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- 形成外科 2019年5月号【特集】脂肪注入術の現況
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序文
企画にあたって
脂肪注入による組織充填は過去には否定された歴史があります。それは，その時代に行われた脂肪注入法では移植脂肪の生着不良やそれに伴う吸収・感染などが多く生じたからにほかなりません。しかし近年において脂肪注入術は，その精製法と注入技術の発展により世界的に普及してきました。また，これまでの日本において脂肪注入は健康保険上認可された手法ではなかったため，自費診療である美容外科などで主に行われる手技に過ぎず，保険診療しか行わない形成外科医にとっては用い難い面もありました。しかし脂肪注入の手法が保険収載を控えるに至った今，軟部組織形態を扱う形成外科医にとってこの技術は身に付けるべき必須手技となったことに疑いの余地はありません。
そこで本号では脂肪注入を行うにあたっての必要十分な知識を得るための特集を組むことにし，基本的な知識をはじめ，実際の手技，生着率を高める工夫，美容外科における治療の実際，および合併症への対応などをまとめてみました。執筆陣にはこの分野において経験豊かな先生方をお迎えし，ご自身のご経験を含めた実践的な内容をご執筆いただきました。歴史が証明しているように，脂肪注入術を安易な手技で行うと，脂肪壊死や石灰化といった望まない結果を引き起こすものです。現代の正しい脂肪注入手法を学ぶことにより形成外科医としての引き出しを1 つ増やし，多種多様な形成外科疾患への対応力を向上させていただきたいと思います。
大阪大学医学部形成外科学講座 冨田 興一
大阪みなと中央病院 細川 亙
目次
随想「移りゆく時の中で―形成外科医であるということ―」 （岩平佳子）
特集：脂肪注入術の現況
企画にあたって （冨田興一ほか）
脂肪注入術の基本―基礎的知識― （矢永博子ほか）
顔面における脂肪注入術の基本―注入法の実際― （高柳 進）
脂肪注入術の生着率を向上させる方法（1）―幹細胞移植との併用― （洪 起庸ほか）
脂肪注入術の生着率を向上させる方法（2）―体外式乳房拡張器との併用― （小林沙彩ほか）
脂肪注入術の生着率を向上させる方法（3）―皮弁移植との併用― （會沢勇亮ほか）
脂肪注入術における合併症―傾向と対策― （島倉康人）
美容外科における脂肪注入術 （鎌倉達郎）
連載：形成外科Topics！
台湾形成外科学会とのMOU締結 （水野博司）
連載：みんなで考えよう！足病カンファレンス
連載：形成外科NEXT─次世代の本音─
優しさと厳しさと―昭和から平成，そして令和へ― （林 礼人）
連載：教室だより北～南
(53)和歌山県立医科大学 形成外科教室 （和田仁孝ほか）
原著
形成外科の地域格差を考える―「浸透度」を視覚化する試み― （佐藤 誠）
症例
アキレス腱の露出・離断を伴う重症下肢虚血性潰瘍に対して遊離広背筋皮弁による再建を行った2例（森重侑樹ほか）
左下顎部に発生した骨脂肪腫の1例 （伊藤靖浩ほか）
工夫
ブレスト・インプラント・サイザーの滅菌時における当院での工夫 （中江星子ほか）
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書籍情報
- ISBN：9784014106205
- ページ数：132頁
- 書籍発行日：2019年5月
- 電子版発売日：2021年4月16日
- 判：B5判
- 種別：eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数：3
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