていることを祈りたい.
目次
各分野の動向
アルツハイマー病――アカデミアの開発戦略……富田泰輔
アルツハイマー病――製薬企業の治療薬開発戦略……岩坪威
タウオパチー研究の国内外の動向……石垣診祐・祖父江元
タウ伝播を標的とした治療法開発……武田朱公
パーキンソン病の分子病態とミトコンドリア品質管理の破綻――Parkinノックアウトマウスの解析から……佐藤栄人・服部信孝
α-シヌクレインを中心としたパーキンソン病新規治療薬……田口智之・他
シヌクレイノパチー――多系統萎縮症……三井純
筋萎縮性側索硬化症――プロテイノパチーの観点から……引網亮太・他
筋萎縮性側索硬化症――RNAメタボリズムの観点からみたバイオマーカーおよび治療の開発……保坂孝史・郭伸
球脊髄性筋萎縮症の病態形成機構と標的治療開発……佐橋健太郎・勝野雅央
ハンチントン病の治療法開発への展望――遺伝子発見から四半世紀を経て……永井義隆
脊髄小脳失調症(SCA)……石川欽也
リピート伸長とRAN翻訳関連疾患……石浦浩之
家族性アミロイドーシスの最新の知見……安東由喜雄
ダウンストリームを治療する――神経細胞死……田中ひかり・岡澤均
治療開発のバックアップシステムエ
ブレインバンク……村山繁雄・齊藤祐子
神経変性疾患の疾患コホート研究……池内健
疾患特異的iPS細胞……奥宮太郎・他
遺伝子治療……村松慎一
患者レジストリシステム――Remudyの経験……中村治雅・水澤英洋
治療開発に関する国の支援……葛原茂樹
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書籍情報
- ISBN:9784006027301
- ページ数:120頁
- 書籍発行日:2020年4月
- 電子版発売日:2021年3月17日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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