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- 臨床画像 2020年8月号 特集 骨転移の画像診断
商品情報
内容
画像医学,画像診断に携わる放射線科医や一般臨床医を対象に,画像診断の重要かつ最新のテーマ,話題のトピックスを取り上げて解説する総合画像医学雑誌。
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序文
序説
転移性骨腫瘍は頻度の高い,放射線診断においては避けては通れない骨病変である。どの年齢層にもみられるが,特に中年以降では最も頻度が高い。骨転移を起こす頻度の高い病変として,肺,前立腺,乳腺,胃,大腸,腎の癌が知られている。
骨転移の主な原因となる血行性転移は,通常は肺に転移巣を形成し,そこから経動脈性に全身の骨に転移すると考えられる。さらに静脈を経由する転移の存在が信じられており,腹部や骨盤内臓の癌が,原発巣から直接的に脊椎のBatsonの静脈叢に至り,腫瘍細胞が弁を欠き流れが遅い脊椎静脈から同様のレベルの脊椎に転移巣を形成することがあると信じられてきた。
脊椎は現に転移の好発部位であり,ほかには骨盤や肋骨など体幹部骨格が多い。ただし単純X線写真で観察される椎弓根の病変は,椎体に分布する動脈が椎体後部から椎弓根にかけて密に分布するため,椎体後部に転移をきたしやすく,これが椎弓根基部に転移巣を形成する結果との説明もなされ,経動脈性転移としやすい所見も呈している。転移性病巣の成り立ちや特徴も含めて,画像所見からまだまだ読み取れる情報がある。
転移性骨腫瘍の特集は何回かなされてきたが,今回の特集ではまず骨転移の現状について,山形県立中央病院のデータから浅野多聞先生らにご解説いただいた。われわれが漠然と信じてきた転移性骨腫瘍の現状を新たなデータから確認できる機会になったのではないかと思われる。
それに引き続いて骨転移の画像診断の特徴を,定型例・非定型例に分けて寺澤 岳先生らに解説していただいた。骨転移の所見は多様であり,鑑別にかかわる問題点は多い。さらに従来では先進的であったMRIによる骨転移の全身スクリーニングDWIBS法の実際の臨床応用を中西克之先生らに解説いただいた。続いて画像でのスクリーニングとして重要な核医学的手法を,従来から知られている骨シンチグラムに加えて18F–FDG–PETの実際的な経験を廣正 智先生らに検証していただいた。
骨転移にかかわるIVRの現状としては,経皮生検や塞栓を含めたIVRの役割と実際を豊富な経験をもとに荒井保典先生に解説していただいた。組織所見の治療への役割にも変化がみられ,経皮針生検の組織診断のみならず治療への寄与も変わりつつある。
今回の特集はこれまでと異なり,治療への結び付きを強調した点にある。本特集の後半では,骨転移への集学的アプローチを,骨転移カンファレンスを通じて推進した岩手医科大学の経験を伊藤薫樹先生らに解説していただいた。放射線診断医の役割は従来よりも大きくなっている。さらに転移性骨腫瘍の臨床と最近の進歩を整形外科から髙木辰哉先生に,前立腺癌治療における骨転移の意義について泌尿器科から吉田宗一郎先生らに,そして乳癌治療における骨転移の意味について乳癌治療の専門家の深田一平先生に解説いただいた。各専門家の解説から放射線診断医の役割の変化を考える機会になればと思っている。
今回の特集は,がん研究会有明病院の植野映子先生に企画段階でご協力いただき,筆者にはない視点からの企画になった。この場を借りて感謝申し上げたい。
江原 茂
目次
■特集:骨転移の画像診断 企画・編集:江原 茂,編集協力:植野映子
序説 江原 茂
骨転移の現状−転移性骨腫瘍の発生部位,予後に関する検討:肺癌,前立腺癌,乳癌の転移性骨腫瘍の現状− 浅野多聞ほか
骨転移の画像診断 寺澤 岳ほか
MRIによる骨転移のスクリーニング 中西克之ほか
核医学による骨転移のスクリーニング 廣正 智ほか
骨転移に対するIVR(画像下治療) 荒井保典
骨転移への集学的アプローチ 伊藤薫樹ほか
がんの運動器診療 髙木辰哉
骨転移を伴う前立腺癌の臨床と画像診断 吉田宗一郎ほか
骨転移を伴う乳癌の臨床 深田一平
●Current Topics
・超高精細CTの画像診断
序説 村山和宏
1.超高精細CTの基礎 石原敏裕
2.超高精細CTを用いた中枢神経領域における細動脈の描出と臨床応用 永田紘之ほか
3.頸部・胸部領域での超高精細CTの使用 山城恒雄
4.肺癌診断への期待 梁川雅弘ほか
●連載
・IVRの基本をおさえよう!−デバイスの選び方,使い方−[第8回]
血管形成術①−総論− 中井資貴ほか
・ゲノム医療における画像の役割[第4回]
大腸癌 長沼 篤
・となりの読影室[第16回]
聖マリアンナ医科大学病院 藤川あつ子
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書籍情報
- ISBN:9784008004008
- ページ数:120頁
- 書籍発行日:2020年8月
- 電子版発売日:2020年7月22日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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