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商品情報
内容
●「義肢」に関するテキストは多数出版されているが,義肢のパーツの名称や構成,チェックアウトに重点がおかれており,初学者が,義肢と臨床とのつながりをイメージするのに十分とはいえない.
●本書では,義肢の基本的な知識を解説したうえで,切断術前後における切断者とのかかわり方,切断者が義肢を装着するためのリハビリテーションや入院中のリハビリテーション,退院後に社会参加を促すためのフォローなど,切断者のリハビリテーションに必要な一連の知識と技術を解説.
●歩行練習や車いすからベッドへの移乗動作,ADL動作,階段昇降などの連続写真・イラストを多用することにより,初学者でも,義肢と臨床とのつながりがイメージしやすい.
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序文
シリーズの序
本シリーズは当初,単独で出版された『イラストでわかる小児理学療法』『イラストでわかる人間発達学』,さらに『イラストでわかる発達障害の作業療法』が多くの方から支持されたことによりシリーズ化されることになりました.すなわち本シリーズは,多くの養成校の教科書として採用された実績によって作られた企画です.きっと,キャンパスでたくさんの学生が本書を抱えて歩いていることでしょう.
本書は,編集の先生方に,「イラストでわかるシリーズ」の共通した内容である,理学療法士・作業療法士養成校の学生に合った内容で,「わかりやすい」・「興味がもてる」・「ポイントを絞った」を目標に,平易な文章でイラストを多用しコンパクトにまとめていただきました.加えて,具体的な内容については編集者の「伝えたい思い入れ」に従って構成していただきました.そのため,テキストによっては,若干,構成が異なる内容になっていると思います.
監修にあたり,できるだけ読みやすくすることを心がけました.また,不適切な用語がありましたらご教授いただければうれしく思います.最後に,ご多忙のところ監修者のお願いをこころやすく聞き入れてくださいました編集者・著者の先生方,および出版に労をいとわずにご尽力をくださった医歯薬出版株式会社編集部担当者に深くお礼申し上げます.
2019年5月
監修者 上杉雅之
編集者の序
「装具療法」という言葉は,早期から装具を利用した治療を行うことで治療効果を高めることができるということの推奨グレードが高い(『脳卒中ガイドライン』)ことから,リハビリテーションのなかで浸透してきたと考えています.それに対して「義肢療法」という言葉はなかなかなじめない言葉ではないかと思いますが,「補装具」を利用してリハビリテーション介入を行い,その目標とするところは「装具療法」と同様だという認識から,今回,本書名に「義肢療法」という言葉をあえて使用いたしました.従来の「義肢装具学」のテキストは,リハビリテーション介入の部分が少なく,物ありきで構成され,どちらかというと製作に焦点を当てているものが多いというのが現状でした.
今回,理学療法士・作業療法士養成課程はもちろん臨床においても利用できる「義肢装具学」テキストを目指し,さらにリハビリテーション介入に重点をおいた,理学療法士・作業療法士による臨床場面を想定した内容に特化した書籍になるように構成したこともあり,「義肢療法」という言葉を使用いたしました.本来であれば,「義肢装具療法」という書籍を出版したあとに「義肢療法」と銘打った書籍を出版することが順序としてはよかったのかもしれませんが,今回はボリュームが大きくなったこともあり,「装具療法」と「義肢療法」との2分冊での出版となりました.
「イラストでわかる」シリーズとして義肢療法テキストを出版した目的は,従来の写真を主体としたテキストでは,陰影の加減でわかりにくかった義肢の構造を明確にし,理学療法士・作業療法士にとって注目すべき介入ポイントなどを,イラストを用いることでより明確にわかりやすくするためです.イラストに起こすことによって,筆者が読者に伝えたい内容をクローズアップすることができるのではないかと考えます.各章において,リハビリテーション介入で難渋する部分をピックアップしわかりやすく解説を加えることで,義肢利用者の動作能力の向上を図ることができるのではないかと考えます.教育課程や臨床現場でぜひ活用していただきたいと思います.
最後に,本書の刊行にあたり,たいへん忙しいなか玉稿を賜りました執筆の先生方,出版の労をいとわずにご尽力くださった出版社・ご関係の皆さまに心より感謝申し上げます.
2021年8月
編集者
長倉裕二
岩瀬弘明
目次
第1章 義肢学総論
(佐久間 香)
エッセンス
義肢
使用時期による分類
装着部位による分類
構造による分類
機能による分類
切断の名称
切断
離断
切断部位と装着する義肢
切断の疫学
切断者の数
切断原因と切断時の年齢
義肢処方の内訳
義肢の実用性
切断術
皮膚の処理
筋の処理
神経の処理
血管の処理
骨の処理
義肢療法を行ううえで留意が必要な断端の問題
浮腫
神経腫
皮膚の問題
幻肢痛
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
トピックス
第2章 切断者を受け持ったらどうするか
(佐藤陽介)
エッセンス
切断者の心理状態の変化
切断者の心理状態に寄り添うこと
切断者の精神的苦痛と「うつ」
切断者の障害受容とチームでの対応
切断者のモチベーション
患者の理解を導く
情報不足からの不安を解消する手段
コーチング・声かけの工夫
退院後のフォロー
チーム医療におけるPT・OTの役割
情報共有における中継点としての役割
POに伝えるべき情報
アドバイザーとしての役割
情報収集
カルテからの情報
医療面接
ICFからみた下肢切断の障害構造
ICFの目的
下肢切断の障害構造
研究報告からとらえる治療ターゲット
ICFからみた下肢切断の障害構造(演習)
評価結果
ICFによる整理
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
トピックス
第3章 理学療法評価
(佐久間 香)
エッセンス
理学療法評価の目的
理学療法評価の時期と目的
切断術前
切断術後
義肢処方後(仮合わせ)
義肢完成後
理学療法評価の実際
医療面接
断端の評価
下肢長
上肢長
周径
ROM
筋力測定
幻肢
座位バランス
立位バランス
歩行能力
体力
ADLの評価
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
トピックス
第4章 下腿切断者の術前の理学療法と術後の断端管理について
(東 祐二,手塚勇輔,高瀬 泉)
エッセンス
術前理学療法の対象と目的
術前理学療法のプランニング
筋力増強トレーニング
関節可動域運動
バランス練習
運動耐容能(体力)の維持
切断術後を想定したADL練習
断端管理
ソフトドレッシング
リジッドドレッシング
リムーバブルリジッドドレッシング
セミリジッドドレッシング
シリコーンライナーを用いた断端管理
断端管理と義足装着時期の関係
断端の時系列変化
断端の皮膚・疼痛管理
幻肢・幻肢痛について
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
トピックス
第5章 下腿義足の選定と術後の理学療法
(梅澤慎吾)
エッセンス
下腿義足の適応とその意義
時系列で区別する義足装着の意義
下腿切断の特徴
下腿義足の構造
殻構造義足
骨格構造義足
義足パーツの選定
不変の情報
本人のニーズを考慮する
下腿義足が完成するまでの理学療法
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
トピックス
第6章 下腿義足の装着方法とチェックアウト
(梅澤慎吾,岩下航大)
エッセンス
下腿義足の装着指導方法
方法
アライメントの評価
ベンチアライメントのチェック
スタティックアライメントのチェック
ダイナミックアライメントのチェック
初期接地~立脚中期
切断側膝関節の過度な安定と膝過伸展のストレス
膝折れの不都合
立脚中期
荷重線が基底面に対して内側に位置する
荷重線が基底面に対して外側に位置する
立脚中期~前遊脚期
切断側膝関節の過安定
膝折れの不安定
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
第7章 下腿義足完成後の理学療法
(岩下航大)
エッセンス
エビデンスに基づく下腿切断者の予後予測
下腿義足完成後の治療目標
義足完成直後(当日~2週)
初期ゴール(2~6週)
中期ゴール(4~12週)
退院ゴール(8~20週)
下腿義足完成後から退院までの理学療法
断端管理
関節可動域の維持・改善,良肢位指導(とくに断端近位関節の拘縮予防・改善)
筋力増強トレーニング(非切断側下肢・体幹・プッシュアップ・切断側膝関節周囲筋群)
義足ソケット装着練習
義足歩行前の基本練習
義足歩行練習
義足の有無にかかわらないBADL・IADL練習
本義足製作の公的給付制度とその手続き方法に関する説明
退院後の切断者とのかかわり方
外来フォローの頻度
外来フォロー時のチェック項目
本義足に向けた制度説明
退院後の生活における切断者やその家族が求めるホープの把握
外来フォロー時の機能練習
最新の下腿義足の紹介
懸垂システム(機械式ポンプタイプのソケット装置)
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
トピックス
第8章 大腿切断者の術前の理学療法と術後の断端管理について
(高瀬 泉,東 祐二,手塚勇輔)
エッセンス
術前理学療法の対象と目的
術前理学療法のプランニング
断端管理
断端管理と義足装着時期の関係
断端の時系列変化
断端の皮膚・疼痛管理
幻肢・幻肢痛について
大腿義足の適応とその意義
大腿切断の特徴
大腿義足の構造
殻構造義足
骨格構造義足
大腿義足のソケット
ソケットデザインによる分類
懸垂方法による分類
膝継手の種類と各機能
構造からみた分類と特徴
機能からみた分類と特徴
電子制御膝継手
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
トピックス
第9章 大腿義足の適合とアライメントのチェックアウト
(福本貴彦)
エッセンス
ソケット適合の判断
差込みソケットの場合
形状による分類
機能による分類
大腿義足の装着指導
ベンチアライメントのチェック
スタティックアライメントのチェック
ダイナミックアライメントのチェック
体幹の側屈
外転歩行
分回し歩行
(非切断側の)伸び上がり歩行
過度の腰椎前弯
遊脚終期の膝のインパクト
歩幅の不同
立脚相の時間の左右差
けり上げの左右差
内側ホイップ
外側ホイップ
初期接地の足部の動揺
足部のむち打ち現象
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
トピックス
第10章 大腿義足完成後の理学療法
(豊田 輝)
エッセンス
エビデンスに基づく大腿切断者の予後予測
大腿義足完成後の治療目標
義足完成直後(当日~2週)
初期ゴール(2~6週)
中期ゴール(4~12週)
退院ゴール(8~20週)
大腿義足完成後の理学療法プログラム立案
断端管理
関節可動域の維持・改善,良肢位指導(とくに断端近位関節の拘縮予防・改善)
筋力増強トレーニング(非切断側下肢・体幹・プッシュアップ・切断側股関節周囲筋群)
義足ソケット装着練習
義足歩行前の基本練習
義足歩行練習
義足の有無にかかわらないBADL・IADL練習
本義足製作の公的給付制度とその手続き方法に関する説明
非切断側足部のケア
大腿義足完成後から退院までの理学療法
断端管理
ROMの維持・改善,良肢位指導(とくに断端近位関節の拘縮予防・改善)
筋力増強トレーニング(非切断側下肢・体幹・プッシュアップ・切断側股関節周囲筋群)
義足ソケット装着練習
義足歩行前の基本練習
義足歩行練習
義足の有無にかかわらないBADL・IADL練習
本義足製作の公的給付制度とその手続き方法に関する説明
退院後の切断者とのかかわり方
外来フォローの頻度
外来フォロー時のチェック項目
本義足に向けた制度説明
退院後の生活における切断者やその家族が求めるホープの把握
外来フォロー時の機能訓練
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
トピックス
第11章 股義足・膝義足・サイム義足・足部義足
(酒井孝文)
エッセンス
股義足
股義足の適応とその意義
股義足の構成
股義足の適合判定とアライメントチェック
股義足を使用した理学療法
膝義足
膝義足の適応とその意義
膝義足の構成
膝義足の適合判定とアライメントチェック
サイム義足
サイム義足の適応とその意義
サイム義足の構成
サイム義足の適合判定とアライメントチェック
足部義足
足部義足の適応とその意義
足部義足の構成
足部義足の適合判定
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
トピックス
第12章 上肢切断と義手
(平上尚吾,森田千晶)
エッセンス
義手の意義
義手の種類
義手の分類
義手の構成
能動義手
筋電義手
義手の適合判定とチェックアウト
義手を使用したリハビリテーション
面接とオリエンテーション
機能評価(心身機能・身体構造)
義手操作に関する評価
ADL評価
ニーズの把握
義手を使用した練習
装着前練習
義手装着・操作練習
最新の義手情報
ミケランジェロ
be-bionic
i-limb quantum
i-digits quantum
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
トピックス
第13章 疾患別にみた理学療法の注意点(切断のリハビリテーション 臨床の実際)
(澤田あい)
エッセンス
循環障害による切断
症例1
症例2
症例3
症例からみえてくること
外傷による切断
症例4
症例からみえてくること
小児の切断
小児の切断の種類
小児のリハビリテーションでの注意事項
全身状態の重要性
成長に合わせた対応
両側下肢切断
車いすの使用
スタビー義足
アライメントの改善
免荷式歩行器
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
トピックス
第14章 義肢とスポーツ
(東山学史,伊藤文香)
エッセンス
義肢を使用する障害者スポーツ
レクリエーション,レジャーとしての障害者スポーツ
運動に適した義肢のパーツの選び方
運動に適した切断者の評価と指導者,トレーニング
競技としての障害者スポーツ
障害者スポーツの種類
切断者と競技スポーツを結びつけるための取り組み
各競技におけるセラピストの役割
これからの障害者スポーツ
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
トピックス
第15章 義肢の製作と支給体系
(中元 潤)
エッセンス
義肢製作の流れ
身体障害者と義肢の公的支給制度
身体障害者手帳による補装具の製作(障害者総合支援法による製作)
補装具に関するその他の社会保障制度
災害補償制度
医療制度
健康保険の種類
介護保険制度
公的扶助(医療扶助:生活保護法)
確認してみよう!・解答
先輩からのアドバイス
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書籍情報
- ISBN:9784263266458
- ページ数:272頁
- 書籍発行日:2021年10月
- 電子版発売日:2021年10月15日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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