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- 別冊「医学のあゆみ」自己炎症性疾患――病態解明から診療体制の確立まで
商品情報
内容
●自己炎症性疾患は炎症を主病態とする一連の疾患群である.当初,家族性地中海熱,高IgD症候群など少数の遺伝性疾患を対象にしたが,遺伝子解析技術の向上により,現在約30疾患にまで増加した.
●自己炎症性疾患の疫学調査・患者登録,診断体制の整備,診療ガイドライン作成,新規遺伝子の発見,iPS細胞・動物モデルを用いた研究により,病態解明,診療体制においてめざましい進歩がみられる.
●一方,標準的な治療法がいまだ樹立されていない疾患が存在し,これらの病態解明やそれに基づく創薬が期待されている.以上の背景をもとに,現在当分野でご活躍中の先生方に概説いただく.
序文
はじめに
自己炎症は,1999年にアメリカ国立衛生研究所(NIH)のKastner博士らにより提唱された概念である.自己炎症性疾患は炎症を主病態とする一連の疾患群である.当初,家族性地中海熱(FMF),TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS),クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS),高IgD症候群など少数の遺伝性疾患を対象にしたが,2004年に完了したヒトゲノム計画,次世代シークエンサー・全エクソーム解析などの遺伝子解析技術の向上により,現在約30疾患にまで増加した.また,遺伝子異常が未同定で病態が類似する一連の疾患群が広義の自己炎症性疾患として含まれる.
病態解析においては,インフラマソームの概念がローザンヌ大学の故Tschopp博士らにより提唱され,自己炎症性疾患のみならず,より一般的な炎症病態として認知された.この発見はCAPSなどのインフラマソーム活性化をきたす疾患に対する抗IL-1製剤の開発につながり,患者のquality of life(QOL)の著明な改善をもたらした.また近年では,STING-associated vasculopathy with onset in infancy(SAVI),中條-西村症候群において,バイオマーカーとしてI型インターフェロン過剰が注目され,治療薬開発の標的分子となっている.
わが国においても厚生労働省ならびに日本医療研究開発機構(AMED)の各研究班により,自己炎症性疾患の疫学調査・患者登録,診断体制の整備,診療ガイドライン作成,新規遺伝子の発見,iPS細胞・動物モデルを用いた病態解明など自己炎症性疾患の病態解明,診療体制においてめざましい進歩がみられる.一方,標準的な治療法がいまだ確立されていない疾患が存在し,その病態解明や創薬が期待されている.
以上の背景をもとに,"自己炎症性疾患―病態解明から診療体制の確立まで"を企画させていただき,現在当分野でご活躍中の先生方に解説をお願いした.本特集が,自己炎症性疾患の診療に役立ち,患者QOL向上,創薬,治療開発につながることを祈念する.
久留米大学医学部小児科学講座
西小森 隆太
目次
はじめに
診療基盤の確立
1.自己炎症性疾患の原因遺伝子の同定の歴史
Keyword 自己炎症性疾患,原因遺伝子,遺伝子変異
2.わが国における自己炎症性疾患の歴史
Keyword 自己炎症性疾患,指定難病,抗IL-1製剤,インフラマソーム
3.自己炎症性疾患の病態分類
Keyword 自己炎症性疾患,炎症性サイトカイン,インフラマソーム,インターフェロン,ユビキチン化
4.自己炎症性疾患の遺伝子検査体制
Keyword 自己炎症性疾患,遺伝子検査,次世代DNAシーケンシング
5.iPS細胞を用いた病態解析
Keyword 人工多能性幹細胞(iPS細胞),自己炎症性疾患,血球細胞
6.自己炎症性疾患の治療の現状─診療ガイドライン解説
Keyword 自己炎症性疾患,ガイドライン,抗IL-1製剤,カナキヌマブ
病態解明・治療法確立にむけての新展開
7.パイリンインフラマソームと自己炎症性疾患
Keyword MEFV遺伝子,パイリン,インフラマソーム
8.NLRC4インフラマソーム
Keyword 自己炎症性疾患,NLRC4インフラマソーム,NLRC4異常症,生物学的製剤,IL-18結合蛋白
9.プロテアソーム関連自己炎症性症候群―中條-西村症候群と関連疾患
Keyword プロテアソーム関連自己炎症性症候群(PRAASs),中條-西村症候群(NNS),JMP症候群,CANDLE症候群,I型IFN異常症
10.核酸シグナル異常によるI型インターフェロン症
Keyword インターフェロン(IFN),核酸シグナル,レトロトランスポゾン,複製フォーク,パルミトイル化
11.LUBAC・ユビキチン関連異常症
Keyword 自己炎症性疾患,A20ハプロ不全症(HA20),LUBAC,NF-κB,OTULIN,ユビキチン
12.Blau症候群
Keyword Blau症候群,NOD2遺伝子,肉芽腫
13.アデノシンデアミナーゼ-2
Keyword ADA2欠損症,自己炎症性疾患,周期熱,結節性多発動脈炎
14.全身型若年性特発性関節炎の病態と治療
Keyword 全身型若年性特発性関節炎(s-JIA),マクロファージ活性化症候群(MAS),サイトカイン
15.PFAPA症候群―成人発症例を含めての総説
Keyword PFAPA症候群,周期性発熱,アフタ性口内炎,咽頭炎,頸部リンパ節炎,扁桃摘出術
16.Behcet病の免疫病態―自己炎症とMHC-I-opathy
Keyword Behcet病,自己免疫,自己炎症,MHC-I-opathy,A20ハプロ不全症
サイドメモ
自己炎症性疾患の国際会議の歴史
Autoinflammatory-autoimmune continuum
次世代シーケンシング
iPS細胞からの血球分化
今後の開発が期待されている新規治療薬
パイリンインフラマソーム
インフラマソーム
TORCH症候群
TNFAIP3遺伝子変異
疾患関連変異と低頻度SNPとの鑑別
自己炎症性疾患の遺伝子診断
ADA2欠損症の乳児例
全身型若年性特発性関節炎(s-JIA)の病型
s-JIAに合併するMASの分類基準
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書籍情報
- ISBN:9784006528509
- ページ数:100頁
- 書籍発行日:2019年11月
- 電子版発売日:2020年3月9日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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