腹腔内内ヘルニア大全

  • ページ数 : 408頁
  • 書籍発行日 : 2021年1月
  • 電子版発売日 : 2021年1月8日
23,100
(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 420pt ( 2 %)
m3ポイント:1%相当 point-info
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

腹腔内内ヘルニアのすべてがここに!

腹腔内内ヘルニアの歴史は非常に古いにもかかわらず,その概念・定義もいまだ明確ではない.この状況を打破するために,最新の論文はもちろん,多数の歴史的な原著・原論文を実際に参照して腹腔内内ヘルニアの歴史を辿った上で,現代の発生学・筋膜解剖学に則った正確な膜構造の理解を礎として,腹腔内内ヘルニアを俯瞰した.添えられた多数の分かりやすいイラストが,読者の理解をさらに深める.まさに唯一無二の1冊.

※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版

序文

序 文


腹腔内内ヘルニアについての知識は,すでに200年の歴史を経て昨今問題となることが多い.問題とは,その概念が定着しておらず,定義もしっかりとなされていないことである.MDCT(multidetector row CT)の発展によって,腹腔内の疾病は多面からの解析が可能になり,手術前に腸回転異常にともなう疾患や傍十二指腸ヘルニアに代表される腹腔内内ヘルニアが検出される機会が増えた.しかし,その定義はどうかというと,困ったことに異なる腹腔内内ヘルニアが同じ疾患として報告されているのが現実である.

これらの現状を打破するためには,腹腔内内ヘルニアの歴史を辿り,現代の発生学・筋膜解剖学をもって,これを俯瞰する必要がある.さらにこの上に回転異常と位置異常の知識を乗せると腹腔内のほとんどの内ヘルニアに光明を見いだせる.その理論の一端から,腹腔内に存在する全ての膜構造物にも展開できる.そうすると,腹腔内全ての病態についての治療が明らかとなる.佐藤達夫先生(元東京医科歯科大学解剖学教授)と高橋孝先生(故元癌研究会外科部長)によって築かれた臨床解剖学が外科医にとって当然である日がくることを祈念する.

本著の出版に快くゴーサインを出して下さった中外医学社の青木滋社長に深謝する.そして校正に携わってくださった五月女謙一さん,秀島悟さん,輿石祐輝さんに御礼を申し上げる.

本書の原著,原論文の収集には,亀田総合病院理事長 亀田隆明先生の援助がなくてはできなかった.感謝申し上げる.

本著を含め私の今までの著作全てに分かりやすい図を提供してくれている青木出版工房 青木勉さんへは深く御礼申し上げたい.

最後に,日々の著作活動に理解を示してくれている妻 千津子に感謝の言葉を贈る.


2020年11月 紅葉の阿武隈の山々を眺めながら


脳神経疾患研究所 附属 総合南東北病院
総合医療センター 三毛牧夫

目次

序章

 1 ヒト発生と筋膜構成が明らかになったことによる理解の変遷

 2 根本的な用語の定義の問題解決

 3 重複記載について

 4 腹腔内内ヘルニアを統合再定義することの意義

総 論

第1章 基礎編―人体発生―

Ⅰ ヒトの発生段階

 1 受精(fertilization)

 2 卵割(cleavage)

 3 着床

 4 胚盤葉上層と胚盤葉下層

 5 原腸形成(gastrulation)

 6 ボディプラン(体の設計;body plan)

 7 器官形成(organogenesis)

Ⅱ 消化管の発生

 1 3週の初め

 2 3週と4週の間

 3 原腸発生の早期

 4 中腸発生に関するStage についての考え方の変遷

Ⅲ 腸管回転と固定,そして癒合

 1 「一括回転(en—bloc rotation)」概念

 2 Soffers概念

Ⅳ Treitz靱帯(十二指腸提筋;superior retention band),Inferior retention band と横隔結腸靱帯

 1 Treitz 靱帯(あるいは,十二指腸提筋)

 2 Inferior retention band と横隔結腸靱帯

 3 Retention band のまとめ

第2章 腸回転異常と固定異常(Malrotation and Malfixation)

 はじめに

 1 歴史

 2 言葉の定義

 3 分類の考え方

 4 発生学的分類

 附1)Bill 分類

 附2)腹腔内の膜様構造物

第3章 腹腔内内ヘルニア(総論)(Internal intra―abdominal hernia)

 はじめに

Ⅰ 胎生期の腹膜配置・体壁の概念

Ⅱ 後腹膜と後腹膜腔

Ⅲ 言葉の定義―hernia―

 1 基本用語

 2 外ヘルニアと内ヘルニア

Ⅳ 本書における腹腔内内ヘルニアの分類

Ⅴ 臨床所見と診断

 1 臨床症状

 2 診断

Ⅵ 腸閉塞症

各 論

第1章 傍十二指腸ヘルニア(Paraduodenal hernia)

 はじめに

Ⅰ 傍十二指腸ヘルニアの歴史

Ⅱ 傍十二指腸ヘルニアの定義

Ⅲ 傍十二指腸窩とヘルニア

 1 傍十二指腸窩の形成理論と概念

 2 傍十二指腸ヘルニアの形成理論と概念

Ⅳ 統計

Ⅴ 症状

Ⅵ 放射線学的診断

Ⅶ 治療

Ⅷ 傍十二指腸ヘルニアの各型

 附1)網囊(omental bursa, lesser peritoneal sac)

 附2)腹部血管解剖

第2章 結腸間膜が関係する内ヘルニア(Mesocolic hernia)

 はじめに

 1 総論

 2 横行結腸間膜が関与した内ヘルニア

 3 S状結腸間膜に関与した内ヘルニア

 4 その他の結腸間膜ヘルニア

 附)Interparietal hernia とinterstitial hernia

第3章 小腸間膜ヘルニア(Mesenteric hernia)

Ⅰ 小腸間膜裂孔ヘルニア(Transmesenteric hernia)

Ⅱ 小腸間膜内ヘルニア〔Intramesenteric(pourch)hernia〕

第4章 大網ヘルニア(Omental hernia;Epiploic hernia)

Ⅰ 網囊と大網の発生学

Ⅱ 大網ヘルニアの分類

Ⅲ 大網内ヘルニア(Intra—omental hernia)

 1 発生学

 2 臨床所見

Ⅳ 大網裂孔ヘルニア(Trans—omental hernia,Trans—epiploic hernia)

 1 歴史的背景

 2 大網欠損の発生学

 3 分類

 4 統計

 5 臨床的特徴

 6 放射線学的検査

 7 複合型大網裂孔ヘルニア

 8 外科治療

第5章 小網裂孔ヘルニア(Lesser omental hernia)

 1 発生と解剖

 2 原因

 3 分類

 4 統計

 5 臨床的所見

 6 放射線学的検査

 7 複合型小網裂孔ヘルニア

 8 外科治療

第6章 Winslow孔ヘルニア(網囊孔ヘルニア)(Hernia through the epiploic foramen of Winslow)

Ⅰ 歴史

Ⅱ 網囊と大網の発生学

Ⅲ 解剖学

Ⅳ Winslow 孔ヘルニアの発生機序因子と特徴

Ⅴ 統計

Ⅵ 分類

Ⅶ 臨床的特徴

 1 臨床症状

 2 身体所見

Ⅷ 臨床検査

Ⅸ 放射線学的検査

 1 腹部単純X 線検査

 2 造影検査

 3 超音波検査

 4 腹部CT 検査

 5 Multidetector CT―Scan(MDCT)

Ⅹ 鑑別診断

Ⅺ 外科治療

Ⅻ 複合型Winslow 孔ヘルニア(Re―entrant hernia)

XⅢ 手術を終了するに際しての注意

XⅣ 予後

第7章 肝鎌状間膜に関与するヘルニア(Hernia involving the falciform ligament)

Ⅰ 腹側胃間膜の発生学

Ⅱ 解剖学

Ⅲ 歴史

Ⅳ 分類

Ⅴ 成因

Ⅵ 統計

Ⅶ 臨床的特徴

 1 新生児

 2 成人

Ⅷ 臨床症状および臨床所見

Ⅸ 放射線学的検査

 1 腹部・胸部単純X 線検査

 2 腹部CT 検査

Ⅹ 外科治療

 附1)Aberrant umbilical vein 症例

 附2)肝鎌状間膜のヘルニア化

第8章 盲腸周囲ヘルニア(Pericecal hernia, Paracecal hernia)

Ⅰ 発生学

Ⅱ 解剖学

Ⅲ 盲腸周囲の窩

 1 上回盲窩

 2 下回盲窩

 3 後盲腸窩

 4 傍結腸窩

 5 盲腸窩

 6 Hartmann 窩

Ⅳ 成因

Ⅴ 盲腸周囲ヘルニアの分類

Ⅵ 統計

Ⅶ 臨床的特徴

 1 上回盲窩ヘルニア

 2 下回盲窩ヘルニア

 3 後盲腸窩ヘルニア

 4 傍結腸窩ヘルニア

 5 盲腸窩ヘルニア

 6 Hartmann 窩ヘルニア

Ⅷ 放射線学的検査

 1 造影検査

 2 腹部CT 検査

Ⅸ 外科治療

 附)腸骨筋膜下窩ヘルニア(Hernia of fossa iliaco―subfascialis)

第9章 Mesodiverticular vascular band hernia および他の先天性血管バンド

Ⅰ Meckel憩室

Ⅱ Mesodiverticular vascular band の発生学

Ⅲ 血管発生学

Ⅳ Mesociverticular vascular band の分類

Ⅴ 統計

Ⅵ Mesodiverticular vascular band hernia の臨床的特徴

Ⅶ その他の先天性血管バンド

Ⅷ 外科治療

 附)偶発的に検出されたMeckel憩室の対策

第10章 子宮広間膜ヘルニア(Hernia of the broad ligament of the uterus)

Ⅰ 発生学

Ⅱ 解剖学

Ⅲ 分類

 1 歴史

 2 Cilley 分類

 3 新しい型分類

Ⅳ 統計

Ⅴ 臨床的特徴

Ⅵ 子宮広間膜ヘルニア各論

 1 子宮広間膜裂孔ヘルニア(Transligamentuous hernia of the broad ligament)

 2 子宮広間膜内ヘルニア(子宮広間膜内ポーチヘルニア)

Ⅶ 外科治療

第11章 内膀胱上窩ヘルニア(Internal supravesical hernia)

Ⅰ 歴史

Ⅱ 解剖学

 1 臍襞(臍靱帯)

 2 腹部・骨盤内筋膜構成

 3 膀胱周囲腔

Ⅲ 分類

Ⅳ 統計

Ⅴ 病因

Ⅵ 臨床的特徴

 1 症状

 2 臨床所見

Ⅶ 放射線学的検査

 1 膀胱鏡検査

 2 骨盤CT 検査

Ⅷ 外科治療

Ⅸ 予後

 附1)外膀胱上窩ヘルニア(External supravesical hernia)

 附2)その他の骨盤内内ヘルニア

第12章 手術既往のない後天性腹腔内ヘルニア

Ⅰ 炎症過程に続発するヘルニア

 1 急性虫垂炎

 2 手術既往のない腹部の癒着

Ⅱ 鈍的外傷に続発するヘルニア

第13章 医原性腹腔内内ヘルニア(Iatrogenic intra―abdominal hernias)

Ⅰ 吻合後ヘルニア(Retroanastomotic hernia)

 1 歴史的背景

 2 吻合部背側腔

 3 ヘルニアの型

 4 臨床的特徴

 5 臨床検査所見

 6 放射線学的検査

 7 外科的治療

 8 予防

Ⅱ 人工肛門(ストーマ)に関係した腹腔内内ヘルニア

Ⅲ 横行結腸切除術後後胃ヘルニアと術後小網裂孔ヘルニア

Ⅳ 肥満に対するバイパス手術による内ヘルニア

Ⅴ 根治的後腹膜リンパ節郭清による内ヘルニア

Ⅵ 子宮懸垂術後の内ヘルニア

Ⅶ 腹腔内内ヘルニアの病因としての腹膜外手術

 1 腹膜外傍移植片内ヘルニア

 2 恥骨後大腿—大腿バイパス移植片後内ヘルニア

索引

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:34.8MB以上(インストール時:80.5MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:139.0MB以上

  • android icon

    AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:34.8MB以上(インストール時:80.5MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:139.0MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784498043503
  • ページ数:408頁
  • 書籍発行日:2021年1月
  • 電子版発売日:2021年1月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍が必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。