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小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン 2019年版
日本放射線腫瘍学会 , 日本小児血液・がん学会 (編集) / 金原出版
商品情報
内容
2016年より、陽子線治療が小児がんに対して保険収載されました。陽子線治療は、小児とAYA世代(10代後半から30代)への有害事象を低減させることが期待されています。前半では総論として小児・AYA世代のがんと陽子線治療の一般的事項について記載し、線量分布、二次がん、費用対効果についてのシステマティックレビューを掲載。後半では、脳腫瘍を含む小児の代表的固形がんを取り上げました。
序文
序
現在のがん治療は,外科療法,放射線療法,化学療法が3つの柱であると考えられています。放射線治療は,外科治療と並ぶ重要な局所療法であり,成人の腫瘍では多くの疾患において標準的治療となっています。一方,小児がんは稀少疾患でありながら,三大治療を適確に組み合わせた集学的治療により治療成績が向上してきました。しかし,小児には多種・多様の腫瘍が発症するため,専門医でさえ放射線治療の方針決定には難渋することも多いのが現状です。また最近では,小児がんの治療成績の向上とともに,成長,知能,内分泌機能への影響や,二次がんなどの放射線治療にともなう晩期有害事象が注目される時代となってきております。
さて,平成28年4月から,新しい放射線治療の1つである陽子線治療が,20歳未満の小児がんに対して日本で初めて保険適用となりました。つまり,日本では成人のがんに先行して小児への利用が認められたということになります。陽子線治療は,その物理的特性から,正常組織への線量を減らすことで小児への有害事象が低減することが期待されており,欧米諸国でも小児に対して近年利用されてきた方法です。しかし,稀少疾患に対して新しい放射線治療が適応となったことで,本領域について専門の医療者は限られており,広く小児がんに対する陽子線治療の特徴について科学的に集めたデータを,医療者だけでなく国民に対してわかりやすく提示することが必要であると考えられます。
このような背景の中で,今回『小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン』を発刊することは,まさにタイムリーな企画であったと考えております。稀少疾患のガイドライン作成には困難な面が多かったと思われますが,多様化する医療の中で適切な診療の提供のために,今後大いに役立つものと考えております。
最後に,櫻井英幸委員長をはじめとするガイドライン作成にご尽力頂いた諸先生方に深い感謝の意を申し上げるとともに,本ガイドラインが小児・AYA世代の腫瘍の診療の進歩に大きく貢献することを祈念し,序文のことばとさせていただきます。
平成31年3月
公益社団法人日本放射線腫瘍学会理事長
茂松 直之
目次
総論I
小児・AYA(Adolescent and young adult)世代のがんと陽子線治療
総論II
陽子線治療を用いた小児がん治療におけるシステマティックレビュー(SR)
SR-1:陽子線治療の線量分布に対する医学物理学的研究のシステマティックレビュー
SR-1.1:全脳全脊髄照射(craniospinal irradiation:CSI)
SR-1.2:頭蓋内局所照射
SR-1.3:頭頸部、体幹部照射
SR-2:陽子線治療による二次がん発症に関するシステマティックレビュー
SR-3:陽子線治療の費用対効果に関するシステマティックレビュー
各論
CQ1 髄芽腫に対する術後放射線治療として陽子線治療は推奨されるか?
CQ2 上衣腫に対する術後放射線治療として陽子線治療は推奨されるか?
CQ3 切除不能および術後に遺残した頭蓋咽頭腫に対して陽子線治療は推奨されるか?
CQ4 頭蓋内胚細胞腫瘍に対する全脳室照射、全脳全脊髄照射において陽子線治療は推奨されるか?
CQ5 横紋筋肉腫に対して陽子線治療は推奨されるか?
CQ6 神経芽腫の原発巣に対する放射線治療として陽子線治療は推奨されるか?
CQ7 切除不能または不完全切除された小児骨肉腫に対して陽子線治療は推奨されるか?
CQ8 ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(Ewing sarcoma family of tumors:ESFT)に対して陽子線治療は推奨されるか?
CQ9 切除不能または不完全切除された脊索腫、軟骨肉腫に対して陽子線治療は推奨されるか?
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書籍情報
- ISBN:9784307071116
- ページ数:92頁
- 書籍発行日:2019年4月
- 電子版発売日:2019年5月17日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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